刑事訴訟法 第310条
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証拠調を終つた証拠書類又は証拠物は、遅滞なくこれを裁判所に提出しなければならない。但し、裁判所の許可を得たときは、原本に代え、その謄本を提出することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第310条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第310条の条文原文は「証拠調を終つた証拠書類又は証拠物は、遅滞なくこれを裁判所に提出しなければならない。但し、裁判所の許可を得たときは、原本に代え、その謄本を提出することができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第310条は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第310条の前の条は刑事訴訟法第309条です。
- 刑事訴訟法第310条の次の条は刑事訴訟法第311条です。
- 刑事訴訟法第310条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第310条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第310条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/310
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法310条は、証拠調べを終えた証拠書類・証拠物を遅滞なく裁判所に提出すべきと定める。証拠は取調べ後に記録化され、裁判所の許可があれば謄本提出も可能。
Q · 証拠っていつ裁判所に渡されるの?最初から裁判官が持ってるんじゃないの?
証拠調べを終えた後に提出される。最初は起訴状だけ
刑事訴訟法310条により、証拠書類や証拠物は法廷で取調べ(書類なら朗読、物なら展示)を終えてから、遅滞なく裁判所に提出されます。起訴のときに裁判所へ届くのは起訴状一枚だけ(起訴状一本主義、256条6項)で、裁判官は証拠調べが終わるまで証拠に触れません。証拠が「調べた後」に記録へ綴じ込まれることで、捜査機関の作った調書で裁判官が事前に有罪の心証を固める事態を構造的に防いでいます。但書きは裁判所の許可があれば原本に代えて謄本の提出を認めます。
解説
日本の刑事裁判の裁判官は、初公判の朝、事件の証拠を一つも見ていない。手元にあるのは起訴状一枚だけだ。この異様な仕組みを物理的に締めくくる最後のねじが、刑訴法310条である。証拠書類や証拠物は、法廷で取調べ(書類なら朗読、物なら展示)を終えて初めて、遅滞なく裁判所に提出される。つまり証拠は「調べた後」に記録へ綴じ込まれる、「調べる前」ではない。あなたが被告人なら、これは予断排除という名の盾だ。裁判官が捜査機関の作った調書の山を事前に読み込み、有罪の心証を固めた状態で法廷に座る、という事態を構造的に防いでいる。但書きは、原本に代えて謄本(コピー)の提出を裁判所の許可で認めるもので、原本が鑑定や別の手続で必要な場合などへの実務的配慮だ。地味な一行の手続規定に見えて、法廷で何が証拠になり何がならないかの境界線を、ここで引いている。
法的な位置づけ
刑事訴訟法310条は、公判廷で取調べを終えた証拠書類および証拠物を遅滞なく裁判所へ提出すべきことを定める手続規定である。証拠が記録へ編入される時点を取調べ後に限定し、起訴状一本主義と相まって裁判所の予断排除を担保する。但書きは裁判所の許可を条件に、原本に代わる謄本の提出を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.証拠調べの順序を監視する 弁護側として、検察官が取調べ(朗読・展示)を終える前に証拠書類や証拠物を裁判所へ先回りして提出しようとしていないかを、公判のその場で確認する。提出は取調べ後でなければならない
- 2.朗読・展示された内容と提出物の一致を照合する 実際に法廷で朗読・展示された証拠書類・証拠物と、裁判所へ提出された物が同一であるかを照合する。原本か謄本か、抜けや差し替えがないかをその場で確かめる
- 3.予断排除のおそれがあれば期日内に異議を述べる 提出順序に瑕疵や予断排除のおそれがある場合、その公判期日において審理が次の段階へ進む前に異議を申し立てる。証拠が記録へ綴じ込まれてしまう前のこの一瞬が最も強いタイミング
- 4.原本が別途必要なら謄本提出の許可を活用する 原本の証拠物を鑑定や別事件の捜査で確保したい場合、但書きの謄本提出を活用する。裁判所の許可を得て原本に代えて謄本を記録に入れ、原本は手元に残す
よくある質問 AI による整理
Q1起訴状一本主義とは何ですか?
起訴のとき裁判所に届くのは起訴状一枚だけで、証拠書類や証拠物を添付しない原則です(刑訴法256条6項)。裁判官の予断排除を目的とし、310条の証拠提出ルールと一体で機能します。
Q2予断排除原則とは何ですか?
裁判官が公判前に証拠へ触れて有罪の心証を固めることを防ぐ原則です。白紙の状態で入廷し、公開法廷で取り調べた証拠だけで判断するという日本の刑事裁判の根本設計です。
Q3証拠調べが終わるとはどういう状態ですか?
証拠書類は法廷で朗読(305条)、証拠物は展示(306条)の手続を経た状態です。この取調べを終えて初めて、310条により証拠が裁判所へ提出され記録に編入されます。
Q4証拠物の提出と証拠の取調べはどちらが先ですか?
取調べが先で提出が後です。同じ順番が逆になると予断排除違反のおそれが生じます。提出は『調べた後』に行うのが310条の核心です。
Q5訴訟記録はいつ閲覧できますか?
訴訟記録の閲覧は原則として判決確定後に可能です(刑訴法53条)。審理中に当事者でない者がリアルタイムで記録を見ることは原則できません。
Q6証拠書類はなぜ法廷で朗読されるのですか?
法廷で取り調べて初めて証拠になるという原則のためです。書面を配るだけでは足りず、朗読(305条)という公開の取調べを経て、310条で記録に編入されます。
Q7被害者参加人は証拠を確認できますか?
