民事訴訟法 第294条(第一審判決についての仮執行の宣言)
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控訴裁判所は、第一審判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。
この条文の基本情報
第一審判決についての仮執行の宣言とは何ですか?
定義第一審判決についての仮執行の宣言とは、民事訴訟法第294条に定められた規定で、「控訴裁判所は、第一審判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第294条(第一審判決についての仮執行の宣言)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第294条の条文原文は「控訴裁判所は、第一審判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第294条は第一章 控訴に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第294条の前の条は民事訴訟法第293条です。
- 民事訴訟法第294条の次の条は民事訴訟法第295条です。
- 民事訴訟法第294条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第294条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第294条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/294
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法294条は、控訴裁判所が第一審判決のうち不服の申立てがない部分に限り、申立てにより決定で仮執行の宣言を付せると定める規定である。
Q · 相手が控訴したら、勝訴判決のお金は確定するまで一切回収できないの?
いいえ。相手が争っていない部分は控訴審で先に差し押さえられます
民事訴訟法294条により、控訴裁判所は第一審判決のうち不服の申立てがない部分に限り、当事者の申立てに基づき、決定で仮執行の宣言を付すことができます。第一審が仮執行宣言を付け忘れていても、相手が控訴で実際には争っていない部分(元本など)については、控訴審でこの仮執行宣言を申し立て、控訴審判決の確定を待たずに差押えへ動けます。判決全体が控訴で凍結されるわけではありません。
解説
第一審であなたが勝った。被告に500万円の支払いを命じる判決が出た。ところが被告は控訴する。これで判決は確定せず、また一年は一円も入ってこないのかと、勝訴判決の紙きれが急に無力に見えてくる。ここに見落とされがちな抜け道がある。被告が控訴で本当に争っているのが「遅延損害金の利率」だけで、元本500万円そのものには文句をつけていないなら、その500万円は「不服の申立てがない部分」だ。民事訴訟法294条は、この争いのない部分について、控訴裁判所が当事者の申立てにより、決定で仮執行の宣言を付けられると定める。第一審が仮執行宣言を付け忘れていても、控訴審で取り返せる。控訴は敗訴者の時間稼ぎの常套手段だが、この条文を知っていれば、争いのない金額だけは控訴審の決着を待たずに差押えへ動ける。
法的な位置づけ
民事訴訟法294条は控訴審における仮執行宣言を定める規定であり、控訴裁判所が、第一審判決のうち不服の申立てがない部分に限って、当事者の申立てに基づき決定で仮執行の宣言を付し得ることを規定する。第一審での仮執行宣言を定める民訴259条を補完する手続規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.控訴状・控訴理由書で争われていない部分を特定 相手の控訴状と控訴理由書を読み、どの部分を争っているかを線で囲む。元本は認めて利率や付帯部分だけ争うなど、不服の申立てがない部分を金額・項目で洗い出す
- 2.第一審判決に仮執行宣言が付いているか確認 判決主文を確認し、争いのない部分に仮執行宣言(民訴259条)が付いていれば既に執行可能。付いていなければ控訴審で294条の出番となるので二段構えを準備する
- 3.控訴裁判所に仮執行宣言の申立書を提出 不服の申立てがない部分を金額・項目で明示した仮執行宣言の申立書を控訴裁判所に提出する。民訴294条に基づき決定で宣言が付される
- 4.執行文の付与を受けて差押えへ 仮執行宣言の決定が出たら執行文の付与を受け(民事執行法25条)、相手の預金・不動産・売掛金を差し押さえる。控訴審判決の確定を待たない
よくある質問 AI による整理
Q1仮執行宣言とは何ですか?
判決の確定を待たず強制執行を可能にする裁判所の宣言です。これがあれば控訴中でも差押えができ、勝訴者は早期に権利を実現できます。
Q2控訴審で仮執行宣言を申し立てる方法は?
控訴裁判所に対し、不服の申立てがない部分を金額・項目で特定した申立書を提出します。民訴294条に基づき決定で宣言が付されます。
Q3第一審で仮執行宣言が付かなかったらどうする?
