国税徴収法 第111条(動産等の売却決定)
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税務署長は、動産、有価証券又は電話加入権を換価に付するときは、公売をする日(随意契約により売却する場合には、その売却する日。以下「公売期日等」という。)において、最高価申込者(随意契約により売却する場合における買受人となるべき者を含む。以下同じ。)に対して売却決定を行う。
この条文の基本情報
動産等の売却決定とは何ですか?
定義動産等の売却決定とは、国税徴収法第111条に定められた規定で、「税務署長は、動産、有価証券又は電話加入権を換価に付するときは、公売をする日(随意契約により売却する場合には、その売却する日。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第111条(動産等の売却決定)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第111条の条文原文は「税務署長は、動産、有価証券又は電話加入権を換価に付するときは、公売をする日(随意契約により売却する場合には、その売却する日。」で始まります。
- 国税徴収法第111条は第四款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第111条の前の条は国税徴収法第110条です。
- 国税徴収法第111条の次の条は国税徴収法第112条です。
- 国税徴収法第111条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第111条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第111条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/111
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法111条は、税務署長が動産・有価証券・電話加入権を換価するとき、公売期日等において最高価申込者に売却決定を行うと定める。不動産と異なり当日に決定される。
Q · 差し押さえられた車や株券は、公売のいつ他人のものになるの?
公売当日の売却決定で買受人が決まります
国税徴収法111条により、税務署長は動産・有価証券・電話加入権を換価するとき、公売をする日(随意契約なら売却する日。あわせて「公売期日等」)において、最高価申込者に対して売却決定を行います。不動産のように入札日と売却決定日を分ける仕組み(同法113条)がないため、その日のうちに買受人が確定します。もっとも所有権が移転するのは買受代金を納付した時(同法116条)であり、売却決定の時点と所有権移転の時点は別であることに注意が必要です。
解説
税金を滞納して差し押さえられた車、時計、株券。それが競り落とされた瞬間、所有権はもうあなたのものではない。国税徴収法111条が決めているのは「いつ、誰の判断で、その瞬間が来るか」である。答えは、公売をする日(随意契約なら売却する日、これを合わせて「公売期日等」と呼ぶ)に、税務署長が最高価申込者に対して売却決定を行う、その時だ。裁判所も第三者機関も間に入らない。あなたの財産の運命を、税務署長という行政庁が一本のペンで確定させる。ここで押さえるべき現実的な意味は二つ。第一に、動産・有価証券・電話加入権は不動産と扱いが違い、不動産のような入札日と売却決定日の間隔(原則7日、国税徴収法113条)が置かれず、その日のうちに決まる。第二に、その日を過ぎれば、あなたが用意しようとしていた滞納税額の一括納付は間に合わない。売却決定前の完納こそが、差押財産を取り戻す最後のカードだ。
法的な位置づけ
国税徴収法111条は、動産、有価証券及び電話加入権に係る売却決定の時期を定める規定である。税務署長は、これらの財産を換価に付するときは、公売をする日(随意契約により売却する場合にはその売却する日。両者を併せて公売期日等という)において、最高価申込者に対して売却決定を行う。不動産等について売却決定の日を別に定める同法113条に対する、動産等の特則をなす。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.公売公告で対象財産と公売期日等を特定する 差押調書と公売公告を突き合わせ、どの財産が、いつの公売期日等で売却決定されるのかを確定する。動産等は当日に売却決定まで進むため、逆算できる残り日数がそのまま行動可能期間になる
- 2.一括納付できるか資金を確定させる 滞納国税の総額(本税・延滞税・滞納処分費)を徴収担当窓口で確認し、公売期日等より前に完納できるかを判断する。完納すれば差押えは解除される(国税徴収法79条)
- 3.一括が無理なら猶予を期日前に申請する 換価の猶予(国税徴収法151条、151条の2)または納税の猶予(国税通則法46条)を、売却決定より前に申請する。収支状況・財産目録など疎明資料を揃えて事前相談する
- 4.差押禁止財産に当たらないか確認する 生活や事業の継続に不可欠な動産は差押禁止財産(国税徴収法75条等)に当たる可能性がある。該当すれば差押解除を求める。第三者の権利が及ぶ財産は別途主張が必要
- 5.売却決定後は不服申立ての土俵に切り替える 公売期日等を過ぎて売却決定が行われた場合、交渉領域は終わる。見積価額の妥当性等に疑義があるなら、処分を知った日の翌日から3か月以内に審査請求を行う(国税通則法77条)
よくある質問 AI による整理
Q1売却決定とは何ですか?
