医療法 第86条
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- 第五条第二項若しくは第二十五条第二項若しくは第四項の規定による診療録若しくは助産録の提出又は同条第一項若しくは第三項の規定による診療録若しくは助産録の検査に関する事務に従事した公務員又は公務員であつた者が、その職務の執行に関して知り得た医師、歯科医師若しくは助産師の業務上の秘密又は個人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
- 2.職務上前項の秘密を知り得た他の公務員又は公務員であつた者が、正当な理由がなくその秘密を漏らしたときも、同項と同様とする。
- 3.第六条の十三第四項、第六条の二十一、第六条の二十二第二項、第三十条の二十一第五項又は第三十条の二十五第六項の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第86条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第86条の条文原文は「第五条第二項若しくは第二十五条第二項若しくは第四項の規定による診療録若しくは助産録の提出又は同条第一項若しくは第三項の規定による診療録若しくは助産録の検査に関す…」で始まります。
- 医療法第86条は第九章に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第86条の前の条は医療法第85条の3です。
- 医療法第86条の次の条は医療法第87条です。
- 医療法第86条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第86条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第86条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/86
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法86条は、立入検査等で診療録を扱った公務員が医師や患者の秘密を正当な理由なく漏らした場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処すると定める規定。
Q · 保健所の職員が検査で見たカルテの内容を外で話したら、罪になるの?
なる。1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
医療法86条1項により、診療録の提出や立入検査の事務に従事した公務員が、職務上知った医師の業務上の秘密や患者個人の秘密を正当な理由なく漏らすと、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されます。退職後も対象で、担当者から秘密を知った他の公務員も2項で同様に処罰されます。3項は医療事故調査・支援センターなどの職員の守秘義務違反にも同じ刑罰を定めています。
解説
保健所の職員は、あなたの同意がなくてもあなたのカルテを読める。医療法25条の立入検査(通称「医療監視」、役所が病院に入って記録や体制を調べる手続)は法律上の権限であり、患者の同意は要件になっていない。見られること自体は止められない。そこで効いてくるのが86条である。検査や診療録の提出に関わった公務員が、そこで知った医師の業務上の秘密やあなた個人の秘密を正当な理由なく漏らせば、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金になる。退職後も同じで、検査担当者から話を聞いた別の公務員も対象に入る。医師本人が秘密を漏らした場合の刑法134条は6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金なので、法定刑は見る側のほうが重い。3項はさらに、医療事故調査・支援センターや医療安全支援センターなど、民間を含む窓口の職員にも同じ刑罰をかけている。医療事故の遺族として調査に資料を出すとき、病院の苦情を相談窓口に打ち明けるとき、相手の口が法律で閉じられているかどうかを、あなたは確かめられるようになる。
法的な位置づけ
医療法86条は、医療監督行政に伴う秘密漏示を処罰する罰則規定である。診療録・助産録の提出または検査の事務に従事した公務員およびその退職者、職務上その秘密を知った他の公務員が、医師・歯科医師・助産師の業務上の秘密または個人の秘密を正当な理由なく漏らす行為と、医療事故調査・支援センター職員等の秘密保持義務違反を、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象とする。
よくある質問 AI による整理
Q1医療法86条とは?
診療録の提出・検査の事務に関わった公務員や医療事故調査・支援センター職員等が、職務上知った秘密を漏らした場合の罰則を定める条文です。
Q2医療法86条の罰則はどのくらい?
1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。1項・2項・3項いずれの違反も同じ法定刑で、医師本人の秘密漏示罪(刑法134条)より重く設定されています。
Q3保健所職員の守秘義務は退職後も続く?
続きます。医療法86条1項・2項は「公務員であつた者」を明記しており、退職後に在職中知った秘密を漏らしても処罰の対象になります。
Q4医療安全支援センターに相談した内容は漏れない?
センターの業務に従事する者には医療法6条の13第4項の守秘義務があり、違反すれば86条3項で1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。
Q5医療法86条は親告罪?
