民事訴訟法 第69条(法定代理人等の費用償還)
クイックジャンプ
- 法定代理人、訴訟代理人、裁判所書記官又は執行官が故意又は重大な過失によって無益な訴訟費用を生じさせたときは、受訴裁判所は、申立てにより又は職権で、これらの者に対し、その費用額の償還を命ずることができる。
- 2.前項の規定は、法定代理人又は訴訟代理人として訴訟行為をした者が、その代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権があることを証明することができず、かつ、追認を得ることができなかった場合において、その訴訟行為によって生じた訴訟費用について準用する。
- 3.第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
法定代理人等の費用償還とは何ですか?
定義法定代理人等の費用償還とは、民事訴訟法第69条に定められた規定で、「法定代理人、訴訟代理人、裁判所書記官又は執行官が故意又は重大な過失によって無益な訴訟費用を生じさせたときは、受訴裁判所は、申立てにより又は職権で、これらの者に対…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第69条(法定代理人等の費用償還)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第69条の条文原文は「法定代理人、訴訟代理人、裁判所書記官又は執行官が故意又は重大な過失によって無益な訴訟費用を生じさせたときは、受訴裁判所は、申立てにより又は職権で、これらの者に対…」で始まります。
- 民事訴訟法第69条は第一節 訴訟費用の負担に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第69条の前の条は民事訴訟法第68条です。
- 民事訴訟法第69条の次の条は民事訴訟法第70条です。
- 民事訴訟法第69条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第69条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第69条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/69
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法69条は、代理人や裁判所書記官・執行官が故意または重大な過失で無益な訴訟費用を生じさせたとき、受訴裁判所がその者に費用の償還を命じられると定める規定である。
Q · 弁護士や裁判所の職員のミスで無駄になった訴訟費用、当事者の私が全部かぶるんですか?
原則は当事者負担だが、代理人らの重過失なら本人に償還を命じられる
原則として訴訟費用は当事者(敗訴者)が負担しますが、民事訴訟法69条1項により、法定代理人・訴訟代理人・裁判所書記官・執行官が故意または重大な過失で無益な訴訟費用を生じさせたときは、受訴裁判所が申立てまたは職権でその費用の償還をこれらの者本人に命じることができます。さらに2項では、代理権を証明できず追認も得られなかった無権代理人が、その訴訟行為で生じた費用を負担します。償還を命じる決定には、告知から1週間以内に即時抗告ができます(同条3項)。
解説
訴訟費用は負けた側が払う、それが民事訴訟の大原則だ。だが、その費用を生じさせたのが当事者でも相手でもなく、代理人や裁判所の職員だったとしたら。民事訴訟法69条は、法定代理人、訴訟代理人(多くは弁護士)、裁判所書記官、執行官が、故意または重大な過失で無益な訴訟費用を発生させたとき、裁判所がその費用を本人たちに償還させることができると定める。つまり、あなたの弁護士が重大なミスで余計な期日や手続を空転させ、無駄な出費がかさんだ場合、その費用をあなたではなく弁護士本人に負担させる道がある。さらに2項は、代理権がないのに代理人として訴訟行為をした者が、それを証明できず追認も得られなかった場合、その者が費用を負担すると準用する。誰かが勝手にあなたや会社の名で訴訟を起こしたとき、その尻拭いをするのはあなたではない。
法的な位置づけ
民事訴訟法69条は訴訟費用の特別負担に関する規定であり、法定代理人・訴訟代理人・裁判所書記官・執行官が故意または重大な過失によって無益な訴訟費用を生じさせた場合に、受訴裁判所がその費用額の償還を命じる権限を定める。代理権を証明できず追認も得られなかった無権代理人にも準用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.無益になった費用の発生源を時系列で記録 無駄になった費用の項目と金額、それが代理人・裁判所書記官・執行官のどの行為から生じたかを時系列で整理する。空転した期日や誤った手続を客観的に特定する
- 2.故意または重大な過失を裏づける事情を整理 通常の過失ではなく故意または重大な過失を示す事情(明白な手続違反、繰り返しの放置、明らかな管轄違いなど)を抽出し、立証資料を揃える。ここが申立ての成否を分ける
- 3.受訴裁判所へ費用償還を申し立てる 事件を担当する受訴裁判所に費用償還の申立書を提出する。裁判所は職権でも判断できるため、事情を示す上申書を添えるのも有効。記録が遠ざかる前の段階で動く
- 4.無権代理が原因なら追認前に代理権不存在を主張 勝手に名義を使われた訴訟では、相手が本人の追認を得る前に代理権の不存在を主張し、費用を無権代理人個人へ向ける。追認が成立すると費用は本人に流れる
- 5.不服があれば1週間以内に即時抗告 費用償還を命じる決定(または申立却下の決定)に不服があれば、告知を受けた日から1週間の不変期間内に即時抗告を申し立てる。週末をまたいで放置すると確定する
よくある質問 AI による整理
Q1訴訟費用の償還命令とは何ですか?
