民事訴訟法 第29条(法人でない社団等の当事者能力)
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法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。
この条文の基本情報
法人でない社団等の当事者能力とは何ですか?
定義法人でない社団等の当事者能力とは、民事訴訟法第29条に定められた規定で、「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第29条(法人でない社団等の当事者能力)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第29条の条文原文は「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第29条は第一節 当事者能力及び訴訟能力に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第29条の前の条は民事訴訟法第28条です。
- 民事訴訟法第29条の次の条は民事訴訟法第30条です。
- 民事訴訟法第29条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第29条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第29条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/29
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法29条は、代表者または管理人の定めがある法人でない社団・財団に当事者能力を認め、団体の名において訴え・応訴することを可能にする規定である。
Q · 町内会やマンションの管理組合って、法人じゃないのに裁判の当事者になれるの?
なれます。代表者の定めがあれば団体の名で訴え・訴えられます
民事訴訟法29条により、法人でない社団・財団でも、代表者または管理人の定めがあれば、団体名義で訴え、訴えられることができます。判例(最判昭和39.10.15)は、組織性・多数決原則・構成員が変わっても続く存続性・財産管理の確立という4要件を求めます。重要なのは、団体が敗訴しても責任財産は団体の総有財産に限られ、原則として構成員個人の財産には及ばない点です。代表者が個人として保証・契約していれば話は別になります。
解説
あなたが入っているマンションの管理組合、子どものPTA、地元の町内会、学生時代のサークル。これらの多くには法人格がない。普通に考えれば、法人格のない団体は権利の主体になれず、裁判もできないはずだ。民事訴訟法28条がそう定めている。ところが29条は、その原則に大きな穴を開ける。代表者または管理人の定めがある団体なら、法人でなくても団体の名前で訴え、訴えられることができる。つまり、町内会が業者を訴えることも、あなたが管理組合を訴えることもできる。重要なのはこの先だ。団体が負けたとき、責任財産は団体の総有財産に限られ、原則として構成員個人の財布までは届かない。逆にあなたが団体に勝訴しても、執行できるのは団体財産だけ。誰を相手取るか、団体名義か代表者個人かで、回収できる財産の範囲が根本から変わる。
法的な位置づけ
民事訴訟法29条は、法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものに当事者能力を認める規定である。法人格を欠く団体であっても組織としての実体を備える場合には、その名において訴え、または訴えられることができ、当事者能力の原則(同法28条)の例外をなす。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手団体が29条の当事者能力を満たすか確認 代表者または管理人の定めがあるか、規約・総会・会計が実際に機能しているか(最判昭和39.10.15の4要件=組織性・多数決・存続性・財産管理)を確認する。形だけの規約しかない団体は当事者能力を否定され、訴え自体が却下されることがある
- 2.団体名義か代表者個人かで責任財産を見極める 団体だけを訴えると執行できるのは総有財産に限られる。契約書や議事録を確認し、代表者個人の連帯保証や個人名義の契約があれば、個人を併せて被告にすることで個人財産まで執行範囲を広げられる
- 3.財産散逸リスクがあれば提訴前に保全 相手団体が解散と財産分配に動くと総有財産は霧散する。預金・不動産の所在を調べ、緊急性があれば提訴前に仮差押え等の保全手続を申し立てる
- 4.勝訴後の執行に備え団体財産の名義を調査 権利能力なき社団は不動産を団体名義で登記できないため、代表者個人名義や構成員共有名義になっていることが多い。判決後の執行を見据え、登記名義と預金口座(団体名+代表者名)の実態を事前に把握する
よくある質問 AI による整理
Q1当事者能力とは何ですか?
訴訟で原告または被告として当事者になれる一般的な資格のことです。原則は権利能力を持つ自然人と法人ですが、民事訴訟法29条は法人でない団体にもこれを認めます。
Q2権利能力なき社団の4要件とは何ですか?
組織を備えること、多数決の原則が行われること、構成員が変わっても団体が存続すること、代表方法・総会運営・財産管理が確定していることの4つです(最判昭和39.10.15)。
Q3民事訴訟法28条と29条はどう違いますか?
