不動産登記法 第38条(土地の表題部の更正の登記の申請)
クイックジャンプ
第二十七条第一号、第二号若しくは第四号(同号にあっては、法務省令で定めるものに限る。)又は第三十四条第一項第一号、第三号若しくは第四号に掲げる登記事項に関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
この条文の基本情報
土地の表題部の更正の登記の申請とは何ですか?
定義土地の表題部の更正の登記の申請とは、不動産登記法第38条に定められた規定で、「第二十七条第一号、第二号若しくは第四号(同号にあっては、法務省令で定めるものに限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第38条(土地の表題部の更正の登記の申請)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第38条の条文原文は「第二十七条第一号、第二号若しくは第四号(同号にあっては、法務省令で定めるものに限る。」で始まります。
- 不動産登記法第38条は第二款 土地の表示に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第38条の前の条は不動産登記法第37条です。
- 不動産登記法第38条の次の条は不動産登記法第39条です。
- 不動産登記法第38条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第38条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第38条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法38条は、土地の所在・地目・地積などの更正の登記を、表題部所有者または所有権の登記名義人しか申請できないと定める。第三者に申請適格はなく、申請義務もない。
Q · 登記簿の面積が実際と違うとき、買主や隣の人が直してもらうことはできますか?
できません。申請できるのは名義人だけです
不動産登記法38条により、土地の所在・地目・地積などの更正の登記を申請できるのは、表題部所有者または所有権の登記名義人に限られます。隣地所有者、買主、抵当権者、賃借人は誤りを発見しても自ら申請できません。さらに更正の登記には37条のような1か月の申請義務も過料もないため、名義人が動かなければ誤りは残り続けます。第三者に残された手段は、筆界特定の申請(131条)や境界確定訴訟という別ルートだけです。
解説
登記簿の地積が実測と合わない土地は、日本中にいくらでもある。明治期の地租改正でつくられた図面がそのまま生きている地域では、数十平方メートルずれていることも珍しくない。では誰がそれを直せるのか。38条の答えは冷たい。表題部所有者か所有権の登記名義人、その二者以外は申請できない。隣地の所有者でも、買主でも、抵当権者でも、賃借人でも、地積や地目の誤りを見つけたところで自分の手で直すことはできない。しかも更正の登記には申請義務がない。37条の変更登記が1か月以内の申請を義務づけ、怠れば過料の対象になるのとは対照的に、当初からの誤りは放置しても誰も罰されない。あなたが買おうとしている土地の登記が何十年も誤ったままなのは、誰かの怠慢ではなく、この制度設計の帰結である。
法的な位置づけ
不動産登記法38条は、表示に関する登記事項の更正の登記についての申請適格を定める規定である。所在・地目・地積および法務省令で定める表題部の登記事項に当初から錯誤または遺漏がある場合、その更正を申請できるのは表題部所有者または所有権の登記名義人に限られ、隣接地所有者その他の第三者は申請権を有しない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.誤りが当初からのものか後発的変化かを切り分ける 登記事項証明書と地積測量図を取得し、記載の誤りが登記当初から存在したのか、後から地目や形状が変わったのかを判別する。前者は38条の更正の登記、後者は37条の変更の登記であり、申請義務の有無も手続も異なる
- 2.自分に申請適格があるかを確定させる 対象不動産の表題部所有者または所有権の登記名義人が自分自身かを確認する。他人名義であれば38条により申請できないため、筆界特定の申請(131条)または境界確定訴訟へ方針を切り替える
- 3.土地家屋調査士に見積もりを依頼する 表示に関する登記の調査・測量・申請代理は土地家屋調査士の業務である。見積依頼時に隣接する筆数、道路や水路との官民境界の有無、相続未了の隣地があるかを先に伝えると、費用と期間の精度が上がる
- 4.隣接地所有者の立会いと筆界確認書を取得する 地積更正では隣接地所有者の筆界確認書が事実上不可欠であり、費用の大半は測量そのものより立会い調整に費やされる。隣地が相続で共有者多数になる前に着手するほど成功率が上がる
- 5.更正の登記を申請し、売買契約に費用負担を書き込む 管轄法務局に更正の登記を申請する。売買を伴う場合は、契約締結前に「決済までに売主の費用で地積更正登記を完了する」旨を特約として書面化しておく。決済後は申請適格が買主に移り、費用も交渉力も失われる
よくある質問 AI による整理
Q1更正の登記とは何ですか?
登記された事項が当初から誤っていた場合に、それを正しい内容に改める登記です。後から現況が変わった場合の変更の登記とは、根拠条文も申請義務の有無も異なります。
Q2地積更正登記は誰が申請できますか?
不動産登記法38条により、表題部所有者または所有権の登記名義人だけです。買主、隣地所有者、抵当権者、賃借人には申請適格がなく、誤りを指摘することしかできません。
Q3登記簿の面積と実測が違うのはなぜですか?
