国税徴収法 第140条(仮差押等がされた財産に対する滞納処分の効力)
クイックジャンプ
滞納処分は、仮差押又は仮処分によりその執行を妨げられない。
この条文の基本情報
仮差押等がされた財産に対する滞納処分の効力とは何ですか?
定義仮差押等がされた財産に対する滞納処分の効力とは、国税徴収法第140条に定められた規定で、「滞納処分は、仮差押又は仮処分によりその執行を妨げられない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第140条(仮差押等がされた財産に対する滞納処分の効力)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第140条の条文原文は「滞納処分は、仮差押又は仮処分によりその執行を妨げられない。」で始まります。
- 国税徴収法第140条は第一款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第140条の前の条は国税徴収法第139条です。
- 国税徴収法第140条の次の条は国税徴収法第141条です。
- 国税徴収法第140条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第140条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第140条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/140
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法140条は、滞納処分が仮差押え又は仮処分によって執行を妨げられないと定める。保全命令があっても差押えと公売は進み、配当の優先順位は同法8条等で別に決まる。
Q · 裁判所で仮差押えを取ってあれば、税務署の差押えや公売は止まりますか?
止められません。公売はそのまま進みます
国税徴収法140条は、滞納処分は仮差押え又は仮処分によりその執行を妨げられないと定めます。裁判所の保全命令があっても、税務署は督促状の発送から10日の経過により差押えができ(同法47条1項)、公売まで手続を進められます。仮差押債権者は、そのままでは滞納処分の配当に加われません。本案訴訟で債務名義を取得し強制執行へ移行して初めて、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律による残余交付の土俵に乗れます。
解説
取引先が飛びそうだと察して、あなたは弁護士に駆け込み、裁判所から仮差押命令を取った。相手の預金と機械設備に札を貼り、担保金も積んだ。ここまでは正しい判断である。ところが数週間後、同じ設備に税務署の差押えが入り、公売にかけられる。あなたの仮差押えは、それを一秒も止められない。国税徴収法140条は「滞納処分は、仮差押又は仮処分によりその執行を妨げられない」と定める。民事保全は私人同士の順位を仮に固定する仕組みにすぎず、国税の徴収権はその外側で動く。しかも仮差押えを打ったからといって、あなたの債権が国税に優先するわけでもない(国税徴収法8条)。裁判所の命令書を握って安心していた側が、公売の配当計算書を見て初めてそれを知る。あなたが本当に確認すべきなのは、相手の登記簿の抵当権欄ではなく、相手に国税や地方税の滞納があるかどうかだ。
法的な位置づけ
国税徴収法140条は、滞納処分と民事保全処分との関係を定める規定であり、仮差押え又は仮処分がされている財産についても、滞納処分の執行はこれに妨げられない旨を明らかにする。滞納処分は裁判所の関与を要しない行政上の自力執行であり、私人間の順位を暫定的に固定する保全命令によってその進行が停止されることはない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.仮差押え申立て前に滞納の有無を確認 対象不動産の登記簿の権利部で「差押」「参加差押」の登記と権利者欄の官公署名を確認する。その一行があれば、担保金を積んで仮差押えを取っても公売は止まらないため、費用対効果を再計算する
- 2.滞納処分が入った場合は公売までの残り時間を逆算 差押登記の日付から、財産の評価、公売公告、入札までのスケジュールを逆算する。140条により滞納処分は止まらないため、残り時間の中で債務名義を取れるかどうかが回収可否を分ける
- 3.本案訴訟を前倒しして債務名義を取得 仮差押えのままでは滞納処分の配当に加われない。売買代金請求訴訟などを最速で提起し、可能であれば手形訴訟や少額訴訟、和解による調書作成も検討して債務名義の取得時期を早める
- 4.強制執行へ移行し残余交付を狙う 債務名義を得たら仮差押えから本執行へ移行し、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律に基づいて換価代金の残余の交付を受ける手続に乗せる。抵当権があれば設定日と法定納期限等の先後も確認する
よくある質問 AI による整理
Q1滞納処分とは何ですか?
税金を滞納した者の財産を、行政庁が裁判所を通さず自ら差し押さえ、換価して滞納税額に充てる一連の手続です。差押え、公売、配当の三段階で進みます。
Q2税務署はいつから差押えできますか?
督促状を発した日から10日を経過した時点で差押えが可能になります(国税徴収法47条1項)。裁判所の許可も債務名義も不要です。
Q3地方税の滞納でも同じルールですか?
はい。地方税の滞納処分は国税徴収法の例によるとされるため、住民税や固定資産税の滞納処分も仮差押え・仮処分では止まりません。
Q4仮差押えの担保金はいつ返ってきますか?
