民事訴訟法 第323条(仮執行の宣言)
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上告裁判所は、原判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。
この条文の基本情報
仮執行の宣言とは何ですか?
定義仮執行の宣言とは、民事訴訟法第323条に定められた規定で、「上告裁判所は、原判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第323条(仮執行の宣言)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第323条の条文原文は「上告裁判所は、原判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第323条は第二章 上告に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第323条の前の条は民事訴訟法第322条です。
- 民事訴訟法第323条の次の条は民事訴訟法第324条です。
- 民事訴訟法第323条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第323条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第323条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/323
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法323条は、上告裁判所が原判決のうち不服の申立てがない部分に限り、申立てにより決定で仮執行宣言を付せると定める。争いのない部分は確定を待たず強制執行できる。
Q · 相手が一部だけ上告したら、判決全部の取り立てが止まってしまうの?
申立てをすれば、争いのない部分は上告中でも執行できる
止まりません。民事訴訟法323条により、上告裁判所に申立てをすれば、相手が不服を申し立てていない部分に限り、決定で仮執行の宣言を付してもらえます。仮執行宣言が付けば、その部分は確定を待たずに民事執行法22条の債務名義となり、預金や不動産を差し押さえられます。重要なのは、裁判所が職権で付けてくれるのではなく、こちらから申し立てて初めて動く点です。黙っていれば、上告審が終わる何年もの間、争いのない部分まで塩漬けになります。
解説
あなたが長い裁判の末に勝訴判決を勝ち取った。ところが相手は最高裁(または高裁)に上告した。よく読むと、争っているのは判決のごく一部だけで、残りの大部分には文句をつけていない。それでも上告中は判決全体が確定せず、原則として一円も取り立てられない。相手が一部だけ上告して判決全体の執行を凍結する、この時間稼ぎの戦法に泣かされる勝訴者は少なくない。民事訴訟法323条は、その凍結を破る鍵だ。上告裁判所に申立てをすれば、相手が不服を申し立てていない部分に限り、決定で仮執行の宣言(確定前でも強制執行できる効力)を付けてもらえる。争いのない部分まで人質に取られる必要はない。あなたが知っておくべきは、これは裁判所が勝手に付けてくれるのではなく、こちらから申し立てて初めて動くという点だ。黙っていれば、上告審が終わるまで何年も塩漬けになる。
法的な位置づけ
民事訴訟法323条は、上告審における仮執行の宣言を定める規定である。上告裁判所は、原判決のうち不服の申立てがない部分に限り、申立てにより決定で仮執行の宣言を付すことができる。これにより、上告係属中で判決全体が未確定であっても、争いのない部分については確定を待たずに強制執行が可能となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手の上告理由書で争点を切り分ける 相手の上告提起通知と上告理由書を入手し、原判決のうち実際に不服が申し立てられている部分と、争われていない部分を線引きする。争いのない部分が323条の申立て対象になる
- 2.上告裁判所に仮執行宣言を申し立てる 不服のない部分について、上告裁判所(最高裁または高裁)に「仮執行宣言の申立て」を行う。職権では付されないため、申立書で対象部分を特定して提出する
- 3.決定取得後に執行文を得る 仮執行宣言の決定が出たら、判決正本に執行文の付与を受ける。これで民事執行法22条の債務名義が完成し、強制執行の前提が整う
- 4.差押え・強制執行を申し立てる 相手の預金・不動産・売掛金を対象に強制執行を申し立てる(民事執行法25条)。資産散逸が疑われる場合は、並行して民事保全法に基づく仮差押えも検討する
よくある質問 AI による整理
Q1仮執行宣言とは何ですか?
判決確定前でも強制執行できる効力を判決に付与する裁判です。仮執行宣言付判決は民事執行法22条の債務名義となり、預金や不動産を差し押さえられます。
Q2上告中でも強制執行できますか?
原則できませんが、民事訴訟法323条で上告裁判所に申し立て、不服のない部分に仮執行宣言を付してもらえば、その部分は確定を待たず執行できます。
Q3仮執行宣言は誰が申し立てますか?
勝訴当事者が上告裁判所に申し立てます。323条は「申立てにより」と定め、裁判所は職権では付けません。動かなければ何も起きません。
Q4一部上告とはどういう意味ですか?
判決の全部ではなく一部の判断だけに不服を申し立てる上告です。残りの部分は争われていないため、323条の仮執行宣言の対象になります。
Q5仮執行宣言付判決で何を差し押さえられますか?
預金、給与、売掛金、不動産などです。仮執行宣言付判決に執行文を得て、民事執行法25条に基づき強制執行を申し立てます。
Q6上告審で逆転したら執行した分はどうなりますか?
仮執行宣言は失効し、民事訴訟法260条により相手は原状回復と損害賠償を請求できます。仮執行はあくまで暫定的な効力です。
Q7仮執行宣言の申立てに期限はありますか?
法定期限はありませんが、事件が上告審に係属している間に行う必要があります。相手の資産散逸前に早く動くほど回収の実益が大きいです。
Q8控訴審にも同じ仕組みはありますか?
あります。民事訴訟法294条が控訴審における不服のない部分の仮執行宣言を定めており、323条はその上告審版にあたります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1上告中なのに、本当に相手の財産を差し押さえられるんですか?
争われていない部分に限り、可能です。民事訴訟法323条で上告裁判所に申立てをして仮執行宣言を付けてもらえば、その部分は確定を待たずに民事執行法22条の債務名義となり、差押えに進めます。実務のポイント:この申立ては『申立てにより』が要件で、裁判所は職権では付けません。多くの勝訴者がこれを知らず、上告審が終わるまで何年も塩漬けにしてしまう。一部上告だと気付いたら、すぐ仮執行宣言の申立てを検討すべきです。
Q2相手が判決のごく一部だけ上告してきました。何か狙いがあるんですか?
