刑事訴訟法 第174条
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特別の知識によつて知り得た過去の事実に関する尋問については、この章の規定によらないで、前章の規定を適用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第174条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第174条の条文原文は「特別の知識によつて知り得た過去の事実に関する尋問については、この章の規定によらないで、前章の規定を適用する。」で始まります。
- 刑事訴訟法第174条は第十二章 鑑定に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第174条の前の条は刑事訴訟法第173条です。
- 刑事訴訟法第174条の次の条は刑事訴訟法第175条です。
- 刑事訴訟法第174条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第174条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第174条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/174
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法174条は、特別の知識で知り得た過去の事実の尋問に、鑑定ではなく証人尋問の規定を適用すると定める。観察した事実を語る専門家は鑑定証人として扱われる。
Q · 専門家が法廷で証言したら、それは全部「鑑定」になるの?
肩書きが専門家でも、観察した過去の事実を語るなら証人として扱われます
刑事訴訟法174条により、特別の知識によって知り得た過去の事実に関する尋問には、鑑定の規定ではなく前章の証人尋問の規定が適用されます。医師が自ら診た傷の状態を語る場合のように、観察した事実を述べる専門家は「鑑定証人」として証人扱いとなり、出頭義務を負い、正当な理由なく拒めば過料・罰金や勾引の対象となり、虚偽を述べれば偽証罪に問われます。これに対し、資料を見て死因を推定するなど専門的意見を述べる場合は鑑定人となります。
解説
交通事故であなたを治療した医師が、加害者の刑事裁判に呼ばれた。多くの人は「専門家だから鑑定人だろう」と考える。だが刑事訴訟法174条は、その直感をひっくり返す。医師が「自分が診察して観察した過去の事実」、つまり傷の深さ、出血の状態、患者の訴えを語るなら、それは鑑定ではなく証人尋問になる。前章(証人尋問の章)の規定が適用される。なぜこの区別が効くのか。鑑定人は代替可能だ、同じ専門知識を持つ別の人でも鑑定できる。だが、その日その傷を実際に見た医師は誰とも代えられない。だから証人として扱われ、出頭義務を負い、正当な理由なく拒めば過料や罰金の対象になり、虚偽を述べれば偽証罪が待つ。そして被告人側には、その証言を反対尋問で崩す権利が憲法37条から保障される。専門家の証言を「動かせない権威」と思い込む前に、それが意見なのか、観察した事実なのかを見分けることが、攻防の第一歩になる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法174条は鑑定証人に関する規定であり、特別の知識によって知り得た過去の事実についての尋問には、鑑定の規定ではなく前章の証人尋問の規定を適用する旨を定める。専門的意見を述べる鑑定人と異なり、観察した過去の事実は代替不能であるため、その者は証人として扱われる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.呼出状が鑑定か証人尋問かを見分ける 裁判所から書面が届いたら、まず「鑑定の依頼」なのか「自分が観察した過去の事実についての証人尋問(鑑定証人)」なのかを確認する。後者なら174条により証人として扱われ、辞退の余地・宣誓・偽証罪のリスクが変わる
- 2.観察した事実と専門的意見を切り分ける 証言予定の内容を、自ら見聞きした過去の事実(傷の状態・現場の様子)と、知識に基づく推定・意見(死因の推定等)に分類する。前者は174条で証人尋問、後者は鑑定となり、準備の仕方が変わる
- 3.有利な専門家は鑑定証人として証人申請する 自分に有利な医師や専門家を確実に法廷へ呼びたい場合、検察官または弁護人を通じて鑑定証人としての証人申請を働きかける。代替不能性を理由に出頭を確保でき、鑑定人なら『他の人でいい』と外される場面を避けられる
- 4.相手方の書面証拠を反対尋問に引き出す 相手が専門家の意見書を証拠提出し、その内容が観察した事実に及ぶ場合、174条を根拠に証人尋問規定の適用を主張し、その専門家を法廷に呼んで反対尋問する機会を確保する。書面の権威だけで終わらせない
よくある質問 AI による整理
Q1鑑定証人とは何ですか?
