民事訴訟法 第275条の2(和解に代わる決定)
クイックジャンプ
- 金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、裁判所は、被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、被告の資力その他の事情を考慮して相当であると認めるときは、原告の意見を聴いて、第三項の期間の経過時から五年を超えない範囲内において、当該請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをして、当該請求に係る金銭の支払を命ずる決定をすることができる。
- 2.前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
- 3.第一項の決定に対しては、当事者は、その決定の告知を受けた日から二週間の不変期間内に、その決定をした裁判所に異議を申し立てることができる。
- 4.前項の期間内に異議の申立てがあったときは、第一項の決定は、その効力を失う。
- 5.第三項の期間内に異議の申立てがないときは、第一項の決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。
この条文の基本情報
和解に代わる決定とは何ですか?
定義和解に代わる決定とは、民事訴訟法第275条の2に定められた規定で、「金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、裁判所は、被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、被告の…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第275条の2(和解に代わる決定)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第275条の2の条文原文は「金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、裁判所は、被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、被告の…」で始まります。
- 民事訴訟法第275条の2は第八章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第275条の2の前の条は民事訴訟法第275条です。
- 民事訴訟法第275条の2の次の条は民事訴訟法第276条です。
- 民事訴訟法第275条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第275条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第275条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/275_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法275条の2は、金銭請求で被告が事実を争わない場合、裁判所が5年以内の分割払いと遅延損害金免除を定めて支払を命じる決定(和解に代わる決定)を出せると定める。
Q · 借金で簡裁に訴えられたけど一括は無理。分割にしてもらえる制度ってあるの?
ある。事実を争わず資力を示せば5年分割と遅延金免除を狙える
民事訴訟法275条の2の「和解に代わる決定」です。金銭支払請求の訴えで、被告が口頭弁論で原告の主張した事実を争わず防御方法も出さない場合、裁判所は被告の資力等を考慮し、原告の意見を聴いて5年以内の分割払いを定め、併せて期日どおり払えば訴え提起後の遅延損害金を免除する決定を出せます。告知から2週間異議がなければ、この決定は裁判上の和解と同一の効力を持ちます。逆に異議を出すと決定は失効し、通常訴訟に戻ります。
解説
クレジットカード会社の名で、簡易裁判所から訴状が届いた。請求額は60万円。全額一括など、今の家計では到底払えない。多くの被告はここで二つの道しか見えない。弁護士を立てて争うか、開き直って放置するか。だが借金そのものに争う余地がないなら、第三の道がある。口頭弁論であなたが原告の主張する事実を争わず、資力が乏しいことを示せば、裁判所はあなたへの一括弁済命令の代わりに、5年以内の分割払いを命じる決定を出せる。しかも期日どおりに払い続ければ、訴え提起後の遅延損害金を免除する定めまで付けられる。年14パーセント前後で積み上がる遅延金が消えるかどうかは、あなたがこの制度を知って口頭弁論で口を開くかにかかっている。沈黙して欠席すれば、待っているのは一括払いの判決だけだ。
法的な位置づけ
和解に代わる決定とは、金銭支払請求訴訟において被告が事実を争わない場合に、裁判所が被告の資力等を考慮して5年以内の期限・分割払いを定め、併せて遅延損害金の免除を定めて支払を命ずる決定をいう。民事訴訟法275条の2が根拠で、告知後2週間異議がなければ裁判上の和解と同一の効力を生じる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.訴状が届いたら放置せず出廷準備 簡易裁判所から金銭請求の訴状・呼出状が届いたら、封筒を放置しない。欠席すると一括払いの判決が下り、和解に代わる決定は使えなくなる。期日と提出書類を確認する
- 2.借金自体に争いがあるか整理 請求された金額・契約の存否に争う余地があるかを整理する。争う余地がなく支払意思はあるなら、事実を争わず分割払いを求める方針を固める
- 3.口頭弁論で資力を具体的に示す 口頭弁論で原告主張の事実を争わず、収入・支出・扶養家族など資力を具体的に示し、一括は無理だが分割なら払える旨を述べる。これが裁判所の決定権限を起動するスイッチになる(275条の2第1項)
- 4.有利な決定が出たら異議を出さず2週間待つ 5年分割と遅延損害金免除の決定が出たら、異議を申し立てない。告知から2週間黙って待つことで決定が確定し、裁判上の和解と同一の効力を生じる(275条の2第5項)
- 5.確定後は約款どおり一日も滞納しない 決定確定後は分割払いの定めを厳守する。一回の滞納で期限の利益を失い、残金一括請求と免除されたはずの遅延損害金が復活する(275条の2第2項)
よくある質問 AI による整理
Q1和解に代わる決定とは何ですか?