執行の遅延が狙いのことが多いです。上告すれば判決全体の確定が止まるので、わずかな部分だけ争って全体を凍結し、その間に資産を移そうとするケースがあります。民事訴訟法323条はこの戦法への対抗手段で、争いのない部分を切り出して仮執行宣言を申し立てられます。実務のポイント:相手が一部上告で時間を稼ごうとしているなら、こちらが323条を申し立てた瞬間に狙いが崩れ、和解交渉に応じてくることが多い。
間違えやすい点 AI による整理
- 「上告されたら判決全体が確定しないから、何も取り立てられない」と思い込んでいる人が多い。実は争われていない部分は、323条の申立てで仮執行宣言を付ければ、確定を待たずに強制執行できる。全部が凍結されるわけではない。
- 仮執行宣言の効力を『一応の仮の措置』と軽く見ている人がいる。実際には仮執行宣言付判決は民事執行法22条の債務名義となり、相手の預金や不動産を本当に差し押さえられる。『仮』の二文字に油断していると、使えるはずの強力な武器を見送ることになる。
- 「裁判所が職権で仮執行宣言を付けてくれるはず」という前提自体が誤っている。323条は『申立てにより』と明記する。こちらが動かなければ、上告審の裁判所は何もしない。問いは『付けてくれるか』ではなく『いつ申し立てるか』だ。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象部分 | 民訴323条:上告審で不服の申立てがない部分のみ | 民訴259条:第一審判決全体(裁判所の裁量・申立て) 民訴294条:控訴審で不服の申立てがない部分 |
| 宣言する裁判所 | 上告裁判所(最高裁・高裁) | 判決を言い渡す第一審裁判所 控訴裁判所(高裁・地裁) |
| 発動の契機 | 当事者の申立て必須(職権なし) | 申立てまたは職権 当事者の申立て必須 |
| 逆転時の処理 | 民訴260条で失効・原状回復・損害賠償 | 民訴260条で失効・原状回復 民訴260条で失効・原状回復 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も申立てまたは職権による仮執行の宣告を認める。第三審は法律審であるため、確定前の執行確保は仮執行宣告と担保提供を組み合わせて運用される点が日本と類似する。
韓国は가집행의 선고(仮執行宣告)を判決に付す制度を持ち、上訴中の不服のない部分の早期実現という発想を共有する。
ドイツは判決の仮執行可能性(vorläufige Vollstreckbarkeit)を原則化し、上訴審が仮執行可能性について先決(§ 718)できる。日本法の母法系として位置づけられる。
米国は判決確定前の執行を原則認めつつ、supersedeas bond(執行停止保証金)の提供で執行を停止できる構造。争いのない部分の切り出しという発想は薄く、保証金中心で調整する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし相手が、判決の9割は争わず残り1割だけを理由に上告してきたら? 上告審の結論が出るまで2年、その間あなたは確定したはずの9割分すら取り立てられない。323条で申立てをすれば、争いのない9割に仮執行宣言が付き、今すぐ強制執行に動ける。動かなければ、待つしかない。
- あなたが上告した側のとき。一部だけ争って判決全体の執行を止める作戦は、相手が323条の申立てをした瞬間に崩れる。争っていない部分は、決定一本で取り立てられてしまう。
- 取引先との売掛金訴訟で1000万円の勝訴判決。相手は『うち100万円分の遅延損害金の計算がおかしい』とだけ上告した。本体の900万円は誰も争っていない。あなたは323条で900万円分の仮執行宣言を申し立て、相手の資産が散逸する前に差押えへ進む。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の上告提起通知と上告理由書を入手し、判決のどの部分が争われていないかを特定する。2. その不服のない部分について、上告裁判所(最高裁または高裁)に『仮執行宣言の申立て』を行う。3. 仮執行宣言が付された判決正本に執行文を得て、相手の預金・不動産・売掛金の差押えへ進む(民事執行法22条、25条)。4. 相手の資産散逸が疑われるなら、申立てと並行して仮差押え(民事保全法)も検討する。
訴えられた側:1. 既に相手が323条で申立てをしてきたら、その部分が本当に『不服の申立てがない部分』に当たるかを争う余地を探す。2. 仮執行されても、上告審で逆転すれば民事訴訟法260条で原状回復・損害賠償を請求できる。3. 執行を止めたいなら強制執行停止の申立て(民事訴訟法403条等)を検討するが、担保の提供が必要なことが多い。4. 形式的に争点を広げて執行を止める手は濫用と見られやすく、得策ではない。
時効(請求できる期限):323条の申立てに法定の期限はないが、事件が上告審に係属している間に行う必要がある(上告審が判決を出して全体が確定すれば仮執行宣言は不要となり、本執行が可能になる)。早く動くほど、相手の資産散逸前に差押えへ進める実益が大きい。
学説
通説:323条の仮執行宣言は、上告により判決全体の確定が止まることを前提に、不服の申立てがない部分には確定遅延を及ぼす理由がないとして、申立てを条件にその部分の執行を可能にする制度と理解される。上告人の手続保障は争いのある部分に限定し、争いのない部分では勝訴者の早期権利実現を優先する均衡規定と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により現行323条が整備された。旧民訴法下の仮執行宣言制度を引き継ぎ、上告審において不服の申立てがない部分に限り、申立てにより決定で仮執行宣言を付せる旨を明定した。
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