刑事訴訟法 第103条
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公務員又は公務員であつた者が保管し、又は所持する物について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなければ、押収をすることはできない。但し、当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第103条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第103条の条文原文は「公務員又は公務員であつた者が保管し、又は所持する物について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなけ…」で始まります。
- 刑事訴訟法第103条は第九章 押収及び捜索に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第103条の前の条は刑事訴訟法第102条の2です。
- 刑事訴訟法第103条の次の条は刑事訴訟法第104条です。
- 刑事訴訟法第103条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第103条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第103条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/103
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法103条は、公務上の秘密に関する物は監督官庁の承諾がなければ押収できないと定める。ただし官庁は国の重大な利益を害する場合を除き承諾を拒めない。
Q · 役所が「職務上の秘密だ」と言えば、捜査機関でも文書を押収できないの?
原則できる。拒否は「国の重大な利益」を害する場合だけ
刑事訴訟法103条により、公務員等が保管・所持する物が「職務上の秘密」として申し立てられた場合、監督官庁の承諾がなければ押収できません。しかし但書で、監督官庁は「国の重大な利益を害する場合」を除いて承諾を拒めないと定めています。つまり原則は承諾義務であり、拒否は極めて高いハードルを越えたときだけ許されます。抽象的に「秘密だから」と拒否しただけでは但書の要件を満たさず、準抗告(刑訴法430条)で争う余地があります。
解説
「役所が握っている文書は、国家機密だと言われたら手も足も出ない」。多くの人がそう思い込んでいる。だが刑事訴訟法103条を最後まで読むと、話は逆転する。確かに、公務員またはかつて公務員だった者が職務上の秘密として申し立てた物は、監督官庁の承諾がなければ押収できない。ここまでは「役所の壁」に見える。しかし但書がこう続く。当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。つまり原則は「承諾しなければならない」であり、拒否は「国の重大な利益」という極めて高いハードルを越えたときだけ許される。役所が「秘密です」の一言で証拠を闇に葬る権限を持つわけではない。あなたが捜査で行政文書を求める側に立つとき、この但書を握っているかどうかで、引き出せる証拠の量が変わる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法103条は、公務上の秘密に関する物の押収制限を定める規定である。公務員または元公務員が保管・所持する物について本人または公務所が職務上の秘密と申し立てた場合、監督官庁の承諾を押収の要件とする。ただし監督官庁は国の重大な利益を害する場合を除き承諾を拒めず、原則として承諾義務を負う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象物が「職務上の秘密」の申立て対象か確認 押収を求める物が、公務員または元公務員が保管・所持する物で、本人または公務所から「職務上の秘密」として申し立てられているかを確認する。申立てがなければ103条の関門は起動せず、通常の押収手続きで進められる
- 2.監督官庁に押収の承諾を求める 対象物が職務上の秘密と申し立てられた場合、当該監督官庁に押収の承諾を求める。捜査段階なら刑訴法222条による準用で同じ手続きが必要となる。承諾を求める文書には対象物の範囲と必要性を明示する
- 3.拒否理由が「国の重大な利益」に達するか精査 監督官庁が承諾を拒んだら、但書の要件である「国の重大な利益を害する」に具体的に該当するかを精査する。多くの拒否は「秘密だから」で止まり要件を満たさない。要件の欠落を文書で指摘する
- 4.準抗告で承諾拒否・押収処分を争う 拒否が抽象的で但書要件を満たさない場合、準抗告(刑訴法430条)で押収処分や承諾拒否を争う。法定の出訴期間はないが、証拠が処分される前、捜査の進行に間に合う段階で速やかに申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1公務上秘密の押収とは何ですか?
公務員等が持つ職務上の秘密に関する物を押収する際、監督官庁の承諾を要件とする制度です。刑事訴訟法103条が根拠で、但書により官庁は原則承諾を拒めません。
Q2監督官庁が承諾を拒否したら押収できないのですか?
拒否が「国の重大な利益を害する」に具体的に該当しなければ但書違反です。抽象的な拒否なら準抗告(刑訴法430条)で争え、組織の判断が司法で覆る余地があります。
Q3退職した公務員が持つ古い資料も対象になりますか?
対象です。条文は「公務員又は公務員であつた者」と明記し、退職者が保管・所持する職務上の秘密にも承諾の関門がかかります。私的メモが自動で秘密扱いになるわけではありません。
Q4捜査機関の押収にもこの条文は適用されますか?
適用されます。刑事訴訟法222条が捜査機関の押収・捜索に103条を準用しており、起訴前の捜査段階でも監督官庁の承諾が必要です。
Q5国会や内閣が関わる文書も同じルールですか?
特則があります。衆参両議院・委員会・内閣が関わる場合は刑事訴訟法104条が別途規律し、承諾の主体や手続きが103条とは異なります。
Q6承諾拒否に不服があるときの手段は何ですか?
押収処分やその前提となる承諾拒否に不服があれば、準抗告(刑訴法430条)で争えます。法定の出訴期間はありませんが、証拠が処分される前に速やかに申し立てる実益があります。
Q7情報公開請求で不開示だった文書も押収できますか?
経路が異なります。情報公開法の不開示と刑事手続きの押収は別制度で、開示請求が跳ね返された文書でも刑事事件の証拠として押収対象になりうる場合があります。
Q8「職務上の秘密」かどうかは誰が決めるのですか?
まず本人または公務所が「職務上の秘密」と申し立てて手続きが起動します。該当性は実質判断であり、申立てがなければ通常の押収手続きで進みます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1役所が「秘密」と言えば、警察でも証拠を押収できないんですか?
