民事訴訟法 第62条(不必要な行為があった場合等の負担)
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裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の伸張若しくは防御に必要であった行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。
この条文の基本情報
不必要な行為があった場合等の負担とは何ですか?
定義不必要な行為があった場合等の負担とは、民事訴訟法第62条に定められた規定で、「裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の伸張若…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第62条(不必要な行為があった場合等の負担)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第62条の条文原文は「裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の伸張若…」で始まります。
- 民事訴訟法第62条は第一節 訴訟費用の負担に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第62条の前の条は民事訴訟法第61条です。
- 民事訴訟法第62条の次の条は民事訴訟法第63条です。
- 民事訴訟法第62条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第62条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第62条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/62
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法62条は、裁判所が事情により、勝訴した当事者にも権利の伸張・防御に必要でない行為で生じた訴訟費用を負担させられると定める、敗訴者負担の例外規定である。
Q · 裁判に勝ったのに、訴訟費用を自分で払わされることってあるの?
あります。無駄な訴訟行為で増えた費用は勝訴者でも自己負担になりえます
民事訴訟法62条により、裁判所は事情に応じて、勝訴した当事者にも、権利の伸張・防御に必要でない行為で生じた訴訟費用を負担させることができます。敗訴者負担を原則とする61条の例外規定です。たとえば争点と無関係な書証を大量に提出したり、不要な鑑定や過剰な証人尋問を盛り込んで費用が膨らんだ場合、勝訴判決と引き換えにその無駄分が自己負担になりえます。また、あなたの無益な行為に対応するため相手方が要した費用まで、状況により負担対象になります。
解説
訴訟は勝てば費用を相手に払わせられる、多くの人はそう信じている。民事訴訟法61条が「敗訴者負担」を原則とするからだ。だが62条はその原則に穴を開ける。勝った当事者であっても、権利の伸張や防御に必要のない行為をして余計な訴訟費用を生じさせたら、その分は自分で負担させられることがある。勝つために不要な証人を何人も申請して期日が延びた、的外れな鑑定を求めて鑑定料が膨らんだ。こうした「やりすぎ」のコストは、最終的に勝訴しても裁判所の裁量であなたに付け回される。さらに、あなたが無駄な行為をした時点で、相手方がそれに対応するために必要だった費用まで、状況によってはあなたの負担になる。勝敗の結論だけ見て訴訟戦術を組むと、勝ってもなお財布が痛む。費用負担は「勝ったか負けたか」だけでは決まらない。
法的な位置づけ
民事訴訟法62条は、訴訟費用の負担に関する例外規定であり、裁判所が事情に応じて、勝訴した当事者にも、その権利の伸張または防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用の全部または一部を負担させることができる旨を定める。敗訴者負担を原則とする61条に対する裁判所の裁量的調整規定として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.各訴訟行為の必要性を入口で点検する 証拠申出や書面提出を組む段階で、その行為が「権利の伸張・防御に本当に必要か」を一つずつ自問する。念のための鑑定や多数の証人申請は、勝訴後に62条で自己負担になりうるため、必要性の薄いものを削る
- 2.相手方の無益な行為を期日で指摘し記録に残す 相手が不要な行為で手続を膨らませていると感じたら、その行為が必要でないことを準備書面や期日で具体的に指摘し、調書に残す。費用の裁判は訴訟の最後にまとめて行われるため、途中で積み上げた指摘が根拠になる
- 3.増えた費用を項目ごとに把握・保全する 期日延期、不要鑑定、過剰な証人尋問などで増えた費用を項目ごとに記録し、領収書や支出明細を保全する。後の訴訟費用額確定処分(民訴71条)で具体額を確定する際の資料になる
- 4.費用負担の裁判で62条の適用を求める 訴訟終結時の費用負担の裁判(民訴67条)で、相手方の無益な行為について62条の適用を求める意見を述べる。逆に自分が適用を示唆された場合は、その行為が当時の訴訟の程度において必要だったと反論する
よくある質問 AI による整理
Q1訴訟費用とは何ですか?