本案訴訟の終了などを経て、裁判所の担保取消決定を得るまで返還されません(民事保全法4条、民事訴訟法79条)。回収ゼロでも資金は拘束され続けます。
Q5国税の徴収権の時効は何年ですか?
法定納期限から5年で時効消滅するのが原則です(国税通則法72条)。ただし差押えや納税の猶予などにより進行が中断・停止する点に注意が必要です。
Q6差押えを止める方法はありますか?
納付が困難な事情があれば、換価の猶予や納税の猶予を申請する道があります。事業継続の見込みと分割納付計画を数字で示し、徴収担当と早期に接触することが要点です。
Q7取引先の税金滞納はどうやって調べますか?
不動産登記簿の権利部で「差押」「参加差押」の登記と権利者欄の官公署名を確認します。滞納額そのものは公開されないため、登記と決算書、支払遅延の兆候から推測します。
Q8滞納処分が入ったら仮差押えは取り下げるべきですか?
一律には決まりません。他に残余財産が見込めるかで判断します。見込みがなければ、本案訴訟を急ぎ債務名義を取得し、強制執行へ切り替える判断が優先されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判所が出した仮差押えって、税務署の差押えより強いんじゃないんですか?
逆である。滞納処分は裁判所を通さず行政庁が自ら執行する仕組みで、140条が「仮差押又は仮処分によりその執行を妨げられない」と明記している。保全命令は私人間の順位を仮に固定するだけで、国税の徴収権を止める力はない。実務のポイント:「止められない」ことと「国税が必ず優先配当を受ける」ことは別問題である。抵当権の設定が法定納期限等より前なら、その抵当権が国税に優先する(国税徴収法16条)。手続と配当を分けて考えられるかで戦略が変わる
Q2仮差押えしている財産が公売されたら、私の債権はどうなりますか?
仮差押えのままでは滞納処分の配当手続に加われない。本案訴訟で債務名義を取り、強制執行に移行して初めて、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律に基づく調整の土俵に乗り、換価代金の残余の交付を受ける道が開ける。実務のポイント:この切り替えの速さが回収額を決める。公売が終わってから債務名義を取っても遅い。相手に滞納の兆候が見えた時点で本案提起を前倒しするのが実務の定石である
Q3税務署の差押えの方が後から入ったのに、なぜ先に売られてしまうんですか?
差押えの先後は換価の可否を決めない。140条により滞納処分は保全処分に妨げられず独自に進む。優先順位を決めるのは差押えの順番ではなく、滞納国税の法定納期限等と担保権の設定時期の先後である(国税徴収法15条、16条)。実務のポイント:登記簿で見るべきは差押えの日付ではなく、抵当権設定日と法定納期限等の関係。ここが読めれば、公売で自分にいくら戻るかを事前に概算できる
Q4処分禁止の仮処分の登記を先に入れてあれば、公売で買った人にも勝てますか?
140条が否定するのは滞納処分の執行が妨げられることであって、仮処分の対抗力そのものを消すものではない。仮処分登記と滞納処分による差押登記の先後、本案での勝訴の有無によって結論が変わり、実務上も解釈が分かれている論点である。実務のポイント:公売公告が出た段階で、仮処分債権者として権利関係を書面で徴収機関に申し出ておくと、買受希望者への情報として事実上の牽制になる。黙っていると争点を残したまま所有権が移転する
間違えやすい点 AI による整理
- 「仮差押えの登記と税務署の差押えの登記、どちらが先か」を必死に確認する人がいるが、140条の場面で問うべきはそこではない。先後を問わず滞納処分の執行は進む。本当の勝負は手続の順番ではなく、配当の優先順位(国税徴収法8条、15条、16条)で決まる。問いの立て方そのものがずれている
- 「裁判所が出した命令なのだから、行政機関も従うはず」は事実と逆である。滞納処分は裁判所の力を借りずに行政庁が自ら執行する仕組み(自力執行権)に基づく。民事保全の世界では最強に見える裁判所の保全命令が、この場面では効力を及ぼせない側に回る
- 仮差押えが公売を止められないことは知っていても、その後に自分の資金がどれだけ長く凍結されるかまで想定している人は少ない。配当がゼロでも、仮差押えを維持している限り担保として供託した数百万円は動かせず、担保取消しの手続を踏むまで返ってこない。回収ゼロに加えて資金拘束という二重の損失になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 140条:滞納処分は仮差押え・仮処分に妨げられない(手続の優越) | 8条:国税は原則として他の債権に優先する(配当の順位) 16条:法定納期限等以前に設定された抵当権が国税に優先(例外) |
| 問いの立て方 | 公売は止まるか → 止まらない | 誰が先に配当を受けるか → 原則は国税 抵当権設定日と法定納期限等はどちらが先か |
| 私債権者への影響 | 保全命令の費用と担保金が無駄になり得る | 無担保債権は残余がなければ配当ゼロ 先順位抵当権者は国税に優先して回収できる |
