厚生年金保険法 第98条(届出等)
クイックジャンプ
- 事業主は、厚生労働省令の定めるところにより、第二十七条に規定する事項を除くほか、厚生労働省令の定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
- 2.被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働省令の定める事項を厚生労働大臣に届け出、又は事業主に申し出なければならない。
- 3.受給権者又は受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令の定める事項を届け出、かつ、厚生労働省令の定める書類その他の物件を提出しなければならない。
- 4.受給権者が死亡したときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定による死亡の届出義務者は、十日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、厚生労働省令で定める受給権者の死亡について、同法の規定による死亡の届出をした場合(厚生労働省令で定める場合に限る。)は、この限りでない。
- 5.第二号厚生年金被保険者、第三号厚生年金被保険者又は第四号厚生年金被保険者、これらの者に係る事業主及び第二号厚生年金被保険者期間、第三号厚生年金被保険者期間又は第四号厚生年金被保険者期間に基づく保険給付の受給権者については、前各項の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
届出等とは何ですか?
定義届出等とは、厚生年金保険法第98条に定められた規定で、「事業主は、厚生労働省令の定めるところにより、第二十七条に規定する事項を除くほか、厚生労働省令の定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第98条(届出等)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第98条の条文原文は「事業主は、厚生労働省令の定めるところにより、第二十七条に規定する事項を除くほか、厚生労働省令の定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。」で始まります。
- 厚生年金保険法第98条は第七章に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第98条の前の条は厚生年金保険法第97条です。
- 厚生年金保険法第98条の次の条は厚生年金保険法第99条です。
- 厚生年金保険法第98条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第98条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第98条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/98
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法98条は、事業主・被保険者・受給権者に届出義務を課し、受給権者が死亡したときは戸籍法上の死亡届出義務者が10日以内に厚生労働大臣へ届け出るべきことを定める。
Q · 年金をもらっていた親が亡くなったら、年金の届出はいつまでに出すの?
原則10日以内。マイナンバー収録済みなら省略可
厚生年金保険法98条4項により、受給権者が死亡したときは、戸籍法上の死亡届出義務者が10日以内に厚生労働大臣(日本年金機構)へ届け出なければなりません。ただし同項ただし書により、厚生労働省令で定める場合(日本年金機構に受給権者のマイナンバーが収録されている場合)は、戸籍法上の死亡届によって年金側の届出を省略できます。届出を怠って年金が振り込まれ続けた分は過払いとして返還対象になります。なお公務員・私学教職員(第二号から第四号厚生年金被保険者)には5項により本条は適用されず、窓口は各共済組合です。
解説
厚生年金は「加入したら終わり」の制度ではない。住所が変わった、氏名が変わった、家族の扶養状況が変わった、そして受給者が亡くなった。そのすべてを誰かが役所に伝えなければ、制度は動かない。98条はその「伝える義務」を四層に分けて配分している条文だ。1項は事業主、2項は被保険者本人、3項は受給権者とその世帯の人、4項は受給権者が死んだときの戸籍法上の届出義務者。ここであなたが押さえるべきは4項の「10日以内」という数字である。年金を受け取っていた親が亡くなったとき、あなたには10日という極めて短い時計が回り始める。しかもこの届出を怠って年金が振り込まれ続ければ、それは後で全額返還を求められる過払いになり、悪質と判断されれば不正受給として刑事責任の射程にも入る。悲しみの最中に誰も教えてくれない期限が、ここに書いてある。
法的な位置づけ
厚生年金保険法98条は、厚生年金保険の運営に必要な届出義務を定める規定である。事業主、被保険者、受給権者およびその世帯に属する者に対し厚生労働省令の定める事項の届出を義務づけ、受給権者が死亡したときは戸籍法上の死亡届出義務者が10日以内に届け出るものとする。第二号から第四号厚生年金被保険者およびその受給権者には適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.マイナンバー収録の有無を確認する 年金事務所またはねんきんダイヤルに連絡し、受給権者のマイナンバーが日本年金機構に収録されているかを確認する。収録済みなら98条4項ただし書により受給権者死亡届は原則不要になる
- 2.省略対象でなければ10日以内に受給権者死亡届を提出する 戸籍法上の死亡届出義務者が、死亡の日から10日以内に受給権者死亡届(報告書)を年金事務所へ提出する。様式と添付書類は厚生年金保険法施行規則が定めている
- 3.未支給年金の請求を同時に検討する 死亡月分までの年金は未支給年金として、生計を同じくしていた遺族が請求できる(厚生年金保険法37条)。死亡届とは別の手続なので、同じタイミングで請求書を用意する
- 4.振込済みの過払い分を仕分ける 死亡月の翌月以降に振り込まれた年金は過払いとなるため、口座から引き出さずに残し、返還の連絡が来たら対象期間と金額の内訳を書面で確認してから支払方法を相談する
- 5.遺族厚生年金の受給要件を並行して確認する 死亡届・未支給年金請求・遺族厚生年金請求(厚生年金保険法58条以下)は別々の手続である。遺族の続柄と生計維持要件を確認し、必要書類を一度にそろえる
よくある質問 AI による整理
Q1受給権者死亡届とは何ですか?
