要点民事再生法 42 条は、再生手続開始後の営業又は事業の全部若しくは重要な一部の譲渡に裁判所の許可を要求する。許可は事業の再生に必要と認められる場合に限られ、債権者と労働組合等への意見聴取が必須である。
Q · 民事再生に入った会社は、もうかっている事業を勝手に売って現金化できるの?
できません。裁判所の許可が要り、再生に必要な場合に限られます
民事再生法 42 条 1 項により、再生手続開始後に営業又は事業の全部若しくは重要な一部を譲渡するには裁判所の許可が必要です。しかも裁判所は「当該再生債務者の事業の再生のために必要である」と認める場合に限って許可できます。許可の前には、知れている再生債権者(債権者委員会があればその委員会)の意見(2 項)と、労働組合等の意見(3 項)を聴かなければなりません。許可を得ずにした行為は、41 条 2 項の準用によりその効力を否定されうるため(4 項)、買い手側にとっても重大なリスクとなります。
民事再生を申し立てた会社の経営者なら、こう考えるかもしれない。「裁判所の手続に入ったとはいえ、会社はまだ自分のものだ。一番もうかっている事業部門を別会社に高く売って、その金で借金を整理すればいい」。ここが落とし穴である。民事再生法 42 条は、再生手続が始まった後、営業や事業の全部または重要な一部を譲渡するには裁判所の許可が必要だと定める。しかも裁判所は「その譲渡が事業の再生のために必要だ」と認めた場合に限ってしか許可を出さない。あなたが優良部門を切り売りして撤退するための譲渡なら、許可は下りない。さらに裁判所は許可の前に、知れている再生債権者の意見と、労働組合等の意見を聴かなければならない。つまり、あなたが事業を売る話は、あなたの債権者と従業員の耳に必ず届く。そして許可を得ずに勝手に売れば、その譲渡は無効として扱われる余地がある(41 条 2 項の準用)。再生手続中の会社は、もう経営者の独断で動く船ではない。
民事再生法 42 条は、再生手続開始後における再生債務者等の営業又は事業の全部若しくは重要な一部の譲渡、及び子会社等の株式又は持分の譲渡について、裁判所の許可を要件とする規定である。許可は事業の再生のために必要と認められる場合に限られ、許可に先立ち再生債権者及び労働組合等からの意見聴取が義務づけられる。
条文に数値基準はありません。譲渡対象が再生債務者の事業全体に占める売上・資産・従業員規模、再生計画への影響などを総合して判断されます。範囲が微妙なら許可を取る側に倒すのが実務です。
42 条 4 項が 41 条 2 項を準用するため、許可なき行為は効力を否定されうる扱いになります。買い手にとっても、取引そのものが後から崩れる重大なリスクです。
42 条 1 項 2 号により、会社法 2 条 3 号の 2 の子会社等の株式又は持分の譲渡も、一定の要件に該当する場合には許可が必要です。親会社本体の事業譲渡だけを見ていると見落とします。
42 条は事業譲渡そのものに裁判所の許可を要求する統制規定です。43 条は事業譲渡に必要な株主総会の特別決議を裁判所の許可(代替許可)で代えられる規定で、機能が逆方向です。
譲渡契約書案、譲渡対象の範囲と評価資料、譲渡代金の使途と配当原資への反映、雇用承継の方針、譲渡が再生に不可欠である理由の説明書などが典型です。裁判所・監督委員と事前に詰めます。
42 条 2 項ただし書により、知れている再生債権者全員ではなく債権者委員会(117 条 2 項)の意見を聴けば足ります。意見聴取の負荷と所要時間が大きく減ります。
手続ごとに根拠条文が異なります。民事再生は経営権が残る DIP 型のため 42 条で事前統制し、破産は管財人、会社更生は更生管財人が財産を管理する構造になっています。
42 条 3 項の「労働組合等」には、組合がない場合の労働者の過半数を代表する者が含まれえます。組合の有無だけで意見を述べる機会が消えるわけではありません。
経営権は残りますが「自由」ではありません。民事再生法 42 条により、営業・事業の全部または重要な一部の譲渡には裁判所の許可が必要で、しかも『事業の再生のために必要』と認められた場合に限られます。業界裏話ヒント:実務では、どこまでが『重要な一部』に当たるかが最初の争点になります。範囲を狭く解釈して許可を取らずに進めると、後で 41 条 2 項準用により譲渡の効力を否定されかねない。専門家は迷ったら許可を取る側に倒します
通るとは限りません。裁判所は『当該再生債務者の事業の再生のために必要であると認める場合に限り』許可できると 42 条 1 項が明記しています。優良部門を切り売りして撤退するだけの譲渡は、再生に必要とは認められにくい。業界裏話ヒント:許可の実質的なハードルは『譲渡代金が債権者の配当にどう貢献するか』と『雇用がどう承継されるか』です。スポンサー型再生で許可を取りたいなら、この二点のストーリーを先に作り込むと通りやすい
原則は知れている再生債権者の意見を聴きますが、債権者委員会(117 条)があるときは、その委員会の意見を聴けば足ります(42 条 2 項ただし書)。意見を述べる機会は裁判所が許可を出す前です。業界裏話ヒント:意見聴取は許可前の一回が勝負。許可が出てしまえば譲渡は進みます。だから債権者にとっては、委員会に入って継続的に情報を取るのが、単発の意見より遥かに効く防御策です
いいえ。42 条 3 項により、裁判所は許可をする場合に労働組合等の意見を聴かなければなりません。雇用の承継条件などについて、許可前に声を上げる法的な窓口があります。業界裏話ヒント:組合がない職場でも『労働者の過半数を代表する者』が意見聴取の対象になりえます。事業譲渡で雇用が宙に浮きそうなら、代表者を立てて意見を出す権利を行使できる。黙っていると、その機会は許可とともに閉じます
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 42 条:再生手続開始後の営業・事業の全部又は重要な一部の譲渡、子会社等株式の譲渡 | — |
| 許可の実質要件 | 「当該再生債務者の事業の再生のために必要であると認める場合」に限る | — |
| 意見聴取の相手方 | 知れている再生債権者(債権者委員会があればその委員会)+労働組合等 | — |
| 許可なき行為の効力 | 4 項が 41 条 2 項を準用し、効力を否定されうる | — |
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