民事訴訟法 第72条(和解の場合の費用額の確定手続)
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当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担を定め、その額を定めなかったときは、その額は、申立てにより、第一審裁判所(第二百七十五条の和解にあっては、和解が成立した裁判所)の裁判所書記官が定める。この場合においては、前条第二項から第八項までの規定を準用する。
この条文の基本情報
和解の場合の費用額の確定手続とは何ですか?
定義和解の場合の費用額の確定手続とは、民事訴訟法第72条に定められた規定で、「当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担を定め、その額を定めなかったときは、その額は、申立てにより、第一審裁判所(第二百七十五…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第72条(和解の場合の費用額の確定手続)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第72条の条文原文は「当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担を定め、その額を定めなかったときは、その額は、申立てにより、第一審裁判所(第二百七十五…」で始まります。
- 民事訴訟法第72条は第一節 訴訟費用の負担に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第72条の前の条は民事訴訟法第71条です。
- 民事訴訟法第72条の次の条は民事訴訟法第73条です。
- 民事訴訟法第72条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第72条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第72条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/72
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法72条は、裁判上の和解で費用の負担者だけ定め額を定めなかったとき、申立てにより第一審裁判所の裁判所書記官が額を確定すると定める。確定処分は債務名義となる。
Q · 和解で「費用は相手負担」と決めたのに金額が空欄。もう取れないの?
申立てで書記官が額を確定でき、それが債務名義になります
民事訴訟法72条により、裁判上の和解で費用の負担者を定めたが額を定めなかったときは、申立てにより第一審裁判所(即決和解では和解が成立した裁判所)の裁判所書記官が額を確定します。前条71条2項以下が準用され、確定処分はそのまま強制執行できる債務名義になります。相手が任意に払わなければ、別に訴え直さず、いきなり差押えに進めます。
解説
裁判で和解が成立し、相手が「訴訟費用はそちらで持つ」と認めた。書面に署名し、ほっとして帰る。ところが半年後、その費用が一円も戻っていないことに気付く。なぜか。負担する人は決めたが、いくらなのかを誰も確定していなかったからだ。民事訴訟法72条は、まさにこの取り残された金額を埋めるための条文である。和解で費用負担は定めたが額を定めなかったとき、あなたは申立て一本で、第一審裁判所の裁判所書記官(裁判官とは別に、裁判の事務を担う職員)に金額を確定してもらえる。新たに訴訟を起こす必要はない。しかもこの確定処分は、そのまま強制執行できる債務名義になる。相手が払わなければ、いきなり差押えに進める。和解調書の費用欄の空白は、放置すれば消える権利、申し立てれば回収できる権利、その分かれ道だ。
法的な位置づけ
民事訴訟法72条は、裁判上の和解で費用の負担を定めたものの額を定めなかった場合に、その額を裁判所書記官が申立てにより確定する手続を規定する。確定の対象は和解の費用または訴訟費用であり、第一審裁判所(即決和解では和解成立裁判所)が管轄する。前条の訴訟費用額確定手続が準用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.和解調書の費用欄が空欄か確認 和解調書を読み、費用の負担者は定まっているが額が空欄であることを特定する。負担者だけ書いて額を放置した調書は実務で珍しくない。回収には自分から額の確定申立てが必要
- 2.費用計算書と疎明資料を準備 印紙代、書類の作成・提出費用、証人の日当・旅費など法定の訴訟費用項目を積算し、費用計算書を作成する。各項目の領収書など疎明資料を添える。弁護士費用は原則対象外なので除く
- 3.第一審裁判所の書記官へ申立て 第一審裁判所(即決和解では和解が成立した裁判所)の裁判所書記官あてに、費用額確定処分の申立書と費用計算書、疎明資料を提出する。裁判官の判断や新たな訴訟は不要
- 4.確定処分を債務名義に強制執行 書記官の確定処分が出れば、それ自体が執行力ある債務名義になる。相手が任意に払わなければ、改めて訴えず、この処分で預金・給与・動産の差押えに進む
よくある質問 AI による整理
Q1和解費用額確定処分とは何ですか?
