医療法 第19条の2
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- 特定機能病院の開設者は、当該特定機能病院の管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務が適切に遂行されるよう、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる措置を講じなければならない。
- 一当該特定機能病院の管理及び運営について当該管理者が有する権限を明らかにすること。
- 二医療の安全の確保に関する監査委員会を設置すること。
- 三当該管理者の業務の執行が法令に適合することを確保するための体制、当該開設者による当該特定機能病院の業務の監督に係る体制その他の当該特定機能病院の業務の適正を確保するために必要なものとして厚生労働省令で定める体制を整備すること。
- 四その他当該管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務の適切な遂行に必要なものとして厚生労働省令で定める措置
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第19条の2は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第19条の2の条文原文は「特定機能病院の開設者は、当該特定機能病院の管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務が適切に遂行されるよう、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲…」で始まります。
- 医療法第19条の2は第二節 管理に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第19条の2の前の条は医療法第19条です。
- 医療法第19条の2の次の条は医療法第20条です。
- 医療法第19条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第19条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第19条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/19_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法第19条の2は、特定機能病院の開設者に、管理者の権限の明確化、医療安全の監査委員会の設置、法令適合・監督体制の整備を義務付ける規定。一般病院には適用されない。
Q · 大学病院で医療事故が起きたとき、病院の監督体制に責任を負うのは誰?
院長ではなく、病院を持つ大学法人など開設者です
医療法第19条の2は、特定機能病院の開設者に対し、①管理者(院長)の権限を明らかにすること、②医療の安全の確保に関する監査委員会を設置すること、③法令適合と開設者による監督の体制を整備すること、④その他省令で定める措置を講じることを義務付けています。大学病院であれば大学法人がこの体制づくりの責任を負います。ただし本条違反が直ちに損害賠償の根拠になるわけではなく、体制不備は特定機能病院の承認取消(同法29条)の判断材料となりえます。
解説
大学病院で重大な医療事故が起きると、まず院長の責任が問われることが多い。しかし医療法19条の2が義務を課している相手は院長(管理者)ではなく、病院を持っている側、つまり大学法人や国立研究開発法人などの開設者である。群馬大学病院の腹腔鏡手術での連続死亡、東京女子医大のプロポフォール投与事故では、現場の問題だけでなく「院長に本当の権限があったのか」「誰が院長を監督していたのか」という経営構造の穴が明らかになった。本条はその反省から生まれ、特定機能病院(高度医療を担うとして厚生労働大臣が承認した病院、全国で約90、多くは大学病院)の開設者に四つの措置を義務付けている。①管理者の権限をはっきりさせる、②医療安全の監査委員会を置く、③法令に適合しているか確認し、開設者が監督する体制を整える、④その他の必要な措置をとる。あなたが患者や家族なら、事故の後に問えるのは「担当医が悪かったか」だけではない。「病院を持っている組織が、監視の仕組みを本当に動かしていたか」も問える。
法的な位置づけ
医療法第19条の2は、特定機能病院の開設者が、管理者による病院の管理運営業務の適切な遂行を確保するため、厚生労働省令に従い、管理者権限の明確化、医療の安全の確保に関する監査委員会の設置、法令適合体制および開設者による業務監督体制の整備その他の措置を講ずべき義務を定める規定である。
よくある質問 AI による整理
Q1特定機能病院とは何ですか?
高度な医療の提供・開発・研修を担う病院として厚生労働大臣が承認した病院です(医療法4条の2)。多くは大学病院で、一般病院より厳しい規律が上乗せされます。
Q2特定機能病院の監査委員会とは?
医療法19条の2第2号にもとづき開設者が設置する、医療安全の確保を監査する委員会です。施行規則で外部委員の割合などの要件が定められています。
Q3特定機能病院の開設者とは誰のこと?
病院を設置・経営する主体のことで、大学病院なら学校法人や国立大学法人が該当します。院長(管理者)とは別の存在で、本条の義務はこの開設者が負います。
Q4医療法19条の2はいつできた?
大学病院での重大事故と2015年の承認取消を受けた特定機能病院のガバナンス改革の中で、平成29年(2017年)の医療法改正により設けられたとされます。
Q5病院のガバナンス体制はどこで確認できる?
特定機能病院の多くは、監査委員会の委員名簿や監査結果をウェブサイトで公表しています。医療安全管理部門のページや病院概要から探せます。
Q6特定機能病院の承認は取り消される?
取り消されることがあります。医療法29条により厚生労働大臣は承認を取り消せ、2015年には東京女子医大病院と群馬大学病院が実際に取消を受けました。
Q7院長の権限を明らかにするとはどういう意味?
病院の管理運営について院長が持つ人事・予算・指揮命令などの権限を規程等で明確に定めることです。名ばかり院長では医局を統制できないため求められています。
Q8一般の病院にも監査委員会は必要?
本条は特定機能病院の開設者だけに課される義務で、一般の病院や診療所には及びません。ただし医療安全管理体制の整備自体は全医療機関に求められます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1監査委員会って、院長がお友達を集めて作ってるんじゃないの?
それを防ぐため、医療法施行規則は委員の過半数を病院と利害関係のない者とすること、医療安全や法律の識見がある人、患者の立場の人を含めることなどを求めている(最新の改正状況をご確認ください)。根拠は本条2号。実務のポイント:名簿を見ると、「外部委員」が同じ系列法人の元職員だったり、実質的な利害関係がありそうだったりする例もある。委員の経歴まで確かめると、監査の本気度がだいたい分かる
Q2この条文に違反したら、病院は罰せられるんですか?
