民事訴訟法 第386条(支払督促の発付等)
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- 支払督促は、債務者を審尋しないで発する。
- 2.債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる。
この条文の基本情報
支払督促の発付等とは何ですか?
定義支払督促の発付等とは、民事訴訟法第386条に定められた規定で、「支払督促は、債務者を審尋しないで発する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第386条(支払督促の発付等)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第386条の条文原文は「支払督促は、債務者を審尋しないで発する。」で始まります。
- 民事訴訟法第386条は第一章 総則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第386条の前の条は民事訴訟法第385条です。
- 民事訴訟法第386条の次の条は民事訴訟法第387条です。
- 民事訴訟法第386条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第386条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第386条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/386
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法386条により、支払督促は債務者を審尋せず裁判所書記官が発する。債務者は発した簡易裁判所に督促異議を申し立てれば、支払督促は効力を失い通常訴訟へ移行する。
Q · 支払督促が届いたら、もう差し押さえられるしかないの?
いいえ。督促異議を期限内に出せば止まる
民事訴訟法386条2項により、債務者は支払督促を発した簡易裁判所に督促異議を申し立てられます。異議を出すと支払督促は効力を失い、通常訴訟へ移行します(民訴395条)。異議に理由は不要で「請求に異議がある」と記すだけで足ります。ただし仮執行宣言後は送達から二週間の不変期間(民訴393条)を過ぎると確定し、確定判決と同一の効力(民訴396条)が生じて差押えに直結します。
解説
郵便受けに裁判所名義の『支払督促』が届く。多くの人はここで血の気が引き、『裁判で負けた』『もう差し押さえられる』と思い込む。だがそれは誤解だ。支払督促は、債権者の言い分だけを聞いて裁判所書記官が出すもので、あなたの言い分は一切聞かれていない(1項)。つまり中身の真偽はまだ何も判断されていない。そしてあなたには強力な反撃手段が残されている。督促異議の申立て(2項)だ。これを出した瞬間、支払督促は効力を失い、通常の裁判へ移行する。今度は債権者が証拠で立証する番になる。しかも異議に理由は要らない。『異議あり』と記して支払督促を発した簡易裁判所に出すだけでいい。問題は、放置したときだ。期間内に動かなければ仮執行宣言が付き、あなたの給料も預金も差し押さえられる。封筒を開けて動くか、放り出すかで、結末は正反対になる。
法的な位置づけ
民事訴訟法386条は支払督促の発付方式と督促異議を定める規定であり、支払督促が債務者を審尋せず裁判所書記官により一方的に発せられること(1項)、および債務者がこれを発した簡易裁判所に督促異議を申し立てられること(2項)を規定する。督促異議は無審尋手続に対する債務者側の不服申立て手段として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.封筒を開け「仮執行宣言付」かを見分ける 裁判所名義の封筒を放置せず開封し、ただの支払督促か「仮執行宣言付支払督促」かを確認する。後者なら送達日から二週間の不変期間で一刻を争う。送達日(特別送達の受領日)を必ず記録する
- 2.督促異議申立書に「異議あり」と記入 同封の督促異議申立書に「請求に異議がある」と記す。理由は不要で、証拠も不要。中身に納得できなくても、まず異議を出して手続をリセットすることを最優先する
- 3.発した簡易裁判所へ期限内に提出 支払督促を発した簡易裁判所(送達書面に記載)に、督促異議申立書を期限内に提出する。仮執行宣言後は送達から二週間の不変期間で、一日でも過ぎると原則取り戻せない。持参または郵送し、控えを保管する
- 4.通常訴訟で中身を争う準備 異議により申立て時に遡って通常訴訟へ移行する(民訴395条)。身に覚えがない、または時効が完成しているなら、訴訟の中で時効援用や債務不存在を主張する。督促段階での一部弁済は債務承認になるため払わない
よくある質問 AI による整理
Q1支払督促とは何ですか?
債権者の申立てだけで、債務者を審尋せず裁判所書記官が金銭支払を命じる略式手続です(民訴386条1項)。相手が二週間動かなければ仮執行宣言まで進みます。
Q2支払督促と少額訴訟の違いは?
