刑事訴訟法 第451条
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- 裁判所は、再審開始の決定が確定した事件については、第四百四十九条の場合を除いては、その審級に従い、更に審判をしなければならない。
- 2.左の場合には、第三百十四条第一項本文及び第三百三十九条第一項第四号の規定は、前項の審判にこれを適用しない。
- 一死亡者又は回復の見込がない心神喪失者のために再審の請求がされたとき。
- 二有罪の言渡を受けた者が、再審の判決がある前に、死亡し、又は心神喪失の状態に陥りその回復の見込がないとき。
- 3.前項の場合には、被告人の出頭がなくても、審判をすることができる。但し、弁護人が出頭しなければ開廷することはできない。
- 4.第二項の場合において、再審の請求をした者が弁護人を選任しないときは、裁判長は、職権で弁護人を附しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第451条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第451条の条文原文は「裁判所は、再審開始の決定が確定した事件については、第四百四十九条の場合を除いては、その審級に従い、更に審判をしなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第451条は第四編に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第451条の前の条は刑事訴訟法第450条の3です。
- 刑事訴訟法第451条の次の条は刑事訴訟法第452条です。
- 刑事訴訟法第451条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第451条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第451条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/451
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法451条は、再審開始決定が確定した事件について、裁判所が審級に従い更に審判をすると定める。死亡者等のための再審では公訴棄却・手続停止が適用されない。
Q · 再審が認められたら、本人が亡くなっていても裁判はやり直されるの?
やり直されます。死後でも再審の審判は止まりません
刑事訴訟法451条は、再審開始決定が確定すると、裁判所はその審級に従い更に審判をしなければならないと定めます(1項)。死亡者や回復見込みのない心神喪失者のための再審、または有罪を受けた者が判決前に死亡・心神喪失に陥った場合には、通常なら手続を終わらせる公訴棄却(339条)や手続停止(314条)の規定が適用されません(2項)。本人の出頭がなくても審判でき(3項)、弁護人がいなければ裁判長が職権で選任します(4項)。死をも超えて無実の証明を完遂できる構造です。
解説
確定した有罪判決は、もう二度と動かせない。多くの人はそう信じている。だが日本の刑事司法には、その分厚い壁の一箇所だけに開く非常口がある。再審だ。451条は、その非常口を抜けた先で何が起きるかを設計している。再審開始決定が確定すると、裁判所は元の審級に従ってもう一度審判をやり直さなければならない。証拠調べから判決まで、通常の裁判と同じ手続を最初から踏み直す。さらにこの条文には、世界的にも珍しい仕組みが埋め込まれている。無実を訴える本人がすでに死んでいても、回復の見込みのない心神喪失に陥っていても、再審は止まらない。通常なら被告人の死亡は公訴を終わらせ(339条)、心神喪失は手続を停止させる(314条)。だが再審ではこの二つのストッパーが外される。死者の名誉を取り戻すための裁判が、最後まで進む。袴田事件のような冤罪救済が現実に成立する、その法的な土台がこの条文だ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法451条は再審の審判を定める規定であり、再審開始決定が確定した事件について、裁判所がその審級に従い更に審判を行う旨を規定する。死亡者または回復見込みのない心神喪失者のための再審では、被告人死亡による公訴棄却および心神喪失による公判手続停止の規定が適用されず、本人不在でも審判を完遂できる構造をとる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.無罪を示す明らかな新証拠を洗い出す 確定判決に対し、再審請求の理由(435条6号の「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」が中心)にあたる材料があるかを確認する。鑑定技術の進歩、新証言、隠れていた物証が典型
- 2.証拠を保全し弁護人と再審請求を準備 証拠の劣化・紛失前に保全し、弁護人とともに再審請求書を作成する。請求自体に期間制限はない(441条)が、時間の経過で証拠は失われるため早期着手が決定的
- 3.再審開始決定の確定後、やり直し審判に全力を注ぐ 451条のやり直し審判は通常裁判と同じ重み。開始決定で気を緩めず、証人尋問や再鑑定を積極的に請求する。ここで弁護側がどこまで争うかで結論が変わる
- 4.本人不在でも弁護体制を固める 本人が死亡・回復不能の心神喪失でも審判は進む(451条2項・3項)。弁護人がいなければ開廷できないため(3項但書)、選任を怠らない。未選任なら裁判長が職権で附す(4項)
- 5.無罪確定後の補償・賠償を検討 無罪が確定したら刑事補償法による補償金を請求する。違法な捜査・起訴があれば国家賠償も並行検討する。死後の無罪確定では補償金を相続人が受け取れる
よくある質問 AI による整理
Q1再審の審判とは何ですか?
