民事再生法 第143条(損害賠償請求権の査定の申立て等)
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- 裁判所は、法人である再生債務者について再生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判をすることができる。
- 2.前項に規定する場合において、管財人が選任されていないときは、再生債権者も、同項の申立てをすることができる。
- 3.第一項の申立てをするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。
- 4.裁判所は、職権で査定の手続を開始する場合には、その旨の決定をしなければならない。
- 5.第一項の申立てがあったとき、又は職権による査定の手続の開始決定があったときは、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
- 6.査定の手続(第一項の査定の裁判があった後のものを除く。)は、再生手続が終了したときは、終了する。
この条文の基本情報
損害賠償請求権の査定の申立て等とは何ですか?
定義損害賠償請求権の査定の申立て等とは、民事再生法第143条に定められた規定で、「裁判所は、法人である再生債務者について再生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、役員の責任に基づく…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第143条(損害賠償請求権の査定の申立て等)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第143条の条文原文は「裁判所は、法人である再生債務者について再生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、役員の責任に基づく…」で始まります。
- 民事再生法第143条は第三節 法人の役員の責任の追及に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第143条の前の条は民事再生法第142条です。
- 民事再生法第143条の次の条は民事再生法第144条です。
- 民事再生法第143条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第143条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第143条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/143
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法143条は、再生裁判所が役員の任務懈怠に基づく損害賠償請求権を査定の裁判で確定できると定める。申立ては疎明で足り、査定決定に異議がなければ確定判決と同一の効力を持つ。
Q · 会社が倒産したら、役員は普通の裁判なしで賠償を命じられるの?
原則、疎明で査定が動き、異議がなければ確定します
民事再生法143条により、再生裁判所は再生債務者等の申立てまたは職権で、役員の任務懈怠に基づく損害賠償請求権を査定の裁判で確定できます。申立ては原因事実の疎明で足り(3項)、通常訴訟より起動のハードルが低い一方、査定決定に不服なら送達から1か月の不変期間内に異議の訴え(144条・145条)を起こせます。異議がなければ給付を命ずる確定判決と同一の効力が生じ、役員の個人財産に強制執行が及びます。
解説
会社が民事再生に入った。元取締役のあなたのもとに、ある日「役員責任査定の申立て」という書面が届く。通常の訴訟の訴状ではない。だが効果はそれ以上に重い。会社法423条の任務懈怠責任を、本訴を経ずに、再生裁判所が「査定決定」一本で金額まで確定できる。それが民事再生法143条の正体だ。申立てができるのは再生債務者等、そして管財人がいない監督型なら再生債権者も。申立て側は原因事実を「疎明」すれば足り、本訴の「証明」より一段ハードルが低い。さらにこの申立てがあった瞬間、損害賠償請求権の時効は裁判上の請求があったものとみなされ、完成が止まる。つまり「もう何年も前のことだから時効だろう」という役員の最後の逃げ道も、この一手で塞がれる。
法的な位置づけ
民事再生法143条は役員責任査定の制度を定める規定であり、法人である再生債務者について、役員の任務懈怠に基づく損害賠償請求権を、通常の訴訟によらず再生裁判所の査定の裁判によって確定する手続を規律する。申立ては再生債務者等が行い、管財人不選任の場合は再生債権者も申立てができ、原因事実の疎明を要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.任務懈怠を裏づける資料を疎明レベルで収集 帳簿、取締役会議事録、送金記録、報酬支払記録などを集め、役員の任務懈怠と会社の損害を疎明できるか確認する。査定は疎明で足りるため、完璧な証拠が揃う前でも起動できる
- 2.申立権者を確定して査定を申し立てる 管財人がいる管理型なら管財人に申立てを促し、いない監督型なら143条2項に基づき再生債権者として自ら申し立てる。再生手続が終了すると査定手続も終わるため、手続中の早い段階で動く
- 3.142条の保全処分を同時に申し立てる 役員の財産隠しが疑われるなら、査定の申立てとセットで役員の財産の仮差押え等の保全処分を先に打ち、決定を待つ間に財産を移す時間を与えない
- 4.査定決定後、1か月の不変期間を管理する 査定決定が出たら送達日を即確認し、役員側の異議の訴えの有無を送達から1か月の不変期間で見極める。異議がなく確定すれば強制執行へ進み、異議が出れば本訴で証明が争われる
よくある質問 AI による整理
Q1役員責任査定とは何ですか?
倒産した会社の役員に対する任務懈怠責任を、通常の訴訟によらず再生裁判所が査定の裁判で確定する制度です。民事再生法143条が根拠で、金額まで一気に確定できます。
Q2民事再生法143条の疎明とは何ですか?
