刑事訴訟法 第445条
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再審の請求を受けた裁判所は、必要があるときは、合議体の構成員に再審の請求の理由について、事実の取調をさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第445条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第445条の条文原文は「再審の請求を受けた裁判所は、必要があるときは、合議体の構成員に再審の請求の理由について、事実の取調をさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官に…」で始まります。
- 刑事訴訟法第445条は第四編に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第445条の前の条は刑事訴訟法第444条です。
- 刑事訴訟法第445条の次の条は刑事訴訟法第446条です。
- 刑事訴訟法第445条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第445条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第445条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/445
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法445条は、再審請求を受けた裁判所が必要なときに受命裁判官へ事実の取調べをさせ、または他の裁判所の裁判官に嘱託できると定める規定である。
Q · 再審を申し立てたら、裁判所は新しい証拠を自分で調べてくれるの?
裁判所が必要と認めれば、請求段階でも自ら証拠を調べられます
刑事訴訟法445条により、再審請求を受けた裁判所は、必要があるときに合議体の構成員(受命裁判官)に事実の取調べをさせ、または他の地裁・家裁・簡裁の裁判官(受託裁判官)に嘱託することができます。受命・受託裁判官は裁判所または裁判長と同一の権限を持ちます。ただし「必要があるとき」という裁量規定のため、新証拠を提出するだけでは足りず、なぜ取調べが必要かを具体的に主張することが、扉を開ける鍵になります。
解説
確定した有罪判決は、もう二度と覆らない。多くの人がそう信じている。だが刑事訴訟法445条は、その常識に風穴を開ける条文だ。再審の請求を受けた裁判所は、必要があれば合議体のメンバー(受命裁判官、つまり審理を担当する裁判官の一人)に事実の取調べをさせ、あるいは別の地裁・家裁・簡裁の裁判官(受託裁判官、調査を頼まれた他の裁判所の裁判官)に調査を委ねることができる。袴田事件で衣類の色の再現実験が、足利事件で DNA 再鑑定が裁判所の手で行われたのは、まさにこの条文が「請求段階でも裁判所自ら証拠を調べてよい」と定めているからだ。再審は「新証拠を出せば自動的に裁判がやり直される」制度ではない。請求を受けた裁判所が、その新証拠に証拠価値があるかを自ら取り調べる、その入口を開けるのが445条である。あなたや家族の無実を晴らす戦いは、この一条が動くかどうかにかかっている。
法的な位置づけ
刑事訴訟法445条は、再審請求の理由について裁判所が行う事実の取調べを定める規定である。請求を受けた裁判所は、必要があるとき合議体の構成員たる受命裁判官に取調べをさせ、または他の地裁・家裁・簡裁の裁判官にこれを嘱託でき、受命裁判官および受託裁判官は裁判所または裁判長と同一の権限を有する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.再審理由に当たるか精査し弁護人を選任 まず再審理由(435条、とくに無罪を言い渡すべき明らかな新証拠を定める6号)に該当するかを精査する。確定判決の記録と新証拠を突き合わせ、再審請求のために弁護人を選任する(440条)
- 2.新証拠と「取調べの必要性」をセットで主張 新証拠は「提出」するだけでなく、「なぜ取調べが必要か」を具体的に主張し、445条の裁量を動かす。証拠の明白性(旧証拠と総合して無罪を言い渡すべき高度の蓋然性)を論証する
- 3.遠方の証人・鑑定は受託裁判官への嘱託を申し出る 請求人が遠方の刑務所にいる、証人が別の県に住むなどの場合、受託裁判官への嘱託(地裁・家裁・簡裁の裁判官への調査依頼)を弁護側から能動的に申し出る。早く提案するほど審理は止まらず前進する
- 4.棄却されても即時抗告で争う 請求が棄却された場合でも、即時抗告(刑事訴訟法450条)により上級審で再度判断を求められる。一度の棄却で諦めず、棄却決定の論理の弱点を突いて抗告理由を組み立てる
よくある質問 AI による整理
Q1再審の事実取調べとは何ですか?