相手が争っていない部分があれば、民訴294条により控訴審で仮執行宣言を申し立てられます。第一審の漏れを控訴審で取り返せます。
Q4不服の申立てがない部分とは何ですか?
控訴状や控訴理由書で相手が争点としていない判決部分です。元本は認め利率だけ争う場合、元本がこれに当たります。
Q5仮執行宣言があると控訴中でも強制執行できますか?
できます。仮執行宣言付判決は債務名義となり(民執22条)、執行文の付与を受けて差押えに進めます。控訴審判決を待ちません。
Q6仮執行宣言は決定と判決のどちらで出ますか?
民訴294条の控訴審の仮執行宣言は決定で出ます。第一審で本案判決とともに付す場合(259条)は判決主文に記載されます。
Q7仮執行で回収した後に控訴審で負けたらどうなりますか?
仮執行宣言は失効し、受領金の返還と相手の損害賠償義務が生じます(民訴260条2項)。逆転リスクが残る間は保全が賢明です。
Q8仮執行宣言の申立てに期限はありますか?
特定の期限はありませんが、控訴審に事件が係属している間に限られます。控訴審の終局判決が出れば294条の出番は終わります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1第一審で勝ったのに相手が控訴したら、お金は一切回収できないんですか?
いいえ。第一審判決に仮執行宣言が付いていれば、控訴中でも執行できます(民事訴訟法259条)。付いていなくても、相手が争っていない部分は294条で控訴審に仮執行宣言を申し立てられます。実務のポイント:勝訴したら判決後すぐ仮執行宣言の有無を確認するのが鉄則。付いていなければ第一審のうちに追加で申し立てられる。これを見落として控訴され、回収が一年遅れるケースが実に多い
Q2相手が嫌がらせで控訴してきた、何か対抗手段はありますか?
争いのない部分があれば、294条で控訴審に仮執行宣言を申し立て、その部分だけ先に差し押さえられます。相手の時間稼ぎを部分的に無力化できる。実務のポイント:控訴理由書を読めば、相手が本気で争う点と『とりあえず控訴』の部分が見分けられる。後者については仮執行宣言を取りに行く。相手は控訴すれば全部止まると思っているので、この一手は戦略を崩す心理的効果も大きい
Q3仮執行で回収したお金、もし控訴審で負けたら返さないといけませんか?
はい。控訴審で第一審判決が取り消されると仮執行宣言は失効し、受け取った金銭の返還と、相手が被った損害の賠償義務が生じます(民事訴訟法260条2項)。実務のポイント:だから仮執行で回収した金は、逆転リスクが残る間は使い込まずに置くのが賢明。原状回復は相手の申立てにより本案判決の中で命じられるので、別訴を起こす手間なく一気に来る
間違えやすい点 AI による整理
- 「控訴されたら判決は全部宙に浮いて、確定するまで何もできない」と思い込んでいる人が多いが、相手が争っていない部分は294条で個別に仮執行宣言を取れる。判決全体が凍結されるわけではない
- 仮執行宣言があれば執行できる、ここまでは知っていても、第一審で付け忘れた場合の救済が控訴審にあること(294条)を知らない。だから第一審で漏れた瞬間に「もう確定待ちだ」と諦めてしまう。漏れても取り返せる手があるのに、その事実の重みを取り違えている
- 多くの人は「相手が控訴したかどうか」を気にするが、本当に見るべきは『相手が何を争っていないか』だ。控訴したという事実より、控訴の趣旨で触れられていない部分こそが、あなたの即時回収の対象になる。問いの立て方そのものがずれている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 仮執行宣言を付す主体・時期 | 民訴294条:控訴裁判所が控訴審で、決定により付す | 民訴259条:第一審裁判所が本案判決とともに付す 民訴296条:控訴審の審判は不服申立ての限度に限られる原則 |
| 対象 | 第一審判決のうち不服の申立てがない部分に限る | 財産権上の請求に関する判決(職権または申立て) 不服申立てのある部分(控訴審の審理対象) |
| 判決が覆ったときの処理 | 宣言失効後の原状回復・損害賠償は民訴260条2項 | 同じく民訴260条2項により原状回復・損害賠償 不服申立ての限度で取消し・変更 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も仮執行(假執行)の宣告制度を持ち、上訴審でも仮執行宣告が問題となる点で日本と類似する
