民事訴訟法 第82条(救助の付与)
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- 訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。
- 2.訴訟上の救助の決定は、審級ごとにする。
この条文の基本情報
救助の付与とは何ですか?
定義救助の付与とは、民事訴訟法第82条に定められた規定で、「訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることが…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第82条(救助の付与)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第82条の条文原文は「訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることが…」で始まります。
- 民事訴訟法第82条は第三節 訴訟上の救助に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第82条の前の条は民事訴訟法第81条です。
- 民事訴訟法第82条の次の条は民事訴訟法第83条です。
- 民事訴訟法第82条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第82条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第82条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/82
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法82条は、資力がない者や支払で生活に著しい支障が出る者に対し、裁判所が申立てにより訴訟費用の支払いを猶予する訴訟上の救助を定める。免除ではなく猶予である。
Q · お金がなくて印紙代が払えなくても、裁判は起こせるの?
起こせます。免除ではなく支払いの猶予です。
民事訴訟法82条により、訴訟費用を支払う資力がない者や、支払えば生活に著しい支障が生じる者は、申立てによって裁判所から訴訟上の救助の決定を受けられます。要件は「勝訴の見込みがないとはいえない」ことだけで、明らかな無理筋でない限り認められる極めて低いハードルです。ただしこれは免除ではなく猶予で、後に費用を負担すべき者から取り立てられます(民訴85条)。救助の判断は審級ごとに行われるため、控訴のたびに改めて申し立てる必要があります。
解説
離婚して養育費を請求したい、未払いの残業代を取り戻したい。だが訴状に貼る印紙代が数万円、それすら今の財布には重い。ここで多くの人は「お金がないから裁判は無理だ」と諦める。それが最大の誤解だ。民事訴訟法82条は、訴訟費用を払う資力がない者、あるいは払えば生活に著しい支障が出る者に対し、裁判所が申立てによって「訴訟上の救助」を決定できると定める。条件はもう一つ、勝訴の見込みがないとはいえないこと。注目すべきは、この要件が「勝てる見込みがある」ではなく「見込みがないとはいえない」という二重否定だという点だ。明らかに無理筋でない限り通る、極めて低いハードルである。あなたが知っておくべきは、お金の有無は裁判所の入口を閉じる理由にならないということだ。
法的な位置づけ
民事訴訟法82条は訴訟上の救助を定める規定であり、訴訟の準備および追行に必要な費用を支払う資力がない者、またはその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対し、勝訴の見込みがないとはいえない場合に限り、裁判所が申立てにより費用の支払いを猶予する決定をなしうる旨を規定する。救助の判断は審級ごとに行われる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.資力がないことを示す資料を集める 課税証明書(非課税証明書)、源泉徴収票、直近の給与明細、預金通帳の写し、生活保護受給証明書などを用意する。生活保護受給中なら証明書一枚でほぼ立証が足りる
- 2.訴え提起と同時に救助を申し立てる 受訴裁判所へ訴訟上の救助の申立書を提出する。訴え提起と同時に出せば、印紙を貼らずに訴状を受理してもらえる。出訴期限が迫っていてもこの方法で期限を守りながら費用を後回しにできる
- 3.弁護士費用は法テラスで別途立替えを申し込む 訴訟救助は裁判所費用の猶予のみで、自分で雇う弁護士報酬は対象外。弁護士費用は法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助に申し込み、立替えを受けて原則分割返済する
- 4.上訴時は審級ごとに再申立てする 敗訴して控訴・上告するときは、当該審級の上訴期間内(控訴は判決送達から2週間)に改めて救助を申し立てる。第一審で認められても自動では続かないため、上訴期限と再申立てを同時に管理する
よくある質問 AI による整理
Q1訴訟上の救助とは何ですか?
資力がない人などのために、裁判所が訴訟費用の支払いを猶予する制度です。民事訴訟法82条が根拠で、免除ではなく支払いの先延ばしです。
Q2訴訟救助の申立て方法は?
訴え提起と同時に、または訴訟係属中に、その事件を担当する裁判所へ訴訟上の救助の申立書を提出します。印紙が貼れなくても訴状は受理されます。
Q3訴訟救助に必要な書類は何ですか?
課税証明書(非課税証明書)、源泉徴収票、給与明細、預金通帳、生活保護受給証明書など、資力がないことを示す資料を揃えます。
Q4訴訟救助はどこの裁判所に申し立てる?