公売や随意契約で最も高い価額を申し込んだ者を買受人として確定させる、税務署長の行政処分です。国税徴収法111条が動産等についての時期を定めています。
Q2公売期日等とはいつのことですか?
公売をする日と、随意契約により売却する場合のその売却する日を合わせた呼び方です。国税徴収法111条が定義しており、この日に売却決定が行われます。
Q3動産と不動産で売却決定の時期は違いますか?
違います。動産等は公売期日等の当日に決定されますが(111条)、不動産等は公売期日から原則7日を経過した日が売却決定日とされます(113条)。
Q4随意契約による売却とはどんな場合ですか?
法令で価額が定まっている財産や、公売に付しても買受人がいない場合などに、入札によらず相手方を選んで売却する方法です(国税徴収法109条)。
Q5電話加入権が条文にあるのはなぜですか?
形のない財産権でも換価対象になることを示す例だからです。現在はゴルフ会員権や売掛金など無形財産の差押えが実務の中心になっています。
Q6売却決定に不服がある場合はどうすればいいですか?
売却決定は行政処分なので審査請求で争えます。処分があったことを知った日の翌日から3か月以内という期間制限があります(国税通則法77条)。
Q7換価の猶予はいつまでに申請すべきですか?
売却決定より前です。決定後は買受人の地位が優先するため、猶予資料を持参しても手続は戻りません。公売公告を見た時点で動くのが実務上の分かれ目です。
Q8公売の対象になる動産にはどんなものがありますか?
自動車、貴金属、時計、事業用機械、在庫商品などです。生活や事業の継続に不可欠なものは差押禁止財産(国税徴収法75条)に該当しないか確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公売の当日に全額払えば、車は返してもらえますか?
売却決定が行われる前に完納すれば、差押えは解除され財産は戻る(国税徴収法79条)。だが本条の売却決定は公売期日等の当日に行われるため、その日に窓口へ行っても時刻次第で間に合わない。実務のポイント:徴収担当者は公売中止の実務コストを嫌うため、期日の数日前に納付原資の裏付け資料を持って相談すると中止の判断が下りやすい。当日の口約束はほぼ通らない
Q2差し押さえられた物が明らかに安く売られた場合、文句は言えますか?
公売は見積価額(国税徴収法98条)を基準に行われ、最高価申込者への売却決定は本条による。価額が著しく不当であれば、売却決定という行政処分に対する審査請求で争う余地がある。実務のポイント:見積価額の算定資料は情報公開請求や閲覧で入手できる場合がある。争うなら決定後ではなく、公売公告の見積価額を見た段階で意見を出しておくと、記録が残り後の主張が通りやすい
Q3他人名義だと言えば、差押えから外れますか?
第三者が真の所有者だと主張するなら、その第三者自身が権利主張の手続をとる必要がある(国税徴収法50条、第三者の権利の目的となっている財産の差押換え等の枠組み)。滞納者本人が口頭で述べても動かない。実務のポイント:動産は占有している者が所有者と推定されやすく、家族名義の主張は購入時の領収書や口座の出金記録がなければ通らない。主張するなら証拠を先に揃える
間違えやすい点 AI による整理
- 「公売で落札されても、代金を払うまでは自分のものだ」と考える滞納者は多い。だが本条の売却決定と、所有権の移転時期(国税徴収法116条、代金納付の時に移転)は別の話であり、売却決定が下りた時点で、あなたは「まだ所有者だが、もう自分の意思で処分できない者」になる。所有権の残骸だけを握っている状態を、完全な所有権と勘違いすると打つ手を誤る
- 「税務署が財産を売るなら裁判所の許可が要るはずだ」という前提そのものが誤っている。国税の滞納処分は自力執行権に基づき、行政庁が単独で差押えから換価、配当まで完結できる。民事執行では裁判所が主役だが、国税徴収の世界では税務署長が執行機関そのものである。この前提を取り違えると、「まだ訴訟になっていないから大丈夫」という致命的な油断が生まれる
- 滞納者から見れば「まだ争える余地がある」段階でも、法律から見れば売却決定は行政処分であり、不服申立てには期間の壁がある(審査請求は処分を知った日の翌日から3か月、国税通則法77条)。この落差に気付かず「税務署とじっくり話し合おう」と構えているうちに、争う権利そのものが時間切れになる
- 電話加入権が条文に明記されていることを、時代遅れの遺物と読み飛ばす人が多い。だが本条が示しているのは、財産的価値のある権利は形がなくても換価対象になるという発想であり、実務ではゴルフ会員権、暗号資産、売掛金など無形の財産も差押えの射程に入っている(無形財産の換価は国税徴収法73条以下の類型による)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象財産 | 111条:動産・有価証券・電話加入権 | 113条:不動産・船舶・航空機等 115条:売却決定を受けた買受人一般 |
| 決定の時期 | 公売期日等(公売をする日/随意契約で売却する日)の当日 | 公売期日から原則7日を経過した日 決定後、買受代金の納付期限が別に設定される |