支払督促は相手を審尋せず書記官が発する書面手続で、相手が争えば通常訴訟に移行します。少額訴訟は60万円以下を一期日で審理する判決手続で、最初から審理がある点が異なります。
Q3督促異議申立書はどう書きますか?
同封の用紙に「請求に異議がある」と記し、支払督促を発した簡易裁判所へ期限内に提出するだけです。理由や証拠の添付は不要で、反論は移行後の訴訟で行います。
Q4仮執行宣言付支払督促とは何ですか?
債務者が異議を出さなかった場合に付される宣言で、これにより強制執行が可能になります。送達から二週間の不変期間内に督促異議を出さないと確定します(民訴393条)。
Q5身に覚えのない支払督促が届いたらどうすればいい?
慌てて一部でも払うと債務承認になり時効が更新されます。払う前にまず督促異議を出し、通常訴訟へ移して時効援用や債務不存在を主張するのが鉄則です。
Q6支払督促で時効は更新されますか?
支払督促の申立てにより時効の完成猶予が生じ、確定すると更新されます。逆に債務者が一部弁済すると債務承認として時効が更新されるため注意が必要です。
Q7支払督促の申立て費用はいくらですか?
申立手数料は通常訴訟の半額で、加えて郵便費用(書記官の定める額)がかかります。督促異議で通常訴訟に移行すると、印紙の追納が必要になります。
Q8支払督促が確定するとどうなりますか?
仮執行宣言後二週間の異議申立期間を過ぎると確定し、確定判決と同一の効力を持ちます(民訴396条)。給料や預金の差押えが現実になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1支払督促って、無視したらどうなるんですか?
最悪の結末になる。二週間以内に督促異議を出さないと債権者は仮執行宣言を申し立てられ(民事訴訟法391条)、さらに二週間放置すれば確定判決と同じ効力が生じる(同396条)。給料や預金の差押えが現実になる。実務のポイント:『裁判所の書類は怖くて見たくない』と封筒を放置するのが最悪手。支払督促に限っては、内容に納得できなくても、とにかく期限内に督促異議だけ出せば全部リセットされて通常訴訟になる。中身の反論は後でいい
Q2異議を出すと、今度はこっちが裁判で訴えられるんですか?
新たに訴えられるわけではない。督促異議を出すと、支払督促の申立て時に遡って通常の訴えが提起されたものとして扱われる(民事訴訟法395条)。債権者が原告、あなたが被告として改めて中身を争う裁判が始まるだけだ。実務のポイント:異議で通常訴訟に移ると管轄が、支払督促を出した簡易裁判所か、請求額140万円超なら地方裁判所に移る。相手が遠方の裁判所を使ってきても、異議で訴訟になれば管轄が動き、あなたに有利な場所で戦える場合がある
間違えやすい点 AI による整理
- 『支払督促が届いた=裁判で負けた』と多くの人が思うが、そもそもこの問いの立て方が誤っている。支払督促はまだ裁判ですらない。あなたの言い分を一度も聞いていない段階の、債権者側の一方的な申立てにすぎない(1項)。負けたかどうかは、これからあなたが異議を出すか出さないかで決まる
- 『異議を出せば止まる』とは知っていても、その締切の厳しさを甘く見ている人が多い。仮執行宣言後の督促異議申立期間は二週間の不変期間(民事訴訟法393条)で、一日でも過ぎれば原則として取り戻せない。延長も猶予もない、この二週間の重さを知らない人ほど差押えに直結する
- 『異議には正当な理由や証拠が必要』と思い込んで、何も書けないまま固まる人がいる。実際は理由不要。『請求に異議がある』と記して期限内に出せば、それだけで通常訴訟へ移行する。証拠を揃えるのは訴訟が始まってからでいい
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 相手の審尋 | 支払督促(386条):債務者を審尋せず書記官が発付 | 少額訴訟(368条):原則一期日で審理あり 通常訴訟:双方の主張・立証を経て判決 |
| スピード・前提 | 相手が二週間動かなければ仮執行宣言まで最速 | 60万円以下の金銭請求に限定、原則一回結審 金額制限なし、争いのある事案向き |
| 費用 | 申立手数料は通常訴訟の半額+郵便費用 | 訴額に応じた手数料(通常訴訟と同水準) 訴額に応じた手数料 |
