民事再生法 第166条の2(募集株式を引き受ける者の募集を定める条項に関する許可)
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- 第百五十四条第四項に規定する条項を定めた再生計画案は、再生債務者のみが提出することができる。
- 2.再生債務者は、前項の再生計画案を提出しようとするときは、あらかじめ、裁判所の許可を得なければならない。
- 3.裁判所は、株式会社である再生債務者がその財産をもって債務を完済することができない状態にあり、かつ、当該募集株式を引き受ける者の募集が再生債務者の事業の継続に欠くことのできないものであると認める場合に限り、前項の許可をすることができる。
- 4.前条第三項及び第四項の規定は、第二項の許可の決定があった場合について準用する。
この条文の基本情報
募集株式を引き受ける者の募集を定める条項に関する許可とは何ですか?
定義募集株式を引き受ける者の募集を定める条項に関する許可とは、民事再生法第166条の2に定められた規定で、「第百五十四条第四項に規定する条項を定めた再生計画案は、再生債務者のみが提出することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第166条の2(募集株式を引き受ける者の募集を定める条項に関する許可)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第166条の2の条文原文は「第百五十四条第四項に規定する条項を定めた再生計画案は、再生債務者のみが提出することができる。」で始まります。
- 民事再生法第166条の2は第二節 再生計画案の提出に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第166条の2の前の条は民事再生法第166条です。
- 民事再生法第166条の2の次の条は民事再生法第167条です。
- 民事再生法第166条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第166条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第166条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/166_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法166条の2は、債務超過の株式会社が再生計画で募集株式を発行する場合、株主総会決議に代えて裁判所の許可で足りると定める。既存株主の同意は不要となる。
Q · 民事再生に入った会社は、株主の同意なしに新株を発行できるの?
株主総会は不要で、裁判所の許可があれば発行できます
民事再生法166条の2により、債務超過の株式会社は再生計画で募集株式を発行する条項を定めることができ、会社法199条・309条が本来求める株主総会の特別決議に代えて、裁判所の許可があれば足ります。この計画案を提出できるのは再生債務者だけです(1項)。裁判所が許可するのは、財産で債務を完済できず、かつその増資が事業の継続に欠くことのできないものと認める場合に限られます(3項)。既存株主の同意は不要となり、拒否権は実質的に失効します。
解説
自社株の60% を握っていれば、会社のことは自分の同意なしには何も決まらない。多くの創業者がそう信じている。だが債務超過という一線を越え、会社が民事再生に入った瞬間、その前提は崩れる。民事再生法166条の2は、債務超過の株式会社が新しい出資者を募って株式を発行する条項を再生計画に盛り込むことを認める。しかもその計画案を出せるのは再生債務者だけ(1項)、必要なのは株主総会の特別決議ではなく裁判所の許可(2項)。会社法199条なら絶対に必要だった既存株主の同意が、ここでは丸ごと外れる。裁判所が許可するのは、財産で債務を完済できない状態にあり、かつその増資が事業の継続に欠かせないと認めるときに限られる(3項)。つまり、あなたの株主としての拒否権は、会社が沈み始めた瞬間に静かに失効する。
法的な位置づけ
民事再生法166条の2は、債務超過にある株式会社が再生手続において募集株式を発行するための特則を定める規定である。会社法199条が要求する株主総会決議に代えて裁判所の許可を要件とし、当該条項を含む再生計画案は再生債務者のみが提出できる。裁判所の許可は、財産で債務を完済できず、かつ増資が事業継続に不可欠と認められる場合に限られる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.会社が本当に債務超過かを確認する 3項の許可は債務超過が前提となる。財産評定の結果を取り寄せ、資産評価と負債の突合で、財産をもって債務を完済できない状態か否かを確認する。わずかでも純資産がプラスなら要件が崩れる余地がある
- 2.増資が事業継続に不可欠かを検証する 3項は増資が事業継続に欠くことのできないものであることを要求する。代替の資金調達手段(借入・資産売却・DES 以外の再建策)の有無を洗い出し、不可欠性を否定できる材料を整理する
- 3.裁判所の許可審査の段階で意見を述べる 本条の許可はあらかじめ(計画案提出前に)裁判所が判断する(2項)。許可審査の段階を逃さず、債務超過でないこと、または増資が不可欠でないことを疎明し、許可決定への不服申立ての可否も併せて検討する
- 4.倒産・会社法に強い弁護士へ早期相談する 財産評定が確定すると打てる手が激減する。相談が一か月遅れると許可が出て万事休すになる例が多いため、希薄化後の少数株主としての権利保全も並行して倒産に強い弁護士へ早期に依頼する
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生法166条の2とは何ですか?