裁判官に「確からしい」と思わせる程度の立証で、本訴の「証明」より一段低いハードルです。査定は疎明で起動できるため、完全な証拠を揃える前に手続を始められます。
Q3役員責任査定の異議の訴えはいつまでですか?
査定決定の送達日から1か月の不変期間内です(145条)。この期間を逃すと査定決定が確定判決と同一の効力を持ち、個人財産に強制執行がかかります。
Q4役員責任査定で時効は止まりますか?
止まります。143条5項により、申立て時または職権開始決定時に裁判上の請求があったものとみなされ、時効の完成猶予および更新の効力が生じます。
Q5名目取締役でも役員責任査定の対象になりますか?
なり得ます。登記された取締役は名目でも任務懈怠の名宛人となり、監視義務違反を問われた裁判例があります。関与をやめたら辞任登記まで完了させるべきです。
Q6役員責任査定と保全処分はどう関係しますか?
142条の財産保全処分(仮差押え等)を査定申立てと同時に打つことで、決定を待つ間の役員による財産散逸を防げます。順番が回収率を左右します。
Q7民事再生の監督型と管理型の違いは何ですか?
管財人が選任されるのが管理型、選任されないのが監督型です。監督型では管財人がいないため、再生債権者自身が143条2項で査定を申し立てられます。
Q8会社法423条の任務懈怠とは何ですか?
取締役等が職務上払うべき注意を怠り会社に損害を与えたことを指します。単なる経営の失敗は経営判断原則で守られ、直ちに責任とはなりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が潰れたら、役員は必ず個人で賠償させられるんですか?
必ずではありません。査定で問われるのは会社法423条の任務懈怠、つまり取締役として払うべき注意を怠ったことと、それによる会社の損害です。単に経営に失敗しただけでは責任は生じず、経営判断の原則で守られる場面もあります。実務のポイント:実務では「名ばかり取締役」でも監視義務違反を問われた裁判例があり、登記を残したまま放置するのが一番危ない。報酬ゼロでも名前が登記にある限り査定の対象になりうるので、関与をやめたら必ず辞任登記まで完了させておく
Q2査定決定って、普通の判決と同じ効力があるんですか?
異議の訴えを1か月の不変期間内に起こさなければ、給付を命ずる確定判決と同一の効力を持ちます(民事再生法145条)。つまりそのまま役員の個人財産に強制執行できます。実務のポイント:査定の申立ては「疎明」で足りるので、申立て側は完全な証拠を揃える前に手続を起動できる。役員側がこれを軽く見て異議期間を徒過する事故が実際に起きている。届いた書面が「決定」なら、内容に納得いかなくても、まず1か月以内に異議の訴えを出すのが鉄則
Q3管財人がいない再生でも、債権者が役員を追及できますか?
できます。民事再生では監督型(管財人不選任)が多く、その場合は再生債権者自身が143条2項で査定を申し立てられます。実務のポイント:管理型と違い監督型では誰も役員を追及しないまま手続が進むことがある。債権者が動かなければ役員の責任は事実上不問になりがちなので、回収を諦めたくない債権者は自ら申立人になる選択肢を持っておく。さらに再生手続が終了すると査定手続も終わる(143条6項)ので、動くなら手続中の早い段階で
間違えやすい点 AI による整理
- 「査定は正式な裁判ではないから無視していい」と思う役員がいるが逆だ。査定決定に対し1か月の不変期間内に異議の訴え(144条、145条)を起こさなければ、給付を命ずる確定判決と同一の効力が生じ、そのまま差押えに進む。無視は最悪手である
- 「会社法423条の任務懈怠責任なら知っている」という役員でも、その責任が倒産局面で査定という超特急ルートで実現されることの深刻さを知らない。本訴なら何年もかけて争えるが、査定は疎明で動き出し、反論の時間軸が一気に圧縮される
- 「自分は実際の経営に関与していないから関係ない」という前提そのものが危うい。法律から見れば、登記された取締役は名目でも任務懈怠の名宛人になりうる。あなたが「名前だけ」と思っているその地位が、査定申立ての対象になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 143条:役員責任査定の申立て・要件(疎明・職権・時効) | 144条:損害賠償請求権の査定の裁判の内容 145条:査定決定に対する異議の訴え・確定判決同一効 |
| 手続段階 | 起動段階(申立て/職権開始) | 審理・裁判段階 不服申立て・最終確定段階 |
| 立証の程度 | 原因事実の疎明で足りる(3項) | 査定の裁判で判断 異議の訴えでは通常訴訟と同じ証明が必要 |
| 連動する保全 | 142条の財産保全処分と併用して散逸を防止 | 査定額の確定に接続 1か月の不変期間経過で確定判決同一効 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では負責人の損害賠償責任を公司法23条が定め、重整・破産手続で追及するが、日本のような裁判所の査定決定による一括確定手続は明文化されておらず、通常訴訟によるのが基本
