国税徴収法 第25条(譲渡担保財産の換価の特例等)
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- 買戻しの特約のある売買の登記、再売買の予約の請求権の保全のための仮登記(仮登録を含む。以下同じ。)その他これに類する登記(以下この条において「買戻権の登記等」という。)がされている譲渡担保財産でその買戻権の登記等の権利者が滞納者であるときは、その差し押さえた買戻権の登記等に係る権利及び前条第三項の規定により差し押さえたその買戻権の登記等のある譲渡担保財産を一括して換価することができる。
- 2.前条及び前項に規定するもののほか、譲渡担保財産からする納税者の国税の徴収に関し必要な事項は、政令で定める。
この条文の基本情報
譲渡担保財産の換価の特例等とは何ですか?
定義譲渡担保財産の換価の特例等とは、国税徴収法第25条に定められた規定で、「買戻しの特約のある売買の登記、再売買の予約の請求権の保全のための仮登記(仮登録を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第25条(譲渡担保財産の換価の特例等)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第25条の条文原文は「買戻しの特約のある売買の登記、再売買の予約の請求権の保全のための仮登記(仮登録を含む。」で始まります。
- 国税徴収法第25条は第四節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第25条の前の条は国税徴収法第24条です。
- 国税徴収法第25条の次の条は国税徴収法第26条です。
- 国税徴収法第25条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第25条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第25条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法25条は、買戻権の登記等がある譲渡担保財産について、滞納者の買戻権と譲渡担保財産を一括して換価できると定める。買戻権単独では換価価値が乏しいためである。
Q · 買戻特約を付けて担保に取った物件は、税務署にどこまで手を出されるの?
買戻権と担保財産をセットで公売にかけられます
国税徴収法25条1項により、買戻特約付売買の登記や再売買予約の仮登記がある譲渡担保財産では、滞納者に属する買戻権と、24条3項で差し押さえた譲渡担保財産とを一括して換価できます。買戻権だけ、担保財産だけを売っても買い手がつきにくいためです。譲渡担保権者から見れば、自分名義の財産が国税の一手でまとめて市場に出されることを意味します。
解説
譲渡担保という言葉は聞き慣れなくても、中小企業の資金調達では日常的に使われている。在庫や機械を「形式上は債権者名義に移すが、実質は担保」として差し入れる手法である。国税徴収法24条は、滞納者が譲渡担保として差し出した財産にも税務署が手を伸ばせると定めた。25条1項はその先を行く。買戻特約付売買の登記や再売買予約の仮登記、つまり「あとで買い戻せる権利」が登記されている譲渡担保財産について、税務署はその買戻権と担保財産そのものを一括して換価できる。なぜこれが効くか。買戻権だけを競売にかけても、買い戻す前の物件は誰も欲しがらず二束三文にしかならない。逆に担保財産だけ売っても、買戻権が残っていれば買い手は将来ひっくり返されるリスクを抱える。どちらも単独では売れない。そこで両方まとめて売る。あなたが債権者側なら、自分が持っているはずの買戻権付き物件が、税務署の一手で丸ごと市場に出される可能性を知っておく必要がある。2項は残りの細目を政令に委ねている。
法的な位置づけ
国税徴収法25条は、譲渡担保財産に対する滞納処分の換価方法を定める規定である。1項は、買戻権の登記等がされた譲渡担保財産につき、滞納者に帰属する買戻権と、同法24条3項により差し押さえられた譲渡担保財産とを一括して換価することを認める。2項は、その他の徴収に必要な事項を政令に委任する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.告知書・差押通知書の記載と送達日を保全する 譲渡担保権者として告知書を受け取ったら、封筒・送達記録・記載事項をすべて写真とコピーで保全する。告知の様式と送達の適法性は、後に手続の瑕疵を争う際の出発点になる
- 2.譲渡担保の設定日と法定納期限等の先後を確定する 契約書、確定日付、登記事項証明書、送金記録から譲渡担保の設定時期を特定し、滞納国税の法定納期限等と比較する。設定が法定納期限等以前であれば、24条の適用範囲を争える余地がある
- 3.買戻権の登記等の内容と権利者を確認する 登記事項証明書で、買戻特約の登記または再売買予約の仮登記がどちらの名義かを確認する。買戻権者が滞納者である場合にのみ25条1項の一括換価が可能になるため、この一点が分岐になる
- 4.滞納者と協調して換価の猶予・分割納付を提示する 一括換価は担保権者を巻き込むため、滞納者側と協調して換価の猶予(151条・151条の2)や分割納付案を提示する方が実務的に通りやすい。事業継続に不可欠な財産であることを疎明する
- 5.不服申立ての期限内に争点を確定する 処分に不服があれば、処分を知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求を行う(国税通則法77条)。告知の瑕疵、設定時期、一括換価の相当性のどれで争うかをこの段階で決める
- 6.配当順位と被担保債権額を主張する準備をする 一括換価に至った場合、換価代金からの配当(129条)で自己の被担保債権額と順位を主張する。債権額、利息、遅延損害金の計算根拠を残高証明と契約書で裏付けておく
よくある質問 AI による整理
Q1譲渡担保とは何ですか?