28条は当事者能力の原則を権利能力に従わせる規定で、29条はその例外です。法人でない団体でも代表者の定めがあれば団体名義で当事者になれる、という穴を開けます。
Q4PTA やボランティア団体は訴えられますか?
代表者の定めと組織の実体(4要件)を備えていれば、29条により団体名義で訴えられます。法人化していないことは免責の理由になりません。
Q5任意団体を訴えるとき、被告は誰にすればいいですか?
団体が4要件を満たすなら団体そのものを被告にできます。ただし執行できるのは総有財産のみなので、代表者個人の保証・契約があれば個人も併せて検討します。
Q6総有とは何ですか?
権利能力なき社団の財産が構成員全員に帰属しつつ、持分処分や分割請求ができない共同所有形態です。団体財産は個人の持分に分解されず、債権者は総有財産にのみ執行できます。
Q7管理組合を訴える前に何を確認すべきですか?
規約・総会・会計が実際に機能しているか(4要件の実態)、管理者が訴訟当事者になる区分所有法26条の特則の有無、団体財産の所在を確認します。
Q8民事訴訟法29条と37条はどう関係しますか?
37条は、法人でない社団・財団について法人の代表者に関する規定を準用する条文です。29条で当事者能力を認め、37条で代表者の訴訟上の地位を整える関係にあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1町内会って、本当に裁判の当事者になれるんですか?
なれます。民事訴訟法29条により、代表者の定めがあり団体としての実体を備えた町内会は、その名義で訴え、訴えられます。判例(最判昭和39.10.15)は、組織性、多数決原則、構成員が変わっても続く存続性、財産管理の確立、この4要件を求めます。実務のポイント:要件を満たすかは「規約があるか」だけでなく「総会や会計が実際に機能しているか」の実態で判断される。形だけの規約しかない団体は、当事者能力を否定されて訴え自体が却下されることがある
Q2うちの団体、法人じゃないんですが、団体名義で不動産を持てますか?
口座は「団体名+代表者名」の形で作れることが多いですが、不動産は団体名義で登記できません。権利能力なき社団の財産は構成員全員の総有とされ、登記実務上は代表者個人名義か全員の共有名義になります(判例)。実務のポイント:代表者個人名義で登記すると、その代表者が亡くなったり交代したりするたびに相続や名義変更の紛争リスクが生じる。長く続く団体なら、早めに一般社団法人化して団体名義で登記できる体制にした方が、後の世代が揉めない
Q3団体が訴訟で負けたら、メンバー個人も支払わされるんですか?
原則として、責任は団体の総有財産に限られ、構成員個人の財産には及びません(判例の確立した立場)。ただし代表者や構成員が個人として連帯保証していたり、個人名義で契約していた場合は別です。実務のポイント:実務では、団体に資力がないと見るや、原告側は「代表者個人の不法行為責任」や「個人としての契約締結」を別途構成して個人を狙ってくる。代表を引き受けるときは、団体としての契約か個人としての契約か、署名欄の肩書きまで意識する
間違えやすい点 AI による整理
- 「法人じゃない団体は裁判の当事者になれない」と思い込んでいる人が多いが、29条はまさにその逆。代表者と組織の実体があれば、団体名義で堂々と訴え、訴えられる
- 団体が訴訟できることは知っていても、勝訴判決の「その先」を知らない人がほとんど。権利能力なき社団は不動産を団体名義で登記できないとされる(判例)。勝って団体所有と認められても、登記は代表者個人名義や構成員全員の共有名義にせざるを得ず、代表者が交代するたびに名義変更の難題がつきまとう
- あなたから見れば「ただの仲間の集まり」でも、法律から見れば29条の当事者能力を備えた団体になりうる。この落差を知らずに代表者を引き受けると、ある日突然、団体の代表として被告席に座る通知が届く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 当事者能力の根拠 | 29条:法人でない社団・財団で代表者の定めがあるもの(例外) | 28条:原則(権利能力に従う=自然人・法人) 37条:法人でない社団等への代表者規定の準用 |
| 適用前提 | 代表者または管理人の定め+判例4要件の充足 | 民法上の権利能力(自然人・法人)を有すること 29条で当事者能力が認められた団体であること |
| 責任財産の範囲 | 原則として団体の総有財産に限定、構成員個人には及ばない | 法人なら法人財産、自然人なら個人財産 代表者は団体のために訴訟追行(個人責任とは別) |
