商業登記法 第30条(商号の譲渡又は相続の登記)
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- 商号の譲渡による変更の登記は、譲受人の申請によつてする。
- 2.前項の登記の申請書には、譲渡人の承諾書及び商法第十五条第一項の規定に該当することを証する書面を添付しなければならない。
- 3.商号の相続による変更の登記を申請するには、申請書に相続を証する書面を添付しなければならない。
この条文の基本情報
商号の譲渡又は相続の登記とは何ですか?
定義商号の譲渡又は相続の登記とは、商業登記法第30条に定められた規定で、「商号の譲渡による変更の登記は、譲受人の申請によつてする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第30条(商号の譲渡又は相続の登記)は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第30条の条文原文は「商号の譲渡による変更の登記は、譲受人の申請によつてする。」で始まります。
- 商業登記法第30条は第二節 商号の登記に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第30条の前の条は商業登記法第29条です。
- 商業登記法第30条の次の条は商業登記法第31条です。
- 商業登記法第30条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第30条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第30条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/30
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法30条は、商号譲渡による変更の登記を譲受人の単独申請とし、譲渡人の承諾書と商法15条1項該当性を証する書面の添付を求める規定である。
Q · 居抜きで店を買って屋号もそのまま使いたい。商号の登記はどうすればいいの?
屋号だけの売買は登記できません。営業ごとか、相手の廃業が必要です。
商業登記法30条1項により、商号の譲渡による変更の登記は譲受人が単独で申請します。ただし2項が、譲渡人の承諾書と、商法15条1項に該当することを証する書面の添付を要求します。商法15条1項は商号の譲渡を「営業とともにする場合」または「営業を廃止する場合」に限るため、屋号だけを切り離した売買は登記できません。相続の場合は3項により、相続を証する書面だけで足ります。
解説
町の老舗そば屋を居抜きで買い取り、屋号もそのまま使う。その瞬間、あなたは商業登記法30条の当事者になる。1項は、商号の譲渡による変更の登記を譲受人だけの申請で行うと定める。不動産の名義変更のように売主と買主が揃う必要はない。その代わり2項が二枚の紙を要求する。譲渡人の承諾書と、商法15条1項に該当することを証する書面だ。後者が実務の関門である。商法15条1項は商号の譲渡を「営業とともにする場合」か「営業を廃止する場合」に限っている。屋号だけを切り離して売買する契約は、当事者が心から合意していても登記できない。3項の相続はまったく別の顔をしている。包括承継なので営業とセットかを問われず、相続を証する書面だけで足りる。買うのか、継ぐのか。同じ屋号の承継でも、要求される紙と自由度がまるで違う。
法的な位置づけ
商業登記法30条は、商号の承継に伴う変更の登記について申請人と添付書面を定める手続規定である。譲渡の場合は譲受人の単独申請とし、譲渡人の承諾書および商法15条1項該当性を証する書面の添付を要求する。相続の場合は相続を証する書面の添付をもって足りる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.譲渡の型を先に決める 商号を動かす前に「営業とともに譲渡する」のか「譲渡人が営業を廃止する」のかを確定させる。商法15条1項はこの二択しか認めていないため、屋号だけを切り離す設計にした時点で登記は通らない
- 2.契約書に添付書面の交付義務を書き込む 売買契約書の本文に「営業とともに商号を譲渡する」または「譲渡人は本件営業を廃止する」と明記し、譲渡人の承諾書および廃業の事実を証する書面の交付義務まで条項化する。決済後に作らせようとすると譲渡人は動かない
- 3.決済と引き換えに承諾書を受領する 代金決済の場で、押印済みの譲渡人の承諾書と商法15条1項該当性を証する書面を受け取る。書面が揃わないうちに残代金を支払わない建て付けにしておく
- 4.譲受人が単独で変更の登記を申請する 商号譲渡による変更の登記を、譲受人の単独申請で営業所所在地を管轄する登記所に提出する(商業登記法30条1項・2項)。相続の場合は相続を証する書面を添付して3項で申請する
- 5.同じ日に免責の登記を申請する 屋号を続用するなら、商号譲渡の登記と同日付で免責の登記(商業登記法31条)を申請する。商法17条2項の「遅滞なく」は事後に思い出してからでは間に合わない
- 6.旧屋号あての請求に備えて記録を残す 取引先やSNSでの屋号引継ぎの公表は、免責の登記の後に行う。旧屋号あての請求書が届いたら、免責登記の有無と登記日を確認してから回答する
よくある質問 AI による整理
Q1商号の譲渡とは何ですか?
商法15条1項が定める商号(屋号)そのものの移転です。営業とともにする場合か営業を廃止する場合に限られ、その登記手続を商業登記法30条1項・2項が定めています。
Q2商号譲渡の登記は誰が申請しますか?