金銭支払請求で被告が事実を争わない場合に、裁判所が5年以内の分割払いと遅延損害金免除を定めて支払を命じる決定です。民事訴訟法275条の2が根拠です。
Q2和解に代わる決定はどんな訴えで使えますか?
金銭の支払を目的とする訴えに限られます。簡易裁判所の少額金銭請求が典型で、サブスク未払いや立替金請求なども入口は同じです。
Q3和解に代わる決定の分割払いは最長何年ですか?
異議申立期間の経過時から5年を超えない範囲です。月々の負担を抑えつつ、無理のない弁済計画を立てられます。
Q4和解に代わる決定に異議を出すとどうなりますか?
告知から2週間以内に異議を出すと決定は効力を失い、通常の訴訟に逆戻りします。分割払いも遅延損害金免除も白紙になります。
Q5遅延損害金が免除される条件は何ですか?
定めた期限・分割払いを滞納なく支払うことが条件です。一度でも期限の利益を失う滞納をすると、免除は失われます。
Q6和解に代わる決定を欠席するとどうなりますか?
口頭弁論に出ず事実を争わないと、この制度は使えず一括払いの通常判決が下りる可能性があります。必ず出廷して資力を示すことが重要です。
Q7和解に代わる決定は確定判決と同じ効力ですか?
2週間異議がなければ裁判上の和解と同一の効力を持ち、債務名義になります。滞納時は新たな裁判なしに給料や預金を差し押さえられます。
Q8原告ですが和解に代わる決定に意見を言えますか?
言えます。裁判所は決定前に原告の意見を聴きます。分割期間が長すぎるなど不服があれば、この段階で具体的に述べられます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1和解に代わる決定って、ただの分割払いのお願いですよね。守らなくても平気なんでしょう?
甘く見ると痛い目に遭う。2週間以内に異議を出さなければ、この決定は裁判上の和解と同一の効力を持つ(民訴275条の2第5項)。つまり確定判決と同じく、あなたの給料や預金を差し押さえられる債務名義になる。実務のポイント:分割払いには必ず期限の利益喪失の定めが付く(同条2項)。一回でも滞納すると、残金全額を一括請求され、しかも免除されたはずの遅延損害金まで復活する設計が普通だ。一回の遅れが命取りになる
Q2納得いかないから異議を出せば、もっと有利な条件を引き出せますよね?
それは最悪手になりかねない。異議を申し立てると和解に代わる決定は効力を失い(民訴275条の2第4項)、通常の訴訟に逆戻りする。分割払いも遅延損害金免除も白紙で、待っているのは一括払いを命じる通常判決の可能性だ。実務のポイント:この決定はそもそも被告に有利な内容で出ることが多い。異議は『この条件すら不満で全面的に争う』という宣言になる。争う材料が本当にあるとき以外、異議は自分の首を絞める
Q3遅延損害金の免除なんて本当にあるんですか。年14パーセントとか取られると思っていました。
ある。275条の2第1項は、分割払いの定めに従って滞納なく支払えば、訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する定めを置けると明記している。遅延金は積み上がると無視できない額になるので、この免除は実質的な減額だ。実務のポイント:免除はあくまで条件付き。期日どおりの完済が前提で、一度でも定めどおりに滞納すれば免除は吹き飛ぶ。免除を勝ち取った後こそ、支払いカレンダーの管理が本番になる
間違えやすい点 AI による整理
- 『異議を出して徹底的に争えば有利な条件を引き出せる』という発想自体が、この場面では逆効果になる。和解に代わる決定への異議は条件交渉ではなく、せっかくの分割払いと遅延損害金免除をゼロに戻す行為だ。問いの立て方そのものが間違っている
- 分割払いが命じられたことは分かっても、その決定が裁判上の和解と同一の効力を持つ債務名義であることの重みを分かっていない人が多い。一度滞納すれば、新たな裁判を経ることなく、あなたの給料や預金を直接差し押さえられる
- 『裁判所が分割払いを認めてくれた、もう安心だ』と思いがちだが、免除された遅延損害金は条件付きにすぎない。約款どおりに一度でも滞納すれば、期限の利益を失い、消えたはずの遅延金も残金一括請求も復活する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の性質 | 275条の2:和解に代わる決定(被告が事実を争わない場合の分割払い決定) | 275条:訴え提起前の和解(即決和解、当事者の合意が前提) 375条:少額訴訟の支払猶予判決(3年以内の分割等) |