代理人や裁判所書記官・執行官が故意または重大な過失で無益な訴訟費用を生じさせたとき、裁判所がその費用を本人に償還させる制度です。民事訴訟法69条が根拠です。
Q2無益な訴訟費用とはどういう意味ですか?
訴訟の進行に本来不要だった、空転した期日や誤った手続から生じた出費を指します。通常必要な費用は含まれず、原因者の落ち度が前提となります。
Q3費用償還の申立てはどこにしますか?
事件を担当する受訴裁判所に申し立てます。裁判所は職権でも判断できるため、事情を上申書で示すことも有効です。
Q4費用償還命令に不服があるときはどうしますか?
決定の告知を受けた日から1週間以内に即時抗告ができます(民訴69条3項、332条)。期間を過ぎると決定は確定します。
Q5重大な過失と普通の過失はどう違いますか?
重大な過失はわずかな注意で防げた明白な落ち度を指し、通常の過失や判断の当否では足りません。69条の償還は重過失または故意に限られます。
Q6無権代理人の訴訟費用は誰が払いますか?
代理権を証明できず本人の追認も得られない場合、民訴69条2項により無権代理人本人がその訴訟行為で生じた費用を負担します。
Q7弁護士のミスは損害賠償と費用償還のどちらで争いますか?
69条の償還命令は稀で、実務では弁護士への債務不履行・不法行為に基づく損害賠償や弁護士会の紛議調停の方が現実的な回収手段です。
Q8司法書士に依頼した場合も69条は使えますか?
簡易裁判所では認定司法書士も訴訟代理人になれるため、69条の「訴訟代理人」に含まれ、重過失による無益な費用を代理人本人に向ける余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1弁護士のミスで余計にかかった裁判の費用、依頼した私が全部払わないといけないんですか?
原則は依頼人の負担ですが、そのミスが『重大な過失』にあたり、無益な費用を生じさせたと認められれば、69条1項により弁護士本人への償還を裁判所に申し立てられます。ただし通常のミスや見解の相違では足りません。実務のポイント:69条の償還命令が実際に出る例は極めて稀で、弁護士のミスで損をしたときの現実的な回収手段は、弁護士に対する債務不履行や不法行為に基づく損害賠償請求、または弁護士会の紛議調停です。69条にこだわるより、こちらを先に検討する方が筋がよい場合が多い
Q2うちの会社の元役員が、勝手に会社名義で訴訟を起こしていました。その費用は会社が払うんですか?
その人が代理権(代表権)を証明できず、会社が追認もしていなければ、69条2項により、その訴訟行為で生じた費用はその元役員個人が負担します。会社が当然に背負うわけではありません。実務のポイント:ここで気をつけるべきは『追認』です。会社が後からその訴訟を追認すると、行為の効力が会社に及び、費用も会社が被る側に回ります。勝手に起こされた訴訟を引き継ぐかどうかは、費用負担者を決める分岐になるので、追認の判断は慎重にすべきです
間違えやすい点 AI による整理
- 「訴訟費用は当事者が負担するに決まっている」と思い込んでいるが、費用を生じさせた原因が代理人や書記官、執行官の故意・重過失にあるなら、その費用を本人たちに償還させる別ルートが用意されている。負担者は当事者だけではない
- 「弁護士がミスをすれば費用を払わせられる」と単純に考えがちだが、ここで必要なのは『重大な』過失であって、通常の過失や判断の当否では足りない。あなたが見落としているのは、その立証ハードルの高さだ。実務で69条の償還命令が出る例は極めて少なく、依頼人の救済はむしろ弁護士への損害賠償請求や弁護士会の紛議調停の方が現実的なことが多い
- 「勝手に名前を使われた訴訟でも、本人として巻き込まれた以上は費用も自分持ち」と諦める人がいるが、法律から見れば逆だ。代理権の証明も追認もない無権代理人がつくった費用は、その者自身に向かう。あなたが追認するかどうかが、費用を背負う側を決める分岐点になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 費用負担者の決まり方 | 69条:原因をつくった代理人・裁判所職員・無権代理人に償還を命じる例外 | 61条:訴訟費用は敗訴の当事者が負担する原則 62条:不必要な行為で生じた費用は勝訴者にも負担させうる調整 |
| 適用の前提 | 故意または重大な過失による無益な費用、または無権代理(2項) | 勝敗が決した訴訟であること 当事者の不必要・遅延行為があること |