特別の知識によって過去に知り得た事実を述べる人をいいます。刑事訴訟法174条により、鑑定人ではなく証人として証人尋問の規定が適用され、代替不能な存在として扱われます。
Q2鑑定証人は出頭を拒否できますか?
原則できません。鑑定証人は証人として扱われるため出頭義務を負い、正当な理由なく出頭しないと過料・罰金や勾引(強制連行)の対象になります(刑訴法150条以下)。
Q3鑑定証人に偽証罪は適用されますか?
適用されます。証人として宣誓のうえ証言するため、虚偽の陳述をすれば偽証罪(刑法169条)に問われます。鑑定人の虚偽鑑定罪とは根拠条文が異なります。
Q4鑑定証人の日当や旅費はもらえますか?
もらえます。証人と同様に旅費・日当・宿泊料を請求できます。出頭義務がある一方で、出頭にかかる費用の補償を受ける権利が法律上保障されています。
Q5医師がカルテについて証言するのは鑑定ですか証人ですか?
自ら診察して観察した傷や症状などの過去の事実を語るなら、174条により鑑定証人=証人尋問です。資料から死因を推定するなど意見を述べる場合は鑑定人になります。
Q6刑事訴訟法174条はどんな場面で使われますか?
交通事故で被害者を診た医師、火災現場を最初に見た消防士など、専門知識を持つ人が自ら見た過去の事実を法廷で語る場面で適用され、証人尋問の規定に引き戻されます。
Q7鑑定証人の証言は反対尋問で争えますか?
争えます。証人として扱われるため、被告人側は憲法37条2項の反対尋問権に基づき、観察の正確性・記憶・利害関係を法廷で検証できます。
Q8鑑定証人と鑑定人で証拠としての扱いはどう違いますか?
鑑定人は鑑定書という書面中心で代替可能ですが、鑑定証人は法廷での証言が中心で代替不能です。書面だけで終わらせず証人尋問が求められる点が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1医者ですが、裁判所から呼出状が来ました。忙しいので断れますか?
あなたが患者を診察して観察した事実(傷の状態など)について証言を求められているなら、それは174条により証人尋問です。証人には出頭義務があり、正当な理由なく出頭しないと過料や罰金、さらに勾引(強制的に連れて来られる手続)の対象になります(刑訴法150条以下)。実務のポイント:「鑑定人」なら「他の医師でもいい」と辞退の余地がありますが、「あなたが実際に診た」という事実証言は誰にも代われないため、まず断れません。日当・旅費は請求できるので、出頭は確保しつつ費用請求の手続を確認する
Q2鑑定人と鑑定証人って、何が違うんですか?
鑑定人は、専門知識を使って「今、判断・意見を述べる」人で、代替可能です(別の専門家でもよい)。鑑定証人は、専門知識によって「過去に知り得た事実」を述べる人で、174条により証人として扱われ、代替不能です。実務のポイント:試験でも実務でも狙われるのは「代替性」。同じ医師でも、目の前の資料を見て死因を推定すれば鑑定人、自分が看取った患者の最期の容態を語れば鑑定証人。一人の中で立場が切り替わる点を見抜けるかが分かれ目
間違えやすい点 AI による整理
- 専門家が法廷で話せば全部「鑑定」だと思われているが、実は観察した過去の事実を語るなら「証人」であり、鑑定の規定ではなく証人尋問の規定が適用される。同じ医師でも、語る内容で立場が切り替わる
- 鑑定人と証人の違いを「手続が少し違うだけ」と軽く見ている人が多い。だが本質は代替性にある。証人は不代替的だからこそ出頭を強制され、その証言の信用性が法廷で徹底的に吟味される。この一点が、有罪無罪の結論を動かすことがある
- あなたから見れば「同じ医師が同じ事件について話している」だけだが、法律から見れば、専門的意見を述べた瞬間は鑑定人、自分が見たことを述べた瞬間は証人と、一人の中で立場が切り替わっている。この落差を理解しないと、反対尋問でどこを突けるかを見誤る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 法的地位 | 鑑定証人(174条):証人として前章の規定を適用 | 鑑定人(165条):鑑定を命じられて意見を述べる者 証人(143条):体験した事実を述べる者 |
