民事再生法 第117条(債権者委員会)
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- 裁判所は、再生債権者をもって構成する委員会がある場合には、利害関係人の申立てにより、当該委員会が、この法律の定めるところにより、再生手続に関与することを承認することができる。ただし、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限る。
- 一委員の数が、三人以上最高裁判所規則で定める人数以内であること。
- 二再生債権者の過半数が当該委員会が再生手続に関与することについて同意していると認められること。
- 三当該委員会が再生債権者全体の利益を適切に代表すると認められること。
- 2.裁判所は、必要があると認めるときは、再生手続において、前項の規定により承認された委員会(以下「債権者委員会」という。)に対して、意見の陳述を求めることができる。
- 3.債権者委員会は、再生手続において、裁判所、再生債務者等又は監督委員に対して、意見を述べることができる。
- 4.債権者委員会に再生債務者の再生に貢献する活動があったと認められるときは、裁判所は、当該活動のために必要な費用を支出した再生債権者の申立てにより、再生債務者財産から、当該再生債権者に対し、相当と認める額の費用を償還することを許可することができる。
- 5.裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、いつでも第一項の規定による承認を取り消すことができる。
この条文の基本情報
債権者委員会とは何ですか?
定義債権者委員会とは、民事再生法第117条に定められた規定で、「裁判所は、再生債権者をもって構成する委員会がある場合には、利害関係人の申立てにより、当該委員会が、この法律の定めるところにより、再生手続に関与することを承認する…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第117条(債権者委員会)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第117条の条文原文は「裁判所は、再生債権者をもって構成する委員会がある場合には、利害関係人の申立てにより、当該委員会が、この法律の定めるところにより、再生手続に関与することを承認する…」で始まります。
- 民事再生法第117条は第四節 債権者集会及び債権者委員会に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第117条の前の条は民事再生法第116条です。
- 民事再生法第117条の次の条は民事再生法第118条です。
- 民事再生法第117条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第117条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第117条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/117
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法117条は、再生債権者の委員会が委員3人以上・債権者の過半数の同意・全体利益の適切な代表という三要件を満たせば、裁判所の承認により再生手続に関与できると定める。
Q · 取引先が民事再生を申し立てたら、債権者は弁済率が決まるのを黙って待つしかないんですか?
債権者3人以上で委員会を組めば手続に関与できる
民事再生法117条により、再生債権者で構成する委員会は、委員3人以上、再生債権者の過半数の同意、再生債権者全体の利益を適切に代表することという三要件を満たせば、利害関係人の申立てにより裁判所の承認を受けて再生手続に関与できます。承認された債権者委員会は、裁判所・再生債務者等・監督委員に意見を述べることができ(3項)、裁判所から意見の陳述を求められることもあります(2項)。再生に貢献する活動があったと認められれば、その費用は再生債務者財産から償還されうる一方(4項)、承認は利害関係人の申立て又は職権でいつでも取り消されます(5項)。
解説
長年取引してきた得意先が、ある朝『再生手続開始の申立て』の通知を送りつけてくる。売掛金800万円、戻るのはおそらく一部だけ。多くの取引先はここで『あとは弁済率が決まるのを待つしかない』と肩を落とす。だが民事再生法117条を知る者は、別の動きを始める。再生債権者が3人以上集まって委員会を組み、裁判所の承認を得れば、その委員会は手続に正式に関与できる。裁判所へ意見を述べ(3項)、求められれば見解を陳述し(2項)、監督委員や再生債務者と対等に向き合う席を得る。しかも委員会が再生に貢献する活動をすれば、その費用を再生債務者財産から償還させられる(4項)。承認の条件は厳しい。委員は3人以上、債権者の過半数の同意、そして全体の利益を適切に代表すること。この三つを満たした瞬間、あなたは黙って結果を待つ一債権者から、結果を作りにいく当事者へと立場が変わる。
法的な位置づけ
民事再生法117条は債権者委員会の制度を定める規定であり、再生債権者をもって構成する委員会が、委員3人以上、再生債権者の過半数の同意、再生債権者全体の利益を適切に代表することの三要件を具備する場合に、裁判所が利害関係人の申立てにより再生手続への関与を承認できる旨を規定する。承認された委員会は意見陳述権を有し、貢献活動の費用償還を申し立てることができる。
手順
- 1.同じ再生債務者に対する再生債権者を洗い出す 債権者一覧や取引実績から、同じ立場の再生債権者を特定し、委員として最低3人を確保する。建設業なら下請け仲間、商取引なら同業の取引先が組みやすい
- 2.再生債権者の過半数の同意を書面で集める 委員会が再生手続に関与することについて、再生債権者の過半数の同意を取り付ける。口頭ではなく同意書の形で残すと、裁判所の承認審査が早く進む
- 3.利害関係人として裁判所に承認を申し立てる 委員の数(3人以上最高裁判所規則で定める人数以内)、過半数の同意、再生債権者全体の利益を適切に代表することの三要件を疎明して、117条1項の承認を申し立てる
- 4.承認後、意見陳述権で再生計画案に食い込む 承認後は117条3項に基づき裁判所・再生債務者等・監督委員へ意見を述べる。弁済率、事業継続条件、資産処分方針など計画案の骨格が固まる前に出すこと
- 5.貢献活動の記録を残し、費用償還を申し立てる 意見書・交渉経緯・専門家費用の明細を活動当初から記録する。再生に貢献する活動があったと認められれば、費用を支出した再生債権者の申立てにより117条4項の償還許可を求められる
よくある質問 AI による整理
Q1債権者委員会とは何ですか?