年金を受けていた人が亡くなったことを厚生労働大臣(日本年金機構)に知らせる届出です。厚生年金保険法98条4項が根拠で、戸籍法上の死亡届出義務者が10日以内に提出します。
Q2年金の死亡届は10日以内に出さないとどうなる?
届出が遅れて年金が振り込まれ続けると、死亡月の翌月分以降は過払いとして返還を求められます。悪質と判断されれば不正受給として扱われる余地もあります。
Q3受給権者死亡届はどこに出すの?
年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。ただし公務員・私学教職員の期間に基づく年金は5項により本条が適用されず、窓口は各共済組合になります。
Q4マイナンバーがあれば年金の死亡届は省略できる?
98条4項ただし書により、厚生労働省令で定める場合、実務上は日本年金機構に受給権者のマイナンバーが収録されている場合は、戸籍法上の死亡届で年金側の届出を省略できます。
Q5事業主の届出義務はどこまで?
98条1項により、27条の資格取得・喪失等を除く厚生労働省令の定める事項を厚生労働大臣へ届け出ます。氏名変更や住所変更など、実際の届出事項は施行規則が定めています。
Q6同居しているだけで年金の届出義務者になる?
なります。98条3項は受給権者本人だけでなく、その世帯の世帯主その他その世帯に属する者にも届出と書類提出の義務を課しています。
Q7公務員だった親の年金の届出先は日本年金機構?
違います。98条5項により第二号から第四号厚生年金被保険者期間に基づく給付には本条が適用されず、国家公務員共済・地方公務員共済・私学共済が窓口になります。
Q8厚生年金の届出を怠ると罰則はある?
厚生年金保険法102条は届出義務違反等について過料を定めています。加えて過払いが生じていれば返還請求が別に来るため、金銭的負担は罰則だけにとどまりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1死亡届を市役所に出したのに、年金の届出もまた別に必要なんですか?
原則は別手続である。ただし98条4項ただし書により、厚生労働省令で定める場合、具体的には日本年金機構に受給権者のマイナンバーが収録されている場合は、戸籍法上の死亡届をもって年金側の届出を省略できる。実務のポイント:収録の有無は本人でなくても年金事務所で確認できる。親が年金を受け始めた時点で一度確認しておくと、死亡時に慌てて10日を数える事態を丸ごと回避できる
Q2親が死んだあとに振り込まれた年金、使ってしまいました。返さないとダメですか?
死亡月分までは未支給年金として生計同一の遺族が請求できる(厚生年金保険法37条)が、それ以降の入金は過払いとして返還対象になる。使ってしまっても返還義務は消えない。実務のポイント:返還の連絡が来たとき、一括納付しか選択肢がないと思い込む人が多いが、実務上は事情を説明して分割納付を相談する余地がある。まず金額の内訳と対象期間を書面で出させてから、支払方法を話す順番が効く
Q3うちの親は元公務員なんですが、日本年金機構に届け出ればいいんですよね?
違う。98条5項により、第二号から第四号厚生年金被保険者(国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済の加入者)とその受給権者には、1項から4項の届出規定は適用されない。窓口は各共済組合である。実務のポイント:転職で民間と公務員を行き来した人は、期間ごとに実施機関が分かれている。窓口を一つと思い込んで手続すると、片方だけ止まって片方が振り込まれ続けるという最悪の形の過払いが起きる
間違えやすい点 AI による整理
- 死亡届を市区町村に出せば年金も自動的に止まると考えている人が多いが、これは前提の立て方が誤っている。正しい問いは「自分の親はマイナンバーが年金記録に収録されているか」である。収録されていれば4項ただし書で届出は省略できるが、収録の有無を確認せずに放置すると10日の期限だけが過ぎていく
- 届出義務は本人だけの話だと思われがちだが、3項は受給権者本人だけでなく、世帯主その他その世帯に属する者にまで義務を広げている。同居しているというだけで、あなたは他人の年金手続の名宛人になりうる
- 「届出漏れは書類の不備にすぎない」という感覚が最も危険だ。届出を怠った結果として本来受け取れない年金が振り込まれ続ければ、返還請求の対象となり、事情によっては不正受給として刑事責任が問題となる。書類一枚の不作為が、数年分の返還債務に化けることの重さを、多くの人は届出の時点では想像していない
- この条文は「厚生労働省令の定めるところにより」ばかりで中身がないと読み飛ばされるが、実質的なルール(誰が、いつまでに、どの様式で)はすべて厚生年金保険法施行規則に書かれている。条文だけ読んでも義務の輪郭は掴めず、規則まで降りて初めて実務が見える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 義務の名宛人 | 98条:事業主・被保険者・受給権者と世帯・死亡届出義務者の四層 | 27条:事業主のみ(資格取得・喪失・報酬月額等) 100条:受給権者等への報告徴収・立入検査(行政側の調査権) |
