船舶共有者は、その持分の価格に応じ、船舶の利用について生じた債務を弁済する責任を負う。
要点商法 695 条は、船舶共有者が持分の価格に応じて船舶の利用について生じた債務を弁済すると定める。商法 511 条の連帯責任の例外で、各共有者は持分相当額の限度でのみ責任を負う。
Q · 漁船を仲間と共同で持っていて船の借金ができたら、自分一人に全額請求されるの?
いいえ、自分の持分の割合分だけ負えば足ります
商法 695 条により、船舶共有者が負うのは自分の持分の価格に応じた分だけです。商人の共同債務は本来連帯責任が原則ですが(商法 511 条)、船舶共有はその例外で、各自が分割して責任を負います。持分が三分の一なら、燃料代や修繕費などの船舶利用債務も三分の一の限度で弁済すれば足り、資力のある一人に全額が集中することはありません。ただし、自分が船舶管理人として契約した場合や、別途連帯保証をした場合は、持分を超える責任を負うことがあります。
漁師仲間三人で一隻の漁船を三等分で持ち、交代で操業する。ある日、半年分の燃料代や修繕代が払えず、業者が代金を取り立てに来た。ここで多くの人が青ざめる。「共同で持っているのだから、全額を自分一人に請求されるのでは」と。だが商法 695 条は別の答えを用意している。船舶共有者が負うのは、自分の持分の価格に応じた分だけ。持分が三分の一なら、船の利用で生じた債務も三分の一しか弁済する責任を負わない。これは商売の世界では極めて異例だ。通常、商人が共同で負った債務は連帯責任(商法 511 条)、つまり一人が全額を負わされ、後で仲間に求償する仕組みになっている。ところが船舶共有だけは、民法の分割債務の原則(民法 427 条)に立ち返り、各自が自分の取り分の重さだけ責任を負う。共同所有という言葉から想像する「運命共同体」の重さを、この一条が持分の比率まで切り分けてくれる。
商法 695 条は船舶共有者の対外的責任を定める規定であり、共有者は各自の持分の価格に応じて、船舶の利用について生じた債務を弁済する責任を負う。商事連帯責任の原則(商法 511 条)に対する例外として、民法の分割債務原則に立ち返った分割責任を採用する点に特徴がある。
一隻の船を複数人が持分割合で共同所有し、共同で利用・営業する海商法固有の関係です。組合契約でも会社でもなく、商法 692 条以下が固有のルールを定めています。
船舶共有者を代理して船舶の利用に関する裁判上・裁判外の行為を行う者です(商法 697 条以下)。共有者の中から選任され、対外的な契約窓口となります。
適用されます。漁師数名で一隻を持分船として共有する場合も、燃料代や修繕費などの船舶利用債務は各自の持分割合に応じた分割責任となります。
出資割合に応じて定められ、登記される持分が基準となります。口頭の「だいたい三等分」ではなく、登記上の持分割合が責任の上限を決めます。
695 条自体に固有の時効はなく、弁済対象となる原債務に一般消滅時効(民法 166 条、知った時から 5 年・行使できる時から 10 年)が適用されます。
分割責任なので、他の共有者が持分を超えて不足分を肩代わりする義務はありません。回収できないリスクは原則として債権者が負うことになります。
持分の譲渡や、共有物分割の手続によります。新たな航海等を決める共有者の決定(商法 692 条)に異議のある者の持分買取請求が認められる場合もあります。
船舶登記により持分割合が公示されます。持分は責任の上限であると同時に議決権(商法 692 条)でもあるため、登記での明確化が実務上重要です。
いいえ。商法 695 条により、船舶共有者が負うのは自分の持分の価格に応じた分だけです。商人の共同債務は本来連帯責任が原則(商法 511 条)ですが、船舶共有はその例外で、各自が分割して責任を負います。業界裏話ヒント:この有利さは持分割合が明確に登記されて初めて効きます。口頭で「だいたい三等分」とだけ決めて出資すると、いざ請求が来たとき責任の上限という最重要の数字が宙に浮く。共有契約と持分登記を最初にきちんと固めておく
そのとおりで、持分の価格に比例して弁済責任も大きくなります。しかも持分は船の運営方針を決める議決権(商法 692 条)でもあるので、支配力と責任はセットで動きます。業界裏話ヒント:ただし船舶管理人(商法 697 条、698 条)に選任されると話が別です。管理人は共有者を代理して契約する立場なので、その行為によっては持分の比率を超える責任を問われる場面が出てくる。管理人を引き受けるかどうかは、単なる名誉職ではなく責任設計の問題として考える
燃料代、修繕費、入港料・岸壁使用料、船員の給与、運航中に第三者へ与えた損害の賠償(商法 690 条と関連)など、船を使って運航・営業することから生じた債務が広く含まれます。業界裏話ヒント:船そのものの取得代金や建造代金が「利用について生じた債務」に当たるかは、実務上、解釈が分かれています。共有に入る前の購入資金まで分割責任の対象になると安易に考えず、その部分は別途の出資・借入契約でどう負担するかを書面で詰めておく
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 責任の性質 | 商法 695 条:持分に応じた分割責任(持分相当額が上限) | — |
| 適用場面 | 船舶共有者の船舶利用について生じた債務 | — |
| 債権者の回収方法 | 各共有者に持分割合ごとに請求(全額集中不可) | — |
| 負担割合の基準 | 登記された持分の価格 | — |
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