譲受人が単独で申請します(商業登記法30条1項)。譲渡人と共同申請する必要はありませんが、その代わり2項で譲渡人の承諾書の添付が求められます。
Q3商号譲渡の登記に必要な書類は?
譲渡人の承諾書と、商法15条1項に該当すること(営業とともにする譲渡または営業の廃止)を証する書面です。相続による変更の登記では相続を証する書面になります。
Q4商号の相続による変更の登記はどうしますか?
相続を証する書面を添付して申請します(商業登記法30条3項)。包括承継なので営業とセットかを問われず、譲渡人の承諾書も不要で、添付書面の負担は譲渡より軽くなります。
Q5商号譲渡の登記に期限はありますか?
個人商人の商号登記は任意であり、本条に法定の申請期限はありません。ただし商号の譲渡は登記しなければ第三者に対抗できず(商法15条2項)、先行登記や二重譲渡に負けます。
Q6会社の商号も商業登記法30条で譲渡できますか?
できません。会社の商号は定款記載事項であるため、譲渡会社側の商号変更登記と譲受会社側の商号変更登記を並べる二段構えの手続になります。
Q7商号を譲り受けた後、登記しないとどうなりますか?
商法15条2項により第三者に対抗できません。登記簿上は譲渡人が商号使用者として残り、同一所在場所における同一商号の登記の禁止(商業登記法27条)との衝突も起こります。
Q8営業を廃止する場合の商号譲渡はどう証明しますか?
譲渡人が営業を廃止した事実を明らかにする書面を添付します。契約書に廃業条項と証明書類の交付義務を盛り込み、代金決済と引き換えに受領しておくのが実務の型です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1屋号だけ買いたいんですけど、お金さえ払えばいけますよね?
いけない。商法15条1項が商号の譲渡を営業とともにする場合か営業を廃止する場合に限っており、本条2項はその該当性を証する書面の添付を求める。実務のポイント:抜け道は「営業を廃止する場合」ルートである。相手が同種の営業をやめる決断をしてくれるなら、屋号だけを動かせる。交渉の論点は値段ではなく、相手の廃業の意思とその証明方法をどう作るかに移る
Q2店ごと買ったら前の店主の借金まで背負うって本当ですか?
屋号を続けて使う限り本当である。商法17条1項により、譲受人は譲渡人の営業上の債務について弁済責任を負う。免れるには譲渡後遅滞なく免責の登記(商業登記法31条)を入れるか、譲渡人と連名で債権者に通知する。実務のポイント:「遅滞なく」は事後に思い出してからでは間に合わない。実務では譲渡日に商号譲渡と免責の登記を同じ日付で申請する
Q3親が亡くなって店を継ぎました。商号の登記はそのままでも平気ですか?
個人商人の商号登記は任意なので放置しても直ちに過料はない。ただし登記簿上の商号使用者が亡くなった親のまま残り、同じ営業所で同じ商号を使いたい第三者から登記の抹消を申請される余地がある(商業登記法33条)。実務のポイント:相続では商法17条の代わりに相続そのもので債務を承継する。しかも屋号を掲げて営業を続ける行為が法定単純承認(民法921条1号)と評価されうるので、負債が読めないうちは3か月の熟慮期間を先に確保する
間違えやすい点 AI による整理
- 「屋号だけ買えますか、いくらなら売ってくれますか」という問いの立て方そのものが法の枠の外にある。商法15条1項は商号と営業の分離を認めていないので、答えを決めるのは値段でも交渉力でもなく、営業も一緒に動かすか、相手が営業をやめるか、この二択のどちらを選ぶかだけである
- 譲受人の単独申請でよい点は知られているが、その手軽さの代償が2項の添付書面であることに気付いていない人が多い。譲渡人の承諾書は相手の任意の協力がなければ一枚も出てこない。代金を全額払い終えた後の譲渡人ほど、押印のために動いてくれない
- あなたから見れば「先代の店を継いだ」という一つの出来事でも、登記から見れば譲渡(1項・2項)か相続(3項)かで別世界になる。生前に屋号を譲り受ければ商法15条1項の壁があり、死後に相続すれば相続を証する書面だけで通る。承継の時期をいつにするかが、そのまま手続の難易度になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 申請人 | 商業登記法30条:譲受人の単独申請(相続の場合は承継人) | 商業登記法29条:商号の登記をした本人が変更・廃止を申請 商業登記法31条:営業を譲り受けた譲受人が免責の登記を申請 |
| 主な添付書面 | 譲渡人の承諾書+商法15条1項該当性を証する書面(相続は相続を証する書面) | 変更・廃止の事実に対応する書面 譲渡人の承諾書 |
| 実体法上の根拠 | 商法15条(商号譲渡の制限と対抗要件) | 商法11条(商号の選定と登記) 商法17条2項(商号続用者の免責) |