再生債権者で構成し、裁判所の承認を受けて再生手続に関与する組織です。民事再生法117条1項が根拠で、委員3人以上が必要です。
Q2債権者委員会の承認要件は?
委員が3人以上最高裁判所規則で定める人数以内、再生債権者の過半数の同意、再生債権者全体の利益を適切に代表すると認められることの三つです。
Q3債権者委員会は誰に意見を言えますか?
裁判所、再生債務者等、監督委員の三者です(117条3項)。また裁判所が必要と認めれば委員会に意見の陳述を求められます(2項)。
Q4債権者委員会の費用は誰が払うの?
原則は支出した債権者の負担ですが、再生に貢献する活動と認められれば、裁判所の許可により再生債務者財産から相当額が償還されます(4項)。
Q5債権者委員会の承認は取り消される?
取り消されます。裁判所は利害関係人の申立てにより又は職権で、いつでも承認を取り消すことができます(117条5項)。
Q6債権者委員会の申立ては誰ができますか?
利害関係人です(117条1項)。委員会を構成する再生債権者自身が申し立てるのが実務上の通例です。
Q7債権者委員会 いつまでに作るべき?
条文上の期限はありませんが、再生計画案が提出・決議される前が実務上の勝負どころです。提出後は賛否を投じる以上のことが難しくなります。
Q8債権者委員会の意見に拘束力はある?
法的拘束力はありません。ただし裁判所・監督委員が判断材料として重視するため、再生計画の内容に事実上の影響を及ぼします。
この条文についての質問 AI による整理
Q1委員会を作ったら、うちの売掛金は他より多く返ってくるんですか?
そうはならない。委員会の承認要件は『再生債権者全体の利益を適切に代表すること』(117条1項)であり、自社だけ優先する仕組みではない。委員会にできるのは、弁済率そのものや事業継続条件を全体として有利に動かす交渉だ。実務のポイント:実務では、委員会を握る側が『全体の利益』を掲げながら、再生計画の設計に影響を与えて自陣に有利な条件を織り込む。表向きの全体代表と、裏の交渉力は別物だと弁護士は知っている
Q2委員会の活動費って、結局誰が負担するんですか?
原則は申し立てた債権者の自己負担だが、委員会に再生に貢献する活動があったと認められれば、費用を支出した再生債権者の申立てにより再生債務者財産から相当額が償還される(117条4項)。実務のポイント:この償還はハードルが高く、『貢献活動』の実体と費用の相当性を裁判所が厳しく見る。だからこそ、活動の記録(意見書、交渉経緯、専門家費用の明細)を最初から残しておく委員会だけが、後でこの償還を勝ち取る
Q33人も債権者が集まらないときは、もう何もできないんですか?
委員会は組めなくても、個々の再生債権者として債権届出を行い、債権者集会で議決権を行使し、再生計画案に賛否を投じる権利は残る。委員会(117条)はあくまで集団的関与の上乗せ手段だ。実務のポイント:頭数が足りないときは、同じ立場の債権者に共同で弁護士へ委任する手がある。代理人を一本化すれば、委員会という形式を取らなくても、事実上まとまった交渉力を裁判所や再生債務者に示せる
間違えやすい点 AI による整理
- 「民事再生では債権者は無力で、提示された弁済率を飲むしかない」と思い込んでいる人が多い。実際には、債権者が束になれば委員会として手続に正式関与でき、計画案に意見を差し込み、監督委員や裁判所に直接声を届けられる。受け身か当事者かは、債権額ではなく動くかどうかで決まる
- 委員会という制度の存在は知っていても、4項の費用償還の威力までは見落とされがちだ。委員会が再生に貢献する活動をすれば、その費用を再生債務者財産から取り戻せる。つまり、債権者側が動くコストを再生債務者財産に肩代わりさせられる。これを知る委員会と知らない委員会では、活動の本気度が変わる
- 「委員会を作れば自分の債権が優先的に戻る」という発想そのものが間違っている。承認要件は『全体の利益を適切に代表すること』であり、自分の取り分だけを狙う動きは要件を満たさず、満たしても5項で職権の取消し対象になる。問うべきは『どう優先されるか』ではなく『どう全体を代表する顔をしながら交渉力を握るか』だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 関与の主体 | 民再117条:承認された債権者委員会(集団としての関与) | 民再114条:債権者集会(個別債権者の議決権行使) 破産法144条:破産手続における債権者委員会 |
| 成立要件 | 委員3人以上、再生債権者の過半数の同意、全体利益の適切な代表 + 裁判所の承認 | 手続上当然に招集される(債権者側の組成行為は不要) 破産手続における同旨の承認要件(現行効力を要確認) |
| できること | 裁判所・再生債務者等・監督委員への意見陳述(3項)、裁判所からの意見聴取(2項) | 再生計画案への賛否の議決権行使 破産管財人の職務執行への意見(現行効力を要確認) |