再審開始決定が確定した後、裁判所がもとの審級に従い証拠調べから判決まで裁判をやり直す手続です。刑事訴訟法451条が根拠で、通常裁判と同じ重みを持ちます。
Q2再審開始決定が確定するとどうなりますか?
451条により、裁判所はその審級に従い更に審判をしなければなりません。再び証拠を調べたうえで判決が出るため、無罪のほか改めて有罪となる可能性も理論上残ります。
Q3再審で本人が出頭できない場合はどうなりますか?
死亡や回復見込みのない心神喪失で本人が出頭できなくても、451条3項により審判をすることができます。ただし弁護人が出頭しなければ開廷できません。
Q4再審に弁護人は必要ですか?
死亡者・心神喪失者のための審判では必須です。451条4項により、請求者が弁護人を選任しないときは裁判長が職権で弁護人を附さなければなりません。
Q5再審で314条と339条が適用されないのはなぜですか?
通常は心神喪失で手続停止(314条)、被告人死亡で公訴棄却(339条)となりますが、再審ではこれを外し、無実の証明を最後まで完遂できるようにするためです(451条2項)。
Q6再審請求に期限はありますか?
ありません。刑の執行終了後でも、有罪を受けた者の死亡後でも請求できます(441条)。ただし新証拠となる物証・証言は時間とともに失われます。
Q7袴田事件はどの条文と関係しますか?
再審開始決定の確定後に行われたやり直し審判は、刑事訴訟法451条に基づく手続です。半世紀以上を経た無罪はこの審判の場で得られました。
Q8再審で無罪になったら補償はありますか?
刑事補償法による補償金の対象となり、違法な捜査・起訴があれば国家賠償も検討できます。死後の無罪確定では補償金を相続人が受け取れます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1再審が認められたら、もう無罪が決まったってことですよね?
違います。再審開始決定(448条)は「もう一度裁判をやり直してよい」という扉を開けただけで、無罪そのものではありません。451条に基づくやり直しの審判で、改めて証拠を調べたうえで判決が出ます。実務のポイント:再審開始決定が確定しても、検察が抗告で長く争うため、実際の無罪判決までさらに年単位かかることが珍しくありません。「開始決定が出た」報道と「無罪判決」報道の間には、まだ厚い壁がある
Q2もう亡くなった父の冤罪を、いまさら晴らすことなんてできるんですか?
できます。451条2項は、死亡者や回復見込みのない心神喪失者のための再審でも審判を止めないと定めています。本人がいなくても裁判は進み、弁護人がいなければ裁判長が職権で選任します(4項)。無罪が確定すれば、亡くなった方は法的に無実だったと確認されます。実務のポイント:死後の再審で無罪が確定すると、刑事補償金は相続人が受け取れます。名誉回復は精神的な意味だけでなく、遺族の具体的な権利につながる
Q3再審って、いったいどれくらい時間がかかるものなんですか?