| 代替性 | 代替不能(その日その事実を見たのはその人だけ) | 代替可能(同じ専門知識を持つ別の者でよい) 代替不能(体験者本人に限られる) |
| 述べる内容 | 特別の知識で知り得た過去の事実 | 知識に基づく判断・意見 一般に体験した事実 |
| 虚偽供述の制裁 | 偽証罪(証人として宣誓するため) | 虚偽鑑定罪(166条の宣誓に基づく) 偽証罪 |
他国ではどう定めているか 4 か国
特別の知識によって知り得た過去の事実を訊問する場合は人証(証人)の規定を適用すると定め、日本174条とほぼ同一構造
感定証人について本章ではなく前章(証人尋問)の規定を適用すると定め、日本法と文言・構造ともに極めて近い
過去の事実の証明にあたり特別の専門知識を要した者の尋問には証人の規定を適用すると定める。本条の沿革上の母法にあたる
意見証言を一般証人(701条)と専門家証人(702条)に区別する。観察事実か専門的意見かで扱いが分かれる発想は共通するが、条文構造は大陸法系と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたを救急で診た医師が、傷害事件の法廷で「搬送時の傷はこうだった」と証言する。これは鑑定ではなく174条による証人尋問。だからあなた側は、その観察の正確さ、記憶、利害関係を反対尋問で突ける。鑑定書の書面だけで終わらせず、法廷に引きずり出せるかで信用性の崩し方が変わる
- もしあなたが被告人で、相手方が「専門家の意見書」だけを証拠に出してきたら、どうなる? その内容が「現場で見た事実」に踏み込んでいれば、174条を盾に証人として法廷に呼び、反対尋問する機会を要求できる。書面の権威に黙って従う必要はない
- 会社の不正経理を社内で最初に発見した会計士。専門知識を持つ人が「自分が見た過去の事実」を語る瞬間、肩書きが何であれ証人になり、出頭を拒めなくなる
- 医師であるあなたに裁判所から呼出状が届いた。残された時間は数日。これが「鑑定の依頼」なのか「あなたが診た事実についての証人尋問」なのかで、辞退できる余地も、当日の宣誓も、偽証罪のリスクも変わる。封筒を開けたら、まずそこを確認する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分を治療した医師や現場を見た専門家の証言が有利なら、検察官に「鑑定証人」としての証人申請を働きかける。代替不能性を理由に出頭を確保できる2. その人が観察した過去の事実(傷の状態、現場の様子)と、専門的意見(死因の推定など)を切り分けて整理する。前者は174条で証人尋問、後者は鑑定3. 診療記録・写真など客観資料を証言と紐づけ、信用性を厚くして準備する
訴えられた側:1. 相手方の「専門家証言」が観察した事実に及ぶなら、174条を根拠に証人尋問の規定の適用を主張し、反対尋問権(憲法37条2項)をフルに行使する2. 鑑定書という書面だけで終わらせず、その専門家を法廷に呼んで尋問する機会を確保する3. 証人として扱われるなら、その人の観察の正確性、記憶の信頼性、利害関係を突く。鑑定人の専門的権威とは別の角度で信用性を崩せる
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。ただし証人尋問・鑑定の証拠申請は、公判前整理手続や証拠調べの段階で行う必要があり、争点整理が終わった後の新たな申請は制限されることがある(刑事訴訟法316条の32等)。証言の機会を逃すと取り返しがつかないため、公判の早い段階で申請の要否を判断する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:刑訴法174条の適用は、専門知識を持つ者の陳述が『観察した過去の事実』か『知識に基づく判断・意見』かによって区別される。前者は代替不能であるため証人として扱い、後者は代替可能であるため鑑定人として扱う。代替性が両者を分かつ核心的基準であるとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い、特別の知識によって知り得た過去の事実に関する尋問に証人尋問の規定を適用する規定として設けられた。
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