民事再生法 第144条(損害賠償請求権の査定に関する裁判)
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- 前条第一項の査定の裁判及び同項の申立てを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならない。
- 2.裁判所は、前項の決定をする場合には、役員を審尋しなければならない。
- 3.前条第一項の査定の裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
損害賠償請求権の査定に関する裁判とは何ですか?
定義損害賠償請求権の査定に関する裁判とは、民事再生法第144条に定められた規定で、「前条第一項の査定の裁判及び同項の申立てを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第144条(損害賠償請求権の査定に関する裁判)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第144条の条文原文は「前条第一項の査定の裁判及び同項の申立てを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならない。」で始まります。
- 民事再生法第144条は第三節 法人の役員の責任の追及に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第144条の前の条は民事再生法第143条です。
- 民事再生法第144条の次の条は民事再生法第145条です。
- 民事再生法第144条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第144条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第144条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/144
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法144条は、役員責任査定の裁判を理由を付した決定で行うこと、決定前に役員を審尋すること、裁判書を当事者に送達することを定める。公告による代替は認められない。
Q · 会社が倒産したあと、元役員に届く「査定決定」って、どんな手続で作られるの?
理由付き決定・役員の審尋・裁判書の送達の三点が必須です
民事再生法144条により、役員責任査定の裁判(143条1項)とその申立てを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければなりません。裁判所は決定の前に役員を審尋する義務を負い、裁判書は当事者に現実に送達されます。送達に代わる公告(10条3項本文)は適用されません。この送達日が起算点となり、不服がある役員は145条の異議の訴えを1か月の不変期間内に提起する必要があります。
解説
会社が民事再生に入った。元取締役のあなたのもとに、ある日裁判所から分厚い決定書が届く。「あなたは会社に三千万円を賠償せよ」。訴状ではない、判決でもない。査定の裁判という、訴訟を丸ごと省略した簡易な決定だ。144条はこの決定がどう作られるかを定める。第一に、裁判所は理由を付さなければならない。なぜあなたに責任があるのか、その論理が書面に残る。第二に、決定の前に裁判所はあなたを審尋しなければならない。言い分を述べる機会が手続上保障されている。第三に、決定書はあなたに送達される。公告で済ませること(10条3項本文)は許されず、現実にあなたの手元へ届けられる。なぜこの三つが効いてくるのか。送達された瞬間、あなたの時計が動き出すからだ。不服なら異議の訴え(145条)を一か月以内に起こさなければならず、この期間は不変期間、一日も延びない。動かなければ、その決定は確定判決と同じ効力を持ち、あなたの財産に強制執行が走る。
法的な位置づけ
民事再生法144条は、同法143条1項の役員責任査定の裁判および申立てを棄却する裁判につき、理由を付した決定によるべきこと、決定に先立ち役員を審尋すべきこと、裁判書を当事者に送達すべきことを定める規定である。送達に代わる公告(10条3項本文)の適用は排除され、送達日が145条の異議の訴えの起算点となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.査定決定書の送達日と理由欄を即日確認する 決定書を受け取ったら封筒の送達日付を確認し、その日から1か月後の異議期限(145条の不変期間)をカレンダーに書き込む。同時に144条1項が要求する理由欄を精読し、任務懈怠の認定根拠、因果関係、金額算定の各段階に論理の穴がないか洗い出す。
- 2.審尋段階で言い分と証拠を記録に残す(決定前の局面) 144条2項により裁判所は決定前に役員を審尋する義務を負う。この機会は絶対に欠席しない。経営判断の原則の範囲内であったこと、損害との因果関係が欠けることを、取締役会議事録・決算書・稟議書などの客観資料とともに陳述し、記録化する。
- 3.弁護士に決定到達当日に相談する 異議の訴えは新たな訴訟の提起であり、訴状作成と証拠整理に相応の時間を要する。決定書が届いてから弁護士を探し始めると1か月では間に合わないことがある。到達当日に倒産・会社法務に強い弁護士へ連絡し、期限逆算のスケジュールを組む。
- 4.1か月の不変期間内に異議の訴えを提起する 民事再生法145条に基づき、送達日から1か月以内に異議の訴えを提起する。理由不備・審尋手続の瑕疵・実体的な任務懈怠の不存在を主張の柱に据える。1日でも徒過すれば査定決定は確定判決と同一の効力を持ち、強制執行の債務名義となる。
よくある質問 AI による整理
Q1役員責任査定の裁判とは?