その訴訟を担当する受訴裁判所に申し立てます。提訴予定または係属中の裁判所が窓口で、別の機関ではありません。
Q5訴訟救助が却下されたらどうなりますか?
救助申立てを却下する決定に対しては、即時抗告で不服を申し立てられます。期間内に上級審へ申し立てて判断を争えます。
Q6生活保護受給中でも裁判は起こせますか?
起こせます。生活保護受給証明書があれば資力がないことの立証はほぼ自動的に認められ、訴訟救助の入口に立てます。
Q7訴訟救助は控訴審でも使えますか?
使えますが、救助は審級ごとの判断(民訴82条2項)です。控訴するときは控訴審用に改めて申し立てる必要があります。
Q8訴訟救助と民事法律扶助の違いは?
訴訟救助は裁判所に納める印紙代等の猶予、民事法律扶助(法テラス)は自分で雇う弁護士費用の立替えです。対象費用が別です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訴訟救助が認められたら、本当に一円も払わなくていいんですか?
いいえ、払わなくていいのではなく、支払いが猶予(先延ばし)されるだけです。民訴83条で裁判費用や執行官の手数料などの支払いが猶予されますが、85条により、最終的に費用を負担すべき人(多くは敗訴者)から後で取り立てられます。勝訴して相手から回収できた場合は、そこから猶予分が精算されることもあります。実務のポイント: 救助はあくまで入口で立ち往生しないための制度であって、結果次第では後から請求が来ます。だからこそ「タダになる」と誤解して無理筋の訴訟に使うと、敗訴して費用を背負う二重苦になりかねない
Q2弁護士費用が払えないんですが、これも救助でなんとかなりますか?
訴訟救助(民訴82条)がカバーするのは裁判所に納める費用で、あなたが雇う弁護士の報酬は対象外です。弁護士費用は法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助で立替えを受けるのが筋で、こちらは原則として後から分割返済する仕組みです。実務のポイント: 訴訟救助で印紙代を猶予し、法テラスで弁護士費用を立て替える、この二つを組み合わせて初めて無資力でも本格的な訴訟が回ります。片方だけ知って動くと、もう片方の費用で詰まる。最初に両方をセットで設計するのが要
Q3生活はそこそこできているけど貯金がない場合でも申し立てられますか?
申し立てられます。82条は「資力がない者」だけでなく「その支払により生活に著しい支障を生ずる者」も対象にしています。つまり日々の生活は回っていても、まとまった訴訟費用を払えば家計が破綻する、という人も含まれます。判断は裁判所が資料を見て個別に行います。実務のポイント: 「勝訴の見込みがないとはいえないとき」という要件は二重否定で、明らかな無理筋でない限り認める極めて緩い基準です。資力の立証資料さえきちんと揃えれば、見込み要件で落とされることは実務上多くない
間違えやすい点 AI による整理
- 「訴訟救助=裁判がタダになる」と思われているが、これは免除ではなく猶予(支払いの先延ばし)である。勝訴して相手から回収できたり、敗訴して費用負担を命じられたりすれば、猶予された費用は後で取り立てられる(民訴85条)。一時的にお金がなくても入口に立てる制度であって、最終的にタダになる制度ではない
- 勝訴の見込み要件は知っていても、その基準の低さを多くの人が見誤っている。条文は「勝訴の見込みがある」ではなく「勝訴の見込みがないとはいえない」と書く。この二重否定は、明らかに無理筋(時効完成済み、主張自体が法的に成り立たない等)でない限り認める、という意味だ。グレーなら通る側に倒れる
- 「弁護士費用も救助でカバーされる」と問いを立てる人が多いが、その問いの立て方自体がずれている。訴訟救助(民訴82条)が猶予するのは裁判所に払う費用(印紙代、鑑定費用等)であって、あなたが自分で雇う弁護士の報酬ではない。弁護士費用の立替えは法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助という別制度。二つを組み合わせて初めて、無資力でも本格的な訴訟が回る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 民訴82条:救助の要件と決定(資力要件+勝訴の見込み要件) | 民訴83条:救助決定の効力(猶予される費用の範囲) 民訴85条:猶予された費用の事後的な取立て |
| 効果の性質 | 支払いの猶予を生じさせる入口の決定 | 裁判費用・執行官手数料等の支払いを具体的に猶予 最終負担者(多くは敗訴者)から後で取り立てる |
