民事再生法 第265条(両罰規定)
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法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百五十五条、第二百五十六条、第二百五十八条(第一項を除く。)、第二百五十九条、第二百六十条、第二百六十二条又は第二百六十三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
この条文の基本情報
両罰規定とは何ですか?
定義両罰規定とは、民事再生法第265条に定められた規定で、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百五十五条、第二百五十六条、第二百五十八条(第一項を除く…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第265条(両罰規定)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第265条の条文原文は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百五十五条、第二百五十六条、第二百五十八条(第一項を除く…」で始まります。
- 民事再生法第265条は第十五章 罰則に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第265条の前の条は民事再生法第264条です。
- 民事再生法第265条の次の条は民事再生法第266条です。
- 民事再生法第265条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第265条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第265条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/265
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法265条は両罰規定で、従業者が業務に関し詐欺再生罪等を犯すと、行為者に加え法人にも罰金刑を科す。法人は監督上の過失を推定され、反証しなければ免責されない。
Q · 従業員が勝手にやった犯罪なのに、なぜ会社まで罰金を払うの?
従業者の罪で会社にも罰金。監督を尽くした証明がないと逃れられません
民事再生法265条の両罰規定により、法人の従業者が業務・財産に関して詐欺再生罪(255条)や特定の債権者への担保供与罪(256条)などを犯すと、行為者本人が処罰されるだけでなく、法人にも各本条の罰金刑が科されます。最高裁(最大判昭和32.11.27)は法人の選任・監督上の過失を推定する立場のため、法人が処罰を免れるには、自ら監督を尽くしたと立証しなければなりません。黙っていれば過失ありと扱われます。
解説
資金繰りに行き詰まった会社が民事再生を申し立てる。その土壇場で、経理担当者が会社を守ろうと帳簿から一部の財産を隠した。詐欺再生罪(255条)だ。あなたは「やったのは担当者個人、会社は巻き込まれた被害者みたいなもの」と思うかもしれない。だが265条はそう考えない。従業員がその会社の業務に関して255条以下の罪を犯せば、行為者本人を罰するだけでなく、会社そのものにも罰金刑が科される。これが両罰規定だ。さらに厄介なのは、最高裁が「会社は従業員の選任・監督を怠った過失がある」と推定する立場を取っている点(最大判昭和32.11.27)。つまり会社が処罰を免れるには、自ら「監督に落ち度はなかった」と証明しなければならない。黙っていれば過失ありと扱われる。会社を救うはずの再生手続が、対応を誤れば会社に前科を付ける刃に変わる。
法的な位置づけ
民事再生法265条は両罰規定を定める規定であり、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、その法人の業務または財産に関して255条以下の一定の犯罪を行った場合に、実際の行為者を処罰するとともに、法人に対しても各本条所定の罰金刑を科す旨を規定する。法人処罰の根拠は選任・監督上の過失に求められる。
よくある質問 AI による整理
Q1両罰規定とは何ですか?
法人の従業者が業務に関して犯罪を行った場合に、行為者本人を罰するだけでなく、法人にも罰金刑を科す仕組みです。民事再生法265条をはじめ、多くの行政刑法・経済刑法に置かれています。
Q2民事再生法265条の対象となる犯罪は?
詐欺再生罪(255条)、特定の債権者への担保供与等の罪(256条)、報告・検査拒絶等(258条)、物件隠滅等(259条)、贈賄罪(260条)などです。これらの違反があると法人にも罰金が及びます。
Q3両罰規定で会社が処罰を免れる方法はありますか?
あります。最高裁は法人の過失を推定しますが、これは反証可能です。社内規程・研修記録・決裁フローなどで選任・監督を尽くしたと立証できれば、法人は免責されます。
Q4会社に科される罰金の時効は何年ですか?
法人に科されるのは罰金刑のみで、その公訴時効は原則3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。行為者本人はより重い罪に応じて時効が長くなることが多いです(最新の改正状況をご確認ください)。
Q5両罰規定は民事再生法以外にもありますか?