倒産した会社の役員の損害賠償責任額を、通常訴訟を経ずに裁判所が決定で確定する簡易手続です。民事再生法143条が根拠で、144条が決定の方式と手続保障を定めます。
Q2査定決定に理由は必ず書かれる?
書かれます。民事再生法144条1項が「理由を付した決定」を義務付けています。理由が不十分な決定は、異議の訴えで理由不備を攻撃する足がかりになります。
Q3査定決定の前に役員の言い分は聞かれる?
聞かれます。144条2項は裁判所に役員の審尋を義務付けています。審尋を欠いた決定は手続違背となり、異議の訴えで争う理由になります。
Q4査定決定書は公告で済まされる?
済まされません。144条3項後段が10条3項本文(公告による送達の代替)の適用を除外しており、裁判書は当事者に現実に送達されます。
Q5査定決定に不服があるときは?
決定の送達を受けた日から1か月の不変期間内に、民事再生法145条の異議の訴えを提起します。期間は裁判所も延長できず、徒過すれば決定が確定します。
Q6審尋を欠席するとどうなる?
反論が記録に残らないまま決定が下されます。後の異議訴訟で新たな主張をしても後出しと見られやすく、実質的な防御機会を自ら放棄することになります。
Q7査定申立てが棄却された場合も決定?
そうです。144条1項は査定の裁判だけでなく、申立てを棄却する裁判も理由を付した決定でしなければならないと定めています。申立人側も理由を確認できます。
Q8破産や会社更生でも同じ制度がある?
あります。破産法178条、会社更生法100条にほぼ同旨の役員責任査定が置かれています。どの倒産手続に入るかで根拠条文は変わりますが設計思想は共通です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1査定の裁判って、普通の裁判と何が違うんですか?
普通の損害賠償訴訟は訴状提出から判決まで何年もかかりますが、査定の裁判は裁判所が決定で責任額を定める簡易な手続です(143条)。役員の財産散逸を防ぎつつ、迅速に責任を追及するための制度です。実務のポイント:査定決定に異議を申し立てなければ、確定判決と同一の効力を持ちます(145条)。『簡易だから軽い』のではなく、放置すれば本訴の判決と同じ重さになる。訴訟ではないからと油断した役員が、いつのまにか債務名義を背負わされる
Q2決定書を受け取りましたが、忙しくて後回しにしても大丈夫ですか?
危険です。送達の日から一か月以内に異議の訴えを起こさないと、査定決定が確定します(145条)。この一か月は不変期間で、どんな事情があっても延長されません。実務のポイント:異議の訴えは新たな訴訟の提起であり、訴状作成と証拠整理に相応の時間がかかる。送達されてから弁護士を探し始めると準備が間に合わないことがある。決定書が届いた当日に動くのが、実務の鉄則です
間違えやすい点 AI による整理
- 「役員の責任を問うには、会社が正式に訴訟を起こすしかない」と思っているなら、問いの立て方そのものが間違っている。民事再生では、裁判所が決定一本で責任額を査定できる(143条)。あなたが頭に描いている『訴訟』という土俵に、相手は最初から乗ってこないかもしれない
- 査定決定が届いたことは認識できても、その重さを分かっていない人が多い。異議の訴えを一か月以内に起こさなければ、その決定は確定判決と同一の効力を持つ(145条)。放置した瞬間に、強制執行できる債務名義が一つ完成しているということだ
- 「審尋は形式的なもので、出ても出なくても結論は同じ」と思われがちだが、実際は逆だ。144条2項は審尋を裁判所の義務とし、ここで述べた言い分は記録として残る。審尋を軽く見た側が、後の異議訴訟で使えたはずの防御材料を自ら捨てることになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 民事再生法144条:査定裁判の方式(理由付記・審尋・送達) | 民事再生法143条:査定の裁判そのものの根拠 民事再生法145条:査定決定に対する異議の訴え |
| 誰を守るか | 追及される役員の手続保障(言い分を聞かれる権利・理由を知る権利) | 再生債務者財産(迅速な責任額確定による回収) 役員(通常訴訟で本格的に争う道の確保) |
| 時間との関係 | 送達日が異議期間の起算点になる | 査定申立ての時点で財産散逸との競争が始まる 1か月の不変期間、延長不可 |
