道路交通法 第66条の2(過労運転に係る車両の使用者に対する指示)
クイックジャンプ
- 車両の運転者が前条の規定に違反して過労により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転する行為(以下この条及び第七十五条の二第一項において「過労運転」という。)を当該車両の使用者(当該車両の運転者であるものを除く。以下この条において同じ。)の業務に関してした場合において、当該過労運転に係る車両の使用者が当該車両につき過労運転を防止するため必要な運行の管理を行つていると認められないときは、当該車両の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、当該車両の使用者に対し、過労運転が行われることのないよう運転者に指導し又は助言することその他過労運転を防止するため必要な措置をとることを指示することができる。
- 2.第二十二条の二第二項の規定は、前項の規定による指示について準用する。
この条文の基本情報
過労運転に係る車両の使用者に対する指示とは何ですか?
定義過労運転に係る車両の使用者に対する指示とは、道路交通法第66条の2に定められた規定で、「車両の運転者が前条の規定に違反して過労により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転する行為(以下この条及び第七十五条の二第一項において「過労運転」とい…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 道路交通法第66条の2(過労運転に係る車両の使用者に対する指示)は、日本の道路交通法に含まれる条文です。
- 道路交通法第66条の2の条文原文は「車両の運転者が前条の規定に違反して過労により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転する行為(以下この条及び第七十五条の二第一項において「過労運転」とい…」で始まります。
- 道路交通法第66条の2は第一節 運転者の義務に置かれています。
- 道路交通法の公布日は昭和35年6月25日です。
- 道路交通法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 道路交通法第66条の2の前の条は道路交通法第66条です。
- 道路交通法第66条の2の次の条は道路交通法第67条です。
- 道路交通法第66条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第66条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105 - 本サイト収録
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第66条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/335AC0000000105/66_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点道路交通法66条の2は、業務に関する過労運転があり使用者の運行管理が不十分と認められるとき、公安委員会が使用者に防止措置を指示できると定める。
Q · ドライバーが過労で事故を起こしたら、会社まで行政から名指しされるんですか?
はい、運転者ではなく会社が指示を受ける規定です
道路交通法66条の2は、運転者が使用者の業務に関して過労運転をし、かつ使用者が過労運転を防止するため必要な運行の管理を行っていると認められないとき、車両の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会が、使用者に対して運転者への指導・助言その他必要な措置をとるよう指示できると定めます。規制の名宛人は運転者本人ではなく使用者、つまり会社側です。この指示に従わない場合、次の段階として75条の2に基づく車両の使用制限命令が視野に入ります。
解説
深夜まで走らせ続けたトラックのドライバーが、疲労で正常な運転ができない状態でハンドルを握り、事故を起こす。世間はドライバー個人を責める。だが道路交通法66条の2が本当に狙いを定めているのは、その背後にいる会社の方だ。過労運転が「会社の業務に関して」行われ、かつ会社が過労運転を防ぐための必要な運行の管理を行っていたと認められないとき、車両の使用の本拠を管轄する公安委員会は、会社(使用者)に対して、ドライバーへの指導・助言その他の必要な措置をとるよう指示できる。ポイントは、責任がドライバー一人で止まらず、指揮命令の鎖をさかのぼって使用者まで届く構造だという点。あなたが運送業の経営者や運行管理者なら、「ドライバーが勝手にやった」は通用しない。しかもこの指示を無視すれば、次に控えているのは車両の使用制限(75条の2)、つまり事業の停止に近い打撃だ。
法的な位置づけ
道路交通法66条の2は、過労運転に係る車両の使用者に対する公安委員会の指示を定める規定である。運転者による過労運転が使用者の業務に関して行われ、かつ使用者が防止に必要な運行の管理を行っていると認められない場合に、公安委員会が使用者へ必要な措置を指示する権限を規律し、75条の2の使用制限命令の前段階として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.業務との関連性と運行管理の実態を洗い出す 過労運転が「使用者の業務に関して」行われたかを、配車指示・受注書・運行指示書から確認する。あわせて点呼記録、タコグラフ、拘束時間の実績を並べ、どこが不十分と評価されうるかを自社で先に特定する
- 2.公安委員会からの指示書の内容を精読する 指示書に記載された「不十分とされた運行管理」の具体的な指摘事項を項目ごとに分解する。66条の2第2項は22条の2第2項を準用しており、手続の形式面も確認しておく
- 3.改善基準告示に沿って拘束時間ルールを再設計する 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(厚生労働省告示)の最新版に沿って、拘束時間・休息期間・連続運転時間の社内ルールを文書化し、配車表に反映する。旧基準のまま組んだシフトは、それだけで管理不十分と評価されうる
- 4.改善措置を記録化し、使用制限命令への発展を止める 指導教育の実施記録、点呼の運用改善、健康管理体制の整備を日付入りで残し、公安委員会に説明できる形にまとめる。ここを放置すると75条の2の車両使用制限命令に直結する
よくある質問 AI による整理
Q1過労運転とは何ですか?