明治期の地租改正で作られた図面が現在も基礎になっている地域が多く、測量精度が現代と大きく異なるためです。数十平方メートルのずれも珍しくありません。
Q4地積更正登記の費用はいくらかかりますか?
土地家屋調査士への報酬と測量費で数十万円規模になることが多く、隣接する筆数、官民境界の有無、立会い調整の難易度で大きく変動します(最新の相場はご確認ください)。
Q5更正の登記に期限はありますか?
ありません。37条の変更登記が1か月以内の申請義務と過料を定めるのとは対照的に、当初からの誤りの更正には期限も義務も罰則も置かれていません。
Q6隣の土地の登記面積が間違っているときはどうする?
38条により他人名義の更正は申請できません。境界そのものを争うなら筆界特定の申請(131条)か境界確定訴訟という別の入口を使います。入口を間違えると時間と費用を失います。
Q7登記の地積が実測より少ないと代金は減額されますか?
契約が公簿売買か実測売買かで結論が変わります。公簿売買なら原則精算しない扱いが一般的で、実測売買なら差分を単価で精算します。契約書の記載が決定的です。
Q8地目が現況と違うと売買はできませんか?
売買自体は可能ですが、地目が田・畑のままだと農地法の手続や非農地証明が必要になり、決済が数か月止まることがあります。是正を申請できるのは名義人だけです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1法務局に電話して「うちの土地、面積が間違ってます」って言えば直してもらえないんですか?
原則として直りません。表示に関する登記の錯誤は名義人の申請で是正するのが建前であり(38条)、登記官の職権更正(28条)は地図整備や地籍調査の成果送付など限られた場面でしか動きません。実務のポイント:地籍調査(国土調査法20条)が実施された地区では、成果に基づき職権で地積が更正され、自費の測量が不要になります。自分の土地が調査予定地区に入っているかは市町村の地籍調査担当課で確認でき、数十万円の測量費を数年待つだけで回避できる場合があります(進捗状況は最新をご確認ください)。
Q2地積更正の登記って、司法書士さんに頼めばいいんですよね?
違います。表示に関する登記の調査・測量・申請代理は土地家屋調査士の業務であり(土地家屋調査士法3条)、司法書士の本業は権利に関する登記です。頼む相手を間違えると断られるか、別途調査士を紹介されて窓口が二重になります。実務のポイント:地積更正は隣接地所有者の筆界確認書が事実上不可欠で、費用の大半は測量そのものより立会い調整です。見積依頼時に「隣接が何筆か」「道路や水路との官民境界を含むか」を先に伝えると精度が上がります。官民査定が入ると期間は半年以上に伸びます。
間違えやすい点 AI による整理
- 「登記が間違っているなら法務局に言えば直してくれる」という問いの立て方そのものがずれている。表示に関する登記の誤りは原則として名義人の申請で直すものであり、登記官の職権による更正(28条)は地図整備や地籍調査の成果送付など、限られた場面で発動する例外にすぎない。誰かが申請しない限り、誤りは半永久的に残る。
- 更正と変更が別物であることを知っている人でも、申請義務の有無まで違うことは見落としやすい。地目が後から変わった場合は1か月以内の申請義務があり、怠れば10万円以下の過料の対象(37条、164条)。ところが当初から誤っていた場合の更正には、期限も義務も罰則も一切ない。「直せる」と「直さなければならない」の間には、制度上の深い断絶がある。
- あなたから見れば「隣の登記面積が水増しされていて、うちの敷地に食い込んでいる」という territorial な侵害に見える。だが法律から見れば、それは38条の申請適格の問題ですらなく、筆界特定または境界確定訴訟で処理すべき別トラックの争いである。この入口の取り違えで、無駄な数か月と相談料を失う人が毎年出ている。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる状況 | 38条:登記当初から所在・地目・地積等に錯誤・遺漏がある | 37条:登記後に地目・地積が現実に変化した 28条:登記官が職権で表示に関する登記をする場面 |
| 申請できる人 | 表題部所有者または所有権の登記名義人のみ | 表題部所有者または所有権の登記名義人 申請不要、登記官の職権発動 |
| 申請義務と制裁 | 義務なし、期限なし、過料なし | 変更後1か月以内の申請義務、怠れば過料の対象(164条) 義務の概念なし、地図整備・地籍調査成果送付等の限られた場面 |
| 第三者が動かしたいとき | 自ら申請不可、名義人との交渉か筆界特定(131条)へ | 自ら申請不可、名義人への働きかけのみ 地籍調査の実施地区に入れば自費測量なしで是正され得る |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は登記錯誤・遺漏の更正について、登記人員だけでなく利害関係人にも書面による申請の道を開き、上級機関の査明核准を要件とする。申請適格を名義人に閉じる日本38条とは設計思想が異なる
韓国も日本統治期の制度を出発点とするため構造は近いが、登記官の職権による更正と当事者への通知の枠組みが条文上明示されている点に差異がある(詳細は現行条文の確認が必要)
権利者だけでなく利害関係人も更正登記を申請でき、登記名義人が同意しない場合は異議登記という別の受け皿が用意されている。第三者に申請適格を認めない日本38条との最も鮮明な対照点
