民事訴訟法 第267条の2(和解等に係る電子調書の更正決定)
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- 前条第一項の規定によりファイルに記録された電子調書につきその内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
- 2.前項の更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 3.第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
和解等に係る電子調書の更正決定とは何ですか?
定義和解等に係る電子調書の更正決定とは、民事訴訟法第267条の2に定められた規定で、「前条第一項の規定によりファイルに記録された電子調書につきその内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、い…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第267条の2(和解等に係る電子調書の更正決定)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第267条の2の条文原文は「前条第一項の規定によりファイルに記録された電子調書につきその内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、い…」で始まります。
- 民事訴訟法第267条の2は第六章 裁判によらない訴訟の完結に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第267条の2の前の条は民事訴訟法第267条です。
- 民事訴訟法第267条の2の次の条は民事訴訟法第268条です。
- 民事訴訟法第267条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第267条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第267条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/267_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法267条の2は、和解に係る電子調書に計算違いや誤記など明白な誤りがあるとき、裁判所が申立て又は職権でいつでも更正決定できると定める。更正決定には即時抗告ができる。
Q · 和解調書の地番や氏名が間違っていたら、もう直せないんですか?
明白な誤りなら期間制限なくいつでも更正できます
民事訴訟法267条の2により、和解等に係る電子調書に計算違い・誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所が申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができます。期間制限はないため、和解成立から数年経っていても申立て可能です。ただし直せるのは表示上の明白な誤りに限られ、合意内容そのものの変更はできません。更正決定に対しては告知から1週間の不変期間内に即時抗告ができます(民訴332条)。
解説
和解が成立した日、当事者は肩の荷が下りた気分で法廷を出る。数か月後、その和解調書を持って法務局や銀行の窓口に立ったとき、担当者が指を止める。地番が一桁違う。氏名の漢字が旧字体になっている。振込先の口座番号が一つずれている。和解に係る電子調書は確定判決と同一の効力を持つ債務名義(強制執行や登記の根拠となる公的文書)だが、登記官も執行裁判所も、書いてあるとおりにしか動かない。267条の2は、その袋小路に開けられた非常口である。計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りであれば、裁判所は申立てにより、または職権で、いつでも更正決定ができる。期間制限はない。三年後でも直る。ただし直せるのは表示上の明白な誤りだけで、和解の内容そのものは書き換えられない。この一線の内側にいるか外側にいるかで、次に打つ手はまったく別物になる。
法的な位置づけ
民事訴訟法267条の2は、和解等に係る電子調書の更正決定を定める規定である。電子調書の内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがある場合、裁判所は申立てにより又は職権で、期間の制限なく更正決定をすることができる。更正の対象は表示上の明白な誤りに限られ、和解の合意内容自体の変更には及ばない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.調書の記載と正しい表示の対照表を作る 和解調書の記載内容と、登記事項証明書・戸籍・通帳などの公的資料上の正しい表示を左右に並べた対照表を作成する。誤りが「誰が見ても明白」であることを一目で示せる形にする
- 2.担当の裁判所書記官に職権更正を打診する 申立書を作り込む前に、事件を担当した裁判所書記官へ誤記の箇所を具体的に連絡する。職権更正で処理できれば申立て自体が不要になり、これが実務上いちばん速いルートである
- 3.更正決定の申立書を提出する 職権更正で動かない場合、更正決定の申立書を和解が成立した裁判所に提出する。誤りが計算違い・誤記その他これらに類する明白な誤りであることを、対照表と公的証明書で裏付ける
- 4.即時抗告期間を織り込んで執行・登記の日程を組み直す 更正決定が出ても、告知から1週間の即時抗告期間(民訴332条)が走る。この1週間を見込んで強制執行の申立てや登記申請のスケジュールを引き直し、相手方の抗告可能性も想定しておく
- 5.内容の誤りなら別ルートに切り替える 誤りが表示ではなく合意内容そのものに関わると判断した場合、更正決定の申立てでは処理されない。和解の錯誤取消の主張や請求異議の訴え(民事執行法35条)による執行停止に戦場を移す
よくある質問 AI による整理
Q1和解調書の更正決定とは何ですか?
和解に係る電子調書の計算違い・誤記など明白な誤りを、裁判所が申立て又は職権で訂正する決定です。民事訴訟法267条の2が根拠で、期間制限なくいつでも申し立てられます。
Q2和解調書の誤記はいつまで直せますか?
