民事訴訟法 第268条(大規模訴訟に係る事件における受命裁判官による証人等の尋問)
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裁判所は、大規模訴訟(当事者が著しく多数で、かつ、尋問すべき証人又は当事者本人が著しく多数である訴訟をいう。)に係る事件について、当事者に異議がないときは、受命裁判官に裁判所内で証人又は当事者本人の尋問をさせることができる。
この条文の基本情報
大規模訴訟に係る事件における受命裁判官による証人等の尋問とは何ですか?
定義大規模訴訟に係る事件における受命裁判官による証人等の尋問とは、民事訴訟法第268条に定められた規定で、「裁判所は、大規模訴訟(当事者が著しく多数で、かつ、尋問すべき証人又は当事者本人が著しく多数である訴訟をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第268条(大規模訴訟に係る事件における受命裁判官による証人等の尋問)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第268条の条文原文は「裁判所は、大規模訴訟(当事者が著しく多数で、かつ、尋問すべき証人又は当事者本人が著しく多数である訴訟をいう。」で始まります。
- 民事訴訟法第268条は第七章 大規模訴訟等に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第268条の前の条は民事訴訟法第267条の2です。
- 民事訴訟法第268条の次の条は民事訴訟法第269条です。
- 民事訴訟法第268条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第268条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第268条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/268
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法268条は、当事者・証人が著しく多数の大規模訴訟で、当事者に異議がなければ受命裁判官が裁判所内で尋問できると定める。直接主義の例外である。
Q · 集団訴訟だと、私の証人は裁判官三人全員が聞いてくれないの?
異議を出さなければ、裁判官一人が代表して尋問します
民事訴訟法268条により、当事者と証人が著しく多数の大規模訴訟では、当事者に異議がないことを条件に、合議体の一人(受命裁判官)が裁判所内で証人や当事者本人を尋問できます。本来は判決をする裁判官全員が証言に直接接するのが原則(直接主義、249条)ですが、薬害・公害などの集団訴訟で全証人を三人全員が尋問すると審理が長期化するため、その例外を認めた規定です。鍵は「異議がないとき」で、黙っていれば同意したものと扱われます。
解説
裁判の鉄則の一つに「直接主義」がある。あなたの運命を決める裁判官は、証人の話を自分の耳で直接聞かなければならない。だが、原告が数百人、証人が何十人もいる薬害訴訟や公害訴訟では、その鉄則が現実の壁にぶつかる。全員を三人の裁判官全員の前で尋問していたら、判決は十年先になる。民事訴訟法268条は、この行き詰まりに一つの抜け道を用意した。当事者が異議を出さなければ、裁判所はそのうちの一人「受命裁判官」に、裁判所の中で証人尋問をさせることができる。注目すべきは「異議がないとき」という条件だ。あなたが大規模訴訟の当事者なら、自分の証人を裁判官全員に聞いてほしいと望む権利を、この一行が握っている。黙っていれば同意したことになる。声を上げるかどうかが、あなたの証言の届き方を変える。
法的な位置づけ
民事訴訟法268条は、大規模訴訟における証人等の尋問方法を定める規定である。当事者および尋問すべき証人・当事者本人が著しく多数である訴訟について、当事者に異議がないときに限り、受命裁判官が裁判所内で尋問を行うことを認める。判決をする合議体全員が証拠に直接接する直接主義(249条)の例外をなす。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.受命裁判官による尋問の打診があるか確認する 大規模訴訟の当事者になったら、まず弁護団に「受命裁判官による尋問(民訴268条)」が裁判所から提案されているかを確認する。提案の有無で自分の取るべき行動が変わる
- 2.勝敗を分ける核心証人を選別する 全証人を一律に同意するのではなく、信用性や表情が判決を左右する核心証人を抽出する。重要度の低い証人は効率に協力し、核心証人だけに異議の照準を絞る
- 3.核心証人は合議体全員の面前での尋問を希望し異議を述べる 核心証人については、受命裁判官一人ではなく合議体三人全員の面前での尋問を求めて異議を述べる。表情や信用性は調書では伝わらないため、判決をする全員に直接示せるかが心証形成の分かれ目になる
- 4.尋問期日より前に弁護団へ意思を届ける 268条は「異議がないとき」を要件とするため、黙認は同意と扱われる。受命裁判官による尋問が実施される期日より前に、どの証人で異議を残すかを弁護団へ明確に伝える
よくある質問 AI による整理
Q1大規模訴訟とは何ですか?
