国家公務員法 第58条(昇任、降任及び転任)
クイックジャンプ
- 職員の昇任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)は、任命権者が、職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
- 2.任命権者は、職員を降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)には、当該職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる官職に任命するものとする。
- 3.国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情により、人事評価が行われていない職員の昇任、降任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)については、前二項の規定にかかわらず、任命権者が、人事評価以外の能力の実証に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を判断して行うことができる。
この条文の基本情報
昇任、降任及び転任とは何ですか?
定義昇任、降任及び転任とは、国家公務員法第58条に定められた規定で、「職員の昇任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国家公務員法第58条(昇任、降任及び転任)は、日本の国家公務員法に含まれる条文です。
- 国家公務員法第58条の条文原文は「職員の昇任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。」で始まります。
- 国家公務員法第58条は第四款に置かれています。
- 国家公務員法の公布日は昭和22年10月21日です。
- 国家公務員法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国家公務員法第58条の前の条は国家公務員法第57条です。
- 国家公務員法第58条の次の条は国家公務員法第59条です。
- 国家公務員法第58条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第58条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120 - 本サイト収録
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第58条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000120/58
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国家公務員法58条は、職員の昇任・転任・降任を人事評価に基づき、標準職務遂行能力と官職への適性を基準に行うと定める。局長級以上の幹部職への任命は対象外である。
Q · 国家公務員の昇進って、入省年次の順番で決まるんじゃないの?
いいえ。法律上は人事評価に基づいて決まります
国家公務員法58条1項は、職員の昇任と転任を、任命権者が人事評価に基づき、上の段階の標準職務遂行能力と当該ポストへの適性があると認められる者の中から行うと定めています。降任の場合も2項により同じ物差しで行き先のポストが決まります。派遣中で評価がない職員は、3項により評価以外の能力の実証で判断されます。なお局長級以上の幹部職は61条の2以下の別ルートです。運用上は年次の要素も残りますが、法的根拠はあくまで評価です。
解説
霞が関の昇進は入省年次で順番に回ってくる。そう思っているなら、その認識は平成21年(2009年)の人事評価制度導入の時点で止まっている。本条は、上の段階へ上がる「昇任」、同じ段階のまま別のポストへ移る「転任」、段階を下げる「降任」の三つをすべて人事評価に基づいて行うよう、任命権者(あなたの人事を決める権限を持つ大臣や長官など)に命じている。使う物差しは二本ある。一本は、その段階に求められる「標準職務遂行能力」(課長補佐級ならこの能力、という形で政府が公式に定めた能力リスト)。もう一本は、そのポスト固有の「適性」である。つまり、毎年書かされる目標シートや期首面談の記録は単なる事務作業ではない。次の辞令の法的な根拠資料になる。裏を返せば、評価の記録が薄いまま不利な辞令が出たとき、「何に基づいて決めたのか」を問う足場が本条にある。ただし、局長級以上の幹部職は別ルート(61条の2以下)で任用されるため、本条の対象外である。
法的な位置づけ
国家公務員法第58条は、一般職の国家公務員の昇任、降任及び転任に関する任用基準を定める規定である。任命権者は、職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職が属する職制上の段階の標準職務遂行能力と当該官職への適性を判断して任用を行う。幹部職への任命は対象から除かれ、人事評価が行われていない派遣職員等には評価以外の能力の実証による判断が認められる。
よくある質問 AI による整理
Q1標準職務遂行能力とは何ですか?
係員・係長・課長補佐・課長など職制上の段階ごとに、その段階の標準的な官職の職務を遂行するうえで発揮が求められる能力として政府が定めたものです(国家公務員法34条)。
Q2国家公務員の昇任はどうやって決まる?
58条1項により、任命権者が人事評価に基づき、上の段階の標準職務遂行能力とポストへの適性があると認められる者の中から選びます。
Q3国家公務員の人事評価はいつ行われる?
能力評価は年1回、業績評価は年2回行われるのが基本です。期首面談での目標設定と期末の自己申告・評価者評価という流れで進みます。
Q4国家公務員の降格はできる?
できます。本人の意に反する降任は78条の要件(勤務実績不良・心身の故障・適格性欠如・廃職や過員)を満たす場合に限られ、行き先のポストは58条2項の基準で決まります。
Q5転任と配置換えの違いは?
転任は任命権者を異にする官職等への異動など、昇任・降任以外で別の官職に任命することを指し、58条1項の人事評価に基づく基準が及びます。同一段階内の異動である点で昇任・降任と区別されます。
Q6国家公務員の降任処分に不服がある場合は?
処分説明書を受け取った翌日から3か月以内(処分の翌日から1年以内)に人事院へ審査請求をします(90条・90条の2)。取消訴訟は裁決を経てからです。
Q7出向中の国家公務員は昇任できる?