| 実務上の打ち手 | 債務名義を急ぎ強制執行へ移行する | 担保権の取得を前倒しする 抵当権設定日を証拠化し優先を主張する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は行政執行と民事執行が競合した場合に事件を併合して処理する調整規定を置く。日本の140条が滞納処分の優越を正面から宣言するのに対し、台湾は競合調整型で、租税優先は税捐稽徴法6条が別途規律する
韓国も滞納処分が裁判上の仮差押え・仮処分によって影響を受けない旨の規定を置き、日本法と同旨。2020年の全部改正により条番号が変動しているため参照時は要確認
ドイツも財務官庁が債務名義なしに執行できる自力執行権を定める。民事の保全処分との競合は執行法の一般規定と優先順位の調整により処理され、租税債権に一律の一般優先権を与えない点が日本と異なる
米国も IRS が裁判所を通さずに levy をかけられる。優劣は連邦租税リーエンの公示(notice of federal tax lien)の時期と、先行する担保権者の地位との先後で判定される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、担保金200万円を積んで取った仮差押えの対象が、三か月後に税務署の公売にかけられたらどうなる? 公売は止まらない。換価代金はまず滞納国税に充てられ、残余がなければあなたの取り分はゼロ。しかも供託した担保金は、本案訴訟が終わって担保取消しが認められるまで戻ってこない
- 未払代金800万円。相手の機械設備に仮差押えの札を貼った。翌月、同じ設備に「差押 財務省」の札が重なった
- あなたの会社が消費税を滞納し、取引先からも仮差押えが入った。「保全がかかっているから税務署も手を出せないだろう」という読みは通らない。督促状の発送から10日を経過すれば税務署は裁判所の関与なしに差押えができる(国税徴収法47条1項)。あと数日で売掛金が押さえられ、資金繰りが止まる
- 友人が離婚で夫名義のマンションに処分禁止の仮処分をかけたと相談してきた。あなたが最初に返すべき問いは「その物件、固定資産税や所得税の滞納はない?」である。地方税の滞納処分も国税徴収法の例によるため、家庭裁判所の手続が続いている間に公売が進む可能性がある
- 公売物件を安く狙っている。登記簿には他人の仮差押えの登記が残ったままだ。140条により公売手続そのものは進むが、買い受けた後にその登記や仮処分がどう扱われるかは別の論点で、下調べなしに入札すると後始末を背負い込む
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仮差押えの申立て前に、対象財産の登記簿と相手の税務状況を確認、滞納処分が先行していれば保全の費用対効果を再計算する2. 既に仮差押済みで滞納処分が入ったら、公売までの残り時間を逆算し、本案訴訟を最速で進めて債務名義を取る3. 債務名義取得後は強制執行へ移行し、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律による換価代金の残余交付を狙う4. 抵当権を持つなら設定日と滞納国税の法定納期限等の先後を確認、こちらが先なら国税に優先しうる(国税徴収法16条)
訴えられた側:1. 督促状の日付を確認、発送から10日経過で差押えが可能になる(国税徴収法47条1項)ため、その前に税務署の徴収担当と接触する2. 一括納付が困難なら換価の猶予や納税の猶予の申請を検討、事業継続の見込みと分割計画を数字で示す3. 仮差押えが入っていることを理由に滞納処分が止まると期待しない、140条により止まらない4. 差押えが実行された場合は、超過差押えや生活・事業の継続に必要な財産の差押禁止に該当しないかを個別に主張する
時効(請求できる期限):140条自体に期間の定めはない。動く時計は別にある。督促状発送の日から10日を経過した時点で差押えが可能(国税徴収法47条1項)。仮差押債権者は、債務者の申立てにより裁判所が定める期間内に本案の訴えを提起しないと保全命令を取り消される(民事保全法37条)。国税の徴収権の消滅時効は法定納期限から5年(国税通則法72条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:140条は滞納処分と民事保全との手続上の関係を定めるにとどまり、私債権者の実体的な優先権を否定するものではないと解される。手続面では滞納処分が優越するが、配当面では国税徴収法8条以下の順位規定と手続調整法により調整されるという二層構造で理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年)全部改正 現行国税徴収法(昭和34年法律第147号)の制定に伴い、滞納処分が民事の保全処分に妨げられないという原則が現在の条文位置に置かれた。その後の改正沿革は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:現行国税徴収法(昭和34年法律第147号)の全部改正制定に伴い、滞納処分が民事の保全処分に妨げられないという原則が現在の条文位置に置かれた。それ以降の改正沿革は人的検証が必要
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める