| 発動する場面 | 身上変動・世帯変動・受給権者の死亡 | 入社・退職・報酬変動 行政が給付の適正性を検証するとき |
| 期限 | 4項は死亡の日から10日以内、その他は施行規則が事項ごとに定める | 施行規則により原則5日以内 行政の求めに応じてその都度 |
| 違反した場合 | 102条の過料、加えて過払い年金の返還請求 | 102条の過料、遡及訂正と保険料の追徴 検査忌避等に対する制裁 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も投保単位(事業主)に被保険者資料の申報義務を課す構造は同じ。ただし年金給付受給者の死亡通報は労保局と戸政システムの連携が進んでおり、遺族側の期限管理の負担は日本より軽い設計となっている
韓国も事業場・加入者・受給権者に申告義務を課す。行政情報共同利用により死亡事実の連携が広く行われており、日本の98条4項ただし書と同じ発想の負担軽減がとられている
ドイツは事業主の電子届出(DEÜV)を軸に据え、受給者死亡は住民登録(Meldebehörde)から Rentenservice へ自動連携される。私人の届出義務は日本より後退した位置づけにある
米国は受給に影響する事実の報告義務を受給者側に広く課し、葬儀業者からの死亡報告(EDR)でも SSA に情報が入る。過払い分の回収(overpayment recovery)が制度として整備されている点は日本と共通
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 年金を受給していた父が亡くなった。葬儀の手配、親族への連絡、役所での死亡届。その渦中で誰も「年金の受給権者死亡届は10日以内」とは言ってくれない。あと数日で期限を過ぎるが、そもそも期限があることすら知らない。なお、日本年金機構にマイナンバーが収録されている受給権者については、原則としてこの届出は省略できる(4項ただし書)。あなたのケースが省略対象かどうか、それを確認する一本の電話が数万円の返還トラブルを防ぐ
- 従業員が結婚して氏名が変わった。あなたは総務担当として給与システムだけ直して満足した。だが厚生年金の届出は別ルートで、事業主であるあなたの会社に1項の義務がかかっている。届出漏れは会社の義務違反であって、従業員個人の落ち度ではない
- もし、受給権者が亡くなったのに年金が翌月も振り込まれたら、そのお金はどうなる? 死亡月の分までは未支給年金として遺族が請求できるが(厚生年金保険法37条)、それ以降の入金は過払いとして返還対象になる。「振り込まれたのだから貰っていい」は通用しない
- 同居している親が年金を受けている。あなたは世帯主だ。3項はその世帯主であるあなたにも届出義務を課している。親本人が寝たきりで手続きできない状況でも、義務の宛先はあなたを含む世帯の側にある
- 公務員として共済に加入していた親が亡くなった。あなたは日本年金機構に連絡しようとするが、5項により第二号から第四号厚生年金被保険者(公務員・私学教職員)には98条の各項が適用されない。窓口は各共済組合であって、機構ではない。連絡先を間違えると期限だけが過ぎる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受給権者が亡くなったら、まずマイナンバー収録の有無を年金事務所またはねんきんダイヤルで確認、省略対象なら受給権者死亡届は原則不要2. 省略対象でなければ10日以内に受給権者死亡届を提出3. 同時に未支給年金の請求(厚生年金保険法37条)を検討、死亡月分までは生計同一の遺族が受け取れる4. 遺族厚生年金の受給要件(同法58条以下)も並行して確認、死亡届と未支給請求と遺族年金請求は別々の手続である
訴えられた側:1. 届出漏れを指摘されたら、まず対象期間と過払い額を書面で確認、金額の根拠を示させる2. 過払いが生じている場合は返還が原則だが、分割納付の相談余地がある3. 「知らなかった」は義務違反そのものを免れさせないが、故意の隠蔽ではないことを示す資料(死亡届の控え、通院記録等)は不正受給認定との線引きで意味を持つ4. 事業主の届出漏れなら遡及訂正と保険料追徴の範囲を確認し、従業員の給付額への影響を先に手当てする
時効(請求できる期限):受給権者の死亡届は死亡の日から10日以内(4項、ただしマイナンバー収録済みの場合は原則省略可)。1項から3項の届出期限は厚生年金保険法施行規則が事項ごとに定めており、事業主の資格取得・喪失関係は5日以内が基本。過払い年金の返還請求権については会計法上の消滅時効(5年)が問題となるが、事案により扱いが分かれるため個別確認が必要(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 改正:厚生年金保険法の全部改正(昭和29年法律第115号)。現行法の枠組みが成立し、事業主・被保険者・受給権者に対する届出義務の体系が置かれた
- 2.平成27年(2015年) 改正:被用者年金一元化により共済年金が厚生年金へ統合され、第二号から第四号厚生年金被保険者の区分が導入。これに伴い本条5項が適用除外を定める構造となった
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める