| 分割払いの上限 | 異議期間経過時から5年以内 | 合意内容による(上限なし) 判決確定の日から3年を超えない範囲 |
| 成立要件 | 被告が事実を争わず + 資力相当 + 原告の意見聴取 | 当事者双方の和解合意 少額訴訟で原告勝訴 + 資力等を考慮 |
| 覆す手段・効力 | 2週間以内の異議で失効、なければ裁判上の和解と同一効力 | 和解調書は確定判決と同一効力(267条) 異議申立てで通常手続へ移行 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾も裁判所が職権で分期給付・緩期清償を命じうるが、争わない被告に対する独立の決定類型ではなく判決主文での運用である点が異なる
韓国の和解勧告決定も2週間以内の異議で失効し、なければ裁判上の和解と同一効力を持つ点で構造が近い。ただし分割払い・遅延損害金免除を要件化していない点が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 簡易裁判所から60万円のカード債務の訴状が届いた。出廷期日まであと10日。一括は無理だが、月1万円ずつなら払える。この期日で事実を争わず分割払いを希望すると述べれば、裁判所は5年以内の分割払いと遅延損害金免除の決定を出せる。黙って欠席すれば、一括払いの判決が下りる
- もし、和解に代わる決定を受け取ったあと、つい『納得いかない』と異議を申し立てたらどうなる? 決定は効力を失い、通常の訴訟に逆戻りする。せっかく手に入れた分割払いと遅延損害金免除のチャンスを、自分の手で消すことになる
- 家賃を半年滞納し、大家から簡裁に訴えられた。争う気はないが、一度に全部は払えない。資力を正直に示せば、分割で立て直す道がある
- あなたが貸した金を返してもらえず、相手を簡裁に訴えた側だとする。相手が争わない場合、裁判所はあなたの意見を聴いたうえで分割払いの決定をすることがある。『分割では困る、一括でないと』と意見を述べる場面があることを、知っておくべきだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが貸金や売掛金を簡裁に訴え、被告が争わない場合、裁判所は分割払いの決定前にあなたの意見を聴く(275条の2第1項)。長すぎる分割や免除に不服があれば、この段階で具体的に述べる2. 出された決定に納得できなければ、告知から2週間以内に異議を申し立てれば決定は失効し、通常訴訟に戻る(同条4項) 3. ただし無資力の被告に一括判決を取っても回収できないことは多い。分割でも債務名義(同条5項)を得て滞納時に即差押えできる方が、実利は大きい場合がある
訴えられた側:1. 訴状が来たら放置せず必ず出廷する。欠席すると一括払いの判決が下り、この制度は使えない2. 借金自体に争いがないなら事実を争わず、収入と支出を具体的に示して分割払いを希望すると述べる(275条の2第1項) 3. 有利な決定が出たら異議を申し立てない。2週間黙って待つことで分割払いと遅延損害金免除が確定する4. その後は約款どおり一日も滞納しないこと。一回の滞納で期限の利益を失い、残金一括を請求される(同条2項)
時効(請求できる期限):異議申立ては決定の告知を受けた日から2週間の不変期間内(275条の2第3項)。不変期間なので延長できない。2週間異議がなければ決定は裁判上の和解と同一の効力を持ち確定する(同条5項)。分割払いの期間は、異議申立期間の経過時から5年を超えない範囲(同条1項)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.令和4年(2022年) 新設:民事訴訟法等の一部を改正する法律により、簡易裁判所の金銭請求事件の迅速・実効的処理を図るため、被告が争わない場合の分割払い・遅延損害金免除を内容とする和解に代わる決定として275条の2を新設
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める