(目的)
この法律は、近年における国民の食生活をめぐる環境の変化に伴い、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むとともに、食料安全保障の確保にも資する食育を推進することが緊要な課題となっていることに鑑み、食育に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、食育に関する施策の基本となる事項を定めることにより、食育に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来にわたる健康で文化的な国民の生活と豊かで活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成)
食育は、食に関する適切な判断力を養い、生涯にわたって健全な食生活を実現することにより、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成に資することを旨として、行われなければならない。
(食に関する感謝の念と理解)
食育の推進に当たっては、国民の食生活が、自然の恩恵の上に成り立っており、また、農林漁業者をはじめとする食に関わる人々の様々な活動に支えられていることについて、感謝の念や理解が深まるよう配慮されなければならない。
(食育推進運動の展開)
食育を推進するための活動は、国民、民間団体等の自発的意思を尊重し、地域の特性に配慮し、地域住民その他の社会を構成する多様な主体の参加と協力を得ながら、その連携を図るとともに、文化、観光、環境、スポーツその他の各関連分野における施策との有機的な連携を図りつつ、あまねく全国において展開されなければならない。
(子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割)
食育は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)その他の関係法律による施策と相まって、父母その他の保護者にあっては、家庭が食育において重要な役割を有していることを認識するとともに、子どもの教育、保育等を行う者にあっては、教育、保育等における食育の重要性を十分自覚し、積極的に子どもの食育の推進に関する活動に取り組むこととなるよう、行われなければならない。
(食に関する体験活動と食育推進活動の実践)
食育は、広く国民が、年齢等にかかわらず、家庭、学校、保育所、職場、地域その他のあらゆる機会とあらゆる場所を利用して、食料の生産から消費等に至るまでの食に関する様々な体験活動を行うとともに、自ら食育の推進のための活動を実践することにより、食に関する理解を深め、これを食生活の改善や食料の持続的な供給に資する物の選択に努める等の健全な食生活を送ること等に資する行動に結び付けることができる能力を育むことを旨として、行われなければならない。
(伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農山漁村の活性化と食料安全保障の確保への貢献)
食育は、我が国の伝統のある優れた食文化、地域の特性を生かした食生活、環境と調和のとれた食料の生産とその消費等に配意し、我が国の食料の需要及び供給の状況並びに食料の合理的な価格の形成について国民がその発達段階に応じた適切な方法により理解を深めることができるようにするとともに、食料の生産者と消費者との交流等を図ることにより、農山漁村の活性化と我が国の食料自給率の向上その他の食料安全保障の確保に資するよう、推進されなければならない。
(食品の安全性の確保等における食育の役割)
食育は、食品の安全性が確保され安心して消費できることが健全な食生活の基礎であることにかんがみ、食品の安全性をはじめとする食に関する幅広い情報の提供及びこれについての意見交換が、食に関する知識と理解を深め、国民の適切な食生活の実践に資することを旨として、国際的な連携を図りつつ積極的に行われなければならない。
(国の責務)
国は、第二条から前条までに定める食育に関する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、食育の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
2国の関係行政機関は、食育の推進に関する施策が円滑かつ確実に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
(地方公共団体の責務)
地方公共団体は、基本理念にのっとり、食育の推進に関し、国との連携を図りつつ、教育等(教育並びに保育、介護その他の社会福祉、医療及び保健をいう。次条第一項において同じ。)、農林漁業その他の食育に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保しながら、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(教育関係者等及び農林漁業者等の責務)
教育等に関する職務に従事する者並びに教育等に関する関係機関及び関係団体(以下「教育関係者等」という。)は、食に関する関心及び理解の増進に果たすべき重要な役割に鑑み、基本理念にのっとり、あらゆる機会とあらゆる場所を利用して、積極的に食育を推進するよう努めるとともに、他の者の行う食育の推進に関する活動に協力するよう努めるものとする。
2農林漁業者及び農林漁業に関する団体(以下「農林漁業者等」という。)は、農林漁業に関する体験活動等が食に関する国民の関心及び理解を増進する上で重要な意義を有することにかんがみ、基本理念にのっとり、農林漁業に関する多様な体験の機会を積極的に提供し、自然の恩恵と食に関わる人々の活動の重要性について、国民の理解が深まるよう努めるとともに、教育関係者等と相互に連携して食育の推進に関する活動を行うよう努めるものとする。
(食品関連事業者等の責務)
食品の製造、加工、流通、販売又は食事の提供を行う事業者及びその組織する団体(以下「食品関連事業者等」という。)は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、自主的かつ積極的に食育の推進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する食育の推進に関する施策その他の食育の推進に関する活動に協力するよう努めるものとする。
(国民の責務)
国民は、家庭、学校、保育所、職場、地域その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、生涯にわたり健全な食生活の実現に自ら努めるとともに、食育の推進に寄与するよう努めるものとする。