刑事訴訟法 第360条
クイックジャンプ
第三百五十三条又は第三百五十四条に規定する者は、書面による被告人の同意を得て、上訴の放棄又は取下をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第360条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第360条の条文原文は「第三百五十三条又は第三百五十四条に規定する者は、書面による被告人の同意を得て、上訴の放棄又は取下をすることができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第360条は第一章 通則に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第360条の前の条は刑事訴訟法第359条です。
- 刑事訴訟法第360条の次の条は刑事訴訟法第360条の2です。
- 刑事訴訟法第360条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第360条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第360条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/360
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法360条は、法定代理人や弁護人が被告人のため上訴を放棄・取下げするには、書面による被告人の同意が必要と定める。口頭の同意では足りない。
Q · 弁護人が勝手に控訴を取り下げることはできますか?
できません。被告人本人の書面同意が必要です。
刑事訴訟法360条により、原審の弁護人や法定代理人が被告人のため上訴を放棄・取下げするには、書面による被告人の同意が必要です。口頭の同意やうなずきでは足りず、署名した同意書がなければその放棄・取下げは効力を生じません。一度有効に放棄・取下げをすると、同じ事件で二度と上訴できなくなります(361条)。弁護人から取下げを告げられても、まず自分が書面で同意したかを必ず確認してください。
解説
刑事裁判で判決が出た後、控訴や上告(まとめて上訴)をするか、それとも放棄・取下げをするか。この決定は一度きりで後戻りできない。一度放棄すれば、同じ事件で二度と争えない(361条)。本条が守っているのは、その重い決定を「あなた以外の誰か」に勝手にされない権利だ。あなたの法定代理人(未成年なら親など)や、原審の弁護人があなたのため上訴を放棄・取下げするには、書面によるあなたの同意が要る。口頭の「いいよ」では足りない。署名した書面がなければ、その放棄は無効を主張できる。弁護人が「もう争っても無駄ですよ」と言っても、最後にペンを握るのはあなただ。この一条は、あなたの上訴権が他人の判断で消されないための最後の関所である。
法的な位置づけ
刑事訴訟法360条は、被告人のため上訴できる法定代理人・保佐人または原審の代理人・弁護人が上訴を放棄・取下げする際の要件を定める規定であり、書面による被告人の同意を得た場合に限りこれらの者が放棄・取下げをなしうる旨を規律する。代理人の処分権限に対する被告人の自己決定の歯止めとして機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.上訴期間(14日)をまず把握する 上訴の提起期間は判決宣告の日から14日(刑訴373条)。放棄・取下げを迫られても、まずこの期限内に自分で争う余地が残っているかを確認する。期限を過ぎれば判決は確定する
- 2.取下げ・放棄を求められたら署名前に立ち止まる 拘置所や面会で「取下げ書にサインを」と求められても即署名しない。放棄・取下げは一度きりで戻せない(刑訴361条)。書面の意味と不可逆性を理解してからペンを取る
- 3.自分の書面同意の有無を確認する 弁護人や法定代理人が放棄・取下げをしたと知らされたら、自分が署名した書面同意が存在するかを確認する。署名した同意書がなければ、その放棄・取下げは効力を生じない
- 4.同意していなければ取下げの無効を主張する 書面同意がないのに代理人・弁護人が放棄・取下げをしていた場合、刑訴360条違反として取下げの無効を主張し、上訴が生きている可能性を確認する。気付くのが早いほど争える余地は大きい
- 5.判断に迷うならセカンドオピニオンを取る 弁護人に「勝ち目がない」と言われても、最終決定権は被告人本人にある。署名を保留し、14日の期間内に別の弁護士のセカンドオピニオンを求めてから決める
よくある質問 AI による整理
Q1上訴の放棄とは何ですか?
上訴する権利を自ら手放し、判決を確定させる行為です。放棄すると同一事件で二度と上訴できません(刑訴361条)。撤回ではなく権利消滅の確定行為です。
Q2控訴の取り下げに期限はありますか?
上訴提起後、上訴審の判決前であれば取下げ可能です。なお上訴提起自体の期間は判決宣告から14日(刑訴373条)で、放棄もこの期間に関わります。
Q3弁護人が上訴を取り下げるのに同意書は必要ですか?
必要です。原審の弁護人が被告人のため上訴を放棄・取下げするには、書面による被告人の同意が要件です(刑訴360条)。口頭同意は無効リスクが残ります。
Q4上訴放棄の同意は書面でないとダメですか?
はい。刑訴360条は「書面による被告人の同意」を明文で要求します。録音や口頭の承諾だけでは要件を満たさず、放棄・取下げの無効を主張できます。
Q5未成年の子の控訴を親が取り下げるには同意が要りますか?
要ります。法定代理人として上訴を放棄・取下げする場合も、被告人本人(子)の書面同意が必要です。親権があっても子の上訴権を独断で処分できません。
Q6上訴放棄が無効になるのはどんな場合ですか?
代理人・弁護人による放棄・取下げに被告人の書面同意がない場合、無効を主張できます。署名した同意書の不存在が決め手になります(刑訴360条)。
Q7取り下げた控訴を後から復活できますか?
できません。放棄・取下げをした者と、それに同意した被告人は、同一事件で再び上訴できません(刑訴361条)。後戻りできない確定的処分です。
Q8死刑判決でも上訴を放棄できますか?
