民事訴訟法 第355条(口頭弁論を経ない訴えの却下)
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- 請求の全部又は一部が手形訴訟による審理及び裁判をすることができないものであるときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えの全部又は一部を却下することができる。
- 2.前項の場合において、原告が電子判決書の送達を受けた日から二週間以内に同項の請求について通常の手続により訴えを提起したときは、第百四十七条の規定の適用については、その訴えの提起は、前の訴えの提起の時にしたものとみなす。
この条文の基本情報
口頭弁論を経ない訴えの却下とは何ですか?
定義口頭弁論を経ない訴えの却下とは、民事訴訟法第355条に定められた規定で、「請求の全部又は一部が手形訴訟による審理及び裁判をすることができないものであるときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えの全部又は一部を却下することができ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第355条(口頭弁論を経ない訴えの却下)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第355条の条文原文は「請求の全部又は一部が手形訴訟による審理及び裁判をすることができないものであるときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えの全部又は一部を却下することができ…」で始まります。
- 民事訴訟法第355条は第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第355条の前の条は民事訴訟法第354条です。
- 民事訴訟法第355条の次の条は民事訴訟法第356条です。
- 民事訴訟法第355条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第355条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第355条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/355
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法355条は、手形訴訟に適さない請求を裁判所が口頭弁論なしで却下でき、送達後2週間以内に通常手続で再訴すれば最初の提訴時に遡及すると定める。
Q · 手形訴訟で却下されたら、もう手形のお金は取れなくなるの?
却下されても2週間以内の再訴で最初の提訴日に遡ります
民事訴訟法355条1項により、請求が手形訴訟という迅速手続に適さない場合、裁判所は口頭弁論を経ずに却下できます。しかしこれは手続上の判断にすぎず、債権の有無(本案)は判断していません。2項により、判決書の送達を受けた日から2週間以内に通常の手続で訴え直せば、147条の適用上、最初の手形訴訟提起時に提起したものとみなされ、時効の完成猶予の効果も期間遵守も最初の提訴日まで遡ります。
解説
取引先が約束手形を振り出したまま支払わない。あなたは素早く債務名義を取れる「手形訴訟」を選んで提訴した。ところが裁判所から届いたのは勝訴判決ではなく、口頭弁論すら開かれないままの「却下」の一片だった。理由は、その請求が手形訴訟という特急レーンに乗せられない種類のものだったから。ここで多くの債権者が「負けた、しかも時効も近い、もう取れない」と天を仰ぐ。だが355条2項を読んだ人間だけが落ち着いている。判決書が届いた日から2週間以内に、今度は通常の手続で訴えを出し直せば、最初に手形訴訟を起こした時点で訴えたものとみなされる(147条)。つまり時効の完成猶予の効果も、法律上の期間遵守も、最初の提訴日まで巻き戻る。却下は終点ではなく、2週間の再起動ボタン付きの仮停止だ。この一行を知らない債権者だけが、本当に権利を失う。
法的な位置づけ
民事訴訟法355条は手形訴訟の却下を定める規定であり、請求の全部または一部が手形訴訟による審理及び裁判に適さない場合に、裁判所が口頭弁論を経ずに判決で訴えを却下できること、及び判決書送達後2週間以内の通常手続による再訴に最初の提訴時への遡及効を認めることを規律する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.提訴前に原因関係の争いを見極める 手形訴訟を起こす前に、相手が原因関係(売買代金等の実体的事情)を争いそうかを評価する。複雑になりそうなら最初から通常訴訟を選ぶか、353条の申述による先回り移行を準備し、却下から再訴の2週間レースを回避する
- 2.却下判決書の『送達を受けた日』を正確に記録 却下判決書が届いたら、起算点となる『送達を受けた日』を受領記録で正確に押さえる。封筒の消印日ではなく受領日が起算点であり、1日の勘違いが147条の遡及効喪失に直結する
- 3.却下理由を読み通常訴訟の立証設計を行う 却下判決書の理由を読み、なぜ手形訴訟に不適とされたか(多くは『書証だけでは原因関係を判断できない』型)を把握する。その理由が、通常訴訟で証人尋問その他どの証拠を準備すべきかの設計図になる
- 4.送達日から2週間以内に通常手続で再訴 送達を受けた日から14日以内に、同じ請求を通常の手続で提訴する。これにより147条の適用上、最初の手形訴訟提起時に提起したものとみなされ、時効の完成猶予と期間遵守が遡及する。元の手形債権の消滅時効が近い場合は最優先で動く
よくある質問 AI による整理
Q1手形訴訟とは何ですか?