親告罪とする規定はありません。被害者の告訴がなくても起訴でき、告訴期間6か月(刑事訴訟法235条)の制約も受けません。
Q6公務員に医療情報を漏らされたら損害賠償できる?
できます。職務に関する漏洩なら、国家賠償法1条に基づき国または自治体に請求するのが基本です。職員個人への直接請求は原則として認められません。
Q7医療法86条の「正当な理由」とは?
法令に基づく報告や本人の同意に基づく開示などが典型とされます。どこまで含まれるかは個別事案で判断され、実務上解釈が分かれる部分もあります。
Q8医療法86条違反の時効はいつまで?
公訴時効は漏洩行為が終わった時から3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。民事の損害賠償は、損害と加害者を知った時から3年です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保健所って、私の同意なしにカルテを見ていいんですか?
見られる。医療法25条の立入検査や診療録の提出命令は法律上の権限で、患者の同意は要件ではない。その代わり、見た公務員が正当な理由なく漏らせば、86条1項により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金になる。実務のポイント:検査の記録は自治体に残る。自分の情報が扱われたか気になるなら、個人情報保護法に基づく保有個人情報の開示請求で確認できる場合がある
Q2医療事故の調査を頼んだら、私が話したことが病院に筒抜けになりませんか?
センター職員には医療法6条の21の秘密保持義務があり、違反すれば86条3項で刑事罰になる。ただし調査結果は遺族と病院の双方に報告される仕組みなので、報告書に載る内容は相手にも伝わる。実務のポイント:報告書に載せたくない事情があるなら、資料を出すときに書面でその旨を伝えておく。制度の目的は再発防止で、責任追及ではないと公式に説明されている
Q3医者が患者の秘密をしゃべったら、この条文で罰せられるんですか?
罰せられない。医師本人の漏示は刑法134条の対象で、6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金である。86条の対象は、検査する側や調査機関の人間である。実務のポイント:刑法134条は親告罪なので、犯人を知った日から6か月以内に告訴しないと起訴できなくなる(刑事訴訟法235条)。医師の漏洩に気付いたら、この期限を最優先で管理する
間違えやすい点 AI による整理
- 「保健所が患者の同意なしにカルテを見るのは違法ではないか」という問いは、そもそもずれている。医療法25条の立入検査は法律に基づく権限であり、見ること自体は適法である。法律が線を引いているのは見る段階ではなく、漏らす段階である。怒りを向けるべき場所を間違えると、本当に守られるべき局面を見落とす
- 公務員に守秘義務があることは誰でも知っている。見落とされがちなのはその重さである。医師本人が漏らした場合の刑法134条は、刑法135条により親告罪(被害者の告訴がないと起訴できない罪)とされている。一方、86条には親告罪とする規定がない。被害者が告訴をためらっていても、捜査機関は動ける
- 「医療事故調査・支援センターは民間の一般社団法人だから、守秘は契約上の約束にすぎない」と考えがちだが、法律上の扱いは違う。医療法6条の21の秘密保持義務に違反すれば、86条3項で公務員と同じ1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金になる。組織の形ではなく、担当している業務で刑事責任が決まる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰対象者 | 医療法86条:診療録の提出・検査事務に従事した公務員、他の公務員、事故調査センター職員等 | 刑法134条:医師・薬剤師・助産師等の本人 国家公務員法100条・109条12号:国家公務員一般 |
| 法定刑 | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 親告罪か | 親告罪とする規定なし | 親告罪(刑法135条) 親告罪とする規定なし |
| 民間人への適用 | 3項で民間法人のセンター職員等にも適用 | 医師等の資格者本人に適用 公務員のみ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では公務員の秘密漏洩を刑法の一般規定で処罰し、医療機関側の守秘は醫療法72条が定める。日本のように医療監督の事務従事者を特定した罰則は置かれていない