| 費用と失権 | 貢献活動の費用は再生債務者財産から償還されうる(4項)/承認はいつでも職権取消し(5項) | 個別債権者の自己負担、失権は債権届出の懈怠による 破産財団からの費用償還が問題となりうる(現行効力を要確認) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には日本の債権者委員会に完全対応する制度がなく、会社更生(重整)では裁判所が選任する重整監督人が監督機能を担う。債権者側が自発的に組織して手続関与の承認を得る枠組みは弱い
韓国は主要債権者による債権者協議会を管理委員会が構成し、意見陳述権と資料請求権を持つ。日本より制度的に前面に出ており、金融機関債権者が中心となりやすい点が特徴
ドイツは債権者委員会が倒産管財人の監督機関として明確に位置づけられ、一定規模以上の事件では暫定債権者委員会の設置が義務化される。日本の117条より権限も設置強制度も強い
米国 Chapter 11では原則として連邦管財官(U.S. Trustee)が無担保債権者委員会を選任し、委員会は弁護士・財務アドバイザーの費用を財団負担で確保できる。日本の117条4項の費用償還は、この構造を控えめに取り込んだもの
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 下請けとして元請建設会社に1,200万円の工事代金。元請が民事再生を申し立て、回収は絶望的に見える。だが同じく代金を踏み倒されそうな下請け仲間が他に十数社いる。3社以上で委員会を組み、過半数の同意を取り付ければ、再生計画案の中身に意見を差し込める。バラバラに泣き寝入りするか、束になって弁済率の交渉に出るかが、ここで分かれる
- もし主要債権者が銀行ばかりで、再生計画が金融機関に都合よく組まれそうだとしたら? 商取引債権者が委員会を作り『全体の利益を適切に代表する』要件を満たせば、裁判所に対し別の声を届けられる。多数派の銀行とは違う利害を、手続の表舞台に乗せる手段がこれだ
- あなたが再生債務者の社長だとする。突然、取引先が結成した債権者委員会から意見書が届く。その一枚が、あなたの再生計画の通りやすさを左右する
- 再生計画案の提出期限まであと3週間。委員会の承認申立てから承認まで時間がかかる。計画に意見を反映させたいなら、今日にも他の債権者へ声をかけて頭数を揃え始めなければ、発言の機会そのものが間に合わない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 同じ再生債務者に対する他の再生債権者を洗い出し、最低3人を確保する。建設なら下請け仲間、商取引なら同業の取引先が組みやすい。2. 委員会の関与について再生債権者の過半数の同意を取り付ける。書面で同意を集めておくと承認審査が早い。3. 利害関係人として裁判所に委員会の承認を申し立てる(1項)。4. 承認後は意見陳述権(2項・3項)を使い、再生計画案の弁済率や事業継続条件に食い込む。5. 委員会の活動費は4項の償還申立てで再生債務者財産から回収を狙う
訴えられた側:再生債務者として委員会と向き合う場合、まず委員会の意見に法的拘束力はないと押さえつつ、裁判所が重視する以上、無視は得策ではないと心得る。1. 委員会の主張のうち全体公平に資する部分は計画案に取り込み、対立を和らげる。2. 委員会が特定債権者の利益に偏っていると見れば、全体利益代表の要件欠如を主張し、5項の承認取消しを裁判所に促す。3. 費用償還(4項)の申立てには、貢献活動の実体を欠くものとして争う余地がある
時効(請求できる期限):117条自体に消滅時効はない。委員会の承認申立ては利害関係人がいつでも可能だが、実務上は再生計画案の提出前が勝負どころ。提出・決議後では意見が計画の中身に反映されにくい。承認は5項により利害関係人の申立て又は職権でいつでも取り消されうるため、承認後も全体利益代表の実体を保ち続ける必要がある
学説
通説:117条の三要件のうち実質的な絞りは『再生債権者全体の利益を適切に代表すること』にあり、特定債権者の利益に偏した委員会は承認されず、承認後も5項により職権で取り消されうると解されている。委員会の意見に法的拘束力はないが、裁判所・監督委員の判断資料として事実上の影響力を持つ
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:和議法に代わる再建型倒産手続として民事再生法(平成11年法律第225号)が制定され、再生債権者の集団的関与手段として債権者委員会の承認制度が新設された
- 民事再生法 第38条再生債務者の業務遂行権、委員会が向き合う相手方の地位
- 民事再生法 第54条監督委員の選任、委員会の意見陳述の相手方(現行効力を要確認)
- 民事再生法 第114条債権者集会、個別債権者の関与手段(現行効力を要確認)
- 破産法 第144条破産手続における債権者委員会の並行制度(現行効力を要確認)
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