ドイツでは登記の不正確によって権利を害される者に実体法上の更正請求権(BGB § 894)が与えられ、相手方の承諾または判決をもって登記所へ申請できる。第三者に実体的な是正手段を用意する点で日本より開かれている
米国の recording system は登記官による審査が薄く、記載の誤りや境界の争いは原則として裁判所の quiet title 訴訟で処理される。行政手続としての更正登記に相当する制度は薄い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 決済まであと3週間。買主側の測量結果が「登記地積より実測が18平方メートル少ない」と出たとき、誰が更正の登記を申請するのか。答えは現在の名義人、つまり売主だけである。売主が動かないと決めた瞬間、あなたに残るのは公簿売買のまま買うか、契約から降りるかの二択になる。
- 相続した山林の地目が「原野」のままで、買い手から更正を求められた。測量費は数十万円。申請できるのは名義人であるあなただけなので、費用を誰が持つかの交渉はここから始まる。
- 隣地との境界杭が明らかにずれていて、しかも隣の登記地積が実際より大きい。腹が立って法務局に駆け込んでも、あなたには隣人の表題部を更正させる申請権が最初から存在しない。動かせるのは筆界特定の申請(不動産登記法131条)か境界確定訴訟という、まったく別の入口だけである。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書と地積測量図を取得し、誤りが当初からのものか後発的変化かを切り分ける(前者は更正、後者は変更で手続が違う) 2. 誤りが他人名義の土地にあるなら、38条により自分では申請できないと確定させ、筆界特定(131条)か境界確定訴訟に方針を切り替える3. 自分が買主の立場なら、契約締結前に「決済までに売主の費用で地積更正登記を完了する」旨を特約として書面化4. 面積不足による代金精算を狙うなら、公簿売買か実測売買かを契約書上で明確にしておく
訴えられた側:1. 更正を求められても、法律上あなたに申請義務はない点をまず確認する(義務があるのは37条の変更登記) 2. その上で、応じないと売買が成立しない・相続人間で分割協議が進まないなど、実質的な不利益の有無を計算する3. 応じる場合は土地家屋調査士に見積もりを取り、隣接地の筆数と官民境界の有無を先に伝えて費用と期間を把握4. 費用負担は交渉事項であり、申請適格を独占している立場は交渉材料になる。無条件で全額を被る必要はない
時効(請求できる期限):更正の登記そのものに申請期限はなく、37条のような1か月の義務規定も過料も置かれていない。特定の時効はないが、関連する金銭請求には期限がある。売買における面積不足の代金精算は一般消滅時効(民法166条、権利を行使できると知った時から5年または行使できる時から10年)。なお数量不足は民法566条の「1年以内の通知」の対象外とするのが一般的な理解であり、種類・品質の不適合とは起算の扱いが異なる(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
通説:38条の申請適格の限定は、表示に関する登記が不動産の物理的同一性を公示するものであり、第三者による自由な書換えを許せば他人の権利対象そのものが操作されかねないという危険を根元で断つ趣旨と理解されている
通説:更正の登記は当初からの錯誤・遺漏を対象とし、後発的変化を対象とする変更の登記と峻別される。両者は根拠条文だけでなく申請義務および過料の有無においても扱いが異なり、実務上の切り分けが最初の分岐点となる
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正(平成16年法律第123号) 明治32年法律第24号の旧不動産登記法を全部改正し、オンライン申請の導入と条文の現代語化・再編成を行った新法が成立。表題部の更正登記に関する申請適格の規定も、この再編の中で現行の条文位置に整理された。個別条文のその後の改正履歴については人的検証が必要
改正の年表
- 1.明治32年(1899年) 新設:旧不動産登記法(明治32年法律第24号)が制定され、ドイツの登記簿制度を範とする日本の登記制度が確立。表示に関する登記の申請主体を限定する構造もこの時期に形成された
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法全部改正(平成16年法律第123号)。オンライン申請の導入と条文の現代語化・再編成が行われ、表題部の更正登記に関する申請適格の規定が現行の第38条として整理された。個別条文のその後の改正履歴は人的検証が必要
- 不動産登記法 第2条更正の登記と変更の登記の定義上の区別
- 不動産登記法 第27条本条が対象とする共通の登記事項
- 不動産登記法 第34条土地の表示に関する登記事項の本体
- 不動産登記法 第35条地番は登記所が定め更正申請の対象外
- 不動産登記法 第37条地目・地積の変更登記の申請義務との対比
- 不動産登記法 第28条登記官の職権による表示登記の受け皿
- 不動産登記法 第53条建物の表題部更正における同旨の申請制限
- 不動産登記法 第131条筆界特定の申請、境界争いの別ルート
- 土地家屋調査士法 第3条表示登記の調査測量と代理権限の範囲
- 国土調査法 第20条地籍調査成果に基づく職権更正(現行効力を要確認)
- 民法 第177条対抗要件としての登記制度の実体法上の基礎
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める