| 手続の局面 | 受訴裁判所が申立てまたは職権で決定(事件係属中に動くのが効く) | 判決主文・費用負担の裁判で示される 裁判所の裁量による費用配分 |
| 金額の確定 | 償還額は71条の訴訟費用額確定手続を基礎とする | 71条で具体額を確定 71条で具体額を確定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
代理人・書記官・執達員が故意または重大な過失で無益な費用を生じさせたとき、裁判所が職権または申立てで負担を命じられる点で日本69条とほぼ同型。
無権代理人が代理権を証明できず追認も得られない場合に費用を負担する点で、日本69条2項と対応する。
代理人や裁判所職員の責めに帰すべき事由で生じた費用を本人に負担させる規定で、日本69条の母法的系譜にあたる。
弁護士が不当・濫用的に手続を増加させた場合に超過費用を個人負担させる制度。償還の発想は近いが、サンクションとして運用される点で性質が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 委任した弁護士が、明らかに管轄違いの裁判所に訴えを起こし、移送のために期日が空転して余計な出廷費用と時間がかかった。単純な手違いなら依頼人の負担だが、重大な過失と認められれば、69条1項であなたではなく弁護士本人に費用償還を求められる。問題は「重大な」過失という高いハードルをどう立証するかだ
- もし、退任したはずの元取締役が、会社の代表者を名乗って勝手に訴訟を起こしていたら? その訴訟で生じた費用を会社が当然に背負う義務はない。代理権を証明できず、会社の追認もなければ、69条2項でその元取締役個人が費用を負担する側に回る
- 裁判所から費用償還の決定書が届いた。不服があるなら即時抗告できるが、期限は告知から1週間。机に置いたまま週末をまたいだ時点で、その決定は確定する
- 執行官による差押えの段取りに重大な落ち度があり、やり直しのために無駄な実費が発生した。その費用を申立人であるあなたが全部かぶる前に、69条で執行官本人への償還を申し立てる選択肢があることを知っているかどうかで対応が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 無駄になった費用の項目と金額、そしてそれが代理人や書記官、執行官のどの行為から生じたかを時系列で記録する2. 単なる過失ではなく故意または重大な過失を裏づける事情(明白な手続違反、繰り返しの放置など)を整理する3. 事件を担当する受訴裁判所に費用償還の申立てをする。裁判所は職権でも判断できるので、事情を上申書で示すのも有効4. 無権代理が原因なら、相手が追認を得る前に代理権の不存在を主張し、費用を代理人個人へ向ける
訴えられた側:1. 生じた費用が本当に『無益』だったか、訴訟の進行上必要な行為ではなかったかを反論する2. 自分の行為は通常の過失や許される判断の範囲であり『重大な』過失には当たらないと主張する。ここが防御の主戦場3. 無権代理を問われた場合は、代理権を証明する書面を探すか、本人から追認を得て費用負担そのものを消す4. 償還を命じる決定が出たら、告知から1週間以内に即時抗告を申し立てる
時効(請求できる期限):1項の償還を命じる決定に対する即時抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内(民事訴訟法332条)。この期間を過ぎると決定は確定する。償還の申立て自体に特定の時効はないが、訴訟費用額の確定手続が進む前の段階で動くのが実務上の目安
学説
通説:民訴69条の費用償還責任は、代理人や裁判所職員の自由な職務遂行を過度に萎縮させないため、故意または重大な過失に限定される。通常の過失や見解の当否では足りず、実務での償還命令は限定的に運用される。
改正沿革 AI による整理
- 要人的検証 現行民事訴訟法は平成8年(1996年)全部改正で旧法から再編・番号変更され、平成10年(1998年)施行された。本条の費用償還規定はこの系譜にあるが、その後の改正回数および令和4年(2022年)の IT 化改正が本条文言へ与えた影響は確証がないため、人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:現行民事訴訟法の全部改正により旧法から再編・番号変更され、本条の費用償還規定が現在の体系に位置づけられた(平成10年・1998年施行)。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める