あります。破産法・会社更生法のほか、独占禁止法、税法、労働基準法、廃棄物処理法など、ほぼすべての行政取締法規に同じ両罰の構造が組み込まれています。
Q6破産法にも両罰規定はありますか?
あります。破産手続・会社更生手続にも同趣旨の両罰規定が置かれており、詐欺破産罪等の違反について法人に罰金刑が科される構造は共通です(条番号・現行効力は個別にご確認ください)。
Q7両罰規定の『従業者』はどこまで含みますか?
代表者・代理人・使用人その他の従業者が広く含まれます。役員だけでなく、正社員・契約社員なども、その法人の業務・財産に関して犯した行為であれば対象になり得ます。
Q8法人に前科が付くと事業にどう影響しますか?
法人にも前科は残り、公共工事の入札参加資格、金融機関の融資審査、許認可の更新で不利に働くことがあります。罰金額そのものより、この副作用が経営に効きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1従業員が勝手にやったことなのに、なぜ会社まで罰金を払うんですか?
両罰規定(265条)は、会社が従業員の選任・監督を怠った点に会社自身の過失を見ます。最高裁は会社の過失を推定する立場ですが(最大判昭和32.11.27)、会社が「監督に落ち度はなかった」と証明できれば免責されます。実務のポイント:この過失の推定は反証可能です。事件後に慌てても遅く、研修記録や内部規程、決裁ログを平時から文書で残している会社だけが反証に成功する。検察も、まともな監督体制の証拠が出てくると立件をためらう。
Q2会社への罰金って、前科みたいなものですか?営業に影響しますか?
法人にも前科は付き、影響は罰金額だけにとどまりません。公共工事の入札参加資格、金融機関の融資審査、許認可の更新で不利に働くことがあります。実務のポイント:罰金の額そのものより、この副作用のほうが経営に効きます。だからこそ、起訴前の段階で監督体制を主張して不起訴に持ち込めるかが勝負所。起訴され略式命令で罰金が確定した後では、前科の記録は消せない。
Q3社長が知らなければ会社は処罰されませんか?
社長個人が知らなくても、会社の処罰は免れません。両罰規定は経営トップの認識ではなく、組織として選任・監督義務を尽くしたかで判断されるからです。実務のポイント:「社長は知らなかった」は会社の免責理由になりません。むしろ知る仕組みがなかったこと自体が監督義務違反と評価されうる。トップが何も知らずに済んでいた体制こそ危ない。
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社は犯罪の主体ではないから処罰されない」と考える人が多いが、この問いの立て方自体が誤っている。両罰規定は会社を独立した処罰の対象に据える。会社が犯罪を「決定」したかではなく、従業員の選任・監督を尽くしたかが問われる土俵に、最初から会社は立たされている
- 両罰規定の存在は知っていても、会社が処罰を免れる出口があることまでは知られていない。最高裁は会社の過失を「推定」するが、これは反証可能だ(最大判昭和32.11.27)。監督に落ち度がなかったと立証できれば会社は免責される。出口を知らない経営者は、最初から諦めて罰金を受け入れてしまう
- 「罰金だけだから大したことはない」と軽く見られがちだが、法人にも前科は残る。効くのは罰金額そのものより、その後だ。公共工事の入札参加資格、金融機関の融資審査、許認可の更新で不利に働き、再生中の会社の息の根を止めかねない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 265条:両罰規定(法人を処罰する枠組み) | 255条:詐欺再生罪(実体犯罪の構成要件) 256条:特定の債権者への担保供与等の罪 |
| 処罰の対象 | 行為者に加えて法人にも罰金刑 | 違反行為をした行為者本人 違反行為をした行為者本人 |
| 成立の要否・免責 | 選任・監督上の過失を推定、反証できれば法人は免責 | 構成要件該当と故意等で成立、過失推定の枠組みはない 構成要件該当と故意等で成立、過失推定の枠組みはない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も多数の行政刑法に法人両罰規定を置くが、倒産法制に特化した包括的な両罰規定は現行破産法には整備されていない。個別法規ごとに散在する点が日本と異なる
