要点道路交通法75条の25は、公安委員会が特定自動運行実施者に報告徴収・立入検査・質問を行う権限を定める。ただしこの検査権限は犯罪捜査のために認められたものではない。
Q · 自動運転の会社に警察が「立入検査です」と来たら、全部見せるしかないんですか?
行政調査なので令状は不要。ただし応じる範囲には限度があります。
道路交通法75条の25により、公安委員会は特定自動運行実施者に報告や資料提出を求め、警察職員に事務所への立入検査や関係者への質問をさせることができます。ただし範囲は「この章の規定の施行に必要な限度」に限られ、立ち入る職員は身分を示す証票を携帯・提示する義務を負います(2項)。さらに3項は、この立入検査の権限を犯罪捜査のために認められたものと解してはならないと明示しており、令状に基づく家宅捜索とは性質が異なります。
自動運転レベル4のバスや無人配送ロボットを運行する会社の事務所に、ある朝、警察職員が『立入検査です』と現れる。多くの経営者はここで固まり、言われるまま帳簿を全部開いてしまう。だが道路交通法75条の25を読んでいれば、あなたは三つの盾を握っている。第一、来た職員は身分証(証票)を携帯し提示する義務がある(2項)。提示がなければ、あなたはその場で求めてよい。第二、この検査は『犯罪捜査のために認められたものと解してはならない』(3項)。つまりこれは行政調査であって家宅捜索ではない。令状が不要な代わりに、見せた帳簿を理由にいきなり手錠、という筋のものでもない。第三、公安委員会が求められるのは『この章の規定の施行に必要な限度』まで。何でも無限に出せ、ではない。報告、資料提出、立入、帳簿検査、関係者への質問、この列挙された枠の外の要求は、拒む正当な根拠になる。
道路交通法第75条の25は、特定自動運行に関する行政上の監督手段を定める規定である。公安委員会は、同章の規定の施行に必要な限度において、特定自動運行実施者に報告または資料の提出を求め、警察職員に事務所への立入り、帳簿書類等の検査、関係者への質問をさせることができる。警察職員には証票の提示義務があり、当該権限は犯罪捜査のためのものではない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
運転者が乗車しない状態で自動運行装置により走行させる、いわゆるレベル4の運行形態です。道路交通法第四章の三で許可制が設けられ、許可を受けた者が特定自動運行実施者となります。
特定自動運行実施者です。検査場所は許可申請で示した場所(75条の12第2項第2号ハの場所)その他の事務所で、帳簿・書類その他の物件の検査と関係者への質問が対象となります。
条文上、事前通知は要件とされていません。無予告で行われる場合もあります。だからこそ、証票の確認と検査範囲の線引きという初動の手順を平時から決めておくことが実務上重要になります。
「この章の規定の施行に必要な限度」までです。特定自動運行の許可条件の遵守状況に関する帳簿・書類は対象ですが、無関係な取引先情報や従業員の私的情報まで無限定に及ぶものではありません。
特定自動運行に関する報告または資料の提出です(1項)。運行状況や許可条件の遵守に関する事項が典型で、提出期限は個別の通知で指定されます。範囲が広すぎる場合は理由を付して絞る交渉が可能です。
検査は許可条件の遵守を確認する手段であり、違反が判明すれば指示や許可の取消し等の監督処分につながりえます。処分性が認められる処分には行政不服審査法による審査請求の道があります。
あります。証票の携帯・提示(2項)を欠く立入り、「施行に必要な限度」を超える要求、実質的に犯罪捜査を目的とする検査(3項違反)は、権限の枠外として争う余地があります。
最高裁大法廷昭和47年11月22日判決のことです。行政調査における質問検査権と憲法35条の令状主義・38条の自己負罪拒否特権の関係について判断枠組みを示した、行政調査の基本判例です。
この立入検査は行政調査なので、そもそも令状は不要です(3項が犯罪捜査ではないと明言)。あなたが求められるのは令状ではなく『証票』の提示(2項)。逆に相手が令状を持って現れたら、それは行政調査ではなく刑事の捜索・差押えで、性質が全く違います。業界裏話ヒント:現場で『これは75条の25の行政調査ですか、刑事の捜索ですか』と一言確認するだけで、その後の対応方針も黙秘権が使えるかも変わる。どちらの帽子をかぶって来たかを最初に確定させるのがプロの初動です
3項は『犯罪捜査のために認められたものと解してはならない』と定め、建前上は行政調査と刑事捜査を分けています。ただし実務では、行政調査で適法に得た資料の刑事利用の可否は解釈が分かれており、一律に使えないとは言い切れません。業界裏話ヒント:川崎民商事件(最大判昭和47.11.22)以来、行政調査に令状主義・黙秘権がどこまで及ぶかは論点であり続けている。微妙な資料を出す前に『これが刑事に回る可能性は』と一拍置ける事業者と、言われるまま全部出す事業者では、結末が違ってくる
正当な理由のない検査拒否・妨害は道路交通法の罰則の対象になりえます(具体的な法定刑は最新の改正状況をご確認ください)。ただし『この章の施行に必要な限度』を超える要求部分の拒否は、そもそも適法な検査への拒否にはあたりません。業界裏話ヒント:全面拒否は危険だが、日程調整の申し入れや範囲の限定は『拒否・妨害』とは別物。全部飲むか全部拒むかの二択で考えている事業者ほど、不利な検査を丸ごと受け入れてしまう
公安委員会が他の官庁や公共団体に問い合わせて情報を集められる権限です(4項)。あなたの会社の許可審査や監督にあたって、役所同士があなたの情報を突き合わせている可能性があります。業界裏話ヒント:この照会は相手方である事業者に通知されないまま進むことが多い。どんな照会がなされたかは、個人情報保護制度の開示請求で後から確認できる場合がある。自分の与り知らぬ情報連携が気になるなら、開示請求という手が残っている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 75条の25:監督のための報告徴収・立入検査・質問・照会 | — |
| 発動の場面 | この章の規定の施行に必要な限度で、平時にも実施可能 | — |
| 事業者への効果 | 情報提出・立入受忍の負担(枠外要求は拒む余地あり) | — |
| 刑事手続との関係 | 3項により犯罪捜査のためのものと解してはならない | — |
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