いいえ。確かに監督官庁の承諾は必要ですが、103条の但書で、官庁は「国の重大な利益を害する場合」を除いて承諾を拒めません。原則は承諾義務です。実務のポイント:実務では官庁が「秘密」とだけ言って拒否することが多いが、その拒否が但書の高いハードルを満たしているかは別問題。拒否理由が抽象的なら、準抗告(刑訴法430条)で争う余地がある。役所の「ダメ」を額面どおり受け取らない
Q2退職した公務員が持っている昔の資料も、この条文で守られるんですか?
守られます。条文は「公務員又は公務員であつた者」と明記しており、退職者が保管・所持する職務上の秘密にも承諾の関門がかかります。実務のポイント:ただし「職務上の秘密」に当たるかは実質判断で、退職後に私的に作成・保管したメモまで自動的に秘密扱いされるわけではない。本人または公務所が「職務上の秘密」と申し立てて初めて手続きが起動する。申立てがなければ通常の押収手続きで進む
間違えやすい点 AI による整理
- 「役所が秘密だと言えば、捜査機関でも文書を差し押さえられない」と思われている。だが但書を読めば逆で、監督官庁は国の重大な利益を害する場合を除き、承諾を拒めない。原則は「出さなければならない」である
- 「承諾がいる」ことは知っていても、その承諾拒否が司法審査の対象になることまでは知られていない。拒否が「国の重大な利益」要件を満たさなければ、準抗告などで争え、組織の判断が覆りうる。拒否の重さは思っているより大きい
- 「この条文は普通の市民には関係ない」という問いの立て方そのものがずれている。情報公開請求が不開示で行き詰まったとき、刑事手続きの押収がもう一本の経路になりうる。市民が官庁の情報に届く裏の構造が、ここに隠れている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 保護対象 | 103条:公務員等が持つ職務上の秘密に関する物 | 104条:国会の議院・委員会・内閣が関わる秘密 105条:弁護士・医師等の業務上の秘密 |
| 承諾・拒絶の主体 | 監督官庁の承諾が必要 | 議院・委員会・内閣の承諾が必要(特則) 業務者本人が押収を拒絶できる |
| 拒否の限界 | 国の重大な利益を害する場合を除き拒否不可 | 院・内閣の判断により制約(政治的考慮を含む) 本人が承諾すれば押収可、黙秘義務との調整あり |
| 捜査段階への準用 | 222条で捜査機関の押収に準用 | 222条で準用 222条で準用 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も公務員職務上の秘密文書は監督機関の許可なく扣押できないとし、許可は「国家の利益を妨害する場合を除き拒絶できない」と規定。日本103条と構造がほぼ同一
韓国も公務上の秘密に関する物の押収に所管 공무소 등の承諾を要件とし、国家の重大な利益を害する場合を除き承諾を拒めないとする。日本と並行的な構造
ドイツは行政機関の最上級官庁が文書提出により連邦・州の福祉を害すると判断したとき提出拒否の意思表示(Sperrerklärung)ができるが、その当否は行政裁判で審査されうる
米国は州秘密特権(state secrets privilege)として判例法で発展。政府が国家安全保障上の理由で証拠提出を拒める一方、裁判所が特権主張の当否を審査する枠組み
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが行政の不正を刑事告発し、その前提として官庁の内部文書を証拠化したいとしたら? 官庁は「職務上の秘密」を盾にするだろう。だがその拒否が「国の重大な利益」に基づくものでなければ、承諾は拒めない。盾は思ったより薄い
- あなたが官庁の文書管理担当で、捜査機関から押収の打診を受けた。上司は「秘密だから断れ」と言う。だが安易に拒否すれば、後で但書違反を問われ、組織の判断が司法で覆される。拒否には「国の重大な利益」という根拠の積み上げが要る
- 捜査が動き出した。文書が破棄される前に押収をかけたい。だが相手が公務所なら、まず監督官庁の承諾という関門がある。あと数日で証拠が消えるなら、承諾手続きと保全を並行で走らせるしかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 求める文書が「公務員が保管・所持する物」で「職務上の秘密」として申し立てられているかを確認2. 監督官庁に押収の承諾を求め、拒否されたら拒否理由が「国の重大な利益を害する」に具体的に該当するかを精査3. 抽象的な「秘密だから」という拒否なら、但書違反として準抗告(刑訴法430条)や上級庁への働きかけを検討4. 並行して文書の特定と保全を進め、破棄リスクに備える
訴えられた側:1. 押収の打診を受けたら、対象物が真に「職務上の秘密」に当たるかを法的に検討、安易に全件を秘密扱いしない2. 承諾を拒む場合は「国の重大な利益を害する」具体的根拠を文書化、抽象的拒否は後で違法とされうる3. 衆議院・参議院議員や内閣が関わる場合は104条の特則を確認4. 拒否の判断は組織として記録し、司法審査に耐える説明を準備
時効(請求できる期限):押収手続き自体に特定の時効はないが、押収処分やその前提となる承諾拒否に不服がある場合、準抗告(刑訴法430条)で争える。準抗告に法定の出訴期間はないものの、押収物が処分される前、捜査の進行に間に合う段階で速やかに申し立てる実益がある
学説
通説:103条本文は公務上の秘密保護のために承諾を押収要件とするが、但書により監督官庁の承諾は原則として与えなければならず、拒否は「国の重大な利益を害する場合」に限定される。拒否の当否は司法審査の対象となり、抽象的な秘密性の主張だけでは但書の要件を満たさないと解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、令状主義の枠組みの中で公務上の秘密に関する押収制限規定として整備された。
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