本条に違反したこと自体への直接の刑事罰は想定しにくい。ただ、特定機能病院の承認は厚生労働大臣が取り消せる(医療法29条)ので、体制不備が承認取消の判断材料になりうる。実務のポイント:承認を取り消されると、高度医療に関わる診療報酬上の評価を失い、病院経営に大きな打撃になる。東京女子医大と群馬大学病院は2015年に実際に承認を取り消された。開設者にとっては罰金よりずっと重い
間違えやすい点 AI による整理
- 「医療事故の責任は担当医と院長にある」と思われがちだが、本条の義務を負うのは開設者である。大学病院なら大学法人そのものが、院長を監督する体制をつくる責任を負う。院長を辞めさせて終わりにしても、開設者の構造的な責任は消えない
- 監査委員会があることは知っていても、その重みまで知っている人は少ない。施行規則では、委員の過半数を病院と利害関係のない外部者とすることなどが求められている(最新の改正状況をご確認ください)。内部で固めた「お手盛り委員会」では足りない。形だけの運営が続けば、特定機能病院の承認そのものが揺らぐ
- 「どの病院も同じルールで動いている」という前提から間違っている。本条は特定機能病院だけに上乗せされた規律で、一般の病院や診療所には及ばない。患者から見ると同じ「大きな病院」でも、法律上の監視の厚みは違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 義務の名宛人 | 医療法19条の2:特定機能病院の開設者(大学法人等) | 医療法16条の3:特定機能病院の管理者(院長) 医療法29条:厚生労働大臣(承認取消の権限) |
| 規律の内容 | 管理者権限の明確化、監査委員会設置、法令適合・監督体制の整備 | 高度医療の提供、医療安全管理など管理者として果たすべき業務 要件を欠く場合等に特定機能病院の承認を取り消す |
| 役割 | 経営側から院長を支え監督するガバナンス構造の設計 | 現場を率いる院長の業務遂行義務 体制不備に対する行政上の最終的な制裁 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は法人ガバナンスの直接規律より、中央主管機関による醫院評鑑・教學醫院評鑑を通じて大病院の医療の質と安全を統制する構造
韓国も高度医療を担う病院を保健福祉部長官が指定する制度を持ち、指定基準を通じて体制を担保する
米国はMedicare参加条件として病院の統治機関(governing body)に医療スタッフと運営への最終責任を課し、日本の開設者監督義務に近い発想をとる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 親が大学病院で新しい術式の手術を受けた後に亡くなった。調べてみると、同じ診療科で数年のあいだに死亡例が続いていた。監査委員会はその情報を受け取っていたのか。家族の追及は、執刀医だけでなく開設者の体制へと広がっていく
- もしあなたが大学法人の理事で、附属病院の院長人事や予算を理事会がすべて握っていたらどうなる? 管理者の権限が名ばかりだと判断されれば、本条の「権限を明らかにすること」を果たしていないことになる。事故が起きたとき、責任は理事会側に返ってくる
- 監査委員会の外部委員を頼まれた弁護士。年に数回の会議で資料をめくるだけでは、形だけの監査になる。委員が何を求め、何を記録したかが、後で問われる
- 特定機能病院の承認更新や立入検査まであと三か月。監査委員会の議事録が一年分空白で、管理者の権限規程も古い学則のままになっている。承認取消を避けるために、今週中に理事会の議題に載せなければ間に合わない
- 病院に勤める看護師が、特定の医師の手技に危うさを感じながら、院長も医局の教授に口を出せない空気を肌で知っている。本条の「開設者による監督体制」は、その空気を組織として断ち切るための装置として作られた
取るべき行動
被害を受けた側:1. カルテ開示を請求し、診療経過を手元に確保する2. 医療事故調査制度(医療法6条の10)にもとづく院内調査の対象か、病院に書面で確認する3. 監査委員会がこの事案や同種の事案について報告を受けたか、公表資料や議事の状況を確認する4. 医療過誤に詳しい弁護士に相談し、担当医個人の過失と、開設者の体制上の問題の両面から請求の組み立てを検討する。本条違反そのものが直ちに損害賠償の根拠になるわけではない点に注意
訴えられた側:1. 開設者として、管理者の権限規程、監査委員会の設置規程、議事録、指摘事項への対応記録を一式確認する2. 監査委員会の構成が施行規則の要件(外部委員の割合など)を満たしているか点検する3. 不備があれば、行政の指摘を待たずに是正計画を理事会で決議し、記録を残す4. 事故の対応では、個人の責任に矮小化せず組織として検証する姿勢を示す。それが承認の維持と信頼回復の両方につながる
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。医療事故の損害賠償は、生命・身体の侵害について、不法行為なら損害と加害者を知った時から5年・不法行為時から20年(民法724条、724条の2)、診療契約の債務不履行なら権利を行使できることを知った時から5年・行使できる時から20年(民法166条、167条)
改正沿革 AI による整理
- 平成29年(2017年)医療法改正(要人的検証) 群馬大学病院・東京女子医大の事故と2015年の承認取消を受けた特定機能病院のガバナンス改革の中で新設されたとみられる。開設者に管理者権限の明確化、監査委員会の設置、体制整備を義務付けた。施行日と、その後に改正されたかどうかは要確認
改正の年表
- 1.平成29年(2017年) 新設:医療法等の一部を改正する法律により、特定機能病院のガバナンス強化の一環として開設者の措置義務が設けられたとされる。施行日と以後の改正状況は e-Gov で要確認
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