死刑・無期の判決では、放棄自体が制限される規定があります(刑訴360条の2等、最新の改正状況をご確認ください)。安易な放棄は避けるべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1弁護士に「控訴しても勝てないから取り下げる」と言われました。従うしかないんですか?
従う必要はない。原審の弁護人があなたのため上訴の放棄・取下げをするには、あなたの書面同意が必要だ(360条)。署名しなければ取下げの効力は生じない。実務のポイント:弁護人が「見込みがない」と言うのは多くの場合正直な見立てだが、それでも最終決定権はあなたにある。納得できなければ署名を保留し、別の弁護士にセカンドオピニオンを求める時間が14日の期間内にある。
Q2一度取り下げた控訴を、後から「やっぱり続けたい」と復活させられますか?
できない。上訴を放棄または取下げた者は、その事件について二度と上訴できない(361条)。さらに、放棄・取下げに同意した被告人も同様に封じられる。つまりあなたが書面同意した時点で、後戻りの道は閉じる。実務のポイント:だからこそ360条は「書面」同意を要求している。後で「言った言わない」を防ぎ、本人が不可逆な決定を理解した証拠を残すためだ。署名を求められたら、それが最終確定のボタンだと認識した方がいい。
間違えやすい点 AI による整理
- 弁護人が自分の代理として動くことは知っていても、その弁護人が上訴を放棄・取下げするにはあなたの「書面」同意が要る、という一線までは知らない人が多い。口頭やうなずきでは足りず、署名のない放棄は無効を主張できる。代理権の射程には、この特別な関所がある。
- あなたから見れば「弁護人に任せておけば安心」。だが法から見れば、上訴の放棄は被告人本人の意思を書面で確認しなければならないほど重大な処分だ。この落差を知らないと、任せたつもりが権利を失う結果になる。
- 「一度取り下げても、やっぱり控訴したいと言えば戻せる」と考えるのは、問いそのものが間違っている。放棄・取下げをすれば、その事件で二度と上訴できない(361条)。同意した被告人も同じく封じられる。戻せる前提で考えること自体が危険だ。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 360条:代理人・弁護人の放棄・取下げに被告人の書面同意を要求 | 359条:検察官・被告人本人による放棄・取下げの一般規定 361条:放棄・取下げ後は同一事件で再上訴を禁止 |
| 書面要件 | 被告人の同意は書面が必須(口頭は無効) | 放棄・取下げ自体も書面で行う(360条の3) 再上訴禁止の効果は同意した被告人にも及ぶ |
| 本人の関与 | 本人の明示的・書面の同意が前提 | 被告人本人は自ら処分できる 同意した本人も以後の上訴を封じられる |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾でも弁護人の上訴は被告の明示の意思に反しえないとされ、取下げにも本人意思の尊重が求められる。被告人の自己決定を優先する点で日本と方向性が一致する。
韓国も上訴の放棄・取下げを規律し、法定代理人が関わる場合の同意要件を置く。被告人本人の意思確認を重視する構造は日本と類似する。
ドイツでは弁護人が上訴を取り下げるには被告人の明示の授権(ausdrückliche Ermächtigung)を要する。代理人の処分権限を本人意思に係らしめる発想が日本360条と共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 弁護人から「上訴を取り下げます」と告げられたら、それは確定事項なのか? 違う。あなたが書面で同意していなければ、その取下げは効力を持たない。ただし上訴期間は判決から14日。同意を拒んで自分で争うなら、この期間内に動かなければ間に合わない。
- 未成年のあなたの子が刑事事件で有罪に。あなたは法定代理人として上訴できる(353条)。だが逆に、あなたが「もう受け入れよう」と上訴を放棄するには、子本人の書面同意が必要だ。親であっても、子の上訴権を独断で捨てられない。
- 拘置所で「取下げ書にサインを」と求められた。理解しないまま署名すれば、二度と争えない(361条)。一枚の紙の重さを知ってからペンを取れ。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 上訴するか放棄するかは判決から14日以内に決まる。まずこの期限を把握する。2. 弁護人や法定代理人が放棄・取下げを勧めても、あなたが署名した書面同意がなければ効力は生じない。安易に署名しない。3. すでに取り下げられたと知ったら、自分の書面同意の有無を確認し、なければ取下げの無効を主張する。4. 判断に迷うなら、別の弁護士にセカンドオピニオンを求めてから決める。
訴えられた側:1. 被告人のため上訴を放棄・取下げするなら、必ず被告人本人の書面同意を取得する(360条)。口頭同意は後で無効リスクを残す。2. 同意書には事件の特定と、放棄・取下げの不可逆性を理解した旨を明記させる。3. 死刑・無期の判決では、同意があっても放棄自体ができない(360条の2、最新の改正状況をご確認ください)。4. 放棄・取下げ自体も書面で行う(360条の3)。手続の各段階で書面要件を満たす。
時効(請求できる期限):上訴(控訴・上告)の提起期間は判決宣告の日から14日(刑事訴訟法373条、上告は414条で準用)。本条の同意による放棄・取下げもこの期間に関わる手続として行われる。放棄・取下げをすれば同一事件で再度の上訴はできない(361条)。
学説
通説:刑訴360条の「書面による同意」は放棄・取下げの効力要件であり、これを欠く代理人・弁護人の放棄・取下げは無効と解される。被告人の上訴権という人格的・自己決定的利益を、代理人の処分権限から保護する趣旨に基づく。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、上訴の放棄・取下げに関する被告人保護規定として整備。代理人・弁護人の処分に被告人の書面同意を要求する枠組みが定められた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める