道路交通法66条が禁じる、過労により正常な運転ができないおそれがある状態での運転を指します。66条の2はこの過労運転を前提に、会社側の管理責任を問う規定です。
Q2公安委員会の指示は誰に届きますか?
運転者本人ではなく、その車両の使用者(運転者である場合を除く)に届きます。管轄は車両の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会です。
Q3運行管理者を選任していれば指示は避けられますか?
選任という形式だけでは足りません。点呼・拘束時間・健康管理が実際に機能していたかという実質が「必要な運行の管理」の判断対象になります。
Q4指示を受けたら何を準備すればいいですか?
点呼記録、運行記録計(タコグラフ)のデータ、勤務シフト表、健康診断結果、指導教育の実施記録を揃え、管理体制と改善措置を書面で説明できる状態にします。
Q5車両の使用制限命令とは何ですか?
75条の2に基づき、公安委員会が一定期間その車両を使用してはならないと命じる処分です。運送業では稼働車両が止まり、事業の停止に近い打撃になります。
Q6指示に不服がある場合はどうすればいいですか?
処分性が認められる限りで審査請求や取消訴訟が考えられますが、この指示の処分性は実務上解釈が分かれます。まず処分性の有無を弁護士に確認するのが起点です。
Q7自家用車の通勤でも66条の2は適用されますか?
鍵は「使用者の業務に関して」行われたかどうかです。純粋な私用運転は対象外ですが、業務のための移動であれば車両の名義にかかわらず射程に入りえます。
Q8トラック以外のバスやタクシーも対象ですか?
対象です。条文は「車両」と定めるだけで車種や事業区分を限定していません。旅客を運ぶバス・タクシーはむしろ安全要請が高く、行政の目も厳しくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちはドライバーと業務委託契約なんですが、それでも会社が指示を受けるんですか?
契約の名目が『委託』でも、実態として時間・場所・方法を指揮監督していれば『使用者』と評価され、66条の2の指示対象になりえます。名目より実態が優先されます。実務のポイント:軽貨物やギグ配送で『個人事業主だから会社は無関係』と説明されがちですが、行政も裁判所も実態で判断します。委託契約書に『指揮監督しない』と書いても、日々の細かい指示履歴が残っていれば覆る
Q2指示を無視したら罰則はあるんですか?
66条の2の指示自体に直接の刑事罰は定められていませんが、無視すれば公安委員会は75条の2に基づき車両の使用制限を命じることができます。使用制限は事業の停止に近い打撃です。実務のポイント:多くの経営者は『指示=ただの注意』と軽視しますが、指示は使用制限命令の法的な前段階として設計されています。指示を受けた記録は、その後に事故が起きたときの使用者責任(民法715条)でも『予見可能だった』証拠として効いてくる
Q3改善基準告示って何ですか?守っていれば指示は来ませんか?