手形・小切手金の支払請求を、書証中心の審理で迅速に債務名義化する特別な訴訟手続です。証人尋問が原則使えない代わりにスピードが速いのが特徴です。
Q2手形訴訟が却下される理由は?
請求が手形訴訟に適さない場合です。原因関係に深刻な争いがあり書証だけでは判断できない事案などが典型で、355条1項により口頭弁論を経ずに却下されます。
Q3手形訴訟の却下後、再訴はいつまでにすべきですか?
判決書の送達を受けた日から2週間(14日)以内です。これを過ぎると147条の遡及効を失い、再訴の日が時効の基準になります。
Q4手形訴訟と通常訴訟の違いは?
手形訴訟は証拠が書証に限られ証人尋問が原則不可ですが迅速です。通常訴訟は証人尋問など全証拠が使え慎重ですが時間がかかります。
Q5手形訴訟で証人尋問はできますか?
原則できません。手形訴訟は書証中心の手続で、証人尋問は使えないのが原則です(民訴352条)。これが却下や敗訴の構造的原因になります。
Q6353条の通常手続への移行とは何ですか?
原告が却下を待たずに自ら申述して通常手続へ移すことです。原因関係に争いが見込まれる段階で先回り移行すれば、却下から再訴の2週間レースを避けられます。
Q7却下と棄却はどう違いますか?
却下は手続上の門前払いで本案を判断していません。棄却は本案を審理したうえで請求を認めない判断です。355条の却下は前者で、債権は否定されていません。
Q8手形が廃止されたら手形訴訟はどうなりますか?
紙の約束手形は段階的に電子記録債権へ移行しますが、支払をめぐる紛争は残ります。迅速に債務名義を取る発想は関連手続に引き継がれます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1手形訴訟で却下されたら、また同じ手数料を払って訴え直すんですか?
通常手続での再訴には改めて訴え提起の手続が必要ですが、355条2項により2週間以内なら最初の手形訴訟提起時に提起したものとみなされ、時効の完成猶予などの効果が維持されます。実務のポイント:実務では却下を待つより、原因関係に争いが見込まれた段階で原告自ら353条の申述により通常手続へ移行させる方が、却下から再訴の2週間レースを回避できて安全です。弁護士はこの『先回り移行』を使う
Q2却下って、私の手形が無効だと裁判所が認めたってことですよね?
違います。355条の却下は『この請求は手形訴訟という特別な迅速手続には乗せられない』という手続上の判断で、手形債権そのものの有効・無効(本案)は一切判断していません。実務のポイント:却下判決書には理由が書かれており、なぜ手形訴訟に不適とされたかが分かります。多くは『書証だけでは原因関係の争いを判断できない』型。その理由こそ、通常訴訟で何を立証すべきかの設計図になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「却下されたら、次に訴えるのは新しい訴訟だから時効も振り出しに戻る」と思われがちだが逆である。355条2項は2週間以内の再訴に限って、最初の提訴時点に遡らせる救済。期限を1日でも過ぎれば、その遡及は消え、本当にゼロから時効を数え直すことになる
- 「手形訴訟が却下された=自分の手形債権が否定された」と問いを立てる人が多いが、その問いの立て方自体がずれている。355条の却下は『この特急レーンには乗せられない』という手続上の判断にすぎず、債権が有るか無いか(本案)は一切判断していない。通常手続で堂々と勝てる可能性はそのまま残っている
- 手形訴訟が「速い」ことは多くの経営者が知っている。だがその速さの代償として証拠が書証(手形・契約書などの書面)に限られ、証人尋問が原則使えないことの深刻さを知らない。相手が口頭の約束や複雑な事情を持ち出す事案では、その証拠制限が却下や敗訴に直結する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の局面 | 355条:手形訴訟に不適格な請求の却下+再訴の遡及効 | 353条:原告申述による通常手続への移行(却下前の回避手段) 357条:手形判決に対する異議(本案判決後の不服救済) |