| 典型例 | 町内会・マンション管理組合・サークル・任意団体 | 株式会社・一般社団法人・個人 代表者交代時の訴訟承継・代表権の証明 |
他国ではどう定めているか 4 か国
『非法人之團體,設有代表人或管理人者,有當事者能力』と定め、代表者・管理人の定めを要件とする点で日本29条と構造がほぼ一致する
法人でない社団・財団で代表者または管理人があるものに当事者能力を認める。日本法を継受した経緯があり、要件構成が酷似する
非権利能力社団(nicht rechtsfähiger Verein)が訴え、訴えられることを認める。本条の歴史的な母法にあたる規律
当事者能力は原則として準拠州法によるが、連邦の権利に関する訴えでは unincorporated association が団体名義で訴え・訴えられることを認める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし町内会の会費を着服した元会計係から取り戻したい場合、誰が原告になる? 会員一人ひとりではなく、代表者の定めがある町内会そのものが29条で原告になれる。会員全員の名前を訴状に並べる必要はない
- あなたがマンション管理組合の理事長を引き受けた。共用部分の工事代金をめぐって施工業者と揉め、業者は「管理組合」を被告として提訴してきた。あなた個人が被告ではないが、団体の代表者として応訴の矢面に立つ。敗訴すれば管理組合の修繕積立金から支払うことになる
- サークルの飲み会でメンバーが店に損害を与えた。店はサークルを訴えられるか。代表者の定めと組織の実体があれば、29条で訴えられる
- あなたの団体が貸金の返済を求めて任意団体を訴えようとしている。だが相手団体が解散と財産分配を始めたら、総有財産は霧散する。残された時間で団体財産の仮差押えを打てるかが、回収できるかゼロかの分かれ目だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手団体が29条の当事者能力を満たすか確認:代表者の定め、規約、構成員が入れ替わっても続く組織性、財産の管理方法(最判昭和39.10.15の4要件) 2. 同時に代表者個人や契約相手個人にも責任を問えないか検討(個人としての契約や保証の有無) 3. 団体財産の散逸が予想されるなら、提訴前に仮差押え等の保全手続を打つ4. 勝訴後の執行を見据え、団体名義財産の所在(預金や不動産の登記名義)を事前に調べておく
訴えられた側:1. まず訴状の被告が「団体」か「代表者個人」かを確認、団体宛なら原則として責任は総有財産に限られる2. そもそも自団体が29条の当事者能力を備えるか争う余地を検討(組織や財産管理の実体が乏しければ当事者能力なしの主張もありうる) 3. 代表者個人として連帯保証していないか契約書を再確認、していなければ個人財産への執行は原則及ばない4. 構成員に賦課する形での支払いになる場合、規約上の根拠と総会決議の有無を確認
時効(請求できる期限):当事者能力の有無自体に時効はない。提起できる期間は本案となる請求権の消滅時効による(例:債権なら民法166条、原則として権利を行使できる時から10年または権利を行使できることを知った時から5年)。団体の財産散逸リスクがある場合は、時効とは別に保全の緊急性で動く(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:29条の当事者能力は、最判昭和39.10.15の4要件を満たす団体に認められ、その財産は構成員の総有に属するとする。法人格の有無という形式より組織の実体を重視し、紛争解決の実効性と取引の安全の均衡を図る立場が支配的である。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法46条から現行29条へ条文番号が変更された。法人でない社団・財団で代表者または管理人の定めがあるものに当事者能力を認める内容は実質的に維持された
改正の年表
- 1.明治23年(1890年) 新設:ドイツ民事訴訟法を範とした旧民事訴訟法において、法人でない社団・財団の当事者能力に関する規律が置かれた(旧法下の沿革)
- 2.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により、旧民訴46条から現行29条へ条文番号が変更。法人でない社団・財団で代表者または管理人の定めがあるものに当事者能力を認める内容は実質的に維持された
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