| 相手が争った場合 | 督促異議で通常訴訟へ移行(民訴395条) | 被告の申述で通常訴訟へ移行(民訴373条) そのまま審理を継続 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の支付命令も債務者を審尋せず発するが、債務者が異議を出すと支付命令は失効し通常訴訟へ移行する点で日本と類似する。
韓国の지급명령も書面審理で発せられ、異議申立てにより通常訴訟へ移行する。督促手続の構造は日本とほぼ同型。
日本の督促手続の母法。Mahnbescheid に対する Widerspruch(異議)で通常訴訟へ移行する仕組みは日本の督促異議と対応する。
米国には日本の支払督促に直接対応する制度はなく、争いのない請求は default judgment や small claims により処理される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 仮執行宣言付支払督促の封筒が届いた。送達された日から二週間以内に督促異議を出さなければ、給料も口座も差し押さえられる。残り日数を指折り数えながら、今日が何曜日かを確認する。一行の書面を出すか出さないかで、来月の生活が変わる
- もし、何年も前に解約したはずのサービスから、身に覚えのない金額の支払督促が届いたら? 慌てて一部でも払えば債務を認めたことになり、消えるはずだった時効が更新される。だが異議を出して通常訴訟に持ち込めば、相手に立証責任が移り、時効も主張できる。最初の一手を間違えると逆転は難しい
- あなたが貸した30万円が返ってこない。少額訴訟より速く、相手の住所地の簡易裁判所に支払督促を申し立てれば、相手が二週間動かないだけで仮執行宣言まで取れる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず封筒の中身を確認し、ただの支払督促か『仮執行宣言付』かを見分ける。後者なら期限は送達から二週間の不変期間で一刻を争う2. 同封の督促異議申立書に『請求に異議がある』と記し、支払督促を発した簡易裁判所に提出する。理由は不要3. 期限内に出せば自動的に通常訴訟へ移行し、そこで初めて中身を争う4. 身に覚えがない、または時効が完成しているなら訴訟の中で時効援用や債務不存在を主張する。督促段階で一部でも払うと債務承認になるので払わない
訴えられた側:1. 相手が金銭等の支払を明確に怠っていて争う余地が小さいなら、支払督促は通常訴訟より安く速い回収手段になる2. 申立ては相手の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官へ(民事訴訟法383条) 3. ただし相手が督促異議を出せば通常訴訟へ移行し、印紙の追納と立証の手間が発生する4. 相手が争いそうな事案や所在不明の相手には不向き、最初から通常訴訟や少額訴訟を検討する
時効(請求できる期限):仮執行宣言前の督促異議は申立期間の定めはないが、仮執行宣言が発せられるまでに出す必要がある(民事訴訟法390条)。仮執行宣言後は、その送達を受けた日から二週間の不変期間内に申し立てなければならない(同393条)。この二週間を過ぎると支払督促は確定し、確定判決と同一の効力を持つ(同396条)
学説
通説:督促手続は争いのない金銭債権を迅速・低コストで回収させる制度であり、債務者を審尋しない無審尋手続の正統性は、督促異議による通常訴訟への移行可能性(可逆性)によって担保されると解される。督促異議に理由を要しないのもこの趣旨による。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧法の『支払命令』を『支払督促』へ改め、発付権限を裁判官から裁判所書記官へ移した。督促異議による通常訴訟移行の枠組みも整理された。その後の現代語化やIT化(オンライン督促手続)に伴う改正の有無と回数は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。旧法の「支払命令」を「支払督促」に改め、発付権限を裁判官から裁判所書記官へ移した。督促異議による通常訴訟移行の枠組みも整理された。
- 2.平成16年(2004年) 改正:電子情報処理組織を用いた督促手続(オンライン督促手続)が導入され、申立てや書類のやり取りを電子的に行う仕組みが整備された。
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