債務超過の会社が再生計画で募集株式を発行する際、株主総会決議ではなく裁判所の許可で足りると定める特則です。会社法199条の原則を倒産局面で修正します。
Q2民事再生で増資すると株主はどうなりますか?
既存株主の同意なく新株が発行されるため持株比率が希薄化します。債務超過では株主は経済的価値を実質的に失っており、拒否権も裁判所の許可に置き換わります。
Q3デット・エクイティ・スワップは民事再生で使えますか?
使えます。債権者が債権を出資に振り替えて株主になる手法の器が本条の募集株式の枠組みです。裁判所の許可を得て再生計画に組み込みます。
Q4会社更生と民事再生で株主の扱いはどう違いますか?
会社更生法では株主の権利がほぼ完全に整理対象となります。民事再生は裁判所の許可という歯止めを残す点で中間的な位置づけです。
Q5民事再生の募集株式に株主総会は必要ですか?
不要です。166条の2が会社法199条・309条の株主総会決議要件を排除し、裁判所の許可(2項)に置き換えています。
Q6再生計画の増資に反対する方法はありますか?
株主総会での反対はできません。争う土俵は裁判所の許可審査で、3項の債務超過要件や事業継続への不可欠性を否定できるかが鍵です。
Q7債務超過はどうやって判断されますか?
財産評定により資産と負債を評価し、財産で債務を完済できない状態かを認定します。この結果が固まる前が株主の実質的な争いどころです。
Q8スポンサー型民事再生とは何ですか?
外部の出資者(スポンサー)が再生計画で募集株式を引き受け、資本を注入して事業を再建する手法です。本条がその法的枠組みを支えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1債務超過の会社の株主って、もう何の権利もないんですか?
経済的にはほぼ無価値ですが、形式的な株主の地位は残ります。ただし民事再生で募集株式を発行する場面では、166条の2により株主総会決議が不要となり、あなたの議決権は意思決定に反映されません。実務のポイント:実務は「株主は出資の限りで既に価値を失っている」という前提で動くからこそ同意を外せます。逆に言えば、わずかでも純資産がプラスなら3項の債務超過要件が崩れる余地があり、ここを争える株主は少なくない
Q2創業者の私の株が、勝手に薄められるのを止められないんですか?
株主としての拒否権では止められません。166条の2が株主総会決議を不要にしているからです。止める道があるとすれば、3項の許可要件、つまり「債務超過」か「事業継続への不可欠性」を裁判所の段階で否定することです。実務のポイント:弁護士は希薄化を止めるより「どの段階で動けば間に合うか」をまず見ます。財産評定が固まる前か後かで打てる手が全く違い、相談が一か月遅れると許可が出て万事休すになるケースが多い
Q3スポンサーを入れるのに、なぜ株主総会を開かなくていいんですか?
債務超過の会社では既存株主は出資分の価値を実質的に失っており、残余財産への取り分がゼロだからです。取り分のない者に拒否権を与えると再生そのものが止まる。だから166条の2は株主の同意を裁判所の許可に置き換えました。実務のポイント:会社更生法(より強力な手続)ではこの傾向がさらに徹底され、株主の権利はほぼ完全に整理対象になります。民事再生はその中間で、裁判所の許可という歯止めを残しているのが特徴です
間違えやすい点 AI による整理
- 「筆頭株主だから新株発行は自分の同意なしには通らない」と信じている人が多い。会社法199条・309条ならその通りだ。だが会社が債務超過で民事再生に入ると、166条の2がその同意要件を丸ごと外す。あなたの持株比率は、もはや盾にならない
- 「倒産すれば株主は損をする」ことは誰でも知っている。だがその深刻さを取り違えている。株主が失うのは株の価値だけではない。議決権そのもの、つまり会社の意思決定に関与する力すら、債務超過の局面では実質的に消える。経済的な損失と、支配権の喪失は別物だ
- 「どうやって株主総会でこの増資を阻止するか」という問いの立て方そのものが間違っている。この増資に株主総会は開かれない。戦う土俵は株主総会ではなく、裁判所の許可審査と再生手続の中にある。問いを間違えると、存在しない会議室の前で待ち続けることになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 同意・決定機関 | 166条の2:株主総会不要、裁判所の許可(2項) | 会社法199条:株主総会の決議が必要 会社法309条:特別決議(3分の2以上)が必要 |
| 適用の前提 | 債務超過 + 増資が事業継続に不可欠(3項) | 健全な会社の通常の資金調達 支配権に関わる重要事項の意思決定 |
| 提出・提案権者 | 再生債務者のみが計画案を提出できる(1項) | 取締役会が募集事項を決定・提案 取締役会が総会に議案を上程 |