韓国は公務上秘密漏洩を刑法127条で処罰し、医療法19条で医療人等の情報漏洩を禁止する。監督側と医療側を別の法律で規律する点は日本と似ている
ドイツは刑法203条2項で公務担当者(Amtsträger)による私的秘密の漏洩を処罰し、医師本人の漏洩(同条1項)と同じ条文に置く
米国では連邦職員による記録の違法開示を Privacy Act が軽罪として処罰し、医療情報の違法開示は HIPAA の刑事罰で規律する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし保健所の立入検査で閲覧されたあなたの精神科通院歴が、担当職員の口から地元の知人に漏れたら、どうなる? 職員個人は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になる。民事の賠償は職員個人ではなく、国家賠償法1条で自治体に請求するのが基本線である
- あなたは県の医務課職員。立入検査で目にした地元の有名人の出産記録を、飲み会でつい話題にした。数年後に退職しても責任は消えない。条文は「公務員であつた者」まで明記している
- 医療事故調査・支援センターの職員が、調査中の病院名と事故の中身を個人の SNS に書いた。民間法人の職員でも3項で刑事罰の対象になる。
- 親の手術中の死亡をめぐる調査資料が外に漏れていたと知ってから、もう2年半が過ぎた。この罪の公訴時効は3年である。残り半年で刑事責任は問えなくなるため、告訴状や被害届は今月中に出したい
- 看護師の友人から「うちの病院に監査が入ったあと、保健所の人が患者の名前を外で話していたらしい」と相談された。話の出どころが検査担当者本人でも、その人から聞いた同僚の公務員でも、漏らした本人は86条の射程に入る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 漏れた内容、漏れた先、時期を時系列でメモし、SNS 投稿や伝聞の証言をスクショや録音で残す2. 漏らした人が検査担当の公務員か、別の公務員か、センター職員かを特定する。どの項が当てはまり、誰が賠償するかがこれで決まる3. 警察か検察に告訴状や被害届を出す。親告罪ではないが、被害者が申し立てると捜査は動きやすくなる4. 公務員の場合、民事は国家賠償法1条で国または自治体に請求する。民間センター職員の場合は民法709条、715条で本人と法人に請求する
訴えられた側:1. 外部に話した内容と相手を正確に洗い出す。組織内での法令に基づく報告や、本人の同意に基づく開示は「正当な理由」に当たりうるが、どこまで含まれるかは実務上解釈が分かれる2. 捜査機関に説明する前に弁護士に相談する3. 被害者への謝罪と示談は、起訴するかどうかの判断や量刑に影響する4. 公務員の場合、刑事手続と別に国家公務員法や地方公務員法に基づく懲戒処分も並行して進む前提で準備する
時効(請求できる期限):刑事の公訴時効は3年(法定刑が長期5年未満の拘禁刑または罰金のため、刑事訴訟法250条2項6号)で、漏洩行為が終わった時から数える。民事の損害賠償は、損害と加害者を知った時から3年、行為時から20年(民法724条。国家賠償は国家賠償法4条で民法を準用)。最新の改正状況をご確認ください
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正(医療事故調査制度の創設、平成27年10月施行) 医療事故調査・支援センター関係の秘密保持義務違反を処罰対象に加えたとみられる。追加の時期と項番号は人による確認が必要
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等の一部改正に伴い、「懲役」を「拘禁刑」に改めた
改正の年表
- 1.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年)施行 改正:刑法等の一部を改正する法律に伴う整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた(2025年6月1日施行)。
- 医療法 第25条立入検査と診療録提出の根拠
- 医療法 第5条往診医師等への診療録提出命令
- 医療法 第6条の21事故調査センター職員の秘密保持
- 医療法 第6条の13医療安全支援センターの守秘義務
- 医療法 第6条の22調査業務の委託先の秘密保持
- 刑法 第134条医師本人の秘密漏示罪(親告罪)
- 国家公務員法 第100条国家公務員一般の守秘義務
- 地方公務員法 第34条地方公務員一般の守秘義務
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