民事訴訟法268条がいう大規模訴訟とは、当事者が著しく多数で、かつ尋問すべき証人または当事者本人も著しく多数である訴訟を指します。薬害・公害・集団消費者被害などが典型です。
Q2受命裁判官による尋問に異議は出せますか?
出せます。268条は「当事者に異議がないとき」を要件とするため、異議を述べれば受命裁判官一人ではなく合議体全員の面前で尋問されます。逆に黙っていると同意とみなされます。
Q3直接主義とは何ですか?
判決をする裁判官が、自ら口頭弁論や証拠調べに立ち会わなければならないという原則です(民訴249条)。268条はこの直接主義の例外を、大規模訴訟に限って認めています。
Q4受命裁判官の尋問はどこで行われますか?
268条の尋問は「裁判所内」で行われます。裁判所外で行う原則形態(民訴195条)とは場所が異なり、大規模訴訟の効率化のために裁判所内での代表尋問を認めた点が特徴です。
Q5集団訴訟と大規模訴訟は同じですか?
重なりますが同義ではありません。大規模訴訟は条文上「当事者・証人が著しく多数」という尋問効率の観点で定義され、原告多数の集団訴訟の多くがこれに該当します。
Q6異議を出さないとどうなりますか?
受命裁判官一人による裁判所内尋問に同意したものと扱われます。判決を書く残り二人の裁判官は、あなたの証人を調書の文字でしか知らない状態で結論を出すことになります。
Q7民事訴訟法268条はいつできた条文ですか?
平成8年(1996年)の民事訴訟法全部改正で新設されました。大規模訴訟への対応として、直接主義の例外を明文化した比較的新しい規定です。
Q8受命裁判官が作った尋問調書は判決にどう使われますか?
尋問結果は調書化され、合議体全員がこれを資料として判決を形成します。立会わなかった裁判官は調書を通じて心証を取るため、調書の精度が重要になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1集団訴訟に参加したら、自分の証言は軽く扱われるんですか?
軽く扱われるわけではないが、聞かれ方は変わりうる。民事訴訟法268条により、大規模訴訟では当事者の異議がなければ、合議体の一人(受命裁判官)が代表して証人尋問を行える。判決を書く三人全員があなたの証人を直接見るとは限らない。実務のポイント:弁護団は審理迅速化のため多くの証人で同意することが多い。だが本当に勝敗を分ける証人については、依頼者から「この人だけは全員の前で」と希望を伝えておくと、弁護団も異議の判断材料にしやすい。黙っていると効率優先で流される
Q2受命裁判官って、普通の裁判官と何が違うんですか?
