刑事訴訟法 第386条
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- 左の場合には、控訴裁判所は、決定で控訴を棄却しなければならない。
- 一第三百七十六条第一項に定める期間内に控訴趣意書を差し出さないとき。
- 二控訴趣意書がこの法律若しくは裁判所の規則で定める方式に違反しているとき、又は控訴趣意書にこの法律若しくは裁判所の規則の定めるところに従い必要な疎明資料若しくは保証書を添附しないとき。
- 三控訴趣意書に記載された控訴の申立の理由が、明らかに第三百七十七条乃至第三百八十二条及び第三百八十三条に規定する事由に該当しないとき。
- 2.前条第二項の規定は、前項の決定についてこれを準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第386条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第386条の条文原文は「左の場合には、控訴裁判所は、決定で控訴を棄却しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第386条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第386条の前の条は刑事訴訟法第385条です。
- 刑事訴訟法第386条の次の条は刑事訴訟法第387条です。
- 刑事訴訟法第386条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第386条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第386条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/386
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法386条は、控訴趣意書の不提出・方式違反・理由不該当の控訴を、控訴裁判所が口頭弁論を開かず決定で棄却することを定める。決定には即時抗告ができる。
Q · 控訴したのに、法廷で意見を述べる前に「棄却」と言われることがあるって本当?
本当です。期限切れや書類の不備で決定棄却されます
本当です。刑事訴訟法386条は、控訴裁判所が口頭弁論を開かず「決定」で控訴を棄却する三つの場合を定めます。控訴趣意書を指定期間内に出さないとき(1号)、趣意書の方式違反や必要な疎明資料・保証書の不添付があるとき(2号)、書かれた理由が明らかに法定の控訴理由(377条乃至382条・383条)に当たらないとき(3号)です。判決と違い書面審理だけで完結するため、中身を争う前に入口で終わることがあります。この決定には即時抗告(3日)の道が残されています。
解説
控訴を申し立てた。だが法廷で意見を述べる機会は一度も来ないまま、ある日「控訴棄却」の決定書が届く。刑訴法386条は、まさにこの「審理に入る前に控訴を門前払いする」三つの引き金を定めている。第一に、控訴趣意書を裁判所が指定した期限内に出さなかったとき。第二に、趣意書の方式が法律や裁判所規則に違反している、または必要な疎明資料や保証書を添付していないとき。第三に、書かれた控訴理由が、明らかに377条から382条および383条の法定理由に当たらないとき。重要なのは、これが「判決」ではなく「決定」で下される点だ。判決なら口頭弁論を開いて争えるが、決定は書面審理だけで完結する。あなたの言い分が正しいかどうか以前に、入口で書類が一枚足りないだけで、控訴審は実質的に終わる。手続のミスが、実体の正しさを丸ごと飲み込む条文である。
法的な位置づけ
刑事訴訟法386条は控訴棄却決定を定める規定であり、控訴裁判所が口頭弁論を経ずに決定で控訴を棄却すべき三つの場合を列挙する。控訴趣意書の不提出(1号)、方式違反・疎明資料等の不添付(2号)、記載理由が明らかに法定事由に該当しないこと(3号)であり、判決による棄却(396条)に対する形式的濾過として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.控訴を決めたら趣意書の指定期限を真っ先に確認 控訴を決意したら、控訴理由の検討より先に、控訴趣意書の提出期限(376条1項により裁判所が事件ごとに指定)を弁護人または書記官に確認する。期限は法律で一律ではないため、思い込みで数えると1号棄却に直結する
- 2.控訴理由を法定事由に紐づけて構成 期限から逆算し、控訴理由を377条乃至382条・383条のどの法定事由に乗せるかを弁護人と詰める。「判決が不当」と感情的に書くのではなく、訴訟手続の法令違反・事実誤認・量刑不当など条文上の事由に明示的に結びつけ、3号の門前払いを避ける
- 3.方式・疎明資料・保証書を提出前にチェック 趣意書が刑事訴訟規則の定める方式に従っているか、必要な疎明資料や保証書を添付しているかを提出前に点検する。本人作成の趣意書が形式不備で2号棄却される例は実務で珍しくないため、国選・私選を問わず弁護人の手を通すのが安全
- 4.棄却決定が届いたら受領日を記録し即時抗告を検討 控訴棄却決定が届いたら、棄却理由を読み込む前に封筒の受領日を記録し、即時抗告3日(422条)の起算点を確定する。1号・2号・3号のどれで棄却されたかを特定し、補正の余地がある瑕疵なら即時抗告(386条2項・385条2項準用)を申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1控訴棄却決定とは何ですか?