裁判の手続に要する費用のうち、民事訴訟費用等に関する法律で定められたもの(手数料、書類作成費、証人の日当など)を指します。原則として自分が払った弁護士費用は含まれません。
Q2訴訟費用は誰が負担するのですか?
原則として敗訴した当事者が負担します(民訴61条)。ただし62条により、勝訴者でも無益な行為で生じた費用は自己負担になることがあり、一部敗訴なら裁判所が裁量で分配します(64条)。
Q3民事訴訟法62条はどんなときに適用されますか?
勝訴した当事者が、権利の伸張・防御に必要でない行為(不要な証人申請、的外れな鑑定、過剰な書面など)で訴訟費用を増やした場合に、その分を勝者に負担させるため適用されます。
Q4勝訴者の費用負担はいつ判断されますか?
訴訟終結時の費用負担の裁判(民訴67条)で判断されます。独立した時効はなく、判決の主文や付随の裁判で誰がどの割合を負担するかが定められます。
Q5訴訟費用額確定処分とは何ですか?
判決等で費用負担者が決まった後、具体的な金額を確定する手続です(民訴71条)。裁判所書記官が処分し、これに不服があれば原則1週間以内に異議を申し立てられます。
Q6権利の伸張・防御に必要でない行為とは何ですか?
勝つために本来不要だった訴訟行為を指します。争点と無関係な大量の書証提出、的外れな私的鑑定、念のための過剰な証人尋問などが典型例で、裁判所が必要性を事案ごとに判断します。
Q7一部勝訴のとき訴訟費用はどう分けられますか?
民訴64条により、裁判所が事情に応じて各当事者の負担割合を定めます。全部相手負担とは限らず、勝った割合に応じて按分されたり、一方に全額負担させたりする裁量があります。
Q8訴訟費用の負担は裁判所が自由に決められますか?
61条の敗訴者負担が原則ですが、62〜64条で裁判所に裁量的な調整権が与えられています。無益な行為の費用を勝者に負わせる62条もその一つで、訴訟の経過全体を踏まえて判断されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1勝ったのに費用を払えって、そんなことが本当にあるんですか?
あります。民訴61条は敗訴者負担が原則ですが、62条は勝訴者でも権利の伸張・防御に不要な行為で生じた費用を負担させられると定めています。裁判所の裁量による例外です。実務のポイント:実務では全面適用される場面は多くありませんが、本人訴訟で争点と無関係な主張や証拠を大量に出すと適用リスクが上がります。弁護士は『勝てるか』だけでなく『この行為は費用負担で跳ね返らないか』を内部で計算しており、必要性の薄い手続をあえて削ることがある
Q2そもそも訴訟費用って、勝ったら弁護士費用も全部取り戻せるんですよね?
それが大きな誤解です。ここでいう訴訟費用は、民事訴訟費用等に関する法律で定められた範囲(手数料、書類作成費、証人日当など)に限られ、自分が払った弁護士費用は原則として含まれません。実務のポイント:勝訴しても回収できる訴訟費用は実際の支出のごく一部で、弁護士費用は自腹が基本(不法行為事件では損害の一部として一定割合を請求できる例外あり)。『勝てば費用は全額戻る』という前提で訴訟経済を考えると、勝っても手元は赤字になりうる。最初に費用対効果を試算するのが鉄則です
間違えやすい点 AI による整理
- 「勝訴すれば訴訟費用は全額相手が払う」と思い込んでいる人が多いが、61条の敗訴者負担はあくまで原則。62条はその例外で、勝者でも無駄な行為の費用は自己負担になりうる。勝敗と費用負担はイコールではない
- 敗訴者負担のルールは知っていても、その「訴訟費用」が実費の全額だと誤解している人がいる。実際には法定された範囲(民事訴訟費用等に関する法律で定める額)に限られ、弁護士費用は原則含まれない。勝っても自腹分は大きく残る、その深刻さを見落としている
- 「費用負担は判決の主文でしか決まらない」と思われがちだが、62条の裁量による調整は裁判所が訴訟の経過全体を見て判断する。あなたが途中で打った一手一手が、最後の費用負担の裁判材料として静かに記録されている。問題は結論ではなく、過程の積み重ねにある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 負担の方向 | 62条:勝訴者にも無益な行為の費用を負担させる | 61条:敗訴者が訴訟費用を負担(原則) 63条:訴訟を遅滞させた者に遅延分の費用を負担させる |