できます。58条3項により、国際機関や民間企業への派遣等で人事評価がない職員は、評価以外の能力の実証に基づいて昇任・転任を判断できます。
Q8局長や審議官の任命も58条のルール?
いいえ。幹部職への任命は58条の対象外で、内閣総理大臣による適格性審査や幹部候補者名簿など61条の2以下の別ルールで行われます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1人事評価って結局ボーナスの話ですよね? 昇進にも本当に関係あるんですか?
大いに関係する。58条1項は、昇任と転任を人事評価に基づいて行うよう明記している。評価は能力評価(年1回)と業績評価(年2回)に分かれ、昇任を判断する際には直近の評価結果が参照される。実務のポイント:人事院規則8-12には、昇任の前提として直近の評価が一定の評語以上であることを求める仕組みがある。一度の低評価が昇任の時期を一年ずらすこともあるので、評語の要件は最新の規則で確認しておくこと
Q2意味の分からない降格をされました。58条違反で訴えられますか?
争う入口は58条ではない。意に反する降任ができるかどうかは78条の要件で決まり、不服があれば人事院に審査請求をする(90条)。取消訴訟はその裁決を経てからになる(92条の2)。実務のポイント:処分説明書が渡されていない場合でも、職員の側から交付を請求できる(89条2項)。この書面に書かれた根拠こそが攻める対象になるため、受け取らないまま時間を過ごすのが最大の悪手である
Q3介護があるので、自分から役職を下りることってできるんですか?
本人の申出による降任は、多くの府省で運用されている。その場合も、どのポストに就くかは58条2項により評価と適性に基づいて決められる。実務のポイント:希望降任は「意に反する降任」ではないため、後から審査請求で取り消すのは難しい。申出書を出す前に、給与・手当の変化や将来ふたたび昇任する道が残るかどうかを人事担当に書面で確認しておくこと
Q4民間企業に出向している間は評価されないので、昇進が止まりますか?
止まるとは限らない。58条3項は、派遣などで人事評価が行われていない職員について、評価以外の方法で能力を実証して昇任・転任を判断できると定めている。実務のポイント:出向先での上司の所見、担当したプロジェクトの成果物、表彰の記録などは、帰任後の判断材料になりうる。出向が終わる前に書面で揃えておくかどうかで、戻ったときの交渉力が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 人事評価は勤勉手当(ボーナス)の査定のためにあると思われがちだが、それは用途の一つにすぎない。本条によって、昇任・転任・降任という任用そのものの法定根拠になっている。評価は給与面だけでなく、キャリアの段階そのものを決めている
- 「降任されたのは58条違反だ」と争おうとする人がいるが、問いの立て方がずれている。本人の意に反して降任できるかどうかを決めるのは78条(勤務実績がよくない、心身の故障、適格性の欠如、廃職・過員)である。58条2項が定めているのは、降任させる場合に「どのポストへ下ろすか」の基準にすぎない。争う入口は78条の要件と、89条・90条の不利益処分の審査請求である
- 評価が上司の主観で決まることは誰でも知っている。見落とされているのは、その主観が「記録」として残り、昇任・降任の根拠として後から参照されるという点である。口頭の雑談で終わった期首面談と、具体的な目標と成果が書き込まれた面談記録とでは、数年後の辞令を説明する力がまるで違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 国家公務員法58条:昇任・転任・降任の選考基準(人事評価+標準職務遂行能力+適性) | 国家公務員法78条:本人の意に反して降任・免職できる要件 国家公務員法61条の2以下:幹部職への任命(適格性審査・幹部候補者名簿) |
| 対象となる職員・ポスト | 一般職の職員(幹部職への任命を除く) | 意に反する降任・免職を受ける職員 事務次官・局長・部長級などの幹部職 |
| 判断の物差し | 人事評価(派遣等で評価がなければ評価以外の能力の実証) | 勤務実績不良・心身の故障・適格性欠如・廃職や過員の各号 内閣総理大臣による適格性審査と任命権者・総理大臣・官房長官の協議 |
| 争う入口 | 単独では争点になりにくい(降任の行き先の基準) | 処分説明書(89条)→人事院への審査請求(90条)→取消訴訟(92条の2) 幹部人事は政治的任用の色彩が強く、争訟例は乏しい |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は陞遷法で陞任の評定基準を定め、考績の結果を陞遷に反映させる。考試院系統が人事制度を所管する点が日本の人事院と比較対象になる
韓国も勤務成績評定・経歴評定等に基づいて昇進させる仕組みを採り、日本と同様に能力・実績主義を法定している
ドイツは基本法が適性・能力・専門的業績による公職就任(Bestenauslese)を憲法上保障し、昇進競争に敗れた者が行政裁判所で争う競合者訴訟が発達している