韓国は가집행선고(仮執行宣告)を判決に付す制度を持ち、争いのない部分の早期執行という発想は日本と共通する
ドイツは判決の vorläufige Vollstreckbarkeit(仮の執行可能性)を広く認め、担保提供との組合せで上訴中の執行を調整する
米国は金銭判決が上訴中も原則執行可能で、執行停止には supersedeas bond(保証金)の差入れを要する点で発想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸金返還請求で全面勝訴。被告は控訴したが、争点は「弁済期をいつと見るか」だけで、貸金300万円の存在自体は認めている。第一審判決に仮執行宣言が付いていなくても、争いのない300万円について控訴審で294条の仮執行宣言を申し立てれば、控訴審の判決を待たず被告の預金を差し押さえられる
- あなたが被告として控訴した側だとする。本音では全部争いたいが、一部は誰が見ても負け筋。その負け筋部分について相手が294条で仮執行宣言を取れば、控訴中でもあなたの財産は差し押さえられる。控訴は万能の時間稼ぎではない、という現実を突きつけられる
- 離婚訴訟で財産分与800万円と慰謝料200万円が認められた。相手は慰謝料額だけを不服として控訴。財産分与の800万円には争いがない。控訴審で仮執行宣言を申し立てれば、確定を待たず受け取れる。
- 相手が控訴したと知ってから、あなたに残された有効打は多くない。相手が財産を移してしまう前に、争いのない部分の仮執行宣言を申し立てて差押えに動けるか。動き出しが二週間遅れるだけで、回収できたはずの金が口座から消える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 控訴状と控訴理由書が届いたら、相手がどの部分を争っているかを特定し、争われていない部分を洗い出す2. 第一審判決に仮執行宣言が付いているか確認、付いていればその部分は既に執行可能、付いていなければ294条の出番3. 控訴裁判所に仮執行宣言の申立書を提出、争いのない部分を金額・項目で明示する4. 決定が出たら執行文の付与を受け(民事執行法25条)、相手の預金・不動産・売掛金を差押え。控訴審の判決を待たない
訴えられた側:1. 控訴で全部を争うのか一部かを戦略的に決める。一部しか争わないと、残りは294条で先に執行されうる2. ただし実質のない全部控訴は控訴審で見抜かれ、濫用と評価されると不利。争う部分は誠実に絞る3. 仮執行で取られても、控訴審で逆転すれば原状回復と損害賠償を請求できる(民法上の不当利得・民事訴訟法260条2項) 4. どうしても執行を止めたいなら、担保を立てて強制執行停止の申立てを検討(民事訴訟法403条)
時効(請求できる期限):294条の仮執行宣言の申立てに特定の期限はないが、控訴審に事件が係属している間に限る。控訴審の終局判決が出れば、その判決自体に仮執行宣言を付すことになり(民事訴訟法259条)、294条の出番は終わる。早く動くほど、相手が財産を逃がす前に差押えへ入れる
学説
通説:民訴294条の仮執行宣言は、控訴により判決全体の確定が遮断されても、不服の申立てがない部分には執行を停止すべき実質的理由がないとの考えに基づく。第一審での付与(259条)の補完として、控訴審が決定で迅速に付し得る点に意義がある
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正(平成10年施行) 民事訴訟法が現代語化を伴い全部改正され、控訴審における仮執行宣言の規定が条文番号の再編を経て現行294条に整理された。控訴審が不服申立てのない部分につき決定で仮執行宣言を付し得る制度自体は維持された
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正(現代語化)により条文番号が再編され、控訴審が不服申立てのない部分につき決定で仮執行宣言を付し得る制度が現行294条に整理された。制度自体は維持された
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