被害者参加制度を通じて公判に関与し、検察官が請求した証拠が証拠調べを経て記録へ提出されたかを確認できます。記録そのものの閲覧は判決確定後(53条)が原則です。
Q8証拠提出の手続に違反があった場合どうなりますか?
予断排除のおそれがある提出には、その公判期日で審理が次へ進む前に異議を述べる必要があります。期日を逃すと責問権を失い、後から争うのは格段に難しくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判官って、裁判が始まる前に事件の証拠を読んでないんですか?
読んでいません。起訴状一本主義(刑訴法256条6項)により、起訴のとき裁判所に届くのは起訴状だけです。証拠書類や証拠物は、法廷で取調べ(朗読・展示)を終えてから、310条に基づき初めて裁判所に提出されます。実務のポイント:これは裁判官が捜査側の調書に先入観を持つのを防ぐ仕組みで、だから日本の刑事弁護では『冒頭でいかに裁判官の白紙状態を守るか』が勝負所になる。書証の取調べ請求のタイミングで弁護人がやたら細かく争うのは、この予断排除を死守しているからです
Q2コピーで証拠を出すのと、原本を出すのとで何が違うんですか?
原則は原本提出で、謄本(コピー)は裁判所の許可がある場合の例外です(310条但書き)。原本が別の手続や鑑定で必要なときなどに使われます。実務のポイント:原本かコピーかは、後で証拠の同一性や改ざんが争われたときに効いてくる。重要証拠ほど原本の所在を記録に残しておくのが実務の鉄則で、安易に謄本で済ませると、上訴審で証拠の信用性を突かれる隙になることがあります
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判所は最初から証拠を全部持っているはず」と多くの人が前提にしているが、その問いの立て方自体が日本の刑事手続を誤解している。裁判官は証拠調べが終わるまで証拠物にも書類にも触れない。あなたが「なぜ裁判官は事前に証拠を読まないのか」と驚くなら、それこそ予断排除の設計が効いている証拠だ
- 「証拠の提出なんて単なる事務手続」と知っている人でも、その提出タイミングが持つ重みを見落としている。提出が証拠調べの『前』か『後』かで、予断排除違反になるか適法手続になるかが分かれる。同じ書類でも、渡す順番一つで裁判の公正さが揺らぐ
- 謄本(コピー)の提出は「手抜き」だと思われがちだが、実際は裁判所の許可を要する例外措置であり、原則は原本提出だ。許可なく謄本だけを出しても、証拠の同一性が後で争われる隙になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 310条:取調べを終えた証拠の裁判所への『提出』 | 305条:証拠書類の『取調べ』(朗読) 306条:証拠物の『取調べ』(展示) |
| 手続上の順序 | 取調べの『後』(提出は最終段階) | 提出の『前』(朗読が先行手続) 提出の『前』(展示が先行手続) |
| 対象 | 証拠書類および証拠物の両方 | 証拠書類(書面) 証拠物(物) |
| 予断排除との関係 | 提出時点を限定し記録編入のタイミングを締める | 公開法廷での取調べを担保する 公開法廷での取調べを担保する |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は卷證併送(起訴時に証拠記録も裁判所へ送付)を原則とし、起訴状一本主義を採らない。証拠の提示・朗読という取調べ手続は存在するが、提出タイミングによる予断排除という発想は日本と構造が異なる。
米国の当事者主義では陪審・裁判官は事前に証拠ファイルを通読せず、公判で提出・採用された exhibit のみが記録となる。日本の予断排除と起訴状一本主義はこの構造を戦後に継受したものといえる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし裁判官が公判の前にあなたの自白調書を読み込んでいたとしたら、その裁判は公平と言えるか。310条と256条6項がペアになって、それを起こさせない。証拠調べが終わるまで、証拠物も証拠書類も裁判所の手には渡らない仕組みになっている
- 弁護人として法廷に立つあなたが、検察官が取調べを終える前に証拠書類を裁判所へ「先回り」して提出しようとする動きに気付いたら、予断排除のおそれありとしてその場で異議を出す。手続が次へ進んで証拠が記録に綴じられた後では、巻き戻すのは格段に難しい
- 原本の証拠物が別事件の捜査でも必要になった。検察官は裁判所の許可を得て謄本を提出する。原本は手元に残る
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが被害者参加人として公判に関与する場合、検察官が請求した証拠書類・証拠物が証拠調べを経て確実に記録へ提出されたかを確認する。提出されていない証拠は判決の基礎にならないため、量刑に影響する重要証拠が手続から漏れていないか、検察官や被害者参加弁護士を通じて確かめる。訴訟記録そのものの閲覧は判決確定後に可能(刑訴法53条)。
訴えられた側:あなたが被告人・弁護側なら、証拠調べの順序を監視する。検察官が取調べの前に証拠を裁判所へ提出していないか、提出された証拠が法廷で実際に朗読・展示されたものと一致するかを、その場で照合する。ずれや予断のおそれがあれば、審理が次へ進む前に異議を述べる。後から訴訟記録(53条)で気付いても、手続のやり直しを求めるのは格段に難しくなる。
時効(請求できる期限):特定の時効はない(請求権ではなく手続規定であるため)。ただし証拠提出の瑕疵に対する異議は、その手続が行われた公判期日において、審理が次へ進む前に述べなければ責問権を失う。訴訟記録の閲覧は原則として判決確定後(刑訴法53条)。
学説
通説:310条は起訴状一本主義(256条6項)と一体で予断排除を担保する手続規定と解される。証拠の記録編入時点を取調べ後に限定することで、捜査側資料による裁判官の事前心証形成を構造的に防ぐ点に本条の意義があるとする。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の全面制定により、当事者主義・起訴状一本主義が導入され、証拠を取調べ後に裁判所へ提出する構造が確立した。
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