(望ましい農業構造の確立)
国は、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するため、営農の類型及び地域の特性に応じ、農業生産の基盤の整備の推進、農業経営の規模の拡大その他農業経営基盤の強化の促進に必要な施策を講ずるものとする。
2国は、望ましい農業構造の確立に当たっては、地域における協議に基づき、効率的かつ安定的な農業経営を営む者及びそれ以外の多様な農業者により農業生産活動が行われることで農業生産の基盤である農地の確保が図られるように配慮するものとする。
(専ら農業を営む者等による農業経営の展開)
国は、専ら農業を営む者その他経営意欲のある農業者が創意工夫を生かした農業経営を展開できるようにすることが重要であることに鑑み、経営管理の合理化その他の経営の発展及びその円滑な継承に資する条件を整備し、家族農業経営の活性化を図るとともに、農業経営の法人化を推進するために必要な施策を講ずるものとする。
2国は、農業を営む法人の経営基盤の強化を図るため、その経営に従事する者の経営管理能力の向上、雇用の確保に資する労働環境の整備、自己資本の充実の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
(農地の確保及び有効利用)
国は、国内の農業生産に必要な農地の確保及びその有効利用を図るため、農地として利用すべき土地の農業上の利用の確保、効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用の集積及びこれらの農地の集団化、農地の適正かつ効率的な利用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
(農業生産の基盤の整備及び保全)
国は、良好な営農条件を備えた農地及び農業用水を確保し、これらの有効利用を図ることにより農業の生産性の向上を促進するとともに、気候の変動その他の要因による災害の防止又は軽減を図ることにより農業生産活動が継続的に行われるようにするため、地域の特性に応じて、環境との調和及び先端的な技術を活用した生産方式との適合に配慮しつつ、農業生産の基盤の整備及び保全に係る最新の技術的な知見を踏まえた事業の効率的な実施を旨として、農地の区画の拡大、水田の汎用化及び畑地化、農業用用排水施設の機能の維持増進その他の農業生産の基盤の整備及び保全に必要な施策を講ずるものとする。
(先端的な技術等を活用した生産性の向上)
国は、農業の生産性の向上に資するため、情報通信技術その他の先端的な技術を活用した生産、加工又は流通の方式の導入の促進、省力化又は多収化等に資する新品種の育成及び導入の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
(農産物の付加価値の向上等)
国は、農産物の付加価値の向上及び創出を図るため、高い品質を有する品種の導入の促進及び農産物を活用した新たな事業の創出の促進、植物の新品種、家畜の遺伝資源、地理的表示(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成二十六年法律第八十四号)第二条第三項に規定する地理的表示をいう。)、農業生産に関する有用な技術及び営業上の情報その他の知的財産の保護及び活用の推進その他必要な施策を講ずるものとする。
(環境への負荷の低減の促進)
国は、農業生産活動における環境への負荷の低減を図るため、農業の自然循環機能の維持増進に配慮しつつ、農薬及び肥料の適正な使用の確保、家畜排せつ物等の有効利用による地力の増進、環境への負荷の低減に資する技術を活用した生産方式の導入の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
2国は、環境への負荷の低減に資する農産物の流通及び消費が広く行われるよう、これらの農産物の円滑な流通の確保、消費者への適切な情報の提供の推進、環境への負荷の低減の状況の把握及び評価の手法の開発その他必要な施策を講ずるものとする。
(人材の育成及び確保)
国は、効率的かつ安定的な農業経営を担うべき人材の育成及び確保を図るため、農業者の農業の技術及び経営管理能力の向上、新たに就農しようとする者に対する農業の技術及び経営方法の習得の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
2国は、国民が農業に対する理解と関心を深めるよう、農業に関する教育の振興その他必要な施策を講ずるものとする。
(女性の参画の促進)
国は、男女が社会の対等な構成員としてあらゆる活動に参画する機会を確保することが重要であることに鑑み、女性の農業経営における役割を適正に評価するとともに、女性が自らの意思によって農業経営及びこれに関連する活動に参画する機会を確保するための環境整備を推進するものとする。
(高齢農業者の活動の促進)
国は、地域の農業における高齢農業者の役割分担並びにその有する技術及び能力に応じて、生きがいを持って農業に関する活動を行うことができる環境整備を推進し、高齢農業者の福祉の向上を図るものとする。
(農業生産組織の活動の促進)
国は、地域の農業における効率的な農業生産の確保に資するため、集落を基礎とした農業者の組織その他の農業生産活動を共同して行う農業者の組織、委託を受けて農作業を行う組織等の活動の促進に必要な施策を講ずるものとする。
(農業経営の支援を行う事業者の事業活動の促進)
国は、農業者の経営の発展及び農業の生産性の向上に資するため、農作業の受託、農業機械の貸渡し、農作業を行う人材の派遣、農業経営に係る情報の分析及び助言その他の農業経営の支援を行う事業者の事業活動の促進に必要な施策を講ずるものとする。
(技術の開発及び普及)
国は、農業並びに食品の加工及び流通に関する技術の研究開発及び普及の効果的な推進を図るため、これらの技術の研究開発の目標の明確化、国、独立行政法人、都道府県及び地方独立行政法人の試験研究機関、大学、民間等の連携の強化、地域の特性に応じた農業に関する技術の普及事業の推進、民間が行う情報通信技術その他の先端的な技術の研究開発及び普及の迅速化その他必要な施策を講ずるものとする。
2国は、食料システムにおいて情報通信技術を用いて情報が効果的に活用されるよう、食料システムの関係者による情報の円滑な共有のための環境整備を推進するために必要な施策を講ずるものとする。
(農産物の価格の形成と経営の安定)
国は、農産物の価格の形成について、第二十三条に規定する施策を講ずるほか、消費者の需要に即した農業生産を推進するため、需給事情及び品質評価が適切に反映されるよう、必要な施策を講ずるものとする。
2国は、農産物の価格の著しい変動が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講ずるものとする。
(農業災害による損失の補塡)
国は、災害によって農業の再生産が阻害されることを防止するとともに、農業経営の安定を図るため、災害による損失の合理的な補塡その他必要な施策を講ずるものとする。
(伝染性疾病等の発生予防等)
国は、家畜の伝染性疾病及び植物に有害な動植物が国内で発生及びまん延をした場合には、農業に著しい損害を生ずるおそれがあることに鑑み、その発生の予防及びまん延の防止のために必要な施策を講ずるものとする。
(農業資材の生産及び流通の確保と経営の安定)
国は、農業資材の安定的な供給を確保するため、輸入に依存する農業資材及びその原料について、国内で生産できる良質な代替物への転換の推進、備蓄への支援その他必要な施策を講ずるものとする。
2国は、農業経営における農業資材費の低減に資するため、農業資材の生産及び流通の合理化の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
3国は、農業資材の価格の著しい変動が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講ずるものとする。