刑事訴訟法 第306条
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- 検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠物の取調をするについては、裁判長は、請求をした者をしてこれを示させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させることができる。
- 2.裁判所が職権で証拠物の取調をするについては、裁判長は、自らこれを訴訟関係人に示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第306条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第306条の条文原文は「検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠物の取調をするについては、裁判長は、請求をした者をしてこれを示させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを示し、又…」で始まります。
- 刑事訴訟法第306条は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第306条の前の条は刑事訴訟法第305条です。
- 刑事訴訟法第306条の次の条は刑事訴訟法第307条です。
- 刑事訴訟法第306条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第306条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第306条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/306
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法306条は、証拠物の取調べでは裁判長が請求者にその現物を法廷で示させなければならないと定める。職権で取り調べる場合も訴訟関係人に示す必要がある。
Q · 裁判で証拠の品物って、ただ検察が提出すれば証拠になるの?
いいえ、法廷で実際に示されて初めて証拠になります
刑事訴訟法306条により、証拠物の取調べでは、請求した検察官や弁護人に裁判長が現物を法廷で示させなければなりません。職権で取り調べる場合も、裁判長が自ら、または陪席裁判官・書記官に訴訟関係人へ示させる必要があります。つまり凶器や押収品などの証拠物は、ただ提出されただけでは足りず、法廷で正式に「示され」て初めて、取り調べられた証拠として有罪認定の根拠になります。被告人と弁護人は、その瞬間に現物を自分の目で確認できます。
解説
「取調べ」と聞くと、多くの人は警察署の薄暗い部屋を思い浮かべる。だが刑事訴訟法306条がいう「取調べ」はまったくの別物だ。これは法廷で、証拠となる物(凶器、押収品、契約書の現物)を実際に「示す」手続を指す。条文はこう命じる。証拠物を調べるとき、裁判長は、その取調べを請求した検察官や弁護人に、現物を法廷で示させなければならない。なぜこれがあなたの武器になるのか。あなたを有罪にしようとする物的証拠は、ただ「提出された」だけでは判決の根拠にできない。法廷で正式に示され、あなたとあなたの弁護人がその目で確認できる状態に置かれて、初めて「取り調べられた証拠」になる。つまりあなたには、自分に不利な現物を、その場で自分の目で確かめる権利がある。書面に書かれた要約ではなく、本物を、だ。
法的な位置づけ
証拠物の取調べとは、刑事公判において凶器や押収品などの証拠物を法廷で現実に示す手続をいう。刑事訴訟法306条は、当事者の請求による場合は裁判長が請求者に証拠物を示させ、職権による場合は裁判長自らまたは陪席裁判官・書記官が訴訟関係人に示すことを義務づける。提示を経ない証拠物は事実認定の根拠とならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.証拠開示で物証リストを事前把握 弁護人を通じて、検察官が公判で取り調べを請求する証拠物のリストを事前に把握する。どの物証が、いつ法廷で示されるのかを確認しておく
- 2.法廷で示される瞬間に現物を確認 証拠物が法廷で示される際、書面の写しではなく現物を自分と弁護人の目で確認する。押収手続の適法性・証拠の同一性・改変や編集の有無をその場でチェックする
- 3.疑問があれば遅滞なく異議を申し立てる 取調べの方法や証拠能力に疑問があれば、その場で遅滞なく異議を申し立てる(309条)。後回しにすると争点として扱われにくくなる
- 4.公判調書で取調べ済みかを後日確認 控訴を検討する場合、公判調書を取り寄せ、その証拠物が本当に法廷で示され取り調べられたと記録されているかを確認する。記録上の漏れが突破口になりうる
よくある質問 AI による整理
Q1証拠物の取調べとは何ですか?
刑事公判で凶器や押収品などの証拠物を法廷で現実に示す手続です。刑事訴訟法306条が根拠で、提示を経ない証拠物は有罪認定の根拠にできません。
Q2証拠物は誰が法廷で示すのですか?
請求による場合は裁判長が請求者(検察官・弁護人)に示させます。ただし裁判長自ら、または陪席裁判官・書記官に示させることもできます(306条1項但書)。
Q3裁判所が職権で証拠物を調べることはありますか?
あります。その場合は裁判長が自ら訴訟関係人に示すか、陪席裁判官・書記官に示させなければなりません(306条2項)。当事者の知らぬ間の評価は許されません。
Q4証拠書類と証拠物は取調べの方法が違いますか?
違います。証拠書類は朗読が原則(305条)、証拠物は提示(306条)、証拠物たる書面は展示と朗読の併用(307条)です。
Q5示されていない証拠で有罪にされたら争えますか?
争えます。取調べを経ない証拠物を事実認定に用いるのは訴訟手続の法令違反にあたり、控訴理由になりえます(379条)。
Q6証拠物の取調べに不服があるときはどうしますか?
その場で遅滞なく異議を申し立てます(309条、刑事訴訟規則205条)。後の控訴審で蒸し返すのは難しく、沈黙が不利に働きます。
Q7デジタルデータも法廷で示すのですか?
防犯カメラ映像などの記録媒体も証拠物として取り調べる場合は法廷で示します。意味内容が証拠になるなら証拠物たる書面に準じ提示と朗読が求められます。
Q8裁判員は示されていない証拠を判断材料にできますか?
できません。評議で使えるのは法廷で正式に取り調べられた証拠だけです。報道や傍聴で見た物は記憶に残っても判断に用いてはいけません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1「証拠物の取調べ」って、警察の取り調べと同じことですか?