米国連邦公務員制度はメリットシステム原則を法定し、業績評価(Chapter 43)を昇進・降格等の人事措置に結びつけている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし人事評価で毎回「B」を取っているのに、ある日いきなり本省から地方の出先機関への転任内示が出たら、それは懲罰なのか? 転任も1項により評価と適性に基づくのが建前である。ただ、同じ段階の中での異動は原則として不利益処分(役所があなたに一方的に不利益を課す決定)に当たらないため、審査請求で争える場面は限られる。まず本当に「同じ段階」なのかを確認するところから始まる
- あなたは課長として部下5人の評価者を務めている。面倒なので全員「B」に揃え、所見欄も一行で済ませた。翌年、そのうち一人の昇任が見送られ、本人から理由を問われる。昇任は評価に基づくと法律が定めている以上、あなたの手抜きの記録が説明責任の真ん中に置かれる
- 国際機関へ3年間派遣され、その間は霞が関で人事評価を一度も受けていない。それでも昇任の道は閉じていない。3項が「評価以外の能力の実証」という別ルートを用意している
- 本人の意に反する降任について処分説明書を受け取った。人事院への審査請求は、受け取った翌日から3か月以内である。最初の1週間で評価記録の開示を求め、自分の評語が降任の根拠と噛み合っているかを確かめなければ、準備が間に合わない
- 公務員試験の勉強中の友人に「結局は年次で上がるんでしょ?」と聞かれた。法律上の答えは「評価に基づく」である。ただし運用の実態には年次の要素も色濃く残っている。建前と実態の両方を説明できるかどうかで、面接の受け答えの深さが変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 不利な辞令が昇任見送り・転任・降任のどれに当たるのかを確定させる。争えるルートがそれぞれ違うためである2. 意に反する降任なら、処分説明書(89条)の交付を受け、78条のどの号が根拠とされているかを確認する3. 直近数期分の自分の評価結果と面談記録を集め、降任の根拠と矛盾していないかを照らし合わせる4. 人事院への審査請求(90条)を検討し、並行して職員団体や公務員の事件に詳しい弁護士に相談する5. 昇任見送りや転任は処分性が否定されやすいため、まず苦情相談の制度を使う
訴えられた側:1. 任命権者や人事担当の立場なら、昇任・降任の決裁文書に、どの評価結果とどの標準職務遂行能力に基づいたのかを明記する2. 評価者は評語と所見を具体的な事実で書く。一律の「B」は、後で説明を求められたときの弱点になる3. 降任の場合は、78条の要件を満たすことと、58条2項に沿って適切な下位のポストを選んだことを分けて立証できるようにしておく4. 派遣から戻った職員については、3項に基づいて何で能力を実証したのかを記録に残す
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。本人の意に反する降任など不利益処分への審査請求は、処分説明書を受け取った日の翌日から3か月以内、かつ処分の日の翌日から1年以内(国家公務員法90条の2)。取消訴訟は人事院の裁決を経てからでなければ提起できず(同法92条の2)、裁決があったことを知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は国家公務員法33条の能力実証主義を昇任・降任・転任の場面で具体化した規定であり、ポスト固有の適性判断には任命権者の裁量が認められるが、人事評価を基礎としない任用は本条の趣旨に反すると解される
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)改正、平成21年(2009年)施行 能力・実績主義の人事管理への転換に伴い、昇任・転任を人事評価と標準職務遂行能力に基づいて行う枠組みが整備された
- 平成26年(2014年)改正 内閣人事局の設置と幹部職員の一元管理に伴い、幹部職への任命を本条の対象から除く括弧書きが加えられた。降任に関する規定の整理もこの時期に行われたとみられる
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:国家公務員法制定。任用は受験成績・勤務成績その他の能力の実証に基づくという成績主義が採用された
- 2.平成19年(2007年) 改正:能力・実績主義の人事管理への転換に伴い、人事評価制度と標準職務遂行能力を導入し、昇任・転任・降任を人事評価に基づいて行う枠組みを整備(平成21年(2009年)施行)
- 3.平成26年(2014年) 改正:内閣人事局の設置と幹部職員人事の一元管理に伴い、幹部職への任命を本条の対象から除外する規定が整備された
- 国家公務員法 第33条任用の根本基準、能力の実証
- 国家公務員法 第34条昇任・降任・標準職務遂行能力の定義
- 国家公務員法 第70条の3人事評価の実施義務
- 国家公務員法 第78条本人の意に反する降任の要件
- 国家公務員法 第61条の2幹部職の適格性審査、本条の除外先
- 国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律 第2条国際機関派遣、3項の典型場面(現行効力を要確認)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める