| 滞納者に残る時間 | 当日で終わるため、納付・猶予申請は期日前が必須 | 入札後も数日残るため、資金調達の余地がある 納付期限までに納付がなければ売却決定は取り消される |
| 所有権との関係 | 売却決定のみでは所有権は移らない | 同じく決定のみでは移らない 116条:代金納付の時に買受人が権利を取得 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では税の強制徴収は税捐機関が直接行わず、法務部行政執行署へ移送して執行する点が日本と大きく異なる。動産の拍賣は強制執行法の規定を準用し、拍定により買受人が確定する
韓国も税務署長による自力執行を認め、公売と売却決定の枠組みは日本と近い。公売実務は韓国資産管理公社(KAMCO)への代行が広く用いられている
ドイツも租税債権について裁判所を介さない行政上の強制執行を認め、動産は差押え後に公売(Versteigerung)により換価される。執行官に相当する Vollziehungsbeamter が実施する
米国 IRS も裁判所の許可なく差押財産を売却できる。ただし売却前の通知期間や、納税者による償還(redemption)の枠組みが法定されており、時間的猶予の設計が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 個人事業主として消費税の納付を先送りしているうちに、店舗のエスプレッソマシンと配達用バイクが差し押さえられた。公売公告を見て「まだ時間がある」と考えたが、動産の公売期日は入札と同日に売却決定まで進む。その日の午後には、あなたの生産設備は他人の名義になっている
- 亡くなった父の遺品整理で見つけた株券。実は父は法人税を滞納しており、有価証券は既に差押済みだった。相続人であるあなたは「知らなかった」と主張したいが、売却決定が済んでいれば買受人の権利が優先する。相続開始後すぐに滞納の有無を税務署に照会していれば、公売中止の交渉余地はあった
- もし、公売の当日に「今から全額払います」と税務署に駆け込んだら、どうなる? 売却決定の前であれば差押解除の可能性がある(国税徴収法79条)。だが売却決定が行われた後は、原則として買受人の地位が保護され、あとから納付しても財産は戻らない。分岐点は日付ではなく、その日の中の時刻である
- あなたが公売の買受人側だった場合。ネットオークション形式の公売で高級腕時計を落札した。売却決定を受けた時点で、あなたは所有権取得の資格を得る。ただし代金納付期限を守らなければ決定は取り消され、公売保証金は没収される(国税徴収法115条、116条)。落札の喜びで支払いを後回しにすると、金だけ失う
- あと5日で公売期日。あなたが打てる手は、換価の猶予(国税徴収法151条、151条の2)の申請、納税の猶予(国税通則法46条)の申請、または滞納額の一括納付。どれも売却決定の前でなければ意味がない。税務署の徴収担当窓口が開いているのは平日日中だけである
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押調書と公売公告で、対象財産と公売期日を特定する2. 期日までに一括納付できるなら、税務署の徴収担当に事前連絡のうえ納付し、差押解除を求める(国税徴収法79条) 3. 一括が無理なら、換価の猶予(同法151条の2)または納税の猶予(国税通則法46条)を期日前に申請、収支状況の疎明資料を揃える4. 生活または事業継続に不可欠な動産は差押禁止財産(同法75条)に当たらないか確認する
訴えられた側:買受人側の視点なら、1. 売却決定を受けた時点で代金納付期限を書面で確認する2. 期限内に納付しなければ売却決定は取り消され、公売保証金は没収される(国税徴収法115条、116条) 3. 動産の引渡し方法と搬出期限を公告条件で確認する4. 権利関係に疑義がある物件は、入札前に公告の特記事項と現物確認の機会を使い切る
時効(請求できる期限):売却決定そのものに固有の期限はないが、決定は公売期日等の当日に行われる。処分に不服がある場合の審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条)。滞納国税の徴収権自体は法定納期限の翌日から5年で時効消滅する(同法72条。差押え等により時効は更新される)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の売却決定は、税務署長が優越的地位に基づき一方的に法律関係を形成する行政処分と解される。したがって審査請求・取消訴訟の対象となり、期間制限の適用を受ける。私法上の売買契約の成立とは性質を異にする
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:旧国税徴収法を全面改正した現行国税徴収法(昭和34年法律第147号)が制定され、差押えから換価・配当までの滞納処分手続が体系的に整備された。動産等の売却決定の時期も本条に置かれた
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