受命裁判官は、合議体の中から特定の職務を任された一人の裁判官を指す。通常は裁判所の外での証拠調べ(民事訴訟法195条)などに使われるが、268条は大規模訴訟に限り、裁判所の中での尋問まで一人に任せることを認める。実務のポイント:本来、法廷内の証人尋問は直接主義(249条)の核心で、判決する裁判官全員が立ち会うのが筋。268条はその例外であり、例外を使うには当事者の同意が要る。あなたの同意なしには発動しないという点が、当事者にとっての最後の砦になる
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「裁判官が証人尋問をするのは当然」だが、法律から見れば、合議体の三人全員で証言に接するのが原則で、一人に任せるのは例外である。あなたがこの例外に同意していることに気付かないまま、手続が静かに進んでいく
- 「異議を出せる」ことは条文を読めば分かる。だが、異議を出さなかった結果の重さ、すなわち判決を書く裁判官の二人が、あなたの証人の表情も声の震えも直接見ていない状態で結論を出すという事実、その深刻さまで意識している当事者は少ない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 尋問する主体 | 民訴268条:受命裁判官(合議体の一人)が代表 | 民訴249条:直接主義、判決をする裁判官全員 民訴195条:受命裁判官等(裁判所外の尋問) |
| 尋問する場所 | 裁判所内 | 裁判所内(法廷) 裁判所外(現地・遠隔地等) |
| 適用前提 | 大規模訴訟 + 当事者に異議がないこと | 通常の口頭弁論・証拠調べ全般 出頭困難等の法定事由がある場合 |
| 性質 | 直接主義の例外(効率化) | 原則そのもの 場所に関する例外 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も合議体の一員である受命法官に一定の手続を委ねる制度を持つが、日本268条のような『大規模訴訟』を明文の発動要件とする規定の形は採っていない
韓国も受命法官による尋問制度を有する。直接主義との関係で例外的に位置づけられる点は日本と類似する
ドイツは受命裁判官・受託裁判官による証人尋問を一般的に認める。日本268条はこの発想を継受しつつ、大規模訴訟という現代的場面に絞って例外を構成した
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もしあなたが二百人規模の薬害訴訟に加わったら、あなたの主治医が証言する法廷に、判決を書く裁判官は何人座っているだろうか。当事者が異議を出さなければ、それは一人かもしれない。あなたの病状を最も生々しく語る証人を、合議体の残り二人は調書の文字でしか知らないことになる
- あなたが集団訴訟を抱える企業の法務担当だとする。何十人もの証人尋問を三人の裁判官全員で消化すれば審理は数年延びる。受命裁判官による尋問に同意すれば審理は加速する。だが、原告側の決定的証人まで一人の裁判官に任せると、その心証が合議体に薄まって伝わる可能性もある。同意するかどうかは戦術判断だ
- 提訴から三年、証人はまだ半分も尋問が済んでいない。裁判長が受命裁判官方式を打診してきた。次回期日までに、どの証人で異議を残すか、弁護団は決めなければならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分が大規模訴訟の原告側にいるなら、まず弁護団に「受命裁判官による尋問」が提案されているか確認する2. 全証人を一律に同意するのではなく、勝敗を分ける核心証人を選別し、その者だけは合議体全員の面前での尋問を希望すると伝える3. 受命裁判官方式に同意する場合でも、尋問調書の精度と、後日の弁論での争点整理を弁護団に念押しする4. 「異議がないとき」が要件である以上、黙認は同意と扱われる。自分の意思を期日前に弁護団へ届けることが要
訴えられた側:1. 被告側企業として審理迅速化を望むなら、受命裁判官による尋問への同意は有効な選択肢になる2. ただし原告側の決定的証人について、その心証が合議体に薄まって伝わる効果を期待しすぎない。直接主義の例外は諸刃の剣3. どの証人を効率処理し、どの証人を全員の面前に残すか、相手方の異議の出方も読みながら配分を設計する4. 同意は撤回が難しい局面があるため、尋問計画全体を見渡してから判断する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。鍵は手続上の時機である。受命裁判官による尋問は「当事者に異議がないとき」に許されるため、異議を述べる機会を逃せば同意したものと扱われうる。打診を受けたら、その尋問が実施される期日より前に異議の要否を決める必要がある
学説
通説:268条は直接主義(249条)の例外であり、当事者の同意を発動要件とすることで、審理迅速化という要請と当事者の手続保障を調整したものと解される。例外の発動は当事者の自己決定に委ねられている点に均衡があるとされる
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 現行民事訴訟法の制定に伴い、大規模訴訟に関する規定として新設された。当事者と証人が著しく多い訴訟で、当事者の異議がないことを条件に、受命裁判官による裁判所内での証人等の尋問を認め、直接主義の例外を明文化した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法の全部改正に伴い、大規模訴訟に関する規定として新設。当事者・証人が著しく多数の訴訟で、当事者の異議がないことを条件に、受命裁判官による裁判所内での尋問を認め、直接主義の例外を明文化した
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