| 登記しなかったときの不利益 | 商号の譲渡を第三者に対抗できない(商法15条2項) | 登記簿上の商号使用者と実体が食い違ったまま残る 商号続用者として譲渡人の営業債務を弁済する責任を負う(商法17条1項) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では独資・パートナーシップの商業名称の変更登記を商業登記法が規律し、営業の概括承受は民法305条が資産負債の承継を定める。名称と営業の一体性を実体法で明文制限する日本型の構造とは条文配置が異なる(詳細は原典確認を要する)
韓国商法25条は「商号は営業を廃止するかまたは営業とともにする場合に限り譲渡できる」と定め、日本の商法15条1項とほぼ同一の要件を採る。登記手続は商業登記法が担い、二層構造も共通する
ドイツ商法23条は営業なしに商号を譲渡できないと明文で定め、22条は営業取得者による商号続用を承諾を条件に認める。日本の商法15条1項と商業登記法30条2項の組み合わせは、この構造の系譜に位置づけられる
米国には商号と営業の一体性を全国一律に強制する制定法はなく、名称の保護は主として商標法と不正競争法(passing off)が担う。州の DBA 登録は公示制度であって譲渡制限の関門ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 開店予定日まであと3週間。居抜きで買った定食屋の屋号をそのまま使うつもりで商号譲渡の変更登記を出したら、「商法15条1項に該当することを証する書面がない」と補正を求められたら、どうする? 譲渡人がすでに転居して連絡がつかなければ、看板と広告の屋号を刷り直す方が早いという判断すらありうる。承諾書は代金決済と同時に取るしかない性質の紙である
- あなたが売る側になったとき。買主から「ここに押印を」と渡された承諾書は、自分の営業廃止を証する書面とセットで登記所に出される。営業を続けながら屋号だけ売る約束をしていたなら、その登記は通らない
- 父が営んでいた工務店の屋号を継ぐ。相続人が3人いて、誰が屋号を使うかで話がまとまらない。商号は財産権なので遺産分割の対象になり、その協議書こそが3項の「相続を証する書面」の中身になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約書に「営業とともに譲渡する」か「譲渡人は営業を廃止する」かを明記させ、廃業を証する書類の交付義務まで条項に入れる2. 代金決済と引き換えに譲渡人の承諾書(押印済み)を受領する。決済後は協力を得られない前提で組む3. 譲渡日に商号譲渡の変更登記と、必要なら免責の登記(商業登記法31条)を同時に申請する4. 旧屋号あての請求書が届いたら、まず免責登記の有無と登記日を確認してから返事をする
訴えられた側:1. 営業を続けながら屋号だけ売る合意は登記できない。契約段階で営業一括譲渡か営業廃止かを確定させる2. 承諾書は代金全額の受領と引き換えに渡す。先渡しは避ける3. 譲渡後もあなた自身の営業債務は消えない。譲受人が屋号を続用すると債権者は双方に請求でき、譲渡人の責任は譲渡から2年で消滅する(商法17条3項) 4. 商号を譲渡したのに登記が入らないままだと、登記簿上はあなたが商号使用者として残り続ける
時効(請求できる期限):本条の変更登記自体に法定の申請期限はない(個人商人の商号登記は任意、商法11条2項)。ただし商号の譲渡は登記しなければ第三者に対抗できず(商法15条2項)、同一商号の先行登記や二重譲渡に負ける。免責の登記は営業譲渡後「遅滞なく」(商法17条2項)、譲渡人の弁済責任は譲渡から2年で消滅(同条3項)。相続の場合、放棄・限定承認は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(民法915条)
学説
通説:商業登記法30条2項の添付書面は、実体法である商法15条1項の譲渡制限を登記手続の側から担保するものと解される。したがって登記官の審査は形式的審査にとどまるが、該当性を証する書面を欠く申請は却下または補正の対象となる
通説:商号の相続については、包括承継であるため商法15条1項の営業一体性の要件は問題とならず、30条3項が相続を証する書面のみを要求している。生前の譲渡と死亡による相続とで、同じ屋号の承継でも手続の難易度が大きく異なる理由である
改正沿革 AI による整理
- 平成17年(2005年)会社法制定に伴う整備(要検証) 会社法制定と商法総則の再編により、2項が引用する商号譲渡の制限規定が旧商法の条番号から現行の商法15条1項へ改められたと解されるが、改正年次と改正前の引用条番号は原典での確認が必要である
改正の年表
- 1.昭和38年(1963年) 新設:商業登記に関する手続規定を商法および非訟事件手続法から分離し、商業登記法(昭和38年法律第125号)として制定。商号の譲渡・相続による変更の登記の申請人と添付書面が本条に置かれた
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定と商法総則の再編に伴う整備により、本条2項が引用する商号譲渡の制限規定が現行の商法15条1項を指すものとなったと解される。改正年次および改正前の引用条番号は原典での確認を要する
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