期間制限はありません。条文が「いつでも」と定めているため、和解成立から数年経過していても更正決定の申立てが可能です。ただし更正決定への即時抗告は告知から1週間です。
Q3更正決定の申立ては誰ができますか?
当事者が申立てできるほか、裁判所が職権でも更正できます。実務上は担当書記官に誤記箇所を伝え、職権更正で処理してもらうのが最短ルートです。
Q4和解調書の誤記があると強制執行できませんか?
執行裁判所は債務名義と申立ての同一性を審査するため、氏名や金額に誤記があると却下されます。先に更正決定を得てから執行申立てをするのが実務の順序です。
Q5更正決定に不服がある場合はどうしますか?
更正決定に対しては即時抗告ができます(民訴267条の2第2項)。期間は決定の告知を受けた日から1週間の不変期間です(民訴332条)。
Q6更正の申立てが却下されたら争えますか?
申立てを不適法として却下した決定に対しては即時抗告ができます(同条3項)。理由がないとして退けられた場合の不服申立ての可否は、実務上解釈が分かれています。
Q7和解調書で登記が却下されるのはなぜ?
法務局は形式審査しか行わないため、調書の地番・氏名の表示が登記記録と一致しないと却下されます。実体上の権利が明白でも表示の一致が必要です。
Q8判決の更正と和解調書の更正は同じ条文ですか?
違います。判決の更正は民訴257条、和解等に係る電子調書の更正は267条の2です。267条の2は2022年の IT 化改正で新設されました。
この条文についての質問 AI による整理
Q1和解した金額を間違えて合意しちゃったんですけど、更正で直りますか?
直らない。267条の2が拾うのは計算違い・誤記その他これらに類する明白な誤り、つまり表示のミスであって、合意そのもののミスではない。金額の合意自体を争うなら和解の錯誤取消や請求異議の訴え(民事執行法35条)が戦場になる。実務のポイント:先に更正の申立てを出すと、その判断過程で「調書の記載は合意どおり」という認定が残ることがある。後で内容を争う予定があるなら、手続の順番を間違えないこと
Q2更正決定って、出るまでどのくらいかかるんですか?
申立てに期限はないが、処理の速さは誤りの明白さで決まる。誰が見ても分かる誤字や存在しない日付なら短期で片づき、明白性が争われれば相手方の意見を聴く分だけ延びる。決定後は告知から1週間の即時抗告期間(民事訴訟法332条)も加わる。実務のポイント:申立書を作り込む前に、担当書記官へ誤記の箇所を具体的に伝えるのが実務上いちばん速い。職権更正で動けば申立てそのものが不要になる
間違えやすい点 AI による整理
- 和解調書に誤記が起きうることは多くの人が知っている。知られていないのはその深刻度である。誤記のまま強制執行を申し立てれば執行裁判所は同一性を認めず、登記申請なら法務局は形式審査で却下する。実体上の権利がどれだけ明白でも、数字一つで手続全体が止まる。誤記は「あとで直せばいい小さな傷」ではなく、権利実現の完全停止スイッチである
- 「和解した金額が思っていたのと違う、更正決定で直せるか」という問いの立て方そのものが誤っている。267条の2の射程は表示のミスであって、合意内容のミスではない。合意内容を争うなら、戦場は和解の錯誤取消や請求異議の訴え(民事執行法35条)であり、更正決定の申立てではない。問いを立て違えると、半年を無駄な手続に溶かす
- 更正決定に文句を言えるのは相手方だけだと思われがちだが、条文は不服申立ての主体を限定していない。更正によって不利益を受ける当事者は、決定の告知を受けた日から1週間の不変期間内に即時抗告ができる(民事訴訟法332条)。裏を返せば、自分が更正を勝ち取っても、その1週間が過ぎるまで足場は固まらない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象文書 | 民訴267条の2:和解等に係る電子調書 | 民訴257条:判決(判決書・電子判決書) 民事執行法35条:債務名義一般(内容の争い) |
| 直せる誤りの範囲 | 計算違い・誤記その他これらに類する明白な誤り(表示のみ) | 計算違い・誤記その他これに類する明白な誤り(表示のみ) 債務名義に表示された請求権の存在・内容そのもの |
| 期間制限 | 申立ては「いつでも」可能、期間制限なし | 同じく「いつでも」可能 異議事由が口頭弁論終結後に生じたこと等の要件あり |
| 不服申立て | 更正決定・不適法却下決定に即時抗告(1週間、民訴332条) | 更正決定に即時抗告(判決に対し適法な控訴があるときを除く) 通常の訴訟手続、判決に対し控訴 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も判決の誤記等について更正裁定の制度を持ち、訴訟上の和解に確定判決と同一の効力を認める。更正の対象を表示上の誤りに限る点は日本と同じ枠組み