全く別物です。警察署での取り調べは捜査段階の尋問ですが、刑事訴訟法306条の取調べは法廷で証拠の現物を示す手続を指します。同じ「取調べ」でも舞台も意味も違います。実務のポイント:この混同は素人だけでなく報道でもよく起きます。被告人として知っておくべきは、法廷で正式に示された証拠だけが判決の根拠になり、捜査段階で警察が見せてきた物がそのまま証拠になるわけではないという点です
Q2防犯カメラの映像も、わざわざ法廷で再生して見せるんですか?
はい。証拠物(その記録媒体)として取り調べる場合、原則として法廷で示す必要があります。映像の意味内容が証拠になるなら、証拠物たる書面に準じて提示と朗読が求められます(306条、307条参照)。実務のポイント:デジタル証拠は同一性と改変の有無が突きどころです。オリジナルデータが法廷で示される場面は、弁護側が出所や編集の痕跡を確認できる数少ない機会で、ここを流すと後で覆すのは極めて難しくなります
Q3証拠が出されたのに、ちゃんと「取調べ」されてなかったら、その証拠は無効ですか?
判決の根拠にはできません。証拠調べの手続を経ていない証拠物を事実認定に用いることは許されず、もし用いられれば訴訟手続の法令違反として控訴理由になりえます(刑事訴訟法379条)。実務のポイント:実務では、証拠が形式的に取り調べられたかどうかは公判調書に記録されます。控訴を考えるなら、自分の裁判の公判調書を取り寄せ、その証拠物が本当に示されたと記録されているかを確認する。記録上の漏れが、思わぬ突破口になることがあります
間違えやすい点 AI による整理
- そもそも「証拠物の取調べ」を警察の取り調べと同じものだと思っているなら、問いの立て方からずれている。ここでいう取調べは法廷での証拠の確認手続であって、密室の尋問ではない。混同したまま裁判に臨むと、自分の権利がどこで発動するのか永遠に見えないままだ
- 証拠が法廷に出されることは知っていても、その重さを知らない人が多い。正式に取り調べられていない証拠物は、いくら検察の手元にあっても、裁判官は有罪認定の根拠にできない。提出と取調べは、別の関門である
- 裁判官が書類や物を一人で眺めて勝手に心証を取っている、と思われがちだが違う。裁判所が職権で証拠物を調べるときも、裁判長は訴訟関係人にそれを示さなければならない(2項)。あなたの見えないところで証拠が評価されることは、原則として許されない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 取調べの対象 | 306条:証拠物(凶器・押収品など現物) | 305条:証拠書類(供述調書など) 307条:証拠物たる書面(契約書原本など) |
| 取調べの方法 | 提示(展示)して示す | 朗読する 展示と朗読を併用する |
| 防御の着眼点 | 現物の同一性・改変・押収手続の適法性を目視で確認 | 供述内容・伝聞性(320条)を検討 記載内容と物としての形状の両面を確認 |
他国ではどう定めているか 4 か国
審判長が証物を当事者・弁護人らに提示し辨認させる点で日本306条と同趣旨。提示と認否を結びつける構造が明確
韓国も証拠物・証拠書類の取調べ方式を条文で区別する。公判中心主義の要請は日本と共通
ドイツは Augenschein(検証)の枠組みで物証を取り調べる。裁判所の直接的な認識を重視する直接主義の伝統が背景にある
米国は物証の真正(authentication)の立証を要件とする。提示そのものより同一性・真正の証明に重点を置く点が日本と力点を異にする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが被告人として法廷に立ったとき、検察官が「これが凶器です」と書面の説明だけで済ませようとしたら? それは許されない。現物が法廷で示されない限り、その凶器を有罪の根拠にはできない。
- 公判で防犯カメラの記録媒体が証拠物として示された。あなたの弁護人がデータの出所や同一性をその目で確認できるのは、まさにこの瞬間だけかもしれない。異議を述べるなら遅滞なく、その日のうちに動かなければ機を逃す。
- あなたが裁判員に選ばれ、評議で「あの証拠」を判断材料にしようとする。だがそれが法廷で正式に示されていなければ、たとえ記憶に残っていても使ってはいけない。何が「取り調べられた証拠」かの線引きが、あなたの一票の土台になる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被害者参加制度(刑事訴訟法316条の33以下)を使えば、あなたや参加人代理人は公判で証拠物の取調べに立ち会える2. 検察官に、どの物的証拠を、いつ法廷で示すのか事前に確認する3. 証拠物が示される際、自分の認識と食い違う点があれば、代理人を通じて検察官に質問・意見を伝える4. 自分の被害の立証に必要な現物があれば、検察官に証拠調べ請求を促す。受け身で待つより、何を示してほしいかを具体的に伝える方が動く
訴えられた側:1. 弁護人を通じて、検察官が請求する証拠物のリストを事前に把握する(証拠開示) 2. 各証拠物が法廷で示される際、現物を自分の目で確認し、押収手続の適法性・証拠の同一性・改変の有無をチェック3. 取調べの方法や証拠能力に疑問があれば、その場で遅滞なく異議を申し立てる(309条)、後回しは不利4. 不利な物的証拠が正式に取り調べられていないなら、それを有罪認定の根拠にはできないと主張する
時効(請求できる期限):証拠物の取調べ自体に法定の時効はないが、その取調べの方法・証拠能力に対する異議は「遅滞なく」申し立てなければならない(刑事訴訟法309条、刑事訴訟規則205条)。異議事由が生じた直後がリミットで、これを過ぎると争点として扱われにくくなる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:306条の提示は、当事者とりわけ被告人に対し、自己に不利な証拠物を現実に確認させ反論の機会を保障する公判中心主義・直接主義の現れである。提示を欠いた証拠物を事実認定に供することは許されないと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、戦後の公判中心主義・当事者主義の下で証拠物の取調べ方式として規定された。証拠書類の朗読(305条)とは別に、証拠物は提示によって取り調べることが明確化された。
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