韓国は日本の両罰規定を継受した양벌규정を持ち、倒産法制にも同趣旨の法人処罰規定を置く。過失推定・免責の枠組みも日本と類似する
ドイツは伝統的に法人の刑事責任を認めず、法人にはOWiG § 30の過料(Geldbuße)と§ 130の監督義務違反で対応する。倒産犯罪はStGBのBankrottdelikteが規律する
米国はrespondeat superiorにより法人の刑事責任を広く認め、被用者が職務の範囲内で法人の利益のため行った犯罪を法人に帰責する。倒産詐欺は18 U.S.C. § 152が規律する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 再生手続中、あなたは社長に頼まれて、特定の取引先にだけこっそり担保を差し入れた(256条、特定の債権者に対する担保供与等)。行為者として起訴されるのはあなただが、265条により会社にも罰金が科される。あなた一人の判断が、会社全体を被告人席に座らせる
- もし経理担当が、再生申立ての直前に会社財産を親族名義に移していたら? 詐欺再生罪(255条)の行為者は担当者だが、会社は「監督を怠った」と推定され、罰金刑のリスクを負う。会社が逃れるには、自ら監督を尽くした証拠を出すしかない
- 監督委員の調査に、現場の従業員が「資料は残っていない」と嘘をついた(258条、報告・検査拒絶等)。行為者は従業員。だが罰金は会社にも届く。
- 捜査機関から、会社に対する任意の事情聴取の連絡が入った。応じるまで残り数日。この間に監督体制の記録を整理し、会社の弁護方針を行為者本人と切り離せるかが、会社に前科が付くかどうかを分ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが債権者で、再生債務者による財産隠匿や一部債権者への偏った担保供与の疑いを掴んだら、まず証拠(帳簿、登記、振込履歴)を保全する2. 監督委員や裁判所に情報提供し、否認権の行使(民事再生法127条)を促す3. 刑事は告発を検討。255条以下の罪は265条で会社にも罰金が及ぶが、罰金は国庫に入るため、あなたの債権回収は別途民事で進める4. 刑事手続での事実認定は民事の証拠にも使えるので、両輪で動かす
訴えられた側:1. 会社として聴取・捜索を受けたら、行為者本人の弁護人とは別に会社の弁護人を立て、利害を切り分ける2. 過失推定を覆す材料に集中する:社内規程、研修記録、決裁・承認フロー、過去の指導歴3. 行為者の独断専行であり会社の監督は尽くされていた、という筋を文書で立証する4. 起訴前の段階で検察に監督体制を示し、不起訴・起訴猶予を狙う。法人の前科は入札・融資に響くため、起訴前が決定的な勝負どころ
時効(請求できる期限):会社に科されるのは罰金刑のみで、その公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号、罰金にあたる罪)。起算点は違反行為が終わった時。行為者本人は犯した罪(例:詐欺再生罪は拘禁刑5年以下)に応じて時効が異なり、会社より長いことが多い(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(過失推定説):両罰規定による法人処罰の根拠を、従業者の選任・監督上の過失に求める見解。無過失で法人を処罰すれば責任主義に反するため、法人の過失を推定しつつ反証を許すことで、法人処罰と責任主義を調和させる。判例・実務の基礎となっている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)の制定に伴い、詐欺再生罪等の各罰則とあわせて両罰規定を新設。従来の和議法に代わる再生手続の実効性を刑事面から担保する趣旨。
- 民事再生法 第255条詐欺再生罪、両罰規定の対象となる中核犯罪
- 民事再生法 第256条特定の債権者への担保供与等の罪
- 民事再生法 第259条業務・財産状況に関する物件の隠滅等の罪
- 民事再生法 第260条監督委員等に対する贈賄罪
- 破産法 第277条破産手続における同趣旨の両罰規定(現行効力を要確認)
- 会社更生法 第272条更生手続における同趣旨の両罰規定(現行効力を要確認)
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