裁判上の和解で費用の負担者は決めたが額を決めなかったとき、申立てにより裁判所書記官がその額を確定する処分です。民事訴訟法72条が根拠で、別訴は不要です。
Q2費用額確定処分の申立てはどこにしますか?
原則は第一審裁判所の裁判所書記官です。即決和解(民訴275条)の場合は、和解が成立した裁判所の書記官に申し立てます。
Q3和解費用の額は誰が決めますか?
裁判官ではなく裁判所書記官が処分で定めます。72条は前条71条を準用し、書記官が費用計算書をもとに法定費用を積算します。
Q4費用額確定処分に不服があるときはどうしますか?
71条の準用により、処分の告知を受けた日から1週間の不変期間内に異議を申し立てます。期間を過ぎると争えなくなります。
Q5即決和解の費用も書記官が確定できますか?
できます。72条括弧書が民訴275条の和解を明示し、この場合は和解が成立した裁判所の書記官が額を確定します。
Q6費用額確定処分は強制執行できますか?
できます。確定処分は執行力ある債務名義になり、改めて給付の訴えを起こさず、預金・給与・動産の差押えに進めます。
Q7和解費用の確定申立てに期限はありますか?
申立て自体に特定の出訴期間はありません。ただし費用償還請求権には一般消滅時効(民法166条)が及びうるため、放置は禁物です。
Q8和解費用に含まれるのはどんな費用ですか?
民事訴訟費用等に関する法律が定める法定費用(印紙代、書類の作成・提出費用、証人の日当・旅費など)に限られ、弁護士報酬は原則含まれません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1和解で費用は相手持ちって決めたのに、金額を決めてなかった。今からでも取れますか?
取れる。72条が、まさにそのための手続を用意している。第一審裁判所(即決和解なら和解成立裁判所)の裁判所書記官に費用額確定処分を申し立てれば、71条2項以下が準用され、書記官が額を確定してくれる。別に訴え直す必要はない。実務のポイント:この申立てを知らずに「もう面倒だから諦める」人が実は多い。確定処分はそのまま強制執行できる債務名義になるので、額が小さくても申し立てる価値はある
Q2「訴訟費用は相手負担」と和解で決めたら、払った弁護士費用も返ってきますか?
原則として返ってこない。72条・71条で確定される「訴訟費用」は、民事訴訟費用等に関する法律が定める法定の費用(印紙代、書類の作成・提出費用、証人の日当・旅費など)に限られ、当事者が依頼した弁護士の報酬は含まれないのが原則である。実務のポイント:だから「費用は相手負担」と勝ち取っても、自分の弁護士費用は自腹というのが通常。弁護士費用まで相手に負わせたいなら、和解条項そのものに「弁護士費用相当額として金○円を支払う」と別建てで書き込んでおく必要がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「和解したら費用の話はもう終わり」と思い込んでいる人が多いが、費用の負担者を決めても金額を確定しなければ一円も回収できない。負担者だけ書いて額を放置した和解調書は、実務では珍しくない。回収したいなら、自分から額の確定を申し立てる必要がある
- 「相手負担と決めたから安心」と考えがちだが、その負担の中身が法定の訴訟費用に限られることを知らないと期待は裏切られる。回収できるのは印紙代や書類費用など限定的な項目で、あなたが払った弁護士費用は原則として含まれない。「相手負担」という言葉の射程は、思っているより浅い
- 「金額を確定するには裁判官に頼むか、また別に訴えるしかない」という前提自体が誤りである。72条は裁判所書記官が処分で額を定めると明記し、裁判官の関与も新たな訴訟も不要にしている。問いの立て方を間違えると、必要のない手間と費用を背負い込む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 額を確定する主体・手続 | 民訴72条:和解費用・訴訟費用を裁判所書記官が処分で確定 | 民訴71条:訴訟(判決)の訴訟費用額を書記官が処分で確定 民訴267条:和解調書に確定判決と同一の効力を付与 |
| 適用前提 | 裁判上の和解で負担者は定めたが額を定めなかった | 裁判で訴訟費用の負担の裁判があり額が未確定 和解が調書に記載された |
| 負担割合のルール | 和解で定めた負担に従う(定めなければ68条で各自負担) | 原則は敗訴者負担(民訴61条) —(効力付与の規定で負担は定めない) |
