刑事訴訟法 第375条
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控訴の申立が明らかに控訴権の消滅後にされたものであるときは、第一審裁判所は、決定でこれを棄却しなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第375条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第375条の条文原文は「控訴の申立が明らかに控訴権の消滅後にされたものであるときは、第一審裁判所は、決定でこれを棄却しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第375条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第375条の前の条は刑事訴訟法第374条です。
- 刑事訴訟法第375条の次の条は刑事訴訟法第376条です。
- 刑事訴訟法第375条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第375条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第375条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/375
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法375条は、明らかに控訴期間経過後の控訴を第一審裁判所が決定で棄却する規定。この棄却決定には3日以内に即時抗告(同法422条)ができる。
Q · 控訴の期限を過ぎたら、もう争えないんですか?
いいえ、即時抗告と上訴権回復という二つの道が残っています
刑事訴訟法375条により、控訴の申立が明らかに控訴提起期間(同法373条の14日)の経過後にされたときは、第一審裁判所が決定でこれを棄却します。しかしこの棄却決定には3日以内に即時抗告(同法422条)ができ、さらに通知不到達や入院など自己の責めに帰せない事由があれば、上訴権回復の請求(同法362条)も可能です。期限切れの通知が来ても、すぐに弁護人へ相談することが重要です。
解説
判決の言渡しを受けて、控訴したいと思った。だが手続を調べているうちに、14日の控訴提起期間(刑事訴訟法373条)が過ぎていた。このとき動くのは、あなたを裁いたその第一審裁判所自身だ。控訴の申立が「明らかに」期間経過後だと判断すれば、高等裁判所へ記録が回る前に、原審が決定で控訴を棄却する。ここで知っておくべき急所が二つある。第一に「明らかに」という限定。期間内かどうか微妙なケースは、この条文では切れない。第二に、棄却決定が出ても終わりではない。3日以内に即時抗告(刑事訴訟法422条)で争えるし、自分の責めに帰せない事由で遅れたのなら、上訴権回復の請求(刑事訴訟法362条)という別の扉がある。期限を一日過ぎた、で諦める人と、この三段構えを知っている人とでは、その後がまるで違う。
法的な位置づけ
刑事訴訟法375条は、控訴の申立が明らかに控訴提起期間の経過後にされた場合に、第一審裁判所が決定でこれを棄却すべき旨を定める規定である。記録が控訴裁判所へ送付される前に原審自身が形式的不適法を理由に却下する手続を設け、この棄却決定に対しては即時抗告が認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.判決言渡し日から控訴期間を正確に数える 判決の告知の日を起点に14日(刑事訴訟法373条)を数える。初日は算入しないため実質翌日起算。勾留中なら裁判所への到達日ではなく、刑事施設の長へ差し出した日が基準になる(同法366条)
- 2.迷うならまず控訴申立書だけ先に出す 控訴するか迷っているなら結論を14日目まで引っ張らず、控訴申立書だけ先に第一審裁判所へ提出する。理由を述べる控訴趣意書は後日でよい(同法376条)。申立てさえ確定すれば375条の棄却リスクが消える
- 3.棄却決定が届いたら3日以内に即時抗告 375条の棄却決定を受け取ったら、即時抗告の期間はわずか3日(同法422条)。一刻も早く弁護人へ連絡し、即時抗告申立書を準備する
- 4.自己の責めに帰せない遅延なら上訴権回復を並行準備 遅れた理由が通知不到達・入院・災害など自分のせいでないなら、上訴権回復の請求(同法362条)を即時抗告と並行して準備し、診断書・不在証明・通知不到達の記録などの疎明資料を揃える
よくある質問 AI による整理
Q1控訴の棄却決定とは何ですか?
控訴の申立が明らかに期間経過後にされたとき、第一審裁判所が記録を高裁へ送る前に決定で却下する処分です。刑事訴訟法375条が根拠です。
Q2即時抗告は何日以内にしますか?
375条の棄却決定に対する即時抗告の提起期間は3日です(刑事訴訟法422条)。控訴の14日より大幅に短いので注意が必要です。
Q3上訴権回復の請求とはどんな制度ですか?
通知不到達や入院など自己の責めに帰せない事由で控訴期間を徒過した場合に、控訴権を回復させる救済請求です(刑事訴訟法362条)。
Q4控訴提起期間は何日間ですか?
判決の告知の日から14日です(刑事訴訟法373条)。初日は算入されないため、実質的に翌日起算で数えます。
Q5控訴を棄却するのはどの裁判所ですか?
375条による期限切れ控訴の棄却は、控訴裁判所(高裁)ではなく、判決を出した第一審裁判所自身が行います。ここを誤解する人が多いです。
Q6控訴申立書はいつまでに提出しますか?
控訴提起期間(14日)内に第一審裁判所へ提出します。理由を述べる控訴趣意書は、裁判所が定める期間内に後日提出すれば足ります。
Q7控訴期間を過ぎたら必ず棄却されますか?
「明らかに」経過後の場合に限られます。期間内かどうか微妙なケースは375条では切れず、控訴裁判所が判断します。
Q8略式命令への不服申立ての期限は?
略式命令に不服がある場合の正式裁判の請求も14日です(刑事訴訟法465条)。控訴期間と混同しないよう注意が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1控訴の期限を1日過ぎただけなんですが、本当にもうダメなんですか?
「明らかに」期間経過後なら、第一審裁判所が決定で棄却します(375条)。ただし諦めるのは早い。棄却決定には3日以内の即時抗告(422条)ができ、遅れた理由が自分のせいでなければ上訴権回復の請求(362条)も可能です。実務のポイント:「自己の責めに帰することができない事由」は単なる多忙では認められませんが、判決通知の不到達、本人の入院、弁護人側の事故などは過去に認められた例があります。諦める前に必ず弁護人に相談を。
Q2拘置所に入っている間に控訴したいけど、郵便が遅れたら期限切れになりますか?