控訴裁判所が口頭弁論を開かず決定で控訴を退ける処分です。刑訴法386条が、期限切れ・方式違反・理由不該当の三つの場合を定めています。
Q2控訴趣意書の提出期限はいつですか?
法律で一律に決まっておらず、裁判所が事件ごとに指定します(376条1項)。指定期間を1日でも過ぎると386条1項1号で棄却されます。
Q3控訴棄却の決定と判決はどう違いますか?
決定は書面審理だけで完結し口頭弁論がありません(386条)。判決による棄却(396条)は口頭弁論を開いて争えます。救済手段も即時抗告と上告で異なります。
Q4控訴趣意書を出さないとどうなりますか?
386条1項1号により、控訴は決定で棄却されます。中身を一切審理されないまま控訴審が終わるため、指定期限の管理が最重要です。
Q5即時抗告の期限は何日ですか?
決定の告知を受けた日から3日です(刑訴法422条)。極端に短いため、棄却決定が届いたらまず受領日を確認することが重要です。
Q6控訴理由はどう書けば棄却されませんか?
「量刑が重い」と漠然と書くのではなく、377条乃至382条・383条のどの法定事由に当たるかを明示して紐づけます。これを欠くと3号で棄却されます。
Q7控訴棄却決定に不服があるときはどうしますか?
即時抗告ができます(386条2項が385条2項を準用)。提起期間は告知から3日で、過ぎると決定が確定し争う道がほぼ閉じます。
Q8控訴審は一審をやり直してくれますか?
刑事控訴審は事件を一からやり直す続審ではなく事後審です。控訴趣意書という書面が主戦場で、まず386条の形式審査を通過しなければ実体審理に進めません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1控訴趣意書って、弁護士に頼まず自分で書いて出してもいいんですか?
提出できます。被告人本人が作成・提出することは可能です(刑訴法376条)。ただし方式が刑事訴訟規則に従っていなかったり、必要な疎明資料を添付していなかったりすると、386条1項2号で内容を判断される前に棄却されます。実務のポイント:本人作成の趣意書が形式不備で切られる例は実務で珍しくない。控訴理由は「○条の事由に当たる」と法定事由に紐づけて書くのが鉄則で、感情的に「判決は不当だ」と書き連ねるだけでは3号の餌食になる。国選でも私選でも、趣意書だけは弁護人の手を通すのが安全
Q2決定で控訴が棄却されたら、もう打つ手はないんですか?