再審請求を受けた裁判所が、新証拠に証拠価値があるかを自ら調べる手続です。刑事訴訟法445条が根拠で、受命裁判官や受託裁判官を通じて行われます。
Q2受命裁判官と受託裁判官の違いは何ですか?
受命裁判官は同じ合議体のメンバーが調べる場合、受託裁判官は他の地裁・家裁・簡裁の裁判官に調査を嘱託する場合を指します。いずれも裁判所と同一の権限を持ちます。
Q3新証拠を出せば必ず取り調べてもらえますか?
いいえ。445条は「必要があるとき」に取調べを「できる」とする裁量規定で、裁判所が必要なしと判断すれば調べられません。必要性を具体的に主張することが重要です。
Q4再審に時効や期限はありますか?
ありません。刑事訴訟法441条により、刑の執行が終わった後でも、有罪判決を受けた者が死亡した後でも請求できます。法律上の「手遅れ」は存在しません。
Q5再審はもう一度ゼロから裁判をやり直すことですか?
いいえ。445条の事実取調べは請求段階の手続で、新証拠の証拠価値だけを調べます。判決全体のやり直しは再審開始決定(448条)が出た後の話です。
Q6遠方に住む証人がいる場合はどうなりますか?
445条は地裁・家裁・簡裁の裁判官への嘱託(受託裁判官)を認めているため、証人の所在地の裁判所で取調べができます。証人を呼べないと諦める必要はありません。
Q7再審請求が棄却されたら終わりですか?
いいえ。請求棄却の決定には即時抗告(刑事訴訟法450条)で争えます。一度の棄却で終わりではなく、上級審で再度判断を求められます。
Q8袴田事件の再現実験も445条によるものですか?
はい。袴田事件の衣類の色の再現実験や足利事件の DNA 再鑑定は、445条の事実取調べ権限を裁判所が行使した例です。請求段階でも裁判所が自ら証拠を調べられます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1再審を申し立てれば、もう一度裁判をやり直してもらえるんですか?
そう単純ではない。再審には『請求段階』と『やり直しの公判』の二段階がある。445条の事実取調べは請求段階の話で、請求が認められ再審開始決定(448条)が出て初めて公判に進む。実務のポイント:実務では再審のほとんどが請求段階で決着する。開始決定が出た時点で無罪はほぼ確定的とみなされており、だからこそ弁護側は445条の事実取調べに全力を注ぐ
Q2新しい証拠さえ出せば、裁判所は必ず調べてくれるんですか?
必ずではない。445条は『必要があるとき』に取調べを『できる』とする裁量規定で、裁判所が必要なしと判断すれば証拠は調べられない。実務のポイント:ここが冤罪救済の最大の壁だ。検察手持ち証拠の開示を求めつつ、なぜ取調べが必要かを具体的に示して裁判所を動かすことが、再審弁護の本当の腕の見せどころとされる
間違えやすい点 AI による整理
- 「再審=もう一度ゼロから裁判」と思われているが、445条の事実取調べは確定判決を前提に、新証拠の証拠価値だけを調べる手続だ。判決全体をやり直すのは再審開始決定(448条)が出た後の話で、その前段階に厚い壁がある
- 再審に時効がないことは知られているが、その深刻な意味までは知られていない。刑の執行が終わった後でも、有罪を言い渡された者が死亡した後でも請求できる(441条)。無実を訴える戦いに法律上の「手遅れ」は存在しない。諦めた瞬間にだけ終わる
- 請求人から見れば「新証拠を出した」で仕事は終わりに見える。だが裁判所から見れば、それを取り調べる『必要があるとき』かどうかがすべてだ。この落差を埋められない請求が、証拠価値を判断されないまま棄却されていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続段階 | 445条:再審請求段階の事実取調べ(入口) | 435条:再審理由(取調べの対象となる新証拠の要件) 448条:事実取調べを経た再審開始の決定 |
| 誰が動くか | 裁判所(受命・受託裁判官を通じて自ら証拠を調べる) | 請求人(新証拠を提出し再審理由を主張) 裁判所(開始の可否を決定) |