事案によりますが、請求から無罪確定まで十年単位、長いものでは数十年に及びます。新証拠の発見、開始決定を巡る検察の抗告、451条のやり直し審判と段階が多いためです。実務のポイント:再審の山は「開始決定を勝ち取れるか」にあり、ここを越えると無罪率は跳ね上がります。だからこそ弁護側は、開始決定の段階に最大の資源を投じる。最新の運用状況は弁護団・支援団体で確認するとよい
間違えやすい点 AI による整理
- 「再審が認められた=無罪が決まった」と受け取られがちだが、再審開始決定は「もう一度裁判をやり直してよい」と扉を開けたにすぎない。451条のやり直し審判で改めて有罪になる可能性も理論上は残る。扉が開くことと、無罪を勝ち取ることは別の段階だ
- 再審は「生きている人が自分のために使う制度」と理解している人は多いが、その射程の広さまでは知られていない。死者や回復不能の心神喪失者のためにも再審は進み、本人が弁護人を選べないなら国が職権でつける(451条4項)。制度は、自分で声を上げられなくなった人の名誉まで射程に入れている
- 「再審で無罪になっても、奪われた歳月は何も取り戻せない」と諦める人がいる。だがその問いの立て方自体がずれている。無罪が確定すれば刑事補償法による補償金、さらに違法な捜査・起訴があれば国家賠償の道も開く。失った時間が金銭で埋まるわけではないが、「何も取り戻せない」という前提は誤りだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 451条:再審開始決定確定後の「やり直し審判」 | 448条:再審を開始するかどうかの「開始決定」 435条:再審請求ができる「理由(新証拠等)」 |
| 手続段階 | 扉を抜けた先の本番(証拠調べ〜判決) | 扉を開けるか否かの判断 扉を叩くための入口要件 |
| 死亡・心神喪失の扱い | 314条・339条を適用せず審判を続行(2項) | — — |
| 結論の可能性 | 無罪のほか、改めて有罪となる余地も理論上残る | 開始する/棄却する 理由あり/なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も確定判決に対する非常救済として再審を設ける。新証拠による再審理由など日本と構造が近い
韓国も再審制度を持ち、被告人の利益のための再審理由を列挙する。日本と同系統の規律
ドイツの再審(手続の再開)が日本の再審の母体。被告人の利益のための再審と不利益再審の双方を規律する点が日本と異なる
米国は新証拠に基づく新公判の申立てや人身保護令状で救済する。確定判決後の救済が日本の再審と機能的に対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 無実を訴え続けた父が、刑務所の中で病死した。数十年後、当時の鑑定を覆す新しい科学的証拠が見つかる。もう本人はいないのに、名誉を晴らせるのか。晴らせる。451条2項は、死者のための再審を止めない。やり直し審判は進み、無罪が確定すれば父は法的に「無実だった人」になる
- もし、再審開始決定が出た直後に、高齢の請求人が判決を待たずに亡くなったら? 普通の刑事裁判なら、被告人の死亡で公訴は棄却され、すべてが宙に浮く。だが再審では339条が適用されない。裁判は最後まで走り切り、判決が出る
- 死刑判決を受けた人が、数十年の収監の末に再審開始決定を勝ち取った。やり直しの審判は形式的なセレモニーではない。証人尋問も再鑑定も行われ、結論として無罪判決が出ることもある。袴田巖さんが半世紀以上を経て無罪を得たのは、まさにこの451条の審判の場だった
- 心神喪失に陥り、もう回復の見込みがない受刑者のために、家族が再審を請求した。本人は法廷に出られない。それでも審判は開ける(451条3項)。ただし弁護人がいなければ法廷は開けず、選任しなければ裁判長が職権でつける(4項)。本人が自分を守れない状況こそ、手続が手厚くなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 確定判決に対し「無罪を示す明らかな新証拠」があるかを洗い出す(435条6号が中心)。鑑定の進歩、新証言、隠れていた物証が典型2. 証拠を見つけたら劣化・紛失前に保全、弁護人とともに再審請求を準備(請求自体に期間制限はない、441条) 3. 再審開始決定が確定したら451条のやり直し審判へ。ここを本番と捉え、証人尋問・再鑑定を積極的に請求する4. 本人が死亡・回復不能の心神喪失でも審判は進み(2項)、弁護人が必須となるので弁護体制を固める
訴えられた側:ここでの「臨む側」は、再審で改めて審判を受ける元被告人とその弁護側を指す。1. 再審開始決定はゴールではなく出発点、やり直し審判で再び全面的に争われる前提で準備する2. 第一審・控訴審の記録を精査し、検察側が新たに持ち出す主張に備える3. 本人が法廷に出られない事案では、4項により弁護人選任が手続の生命線になる、選任を怠らない4. 無罪確定後を見据え、刑事補償・国家賠償の請求も並行して検討する
時効(請求できる期限):再審の請求に期間制限はない。刑の執行が終わった後でも、執行を受けることがなくなった後でも、さらに有罪の言渡しを受けた者が死亡した後でも請求できる(刑事訴訟法441条)。時の経過そのものが請求権を消すことはないが、新証拠となる物証・証言は時間とともに失われるため、事実上は早期着手が決定的
学説
通説:451条のやり直し審判は再審開始決定の確定を前提とし、もとの審級に従って通常の公判手続と同じ証拠調べ・判決を行う。再審開始=無罪ではなく、改めて審理した結果として判決が出る点に注意を要するとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い、再審開始決定確定後のやり直し審判に関する規律として設けられた。死亡者・心神喪失者のための再審で公訴棄却・手続停止を排除する仕組みを含む。
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