残っています。控訴棄却決定には即時抗告ができます(386条2項が385条2項を準用)。ただし提起期間は告知から3日(刑訴法422条)と極端に短い。実務のポイント:この3日を逃すと決定は確定し、争う道がほぼ閉じる。決定書が届いたら、なぜ棄却されたかを理解しようとして時間を使う前に、まず即時抗告の期限を弁護人とカレンダーで確定するのが先。多くの人は理由の読解に時間を費やし、気づいたら3日が過ぎている
間違えやすい点 AI による整理
- 「控訴すれば必ず裁判官の前で話せる」と思っている人が多いが、その問いの立て方自体がずれている。刑事の控訴審は事件を一からやり直す続審ではなく、事後審。控訴趣意書という書面が主戦場であり、法廷で初めて勝負が始まるわけではない
- 控訴趣意書に期限があることは知っていても、その期限が「法律で一律」ではなく「裁判所が事件ごとに指定する」ものだと知る人は少ない(376条1項)。一律の締切を頭に描いていると、裁判所の指定した日を見落とし、思っていたより早く扉が閉まる
- 「決定で棄却されたら、もう終わり」と思われがちだが、即時抗告という道が残る(386条2項が385条2項を準用)。ただし3日という極端に短い期限を知らないと、その最後の道も自動的に閉じる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 判断の形式 | 386条:口頭弁論を開かず「決定」で棄却 | 396条:口頭弁論を経た「判決」で棄却 385条:管轄違い等を除く不適法な控訴の決定棄却 |
| 棄却の事由 | 趣意書の不提出・方式違反・理由不該当(1〜3号) | 実体審理の結果、控訴に理由がない 控訴が法律上の方式違反・控訴権消滅後である |
| 争う手段 | 即時抗告(386条2項・385条2項準用) | 上告(405条以下) 即時抗告(385条2項) |
| 不服申立ての期限 | 告知から3日(422条、即時抗告) | 判決宣告から14日(414条・373条準用、上告申立て) 告知から3日(422条、即時抗告) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も上訴が法律上の方式に違反する場合に駁回するが、原則として『判決』で駁回する点が、日本の『決定』棄却と形式を異にする。
韓国も控訴理由書の不提出を控訴棄却決定の事由とし、決定形式で処理する点で日本と近い。
ドイツは上告(Revision)が不適法な場合に決定(Beschluss)で棄却し、口頭弁論を経ない点で日本の決定棄却と機能が類似する。
米連邦控訴では趣意書(brief)の不提出を控訴却下事由とし、書面の方式・期限管理が控訴の生死を分ける構造が日本と共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一審で実刑判決。あなたは控訴を決意したが、控訴趣意書の提出期限が迫っている。国選弁護人がついていても、期限内に趣意書が出なければ386条1項1号で即棄却される。残り日数を数え間違えた瞬間、中身を争う前にすべてが終わる
- もし、本人で控訴趣意書を書いて出したら、その書面の方式が裁判所規則に合っていなかったとしたら? 内容に正当な主張があっても、2号の方式違反で棄却されうる。弁護士が「形式」に異常なほどこだわる本当の理由がここにある
- 控訴理由に「量刑が重い」とだけ書いた。だがそれが具体的な法定事由に当たらなければ、3号で却下される。一行の書き方が運命を分ける
- 控訴棄却の決定書が届いた。だが、あなたにはまだ手が残っている。即時抗告の期限は3日。受け取った封筒を机に放り投げて放置した瞬間、その3日は静かに消えていく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 控訴を決めたら、まず控訴趣意書の指定期限(376条1項、裁判所が事件ごとに指定)を弁護人または書記官に確認2. 期限から逆算し、控訴理由を377条から382条・383条のどの法定事由に乗せるか弁護人と構成を詰める。「量刑不当」「事実誤認」と漠然と書くのではなく、条文の事由に紐づける3. 趣意書の方式、必要な疎明資料、保証書の添付を提出前にチェック(2号違反の回避) 4. 期限内に確実に提出する。一日でも遅れれば1号で即棄却される
訴えられた側:1. 控訴棄却決定が届いたら、封筒の受領日を記録し、即時抗告3日の起算点を確定2. 棄却理由が1号(期限)・2号(方式)・3号(理由不該当)のどれかを特定し、その認定に誤りがないか弁護人と精査3. 方式違反など補正の余地がある瑕疵だったと争えるなら、即時抗告(386条2項・385条2項準用)を申し立てる4. 並行して上告(405条以下)など他の救済手段の可否も検討し、時間切れにしない
時効(請求できる期限):控訴趣意書の提出期限は裁判所が事件ごとに指定する(376条1項)、法律上の一律期限ではない。この指定期限を1日でも過ぎれば386条1項1号で棄却される。棄却決定に対する即時抗告は、決定の告知を受けた日から3日(刑事訴訟法422条、即時抗告の提起期間)
学説
通説:386条1項各号は控訴の適法要件・理由具備を欠く控訴を口頭弁論を経ずに早期に濾過する規定であり、特に3号は『明らかに』法定事由に該当しない場合に限定することで、訴訟経済と上訴権の実質的保障の調和を図るものと解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い、控訴棄却決定の制度として整備。控訴審を事後審と位置づける構造の下、形式審査による早期棄却と、これに対する即時抗告の道(385条2項準用)を定めた。
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