韓国も判決の更正決定を明文で定め、和解調書に確定判決と同一の効力を認める。日本法を経由してドイツ法の構造を継受した点で規律が近い
ドイツは判決の Berichtigung を § 319で定め、訴訟上の和解を独立の債務名義として扱う。明白な誤りの訂正が確定力を害しないという発想の源流
米国連邦民訴規則は clerical mistakes の訂正を裁判所の職権または当事者の申立てで随時認める。実質的変更は Rule 60(b) の別枠という切り分けが日本の更正と類似
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、和解調書の被告会社の商号が一字違いで記録されていて、その会社が来週にも清算手続に入ろうとしていたら? 誤記のまま強制執行を申し立てても、債務名義と申立ての同一性を欠くとして却下される。更正決定の申立てを今日中に出し、決定の告知後に走る即時抗告期間まで織り込んで執行のスケジュールを引き直さないと、回収の窓が閉じる
- 分割払いの和解で、第一回の支払期日が「九月三十一日」と記録されていた。存在しない日付である。誰が見ても誤りと分かる以上、明白な誤りとして更正の対象になる
- 支払う側に立っている場合を考えてほしい。和解調書の元金が合意より一桁多く記録され、相手はその調書で預金の差押えを申し立ててくる。この局面では自分の側から更正決定を申し立てる道と、更正では処理されない場合に請求異議の訴え(民事執行法35条)で執行を止める道が並行して存在する。どちらを主戦場にするかは、その誤りが「明白」と言えるか否かで決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 調書の記載と正しい表示を並べた対照表を作る2. 担当の裁判所書記官に連絡し、職権更正で処理できるか確認する。これが最短ルート3. 動かなければ更正決定の申立書を提出し、明白性を裏付ける資料(登記事項証明書、戸籍、通帳の写し)を添える4. 決定の告知後1週間の即時抗告期間を見込んで、執行や登記の日程を組み直す。なお3項が即時抗告を認めるのは申立てを不適法として却下した決定であり、理由なしとして退けられた場合の不服申立ての可否は実務上、解釈が分かれている
訴えられた側:1. 更正決定の告知を受けたら日付を記録する。即時抗告は告知から1週間の不変期間(民事訴訟法332条)で、過ぎれば争えない2. 争点は一点、その誤りが「明白」と言えるかどうか。合意内容の変更にあたると構成できれば、更正決定自体が違法であり抗告理由になる3. 実質的な内容変更だと考えるなら、和解の解釈をめぐる本体の争いに引き戻し、請求異議の訴え(民事執行法35条)による執行停止も並行して検討する
時効(請求できる期限):更正決定の申立て自体に期間制限はない。条文が「いつでも」と定めており、和解成立から何年経っていても申し立てられる。ただし更正決定および申立てを不適法として却下した決定に対する即時抗告は、決定の告知を受けた日から1週間の不変期間内(民事訴訟法332条)。この1週間を過ぎれば、誤った更正もそのまま確定する
学説
通説:更正決定の対象は表示上の明白な誤りに限られ、和解の合意内容を実質的に変更する更正は許されないとされる。内容を争う場合は和解の錯誤取消の主張や請求異議の訴え(民事執行法35条)によるべきであり、更正手続とは制度趣旨が異なると理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号) 民事裁判手続のIT化に伴い新設。従来は和解調書の更正について明文がなく、判決の更正に関する規定の類推で処理されていたところ、ファイルに記録された電子調書の更正について独立の明文と即時抗告の道筋を置いた。施行は段階的であり、最新の施行状況をご確認ください
改正の年表
- 1.令和4年(2022年) 新設:民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)により新設。民事裁判手続の IT 化に伴い、ファイルに記録された和解等に係る電子調書の更正について独立の明文を置き、更正決定および申立てを不適法として却下した決定に対する即時抗告の道筋を定めた。従来は判決の更正(257条)の類推で処理されていた。施行は段階的であり、最新の施行状況の確認が必要である。
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