| 違反・徒過の効果 | 理由不備・審尋欠如は異議の訴えでの攻撃対象 | 申立て棄却なら決定で理由が示される(144条1項) 徒過すれば確定判決と同一の効力、強制執行可能 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には査定決定型の簡易確定手続がなく、負責人の責任追及は通常の損害賠償訴訟による。日本144条のような理由付記・審尋の法定手続保障も存在しない
韓国は日本法を強く参照し、理事等の責任に関する調査確定裁判を置く。決定に対する異議の訴えの構造も日本145条と近い
ドイツは倒産管財人による通常訴訟で役員責任を追及する。査定決定という簡易手続は用意されておらず、迅速性より審理の充実を優先する設計
米国は倒産裁判所内の adversary proceeding として通常の訴訟手続で審理する。日本の査定決定に相当する決定手続はないが、倒産裁判所への集中管轄という点では機能が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 元取締役のあなたに査定決定書が届いた。賠償額は二千万円。中身が重すぎて、机に放り投げて一週間が過ぎた。だが送達の日から数えた異議の一か月は、刻一刻と減っている。残り三週間を切ってから弁護士に駆け込んで、訴状の準備は本当に間に合うのか
- もし倒産した会社の監督委員として、放漫経営で会社を潰した元社長から損害を取り戻したいとき、何年もかかる本格訴訟しか手がないと思い込んでいないか。査定の裁判を使えば、裁判所が決定一本で責任額を確定してくれる。入口の選び方で、回収できるかどうかが変わる
- 査定決定の理由欄が薄い。「任務懈怠が認められる」とだけ書かれ、具体的な根拠が乏しい。144条1項が理由付記を義務付けている以上、理由不備は異議の訴えで突く格好の急所になる
- 審尋の通知が来たが「どうせ形式だろう」と高をくくって欠席した。あなたの反論は記録に一行も残らないまま決定が下る。後の異議訴訟で「審尋で言わなかったこと」を持ち出しても、後出しと見られて足元を見られる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 役員の任務懈怠を裏付ける資料(取締役会議事録、決算書、資金の流れ)を再生手続の早い段階で確保する2. 監督委員や管財人と連携し、142条の保全処分で役員の財産を先に押さえる、決定が出てから財産を隠されては査定が空振りになる3. 査定の申立てを行い、審尋で役員の言い分を引き出して反論材料に使う4. 査定決定が出たら、役員が一か月の異議期間を徒過するかを注視、徒過すれば確定判決と同一の効力で直ちに強制執行へ進む
訴えられた側:1. 審尋の通知が来たら絶対に欠席しない、ここが言い分を記録に残す最初で最大の機会だ2. 自分の判断が経営判断の原則の範囲内だったこと、損害との因果関係がないことを資料で示す3. 査定決定が届いたら送達日を即確認し、理由欄の弱点を洗い出す4. 不服なら一か月の不変期間内に必ず異議の訴え(145条)を提起する、一日でも過ぎれば決定が確定しもう争えない。訴状準備に時間がかかるため、決定到達の当日に弁護士へ動く
時効(請求できる期限):査定決定に対する異議の訴えは、決定の送達を受けた日から一か月の不変期間内に提起しなければならない(民事再生法145条)。不変期間は裁判所も延長できない。徒過すれば査定決定は確定判決と同一の効力を持ち、強制執行が可能になる
学説
通説:144条は、通常訴訟を省略する簡易な査定手続において、理由付記・審尋・現実の送達という三つの装置により最低限の手続保障を確保する趣旨と解される。理由付記の欠缺や審尋の懈怠は手続違背となり、145条の異議の訴えにおける攻撃防御の対象となる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法の制定に伴い、役員責任査定の裁判(143条)の方式規定として新設。旧和議法にはなかった役員責任の簡易確定手続を導入し、会社更生法の同種規定と並行する構造を採った
- 民事再生法 第143条査定の裁判の根拠規定、本条が定める手続の対象
- 民事再生法 第142条役員財産の保全処分、査定の実効性を支える前提措置
- 民事再生法 第145条査定決定に対する異議の訴え、本条の送達が起算点
- 民事再生法 第10条送達及び公告の原則、本条3項で3項本文の適用を除外
- 会社法 第423条役員等の任務懈怠責任、査定される請求権の実体的根拠
- 破産法 第178条破産手続における役員責任査定の並行規定
- 会社更生法 第100条更生手続における役員責任査定の並行規定
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