法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百五十五条、第二百五十六条、第二百五十八条(第一項を除く。)、第二百五十九条、第二百六十条、第二百六十二条又は第二百六十三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
要点民事再生法265条は両罰規定で、従業者が業務に関し詐欺再生罪等を犯すと、行為者に加え法人にも罰金刑を科す。法人は監督上の過失を推定され、反証しなければ免責されない。
Q · 従業員が勝手にやった犯罪なのに、なぜ会社まで罰金を払うの?
従業者の罪で会社にも罰金。監督を尽くした証明がないと逃れられません
民事再生法265条の両罰規定により、法人の従業者が業務・財産に関して詐欺再生罪(255条)や特定の債権者への担保供与罪(256条)などを犯すと、行為者本人が処罰されるだけでなく、法人にも各本条の罰金刑が科されます。最高裁(最大判昭和32.11.27)は法人の選任・監督上の過失を推定する立場のため、法人が処罰を免れるには、自ら監督を尽くしたと立証しなければなりません。黙っていれば過失ありと扱われます。
資金繰りに行き詰まった会社が民事再生を申し立てる。その土壇場で、経理担当者が会社を守ろうと帳簿から一部の財産を隠した。詐欺再生罪(255条)だ。あなたは「やったのは担当者個人、会社は巻き込まれた被害者みたいなもの」と思うかもしれない。だが265条はそう考えない。従業員がその会社の業務に関して255条以下の罪を犯せば、行為者本人を罰するだけでなく、会社そのものにも罰金刑が科される。これが両罰規定だ。さらに厄介なのは、最高裁が「会社は従業員の選任・監督を怠った過失がある」と推定する立場を取っている点(最大判昭和32.11.27)。つまり会社が処罰を免れるには、自ら「監督に落ち度はなかった」と証明しなければならない。黙っていれば過失ありと扱われる。会社を救うはずの再生手続が、対応を誤れば会社に前科を付ける刃に変わる。
民事再生法265条は両罰規定を定める規定であり、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、その法人の業務または財産に関して255条以下の一定の犯罪を行った場合に、実際の行為者を処罰するとともに、法人に対しても各本条所定の罰金刑を科す旨を規定する。法人処罰の根拠は選任・監督上の過失に求められる。
法人の従業者が業務に関して犯罪を行った場合に、行為者本人を罰するだけでなく、法人にも罰金刑を科す仕組みです。民事再生法265条をはじめ、多くの行政刑法・経済刑法に置かれています。
詐欺再生罪(255条)、特定の債権者への担保供与等の罪(256条)、報告・検査拒絶等(258条)、物件隠滅等(259条)、贈賄罪(260条)などです。これらの違反があると法人にも罰金が及びます。
あります。最高裁は法人の過失を推定しますが、これは反証可能です。社内規程・研修記録・決裁フローなどで選任・監督を尽くしたと立証できれば、法人は免責されます。
法人に科されるのは罰金刑のみで、その公訴時効は原則3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。行為者本人はより重い罪に応じて時効が長くなることが多いです(最新の改正状況をご確認ください)。
あります。破産法・会社更生法のほか、独占禁止法、税法、労働基準法、廃棄物処理法など、ほぼすべての行政取締法規に同じ両罰の構造が組み込まれています。
あります。破産手続・会社更生手続にも同趣旨の両罰規定が置かれており、詐欺破産罪等の違反について法人に罰金刑が科される構造は共通です(条番号・現行効力は個別にご確認ください)。
代表者・代理人・使用人その他の従業者が広く含まれます。役員だけでなく、正社員・契約社員なども、その法人の業務・財産に関して犯した行為であれば対象になり得ます。
法人にも前科は残り、公共工事の入札参加資格、金融機関の融資審査、許認可の更新で不利に働くことがあります。罰金額そのものより、この副作用が経営に効きます。
両罰規定(265条)は、会社が従業員の選任・監督を怠った点に会社自身の過失を見ます。最高裁は会社の過失を推定する立場ですが(最大判昭和32.11.27)、会社が「監督に落ち度はなかった」と証明できれば免責されます。業界裏話ヒント:この過失の推定は反証可能です。事件後に慌てても遅く、研修記録や内部規程、決裁ログを平時から文書で残している会社だけが反証に成功する。検察も、まともな監督体制の証拠が出てくると立件をためらう。
法人にも前科は付き、影響は罰金額だけにとどまりません。公共工事の入札参加資格、金融機関の融資審査、許認可の更新で不利に働くことがあります。業界裏話ヒント:罰金の額そのものより、この副作用のほうが経営に効きます。だからこそ、起訴前の段階で監督体制を主張して不起訴に持ち込めるかが勝負所。起訴され略式命令で罰金が確定した後では、前科の記録は消せない。
社長個人が知らなくても、会社の処罰は免れません。両罰規定は経営トップの認識ではなく、組織として選任・監督義務を尽くしたかで判断されるからです。業界裏話ヒント:「社長は知らなかった」は会社の免責理由になりません。むしろ知る仕組みがなかったこと自体が監督義務違反と評価されうる。トップが何も知らずに済んでいた体制こそ危ない。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 265条:両罰規定(法人を処罰する枠組み) | — |
| 処罰の対象 | 行為者に加えて法人にも罰金刑 | — |
| 成立の要否・免責 | 選任・監督上の過失を推定、反証できれば法人は免責 | — |
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