債務の担保として、形式上は所有権を債権者へ移転しつつ、実質は担保として扱う取引実務上の手法です。民法に明文規定はなく、判例の積み重ねで認められてきました。
Q2国税徴収法25条の一括換価とは?
滞納者の買戻権と、その登記等がある譲渡担保財産を、まとめて公売にかけることです。単独では買い手がつかない二つの権利を束ね、売却価値を確保する仕組みです。
Q3買戻権の登記等とはどんな登記ですか?
買戻特約付売買の登記、再売買の予約の請求権保全の仮登記、これらに類する登記を指します(25条1項)。登記簿に現れるため、税務署から発見されやすい権利です。
Q4譲渡担保財産はいつ差し押さえられますか?
滞納者の固有財産で徴収できない場合に、譲渡担保権者へ告知書で告知したうえで差し押さえられます(24条2項・3項)。設定時期と法定納期限等の先後が前提となります。
Q5リースバックした自宅も対象になりますか?
買戻権の仮登記を打ち、実質が担保と評価される場合は対象になり得ます。住み続けていても、買戻権ごと一括換価の射程に入る可能性があります。
Q6譲渡担保権者への告知は必要ですか?
必要です。国税徴収法24条2項により、税務署長は譲渡担保権者へ告知書で告知したうえでなければ譲渡担保財産を差し押さえられません。手続の瑕疵は争点になります。
Q7滞納処分に不服がある場合はどうしますか?
処分を知った日の翌日から3か月以内に、再調査の請求または国税不服審判所への審査請求ができます(国税通則法77条)。期限を過ぎると争えなくなります。
Q8換価の猶予は申請できますか?
事業継続や生活維持が困難になる場合、国税徴収法151条・151条の2により換価の猶予を申請できます。担保提供や分割納付計画の提出が求められます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちが担保に取った物件が一括換価されたら、貸したお金は戻ってこないんですか?
全額失うわけではない。譲渡担保権者は換価代金から配当を受ける地位にある。問題は順位で、譲渡担保の設定が滞納国税の法定納期限等より後であれば国税が優先する(国税徴収法24条)。実務のポイント:この順位判定の分岐点は「登記の日」ではなく設定の時期と法定納期限等の関係である。契約書に確定日付を取っておくかどうかで、後の立証難易度が大きく変わる
Q2買戻権だけ差し押さえられて、物件は無傷ということはありますか?
理論上はありうるが、実益が乏しい。買戻権単独では買い手がつかず換価価値が出にくいため、25条1項は担保財産と一括して売る道を用意した。逆に言えば、一括換価ができない事情があれば国税側も動きにくい。実務のポイント:徴収実務では「売れるかどうか」が着手の判断材料になる。物件の市場性が低い場合、差押えはされても公売が長く動かない事例は実際に存在する
Q3政令で定めるって、結局どこを見ればいいんですか?