| 性質 | 「必要があるとき」に「できる」裁量規定 | 再審の許否を画する実体要件 公判やり直しへの扉を開く決定 |
| 不服申立て | 取調べ自体は中間手続 | — 450条:即時抗告で争える |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も再審請求段階で裁判所による証拠調べを認める。近年の改正で再審請求人の証拠調べ申立権が明文化され、誤判救済の入口を広げる方向にある
韓国も再審請求に対する事実調査を裁判所の権限として定める。受命・受託の構造は日本と類似し、調査を他の裁判官に委ねる仕組みを持つ
ドイツは Wiederaufnahmeverfahren で beauftragter Richter(受命裁判官)・ersuchter Richter(受託裁判官)による証拠調べを認め、日本の445条の直接の系譜的母法に近い
米国は新証拠による new trial の申立てや post-conviction の habeas corpus で誤判救済を図る。大陸法型の「裁判所主導の事実取調べ」とは構造が異なり、当事者の立証主導が原則
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの家族が身に覚えのない罪で有罪が確定し、何年も後に真犯人をうかがわせる新証拠が出てきたら? その証拠を裁判所が自ら調べるかどうかは、445条の「必要があるとき」という裁量にかかっている。証拠を出すだけでは足りない、調べさせる主張が要る
- 服役中のあなたが再審を請求した。だが請求人は遠方の刑務所、新証人は別の県に住んでいる。445条が地裁・家裁・簡裁の裁判官への嘱託(受託裁判官)を認めているから、証人の所在地の裁判所で取調べができる。これを知らずに「証人を呼べない」と諦める弁護活動が現実に存在する
- 再審開始決定のニュース。その裏では必ず、受命裁判官による再鑑定や証人尋問が行われている。445条が動いた証拠だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず再審理由(435条、とくに無罪を言い渡すべき明らかな新証拠を定める6号)に当たるかを精査し、弁護人を選任する(440条) 2. 新証拠は『提出』だけでなく『なぜ取調べが必要か』を具体的に主張し、445条の裁量を動かす3. 遠方の証人・鑑定が必要なら受託裁判官への嘱託を積極的に申し出る4. 棄却されても即時抗告(450条)で争える、一度の棄却で終わりではない
訴えられた側:1. 検察官として再審請求に対応する立場なら、新証拠の証拠価値を争い『取調べの必要なし』を主張する余地を検討する2. ただし近年は検察手持ち証拠の開示が再審の焦点であり、開示要求への対応が審理を左右する3. 事実取調べが始まれば受命・受託裁判官は裁判所または裁判長と同一の権限を持つ(本条後段)、その場での反証準備を怠らない4. 再審開始決定には即時抗告で対抗できるが、誤判救済の流れも見据えた判断が要る
時効(請求できる期限):再審請求に時効・期間制限はない(刑事訴訟法441条)。刑の執行が終わった後でも、有罪を言い渡された者が死亡した後でも請求できる。事実の取調べの開始時期にも法定の期限はなく、裁判所が必要と認めたときに行われる
学説
通説:445条の事実取調べは「必要があるとき」に「できる」とする裁量規定であり、裁判所に取調べの義務を一律に課すものではない。もっとも、再審が誤判救済を目的とする以上、新証拠の証拠価値の判断に必要な取調べを恣意的に怠ることは許されず、証拠開示の要請とあわせて取調べの必要性を実質的に検討すべきとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、再審請求段階における裁判所の事実取調べと、受命裁判官・受託裁判官への取調べ・嘱託の権限を定める規定として設けられた。
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