| 確定後の効力 | 確定処分が執行力ある債務名義となる | 確定処分が執行力ある債務名義となる 和解調書自体が債務名義となる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も裁判所が訴訟費用額を確定する制度をもち、和解の場合も負担割合に従い額を確定する点で機能的に近い。
韓国は訴訟費用額の確定決定を第一審裁判所が行う。和解で負担を定め額が未確定の場合の清算も同手続に連なる。
ドイツは Rechtspfleger(司法補助官)が費用確定決定で具体的額を定める。書記官類似の職員が額を確定する点で本条と発想が共通する。
米国連邦手続では clerk(書記官)が法定費目に限り費用を taxation(査定)する。弁護士費用は原則別建て(American Rule)で、本条と同様に対象外。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 大家として滞納家賃の訴訟で和解し、調書に「訴訟費用は借主負担」と入れてもらった。だが金額は空欄のまま。書記官に確定を申し立てれば、その処分書自体が債務名義になり、借主の給与や口座をいきなり差し押さえられる。別途「費用を払え」という訴えを起こす必要はない
- もし、和解で「費用は被告負担」と決められた側があなただったとしたら? 払う額は青天井ではない。書記官は法定の費用項目(印紙代、書類の作成・提出費用、証人の日当など)だけを積算する。あなたが恐れている相手の弁護士費用は、原則としてこの中に入らない
- 交通事故の損害賠償で裁判上の和解が成立した。費用負担は決めたが額は空欄。放置すれば、取れたはずの数万円がそのまま消える
- 起訴前の和解(即決和解、275条)で敷金返還トラブルを片付け、費用負担も定めた。だが相手が任意に払わない。残された道は、和解が成立した簡易裁判所の書記官への申立て一本。時間が経つほど相手の資力も口座情報も追いにくくなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 和解調書を確認し、費用の負担者は定まっているが額が空欄であることを特定する2. 第一審裁判所(即決和解の場合は和解が成立した裁判所)の裁判所書記官あてに、費用額確定処分の申立書と費用計算書、領収書などの疎明資料を提出する3. 書記官の確定処分が出れば、それ自体が執行力ある債務名義になる4. 相手が任意に払わなければ、改めて訴えを起こさず、この処分を使って預金・給与・動産の差押えに進む
訴えられた側:1. 確定処分を受け取ったら、積算された費用項目を一つずつ精査する2. 法定の訴訟費用に当たらないもの(とりわけ相手方の弁護士費用)が紛れ込んでいないか、計算誤りや二重計上がないかを確認する3. 不服があれば、71条の準用により、処分の告知を受けた日から1週間以内に異議を申し立てる4. その期間を過ぎると確定処分が固まり、争えなくなるので、項目チェックは受領直後に着手する
時効(請求できる期限):申立て自体に特定の出訴期間はないが、書記官の費用額確定処分に対する異議は、処分の告知を受けた日から1週間の不変期間(71条準用)。なお回収すべき費用償還請求権そのものには、一般消滅時効(民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が及びうるため、放置は禁物(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:72条は和解で負担者は定めたが額が未確定の場合の清算を、71条の費用額確定手続を準用して裁判所書記官の処分で簡易迅速に行うものと解される。確定対象は民事訴訟費用等に関する法律所定の法定費用に限られ、弁護士報酬は原則含まれない。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法の費用関係規定を全面的に再編し、現行の条文配置に整理した。和解費用額の確定を裁判所書記官の処分で行う枠組みについては、その後の手続効率化改正での移管時期を含め、改正履歴は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正に伴い、和解費用額の確定に関する規定が現行の条文配置へ整理された。費用額確定を裁判所書記官の処分で行う枠組みへの移管時期を含む詳細な改正履歴は人的検証を要する。
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