| タイミング | 訴え提起時または訴訟係属中、審級ごとに申立て | 救助決定が出た時点で効力発生 訴訟終了・費用負担確定後に精算 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も無資力者への訴訟救助を定め、裁判費用の暫免(猶予)と勝訴見込み要件を置く点で日本と構造が近い。
韓国の訴訟救助も資力要件と勝訴の見込み要件を備え、費用の猶予を内容とする点で日本と類似する。
ドイツの訴訟費用扶助は本制度の母法的存在で、無資力かつ十分な勝訴の見込み(hinreichende Aussicht auf Erfolg)を要件とし、状況により分割返済を伴う点に特色がある。
米国連邦裁判所は宣誓書による無資力の疎明で提訴手数料を免除・猶予する。日本と異なり制度上『免除』に近い扱いがなされる場合がある。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- DV から逃げて離婚調停が不調に終わり、離婚訴訟に移行したい。だが手元には引っ越し費用しか残っていない。訴訟救助を申し立てれば、印紙代の支払いを後回しにして訴訟を起こせる。生活保護受給中なら資力なしの立証はほぼ自動的に通る
- 勤め先が倒産寸前で給料3か月分が未払い。労働審判や訴訟を起こしたいが、生活費すらギリギリ。「払える金がないから訴えられない」と泣き寝入りする前に、その費用こそ救助の対象だと知っておく
- もし、あなたが交通事故の被害者で後遺障害が残り、働けず収入が途絶えたとしたら? 加害者側の保険会社が低い示談額を提示してきても、訴訟費用が払えず受け入れるしかない、と思い込む。だが訴訟救助で印紙代を猶予すれば、正当な賠償額を争う土俵に立てる
- 相手の代理人弁護士から「印紙代も払えないなら本気で争う気はないんだろう」と揺さぶられる。これは無知につけ込む常套句。救助制度を知っていれば、その一言は効かない。あと数日で出訴期限が迫っていても、訴え提起と同時に救助を申し立てられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず資力がないことを示す資料を集める: 課税証明書(非課税証明書)、源泉徴収票、給与明細、預金通帳、生活保護受給証明書など。2. 訴え提起と同時に、または訴訟係属中に、その裁判所へ訴訟上の救助の申立書を提出。印紙が貼れない場合も訴状は受理される。3. 救助が認められれば裁判費用の支払いが猶予される。弁護士を頼む費用は別途、法テラスの民事法律扶助(立替制度)に申し込む。4. 上訴するときは審級ごとに再申立てが必要、控訴期限内に忘れず手続する
訴えられた側:1. あなた自身が被告で資力に乏しい場合も、担保提供の免除や上訴費用について救助を申し立てられる。泣き寝入りせず同じ制度を使う。2. 相手が救助を受けて訴えてきても、それはあなたの防御に不利益を与えるものではない。費用の問題と請求の当否は別問題なので、争点を冷静に検討する。3. 最終的に相手が敗訴すれば、猶予されていた費用は敗訴した相手から取り立てられる(民訴85条)ので、過度に身構える必要はない
時効(請求できる期限):救助の申立て自体に特定の時効はなく、訴え提起時または訴訟係属中いつでも申立て可能。ただし救助の決定は審級ごと(民訴82条2項)なので、上訴のたびに当該審級の上訴期間内(控訴は判決送達から2週間)に改めて申し立てる必要がある。費用の起算ではなく、上訴期間の遵守が実務上の時間圧になる
学説
通説:82条但書の「勝訴の見込みがないとはいえないとき」は二重否定であり、勝訴が確実であることを求める趣旨ではない。時効完成済みや主張自体が法律上成り立たない等の明白な無理筋を排除するにとどまる、極めて緩やかな疎明基準と解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法の訴訟上の救助規定を現行82条に再編し、資力要件に加え「支払により生活に著しい支障を生ずる者」を明文で対象に含めた。後続の改正状況は要人的検証
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により、旧法の訴訟上の救助規定を現行82条へ再編。資力要件に加え『その支払により生活に著しい支障を生ずる者』を明文で対象に含め、救助決定が審級ごとである旨を2項に規定した。
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