国税徴収法施行令に譲渡担保財産からの徴収に関する手続細目が置かれている。告知書の記載事項や、譲渡担保財産の特定方法など、条文本体に書ききれない実務ルールがそこにある。実務のポイント:条文だけ読んで判断すると手続の瑕疵を見落とす。争うつもりなら施行令と国税庁の徴収事務提要まで降りて、告知の様式・送達の適法性を一つずつ潰していくのが実務家の作法である
間違えやすい点 AI による整理
- 「譲渡担保にしておけば、形式上は自分の財産だから税務署は手を出せない」という設計思想でこの手法を使う人がいるが、問いの立て方が誤っている。国税徴収法24条・25条は、まさにその形式と実質の乖離を前提に作られた条文である。譲渡担保が徴収逃れに使われることを立法者は最初から想定している
- 買戻権の登記があることは知っていても、それが「差押えの対象になる財産権」だと認識している人は少ない。買戻権は債権的請求権または物権的期待権として財産価値を持ち、差し押さえられる。登記簿に載っている以上、税務署から見れば発見しやすい標的でもある
- あなたから見れば買戻特約は「いつでも取り戻せる安心装置」だが、法律から見れば「換価可能な独立の財産権」である。この落差が痛いのは、あなたが買い戻すタイミングを自分で選べると思っている間に、その選択権ごと売却されうる点にある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 25条:譲渡担保財産の換価方法(買戻権との一括換価) | 24条:譲渡担保財産からの徴収(告知・差押えの根拠) 89条:差押財産の換価手続の一般原則 |
| 発動の前提 | 買戻権の登記等があり、その権利者が滞納者であること | 滞納者の固有財産で徴収できず、譲渡担保権者へ告知したこと 有効な差押えが存在すること |
| 対象となる財産 | 買戻権 + 譲渡担保財産(束ねて一体) | 譲渡担保財産(滞納者名義でない財産) 差し押さえた財産一般 |
| 譲渡担保権者の防御 | 一括換価の要件不備、換価代金からの配当順位(129条) | 設定が法定納期限等以前であること、告知手続の瑕疵 換価の猶予(151条)、公売手続の適正性 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には譲渡担保財産からの徴収を正面から定めた条文がなく、租税保全(禁止処分・假扣押)と行政執行の一般規定で処理する。日本のような一括換価の明文はない
韓国は譲渡担保権者に物的納税義務を課す構成を採り、日本の24条と発想が近い。担保権者が納税義務の引受人的地位に立つ点で条文構造は異なる
ドイツも Sicherungsübereignung(譲渡担保)が広く使われ、租税債権については受忍義務の告知処分を通じて執行に及ぶ。買戻権との一括換価という明文の技術は置かれていない
連邦租税リーエンが納税者の全財産に及び、担保権者との優先関係は登録の先後(notice of federal tax lien)で決まる。名義移転型担保は nominee lien 等の法理で捕捉される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先に運転資金を貸し、担保として工場の機械一式を譲渡担保で押さえた。買戻特約の登記も済ませ、安心していた。ところが取引先が消費税を滞納し、税務署が24条3項で機械を差し押さえ、さらに25条1項であなたの買戻権ごと一括換価にかける。あなたの担保設定は無効ではないが、国税に順位で負ける可能性がある
- もし、あなたの手元にある不動産の仮登記が、実は滞納者の買戻権を保全するものだったとしたら? その仮登記自体が差押えの対象になり、あなたが持つ所有権と一緒に競売台に載せられる。仮登記は「まだ本登記じゃないから安全」ではない
- 税理士として顧問先の資金繰りを見ていたら、社長が「知り合いの会社に土地を買戻特約付きで売った」と言う。実質は借金の担保である。滞納が始まった瞬間、この構図は24条・25条の射程に入る。顧問として先に警告できるか
- 滞納処分の通知が届いてから告知書の記載を確認するまで、動ける時間は限られる。譲渡担保権者への告知(24条2項)が先行しているか、告知から差押えまでの期間要件が守られているか。手続の瑕疵を突く道は、期限を過ぎれば閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:譲渡担保権者として告知を受けた側の動き。1. 譲渡担保設定の日付と、滞納国税の法定納期限等の前後関係を契約書・登記簿で確定させる。設定が法定納期限等以前なら24条の適用範囲を争える余地がある2. 告知書・差押通知書の記載事項と送達日を保全する3. 一括換価に至った場合、換価代金の配当順位と自己の被担保債権額を主張する準備をする4. 国税専門の税理士または弁護士に、24条の要件充足を早期に検証させる
訴えられた側:滞納者側の動き。1. 譲渡担保財産まで手が及んだ段階は、通常の差押えより進行した局面だと認識する2. 納税の猶予(国税通則法46条)や換価の猶予(国税徴収法151条、151条の2)の申請要件を確認し、事業継続に不可欠な財産であることを疎明する3. 一括換価は担保権者を巻き込むため、担保権者と協調して分割納付案を提示する方が実務的に通りやすい4. 換価が不当に低廉と考えるなら、公売の手続的適正を検証する
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はない。ただし滞納処分に不服がある場合、税務署長等への再調査の請求または国税不服審判所への審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条)。国税の徴収権の消滅時効は法定納期限の翌日から5年(国税通則法72条)だが、督促・差押え等で更新される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
担保的構成(通説):譲渡担保について、所有権が終局的に移転するのではなく担保目的の限度で権利が移転すると解する立場。国税徴収法24条・25条が譲渡担保財産を実質的に滞納者の責任財産として捕捉する構造と親和的である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法の全部改正により現行法が成立し、譲渡担保財産からの徴収および買戻権の登記等がある場合の一括換価に関する規定が置かれた。
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