| 既存株主の拒否権 | 実質的に失効(議決権が反映されない) | 総会で反対票を投じられる 3分の1超を握れば否決できる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は公司重整の重整計画に増資を組み込む枠組みを持ち、重整計画は関係人会議・法院の関与のもとで確定する。株主の権利が計画により調整される点で日本の再生計画と機能が近い
韓国の統合倒産法(回生手続)でも回生計画による新株発行が認められ、株主の同意によらず裁判所の認可で資本構成を変更できる点が日本と類似する
ドイツは倒産計画(Insolvenzplan)に Debt-Equity-Swap を明文で組み込み、株主の権利を計画で調整できる。株主同意を計画認可で代替する構造は本条と機能的に対応する
米国 Chapter 11では再建計画に新株発行を盛り込み、絶対的優先原則とクラムダウンにより反対する株主を拘束できる。本条はこの事業再建型倒産手続の思想を継受している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 創業した IT 企業の株の60% を持っていたあなた。資金繰りが行き詰まり民事再生を申し立てた。再生のスポンサーが現れ、再生計画で大量の新株を引き受けた。気付けばあなたの60% は数 % に希薄化し、経営権は移っていた。株主総会で反対する機会すら、なかった
- もし裁判所が増資の許可を出す前に、あなたが「この会社はまだ債務超過ではない」と主張できたら? 許可の条件(3項)は債務超過と事業継続への不可欠性。財産評定の結果が固まる前のこの数週間が、株主が声を上げられる事実上唯一の窓口になる
- あなたはスポンサー候補。再生会社に出資したいが、旧経営陣と対立する大株主が首を縦に振らない。この枠組みなら、株主の同意は要らない。裁判所の許可だけで道が開く
- 取引先が民事再生に入り、あなたは数千万円の売掛金を抱えている。再生計画にスポンサーの増資条項が入った。その新しい資本が事業を生かすなら、あなたの回収率は上がる。増資が事業継続に不可欠かを見極めるのが、債権者集会でのあなたの仕事になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず会社が本当に債務超過か、財産評定の結果を確認する。3項の許可は債務超過が前提なので、ここが崩れれば増資自体が止まる2. 増資が「事業の継続に欠くことのできないもの」か検証する。代替の資金調達手段があれば、不可欠性を否定する材料になる3. 裁判所の許可審査の段階で意見を述べる機会を探り、許可決定への不服申立て(166条準用部分を要確認)を検討する4. 倒産・会社法に強い弁護士へ早期相談し、希薄化後の少数株主としての権利保全も並行して進める
訴えられた側:1. この条項を入れた再生計画案を出せるのは再生債務者だけ(1項)。スポンサーは債務者と組んで計画を設計する2. 計画案の提出前に、必ず裁判所の許可を得る(2項)。事後の許可は認められない3. 許可を得るため、財産評定で債務超過状態を立証し、かつ増資が事業継続に不可欠であること(他の調達手段では足りないこと)を疎明する(3項) 4. 旧株主の同意は不要だが、不服申立てに備え、不可欠性の根拠資料を厚く準備する
時効(請求できる期限):本条に特定の消滅時効はない。ただし2項により、裁判所の許可は再生計画案を提出する前にあらかじめ得なければならず、事後の許可は認められない。再生計画案の提出自体に裁判所の定める提出期限があり(民事再生法163条等)、スケジュールは再生手続全体の進行に拘束される(最新の運用をご確認ください)
学説
通説:債務超過の会社において既存株主は出資の限りで経済的価値を実質的に失っており、その者に増資の拒否権を残すと再生に不可欠な資本注入が阻害される。ゆえに166条の2は株主総会決議を裁判所の許可に置き換え、許可を債務超過かつ事業継続に不可欠な場合に限定して濫用を防ぐ、と説明される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 改正:会社法制定に伴う関係法律整備により、旧「新株発行」に係る用語・条文構成が「募集株式」の枠組みへ再構成され、再生手続における募集株式発行の特則として整理された(最新の条文構成は e-Gov で要確認)。
- 民事再生法 第154条募集株式の募集を定める条項の根拠規定(4項)
- 民事再生法 第166条募集株式の募集に関する許可手続、本条が3項4項を準用
- 民事再生法 第183条株式会社である再生債務者についての特則(現行効力を要確認)
- 会社法 第199条募集株式発行に株主総会決議を要する原則を倒産時に修正
- 会社法 第309条本来必要な株主総会の特別決議要件を排除
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