| 本案判断の有無 | 本案を判断せず門前却下(手続上の判断) | 本案へ移行し通常手続で審理 異議後の通常手続で本案を再審理 |
| 起算・期限 | 判決書送達日から2週間以内の再訴で遡及(147条) | 口頭弁論終結前まで申述可能 判決書送達日から2週間以内に異議申立て |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は票據に基づく請求を簡易訴訟手続で扱い迅速化する。日本のような書証限定の独立した手形訴訟類型ではなく簡易手続の一類型として位置づける点が異なる
韓国は日本法を継受した어음·수표소송を持ち、書証中心の迅速審理という構造が類似する。不適格な場合の処理も日本と近い
日本の手形訴訟の母法。証書・手形・小切手訴訟として書証主義による迅速手続を定め、不適格な場合は通常手続へ誘導する構造が源流
米国には統一的な手形訴訟類型はなく、州ごとに証券に基づく金銭請求の略式手続(訴状に代わる略式判決の申立て等)で迅速処理する。連邦・州で扱いが分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 判決書を受け取った封筒の消印は今日。手形訴訟は却下、しかも元の手形債権の時効まであと数日。通常訴訟へ出し直すなら14日以内、しかし1日でも過ぎれば147条の巻き戻しは使えず、最初の提訴日ではなく出し直した日が時効の基準になる。その数日が、回収できるか丸ごとゼロかを分ける
- もし手形訴訟を起こしたあと、相手が「この手形は原因関係に争いがあり、書面だけでは判断できない」と主張してきたら? 裁判所が手形訴訟に不向きと判断すれば355条で却下されうる。書証主義の特急レーンは、争点が複雑になった瞬間に乗車拒否される
- あなたが手形を振り出した側で、相手の手形訴訟を崩したいとする。原因関係の複雑さを突いて却下に持ち込むのは一手だ。ただし相手が2週間以内に通常訴訟へ乗り換えれば、時効の盾はもう通用しない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 却下判決書が届いたら、まず『送達を受けた日』を正確に記録する(受領日が起算点、消印日ではない) 2. その日から2週間(14日)以内に同じ請求を通常の手続で提訴、これで147条により最初の手形訴訟提起時に遡及する3. 元の手形債権の消滅時効が近いなら最優先で動く4. 却下理由を読み、なぜ手形訴訟に不適とされたか(原因関係の争い等)を踏まえ、通常訴訟では証人その他の証拠も準備する
訴えられた側:1. 相手の手形訴訟に対し、原因関係の争いや書証だけで判断できない事情を主張し、手形訴訟不適格として却下を狙うのは一つの戦術2. ただし却下されても相手が2週間以内に通常訴訟へ移行すれば時効は遡及するため、時効完成を当てにしない3. 通常手続に移れば証人尋問等も使えるため、却下が必ずしも有利とは限らない。原因関係の実体的反論を本筋に据える
時効(請求できる期限):通常手続への再訴は、却下判決書の送達を受けた日から2週間(14日)以内。これを過ぎると147条の遡及効を失い、再訴の時点が時効の基準となる。なお元の手形債権自体の消滅時効(手形法70条、満期の日から3年等、最新の改正状況をご確認ください)は別管理が必要
学説
通説:355条1項の却下は手形訴訟という特別手続への不適格を理由とする手続的判断であり、本案(債権の存否)を判断しない。2項の遡及効は、迅速性を求めて手形訴訟を選択した原告が手続選択の誤りにより時効・期間遵守の不利益を被らないようにする救済規定と理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正。旧民訴法下の手形訴訟制度を整理し、現行350条以下に手形訴訟、355条に不適格請求の却下と再訴の遡及効を規定
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続の IT 化を中心とする改正。電磁的記録・オンライン手続の整備に伴う関連規定の見直しが行われた
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