要点商法 756 条は航海傭船契約に個品運送の規定を準用し、741 条の運送賃を「金額及び滞船料」と読み替える。運送人の免責特約は船荷証券の所持人に対抗できない。
Q · 傭船した船の荷役が遅れたら、滞船料は誰が負担するの?免責特約は通用するの?
滞船料は読替えで請求でき、免責特約は証券所持人に効かない
商法 756 条は航海傭船契約に個品運送の規定を準用し、741 条 1 項の「金額」を「金額及び滞船料」と読み替えます。これにより、停泊期間(レイデイズ)を超えた荷役遅延分の滞船料を運送賃と同じ枠組みで請求できます。さらに第 2 項により、運送人が損害賠償責任を免除・軽減する特約を契約に入れても、その特約を船荷証券の所持人に対抗することはできません。証券を担保に取った銀行や転売で受け取った第三者は、強行規定で保護されます。
原油タンカーや穀物バルク船を一隻まるごと借り切って貨物を運ぶ、これが航海傭船契約だ。商法 756 条は、この契約に個品運送(コンテナ一個単位で荷物を運ぶ通常の海上運送)のルールをそっくり借りてくる準用(別の条文を当てはめて使うこと)の規定である。なぜ借りるのか。傭船も個品運送も「物を海で運ぶ」点は同じだから、責任・運送賃・時効のルールを二度書きする必要がない。だがここに傭船特有の一語が差し込まれる、滞船料(積み下ろしが約束の停泊日数を超えたとき、超過時間分として発生する金)だ。741 条の「金額」を「金額及び滞船料」と読み替える。一日数百万円という世界である。そしてもう一つ、第 2 項を見落とせない。運送人が「壊れても賠償しない」という免責特約を契約に入れても、それを船荷証券(貨物の引換券であり、持つ者が引渡しを請求できる有価証券)の所持人に押し付けることはできない。証券を担保に金を貸した銀行や、転売で証券を受け取った第三者を守る強行規定だ。読替えの技術論に見えて、貿易金融の急所を押さえている。
商法 756 条は航海傭船契約に関する準用規定であり、個品運送に関する 738 条から 747 条までの諸規定(739 条 2 項を除く)を準用しつつ、741 条 1 項の「金額」を「金額及び滞船料」と読み替える。第 2 項は、運送人の損害賠償責任を免除・軽減する特約を船荷証券の所持人に対抗できないものとする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
船の全部または一部を借り切り、特定の航海について貨物を運ぶ契約です。コンテナ単位で預ける個品運送と区別され、商法 756 条が個品運送の規定を準用します。
ある事項のために定められた条文を、性質の似た別の事項に当てはめて使うことです。商法 756 条は個品運送の規定を航海傭船に準用し、必要な語句を読み替えます。
貨物の引換券であり、持つ者が運送人に引渡しを請求できる有価証券です。流通性があり、銀行の担保や転売の対象になるため、商法 756 条 2 項で所持人が保護されます。
船型や市況で変動し、大型バルク船やタンカーでは一日あたり数十万から数百万円規模になることがあります。契約で定めた料率(一日いくら)が基礎です。
定期傭船は一定期間船を借りる契約、航海傭船は特定の航海単位で借りる契約です。商法 756 条が準用規定を置くのは航海傭船についてです。
商法 756 条 2 項です。運送人が 739 条 1 項の損害賠償責任を免除・軽減する特約を入れても、それを船荷証券の所持人に主張することはできません。
741 条の「金額」を「金額及び滞船料」に、744 条の「前条」を「753 条 1 項又は 755 条において準用する前条」に、747 条の「この節」を「次節」に読み替えます。
海上運送人の貨物損害責任は引渡し(又は引き渡すべき日)から原則 1 年で消滅します。滞船料債権の起算点は契約条件で異なるため個別確認が必要です。
個品運送はコンテナ一個単位で荷物を預ける契約、航海傭船は船の全部または一部を借り切る契約です。756 条は両者が「海で物を運ぶ」点で共通するため、個品運送のルールを傭船に準用しつつ、741 条の読替えで滞船料を上乗せします。業界裏話ヒント:傭船で最も揉めるのは運送賃そのものより滞船料です。荷役の遅れは港湾混雑や悪天候など自分以外の事情でも積み上がるため、契約のレイデイズ条項をどう書いたかで、最終的な負担額が数千万円単位で変わる
あなたが船荷証券の所持人なら諦める必要はありません。756 条 2 項は、運送人が 739 条 1 項の損害賠償責任を免除・軽減する特約を、船荷証券の所持人に対抗できないと定めます。証券を受け取った第三者は元契約の中身を知らないため、強行的に守られます。業界裏話ヒント:この保護が及ぶのは「証券所持人」であって、傭船契約の当事者本人ではない。傭船者本人が船主と結んだ免責特約は当事者間では有効なので、自分が当事者なのか証券所持人なのか、立場の見極めが結論を分ける
契約で定めた停泊期間(レイデイズ)を超えて荷役が長引いた分について、契約で定めた料率(一日いくら)で計算します。741 条の「金額」を「金額及び滞船料」と読み替えることで、運送賃と同じ枠組みで請求できる根拠になります。業界裏話ヒント:滞船料の紛争で勝敗を分けるのは停泊実績記録(Statement of Facts)です。いつ着岸し、いつ荷役を始め、どの時間が中断したか、この記録の精度が低いと、超過日数の主張が崩れる。荷役の現場で時刻を記録し続けた側が、交渉で圧倒的に強い
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する事項 | 756 条:航海傭船への準用と読替え | — |
| 傭船での働き | 個品運送の責任・運送賃・時効の回路を傭船へ引き込む配電盤 | — |
| 証券所持人への効力 | 2 項で免責特約を所持人に対抗不能とする強行規定 | — |
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