韓国の統合倒産法は会生手続における理事等の責任について調査確定裁判を用意しており、日本の役員責任査定と最も近い並行制度
ドイツでは倒産管財人が Gesamtschaden(総債権者の損害)を集約して役員責任を追及するが、日本のような疎明で起動する査定決定制度ではなく訴訟による
米国では破産管財人が取締役の信認義務違反に基づく請求を提起できるが、簡易な査定決定制度はなく、通常の民事訴訟またはアドバーサリー・プロシーディングによる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 再生手続中の会社の元代表者のあなたに査定の申立書が届いた。やがて査定決定が出れば、異議の訴えを起こせるのは決定送達からわずか1か月の不変期間。これを逃すと査定決定が確定判決と同じ効力を持ち、あなたの個人財産に強制執行がかかる。残された時間は実質一か月しかない
- もし、あなたが取引先の倒産で数千万円を回収できなくなり、その会社の社長が直前に会社の金を私的に流用していたとしたら? 管財人のいない監督型再生なら、債権者であるあなた自身が143条2項で査定を申し立てられる。誰かが動くのを待つ必要はない
- 監督委員が会社の帳簿を精査した。役員が不当に高い報酬を取り続けた形跡があった。査定の申立て一本で、その回収手続が始まる
- 友人が中小企業の名ばかり取締役だった。会社が再生に入り、実権のない友人にまで査定の申立てが及んだ。名前を貸しただけでも、監視義務違反を問われうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 役員の任務懈怠を裏づける資料(帳簿、取締役会議事録、送金記録)を集め、疎明レベルで足りるか確認2. 管財人がいる管理型なら管財人に申立てを促し、いない監督型なら143条2項で再生債権者として自ら申し立てる3. 財産散逸の兆候があれば142条の保全処分を同時に申し立てる4. 査定決定が出たら役員側の異議の訴えの有無を1か月の不変期間で見極め、確定すれば強制執行へ進む
訴えられた側:1. 査定申立書と査定決定の送達日を即確認、異議の訴えは決定送達から1か月の不変期間、これを逃すと確定する2. 任務懈怠の不存在、損害との因果関係の不存在、経営判断原則の適用、過失相殺を主張できるか弁護士と精査3. 名目取締役なら、実際の関与の有無と監視義務の範囲を整理4. 査定は疎明で動くが、異議の訴えでは本訴と同じ証明が要求される、ここで形勢を立て直す余地がある
時効(請求できる期限):査定の申立て自体に固有の出訴期間はないが、対象の損害賠償請求権(会社法423条等)は債権の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年または行使できる時から10年)にかかる。ただし143条5項により、申立て時に裁判上の請求があったものとみなされ時効の完成が猶予される。査定決定に対する異議の訴えは決定の送達日から1か月の不変期間(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:143条の査定は、倒産局面での迅速な役員責任財産の回収要請に応える簡易手続であり、疎明での起動を認める一方、査定決定に対する異議の訴え(144条・145条)で通常訴訟と同じ証明を保障する二段構えにより、迅速性と手続保障の均衡を図るものと解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成29年(2017年)民法債権法改正に伴う整備(令和2年・2020年4月1日施行) 第5項の文言が「時効の中断」から「時効の完成猶予及び更新」へ改められたとみられる。改正回数の全体は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法制定(法律第225号、2000年4月1日施行)により役員責任査定の制度を新設。旧和議法にない簡易迅速な責任追及手続を整備した
- 2.平成29年(2017年) 改正:民法債権法改正に伴う整備(2020年4月1日施行)により、第5項の文言が『時効の中断』から『時効の完成猶予及び更新』へ改められたとみられる。改正回数の全体は人的検証が必要
- 民事再生法 第142条役員の財産に対する保全処分、査定と連動する財産保全
- 民事再生法 第144条損害賠償請求権の査定の裁判等、本条申立てを受けた裁判の内容
- 民事再生法 第145条役員責任査定決定に対する異議の訴え、確定判決同一効と不変期間
- 会社法 第423条取締役等の任務懈怠による損害賠償責任、査定の実体的根拠
- 破産法 第179条破産手続における役員責任査定の並行制度
- 会社更生法 第100条更生手続における役員責任査定の並行制度
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