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(厚生労働省告示)で、拘束時間や休息期間の上限を定めます。これに沿った運行管理をしていれば『必要な運行の管理を行っていた』と主張しやすくなります。実務のポイント:改善基準告示は2024年4月に改正され、拘束時間の上限が厳しくなりました。古い基準のまま組んだシフトは、それだけで運行管理が不十分と評価されうる(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「運転したのはドライバー本人だから会社は関係ない」と考える経営者は多い。だが66条の2は最初から使用者(会社)を規制対象に据えている。問われているのは誰が運転したかではなく、会社が過労運転を防ぐ運行管理をしていたかだ。立てている問いそのものがずれている
- 指示が来ても『ただの行政指導だろう』と軽く見る人がいる。その深刻さを知らない。66条の2の指示は、従わなければ75条の2の使用制限命令へつながる正式な一手であり、さらに過労事故が起きれば民事の使用者責任・刑事・労災のすべてで『会社は指示を受けていた』という決定的な事実として突きつけられる
- あなたから見れば『たまたま一人のドライバーが無理をした』一件の事故でも、公安委員会から見れば『運行管理の欠陥が露呈した会社』というラベルが貼られる。この視点の落差が、あなたの対応を後手に回らせる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制の名宛人 | 66条の2:車両の使用者(会社側、運転者本人を除く) | 66条:運転者本人(過労運転そのものの禁止) 75条の2:車両の使用者(使用制限命令の相手方) |
| 発動要件 | 業務関連性 + 必要な運行の管理を行っていると認められないこと | 過労により正常な運転ができないおそれがある状態での運転 66条の2等の指示に従わないこと等 |
| 効果の重さ | 指導・助言その他必要な措置をとるべき旨の指示(是正促進型) | 運転者に対する取締り・処罰の対象 車両の使用制限(事業の稼働そのものが止まる) |
| 実務上の位置づけ | 段階的規制の第一手。ここで動けば次の段階を止められる | 現場での違反行為そのもの 指示を無視した場合の最終手段 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は連続運転時間の上限を規則で定め、運転者の運転禁止事由として構成する。運輸業者側の運行管理義務は業法で規律し、日本のように道路交通法本体で使用者への指示権を置く構造とは異なる
韓国も過労時の運転禁止を道路交通法に置き、事業者の運行管理義務は貨物自動車運輸事業法など業法側で担保する二層構造をとる
ドイツは EU 規則により運転時間・休息時間を直接規律し、事業者に組織義務と記録義務を課す。違反は事業者に対する過料の対象となり、行政指示より制裁色が強い
米国は連邦規則で運転時間の上限と電子記録装置の装着を義務づけ、運送事業者の安全格付けを通じて運行停止まで踏み込む。段階的な指示ではなく、格付けと監査で管理する設計
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが小さな運送会社を営んでいて、人手不足からドライバー一人に連日長距離を任せていた。ある夜、そのドライバーが居眠りで追突事故を起こす。数週間後、公安委員会から一通の指示書が届く。「運行管理が不十分」と。あなた自身が運転したわけではないのに、会社が名指しされる
- もし、あなたが軽貨物の個人事業主に配送を委託していて、その人が過労状態で事故を起こしたら? 「委託だから雇用関係はない」で逃げ切れるか。答えは、実態として業務の指揮監督があれば『使用者』と評価されうる、だ。契約書の名目より、日々の指示の実態が見られる
- あなたは会社から連日の無理なシフトを命じられているドライバーだ。断れば干される空気がある。この条文が規制対象にしているのは、その圧力をかけている会社側だ
- 公安委員会から指示を受けた。不服があるなら審査請求できる期間はおおむね3か月。放置して従わなければ、次は車両の使用制限命令が視野に入り、事業の根幹が止まる。残された時間で運行記録を整え、改善を証明できるかが勝負になる
- 観光バス会社で、繁忙期にドライバーを長時間走らせていた。乗客の安全に直結するため公安委員会の目は厳しい。そして指示を受けた履歴は、次に事故が起きたときの使用者責任(民法715条)の判断にも影を落とす
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが会社から過労運転を強いられているドライバーなら、まずタコグラフ・シフト表・点呼記録・LINE の指示をスクショで保全2. 公安委員会・警察・労基署に相談や通報ができる。66条の2は会社を規制対象にしており、あなたの記録が指示発動の材料になる3. 事故前でも、安全配慮義務違反(労働契約法5条)として会社に改善を求められる4. 過労で健康を害したら労災申請も検討する
訴えられた側:1. 指示書が届いたら、記載された『不十分とされた運行管理』の具体を確認し、点呼・拘束時間・健康管理の記録を集める2. 内容に不服があれば、処分性が認められる限りで審査請求や取消訴訟を検討。ただし処分性は実務上、解釈が分かれるため専門家に確認する3. 争うより改善が現実的なら、改善基準告示に沿った運行管理体制を整え記録で証明4. 放置は75条の2の使用制限命令に直結するので最優先で動く
時効(請求できる期限):指示に処分性が認められる場合、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内、取消訴訟は6か月以内(行政不服審査法18条、行政事件訴訟法14条)。ただし66条の2の指示に処分性が認められるかは実務上、解釈が分かれるため、まず処分性の有無を確認することが起点になる
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める