| 適用の前提 | 権利の伸張・防御に必要でない行為で費用が生じた | 勝敗が決した(敗訴者が存在する) 故意・過失で期日の延期や手続の遅滞を生じさせた |
| 判断の性質 | 「事情により」裁判所の裁量で全部または一部を負担 | 原則として全額を敗訴者に負担 遅滞によって生じた費用を裁量で負担 |
| 適用場面の典型 | 不要な証人申請・的外れな鑑定・過剰な書面 | 通常の勝訴・敗訴の結論に伴う費用配分 再三の期日変更・無益な続行による遅延 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も勝訴当事者の行為が権利の伸張・防御に必要でない場合、その費用の全部または一部を勝訴者に負担させうると定め、日本62条とほぼ同型
韓国も事情により、勝訴当事者にその権利の伸張・防御に必要でない行為で生じた訴訟費用を負担させることができるとし、日本法と同趣旨
ドイツは、結果的に成功した当事者でも、奏功しなかった攻撃・防御方法(erfolglose Angriffs- oder Verteidigungsmittel)に要した費用を負担させうるとし、近い発想に立つ
米国は『American Rule』で各自が弁護士費用を負担するのが原則。費用(costs)は勝訴当事者に付与されるが裁判所の裁量で別途定めうる点で調整の余地がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 本人訴訟で、自分が正しいと信じるあまり、争点と関係のない主張や書証を大量に提出し続けた。結果は勝訴。だが裁判所は「この行為は権利の伸張に不要だった」として、増えた費用の一部をあなたに負担させた。勝っても支出が膨らむ典型例
- もし、最終的に全部勝てる見込みの事件で、念のためにと高額な私的鑑定や複数の証人尋問を盛り込んだら、どうなる? 勝訴判決と引き換えに、その不要分の費用は62条で自分持ちになりうる。「念のため」が勝者にコストを跳ね返す
- 相手の主張に過剰反応し、不要な書面を連発して期日が一回増えた。勝ったのに、その一回分の費用はあなた負担。短い油断が積み重なる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手が不要な行為で手続を膨らませていると感じたら、その行為が「権利の伸張・防御に必要でない」ことを期日や準備書面で具体的に指摘し、記録に残す2. 増えた費用(期日延期、不要鑑定、過剰な証人尋問など)を項目ごとに把握しておく3. 訴訟終結時の費用負担の裁判(民訴67条)で、62条の適用を求める意見を述べる4. 費用額は判決後の訴訟費用額確定手続(民訴71条)で確定するので、領収書・記録を保全しておく
訴えられた側:1. 自分の訴訟行為が「やりすぎ」と評価されるリスクを各段階で点検し、必要性の薄い証拠申出や書面の乱発を避ける2. 念のための鑑定・多数の証人申請をする前に、その必要性を準備書面で説明できる形にしておく3. 仮に裁判所が62条適用を示唆したら、その行為が当時の訴訟の程度において必要だったと反論する4. 勝訴見込みでも、費用負担まで含めた総コストで戦術を組む
時効(請求できる期限):62条の費用負担は訴訟終結時の費用負担の裁判(民訴67条)で判断され、独立した時効はない。具体的な費用額は判決確定後の訴訟費用額確定処分(民訴71条)で確定し、これに対する異議は告知から原則1週間(即時抗告期間、民訴71条4項以下、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:62条は当事者の訴訟追行の自由と訴訟経済・相手方保護の調整規定であり、勝訴者であっても権利の伸張・防御に必要でない行為で生じた費用は裁判所の裁量で自己負担とされる。実務での全面適用例は多くないが、本人訴訟で無関係な主張・証拠を乱発する場面で適用リスクが高まると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により現行62条に整理。旧民事訴訟法の費用負担規定を承継し、勝訴者の無益な行為に対する裁量的費用負担を明文化した。
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