要点厚生年金保険法23条の3は、産前産後休業を終了して子を養育する被保険者が申出をすれば、復帰後3か月の平均報酬で標準報酬月額を改定できると定める。随時改定と違い等級差要件はない。
Q · 産休明けに時短で給料が減ったら、厚生年金保険料はいつから下がるの?
申出をすれば下がるが、適用は最短でも4か月目から
厚生年金保険法23条の3により、産前産後休業を終了して子を養育する被保険者が事業主を経由して実施機関に申出をすると、復帰後3か月の平均報酬(報酬支払の基礎日数が17日未満の月は除外)で標準報酬月額が改定されます。改定後の額が適用されるのは、休業終了日の翌日から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月からで、実務上は最短でも復帰4か月目です。随時改定(23条)と違い2等級以上の変動要件はなく、1等級の下落でも改定されます。申出をしない限り実施機関は動きません。
給与明細の社会保険料欄を、産休明けの最初の月に見比べたことがあるだろうか。時短勤務で手取りは二割減ったのに、厚生年金保険料だけが産休前の金額のまま引かれている。原因は、標準報酬月額が原則として年一回の定時決定(21条)でしか動かない固定値だからだ。23条の3は、その硬直を破るために用意された抜け道である。産前産後休業を終えて子を養育している被保険者が、事業所の事業主を経由して申出をすれば、復帰後3か月の平均報酬で標準報酬月額を改定できる。しかも通常の随時改定(23条)と違い、2等級以上の変動という条件がない。1等級下がるだけでも改定される。ただし自動ではない。申出をしない限り、実施機関は動かない。そして最大の落とし穴は、下げた標準報酬がそのまま将来の年金額を削ることだ。それを打ち消す26条の特例申出とセットで出さなければ、保険料は減っても老後が痩せる。
厚生年金保険法23条の3は、産前産後休業終了時の標準報酬月額改定を定める規定である。産前産後休業を終了し当該休業に係る子を養育する被保険者が申出をした場合、休業終了日の翌日が属する月以後3か月間(報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月を除く)の報酬平均額を報酬月額として標準報酬月額を改定する。定時決定の例外規定として機能する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
産休を終えて子を養育する被保険者が申出をすることで、復帰後3か月の平均報酬をもとに標準報酬月額を改定できる制度です。厚生年金保険法23条の3が根拠で、年1回の定時決定を待たずに保険料を実態に合わせられます。
改定後の標準報酬月額が適用されるのは、産前産後休業終了日の翌日から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月からです(2項)。復帰後3か月分の報酬を平均して算出するため、実務上は最短でも4か月目からとなります。
第1号厚生年金被保険者は勤務先の事業主を経由して実施機関へ提出します。第2号・第3号厚生年金被保険者は3項により事業主経由が不要で、主務省令の定めにより実施機関へ直接申出します。窓口を間違えると往復のロスが生じます。
1項の括弧書きにより、その月は平均の計算から除外されます。残った月だけで平均を出すため、たまたま残業の多かった月が残ると想定ほど下がりません。対象月がひとつも残らない場合は改定できません。
産前産後休業終了日の翌日から2か月を経過した日の属する月の翌月から、その年の8月までです。ただし当該翌月が7月から12月のいずれかであれば、翌年の8月までとなります(2項)。その後は定時決定で洗い替えられます。
健康保険法43条の3に同趣旨の産前産後休業終了時改定があり、同時に申し出れば健康保険の標準報酬月額も下がります。ただし将来の傷病手当金や出産手当金の日額も下がった額を基礎に計算される点に注意が必要です。
実施機関は職権では改定しません。申出がなければ産休前の高い標準報酬月額のまま、次の定時決定(9月改定)まで保険料が引かれ続けます。遡って差額が返還される仕組みはないため、出し遅れた月数分は取り戻せません。
1項は「産前産後休業終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間」に限定しています。復帰後3か月の途中で退職し同一事業所での継続使用が途切れると、その期間は算定対象になりません。
ミスとは限らない。23条の3の改定は復帰後3か月の報酬を平均し、その3か月を経過した日の属する月の翌月から適用される(2項)ため、最短でも4か月目までは従前の額が引かれる。さらに事業主経由の申出がなければ改定自体が始まらない。業界裏話ヒント:社会保険労務士に委託していない中小企業では、この届出が社内運用に乗っていないことが珍しくない。「産前産後休業終了時報酬月額変更届を出してほしい」と書類名を指定して依頼すると、話が一往復で片づく
そのとおりで、標準報酬月額は老齢厚生年金の計算基礎になる。ただし3歳未満の子を養育している期間については、26条の養育期間の従前標準報酬月額みなし措置を申し出れば、年金額の計算上は下がる前の高い標準報酬月額とみなされる。保険料は下がり、年金は維持される。業界裏話ヒント:この特例は本人の申出が必須で、申出日の属する月の前月までの2年間しか遡れない。数年前に復職した人ほど、今日出すか来月出すかで取り返せる月数が変わる
1項ただし書により、産前産後休業終了日の翌日に育児休業等を開始している被保険者は本条の対象外となる。育児休業等の期間中は保険料が免除され(81条の2)、復職時には育児休業等終了時改定(23条の2)が使える。適用条文が入れ替わるだけで、権利を失うわけではない。業界裏話ヒント:産休と育休を連続させるかどうかは終了日翌日の一日で決まる。復職日を一日ずらしただけで使う条文と書類が変わるため、日付は口頭ではなく書面で人事に伝える
厚生年金保険の被保険者であれば、雇用形態にかかわらず対象になる。ただし1項は報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月を計算から除くと定めており、勤務日数の少ない月が続くと対象月が残らないことがある。実務上、特定適用事業所の短時間労働者については17日ではなく11日で判定する取扱いがある(最新の改正状況をご確認ください)。業界裏話ヒント:自分が短時間労働者として適用されているかは、年金事務所で被保険者の区分を確認すれば分かる。この一問で使える基準日数が変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 改定の契機 | 23条の3:産前産後休業の終了+子の養育+本人の申出 | — |
| 等級差の要件 | 要件なし。1等級の変動でも改定される | — |
| 算定期間 | 休業終了日の翌日が属する月以後3か月(基礎日数17日未満の月は除外) | — |
| 適用開始月 | 休業終了日の翌日から2か月経過日の属する月の翌月(実務上は最短4か月目) | — |
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