なりません。在監者の特則(刑事訴訟法366条)で、施設の長へ控訴申立書を差し出した日が基準になります。裁判所への郵便到達が期間後でも、施設に差し出したのが期間内なら、期間内の控訴として扱われます。実務のポイント:この特則を知らずに「もう間に合わない」と諦める在監者がいますが、施設の担当者へ差し出した日付の記録が残るので、その控えを必ず確保すること。塀の外にいる人は到達主義なので、この保護はありません。
間違えやすい点 AI による整理
- 「控訴期間を過ぎたら、もう何をしても無駄」と思い込む人が多い。だが病気、災害、判決通知の不到達など自己の責めに帰せない事由があれば、上訴権回復の請求(刑事訴訟法362条)で控訴権を蘇らせる道が残っている
- 「控訴を棄却するのは高等裁判所だ」という前提でこの条文を読むと、まず混乱する。375条が動かすのは、あなたを裁いた第一審裁判所自身だ。期限切れが明白なケースに限り、記録が高裁へ上がる前に、原審が自ら門前払いをする仕組みになっている
- 「即時抗告できると書いてあるから慌てなくていい」と知っている人でも、その期間がわずか3日しかない(刑事訴訟法422条)ことまで意識している人は少ない。控訴の14日に気を取られていると、棄却決定への即時抗告の3日はあっという間に溶ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 棄却する裁判所 | 375条:第一審裁判所(原審) | 385条:控訴裁判所(高裁) 362条:上訴権回復は第一審裁判所が判断 |
| 棄却・却下の対象 | 明らかに控訴権消滅後にされた控訴 | 控訴申立が法令上の方式違反・不適法な場合 自己の責めに帰せず期間徒過した場合の救済 |
| 「明らかに」の限定 | 期間経過が明白なケースのみ(微妙な事案は対象外) | 控訴裁判所が記録到達後に実質判断 事由の有無を疎明資料に基づき審理 |
| 不服申立て | 即時抗告3日(422条) | 即時抗告(422条) 請求認容で控訴権が回復 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も原審法院が上訴権喪失後の上訴を裁定で駁回する点で日本375条と同構造。ただし方式の補正が可能な場合は先に補正を命じる運用がある
韓国も原審法院が項訴提起の方式違反・項訴権消滅後であることが明白なとき決定で項訴を棄却する。日本375条とほぼ同一の構造で、即時抗告に相当する不服申立ても認められる
ドイツも控訴が期間後に提起されたとき第一審裁判所が不適法として棄却し、これに対し即時抗告(sofortige Beschwerde)が可能。日本375条と極めて近い設計
米国連邦刑事では控訴期間(原則14日)を定め、期間徒過の控訴は却下されうる。ただし good cause / excusable neglect による期間延長の余地があり、日本の上訴権回復に類似する救済枠が存在する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 実刑判決を受けて勾留されたまま、控訴したい意思を弁護人に伝えそびれた。気づけば判決から15日目、第一審裁判所から控訴棄却の決定が届く。だがまだ終わっていない。即時抗告まで残り3日。この3日で上訴権回復の主張まで組み上げられるかどうかが、運命の分かれ目になる
- もし、判決の言渡し期日にあなたが出頭できず、通知も受け取れない状況だったとしたら? 形式上は期間が過ぎても、自己の責めに帰せない事由として上訴権回復が認められる余地がある。第一審裁判所が下した棄却決定を、即時抗告でひっくり返す道が残る
- 勾留中の被告人が、控訴申立書を14日目に刑事施設の長へ差し出した。裁判所への到達は16日目。だが在監者の特則(刑事訴訟法366条)で、施設に差し出した日が基準になる。期間内の控訴として扱われ、375条の棄却は受けない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 判決言渡し日を起点に14日(刑事訴訟法373条)を正確に数え直す。在監中なら施設へ差し出した日が基準(366条) 2. 棄却決定が届いたら、即時抗告の期間はわずか3日(422条)、一刻も早く弁護人へ連絡3. 遅れた理由が自分の責めに帰せないなら(通知不到達、入院、災害など)、上訴権回復の請求(362条)を即時抗告と並行して準備し、疎明資料を集める4. 国選弁護人が選任済みなら、その弁護人にすぐ相談する
訴えられた側:1. 有罪判決を受けてその場で控訴を迷っているなら、結論を14日後まで引っ張らず、まず控訴申立書だけ先に第一審裁判所へ出す(374条) 2. 控訴の理由を述べる控訴趣意書は、裁判所が定める期間内に後日提出すればよい(376条) 3. 申立てさえ期間内に確定させれば、375条の棄却リスクは消える4. 迷いがあっても申立ては後で撤回できるので、まず出しておく方が安全
時効(請求できる期限):控訴提起期間は判決の告知の日から進行し、初日は算入しないため実質翌日起算で14日(刑事訴訟法373条、358条、55条)。在監者は施設の長へ差し出した日が基準(366条)。棄却決定に対する即時抗告は3日(422条)。期間経過後でも自己の責めに帰せない事由があれば上訴権回復の請求が可能(362条)
学説
通説:375条の棄却は控訴の形式的適法性(期間遵守)に関する原審の審査権限であり、「明らかに」期間経過後の場合に限定される。期間内か否かが微妙な事案は本条では却下できず、記録を控訴裁判所へ送付して実質判断に委ねるべきとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、第一審裁判所による期限後控訴の棄却決定と、これに対する即時抗告の仕組みが整備された。
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