商業登記法 第43条(会社以外の商人の支配人の登記)
クイックジャンプ
- 商人(会社を除く。以下この項において同じ。)の支配人の登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。
- 一支配人の氏名及び住所
- 二商人の氏名及び住所
- 三商人が数個の商号を使用して数種の営業をするときは、支配人が代理すべき営業及びその使用すべき商号
- 四支配人を置いた営業所
- 2.第二十九条の規定は、前項の登記について準用する。
この条文の基本情報
会社以外の商人の支配人の登記とは何ですか?
定義会社以外の商人の支配人の登記とは、商業登記法第43条に定められた規定で、「商人(会社を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第43条(会社以外の商人の支配人の登記)は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第43条の条文原文は「商人(会社を除く。」で始まります。
- 商業登記法第43条は第四節 支配人の登記に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第43条の前の条は商業登記法第42条です。
- 商業登記法第43条の次の条は商業登記法第44条です。
- 商業登記法第43条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第43条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第43条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/43
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法43条は、個人商人の支配人の登記事項を、支配人と商人の氏名・住所、代理すべき営業と商号、営業所の四つに限定する。代理権の範囲は登記事項ではない。
Q · 個人事業主が店長を支配人として登記するとき、登記簿には何が載るんですか?
登記事項は四つだけ。代理権の範囲は登記できません
商業登記法43条1項により、個人商人の支配人の登記事項は、支配人の氏名及び住所、商人の氏名及び住所、数個の商号で数種の営業をする場合の代理すべき営業及び商号、支配人を置いた営業所の四つに限られます。代理権の範囲や金額上限は登記事項ではなく、内部で加えた制限は善意の第三者に対抗できません(商法21条3項)。解任した場合も、代理権消滅の登記をするまでは消滅を善意の第三者に対抗できません(商法9条1項)。
解説
会社ではない商人、つまり個人事業主にも支配人を置く制度がある。商業登記法43条1項は、その登記で世間に見せる情報を四つに限定した。支配人の氏名と住所、商人の氏名と住所、複数の商号で複数の営業をしているならどの営業のどの商号を代理するか、そして支配人を置いた営業所。注目すべきは、書かれていないものだ。代理権の範囲も、決裁できる金額の上限も、登記事項に一つもない。支配人の代理権は営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為に及び、制限を加えても善意の第三者には対抗できない(商法21条3項)。登記簿は「この人に何ができないか」を書く場所ではなく、置いた瞬間にその営業所の全権を渡したと公示する装置である。そして2項が商号の登記に関する29条を準用する。渡した権限を切ったときの後始末まで、この一条が射程に収めている。
法的な位置づけ
商業登記法43条は、会社を除く商人(個人商人)の支配人に関する登記事項を定める規定である。登記事項は支配人及び商人の氏名・住所、数個の商号で数種の営業を営む場合に代理すべき営業と商号、支配人を置いた営業所の四項目に限定され、代理権の範囲や内部的制限は登記事項に含まれない。2項は変更等の登記手続に関する29条を準用する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.任せる営業の範囲と商号を先に確定する 複数の屋号で複数の営業を回している場合、どの営業のどの商号を代理させるかを申請前に確定する。43条1項3号はこの特定を登記事項としており、対外的に代理範囲を絞れる唯一の手段になる
- 2.四つの登記事項を書き出して漏れを潰す 支配人の氏名及び住所、商人の氏名及び住所、代理すべき営業及び商号、支配人を置いた営業所。この四項目を住民票等の記載どおりに書き出す。代理権の範囲や決裁金額は登記事項ではないため申請書に書いても登記されない
- 3.営業所所在地の管轄法務局へ選任の登記を申請する 支配人を置いた営業所の所在地を管轄する法務局に、支配人選任の登記を申請する。支配人は登記所に印鑑を提出でき、支配人名義の印鑑証明書を取得できるため、印鑑届の要否を同時に判断する
- 4.住所・商号・営業所が変わったら変更の登記を出す 43条2項が準用する29条により、登記事項に変更が生じたときは変更の登記を申請する。営業所の移転や支配人の住所変更を放置すると、登記簿の記載と実態が食い違い、証明書を取った取引相手の信頼を裏切る
- 5.解任日と代理権消滅の登記申請日を同じ日に揃える 解任を告げる日に代理権消滅の登記を申請する。数日でも空けると、その空白期間に元支配人が結んだ契約について、商法9条1項により消滅を善意の第三者に対抗できない。退職合意書と同じ束に申請書を入れて運用する
よくある質問 AI による整理
Q1支配人の登記とは何ですか?
商人が営業所の営業を任せる支配人を選任した事実を、登記簿で公示する制度です。商業登記法43条が個人商人の登記事項を四つに限定して定めています。
Q2個人事業主でも支配人を登記できますか?
できます。43条1項は「商人(会社を除く。)」を対象とし、個人商人専用の規定です。登記所には支配人登記簿という帳簿が現に置かれています。
Q3支配人の登記はどこに申請しますか?
支配人を置いた営業所の所在地を管轄する法務局・地方法務局に申請します。営業所は43条1項4号の登記事項でもあるため、所在地の特定が前提になります。
Q4支配人の登記に代理権の範囲は書けますか?
書けません。43条1項の登記事項に代理権の範囲は含まれません。対外的に絞れるのは1項3号の「代理すべき営業及びその商号」という単位だけです。
Q5支配人を解任したのに登記を消し忘れたらどうなりますか?
商法9条1項により、代理権消滅の登記をするまでは消滅を善意の第三者に対抗できません。元支配人が結んだ契約の効果が商人本人に帰属し続けます。
Q6表見支配人とは何ですか?登記との関係は?
本店・支店の営業の主任者らしい名称を付した使用人は、登記の有無と無関係に支配人と同一の権限があるものとみなされます(商法24条)。未登記でも責任は生じます。
Q7商業登記法43条と44条は何が違いますか?
43条は会社を除く商人(個人商人)の支配人の登記、44条は会社の支配人の登記です。会社の場合は会社の登記簿に記録され、支配人登記簿は用いません。
Q8商業登記法43条2項の「29条を準用」とは何ですか?
商号の登記に関する29条の手続を支配人の登記にも当てはめる趣旨で、登記事項の変更や消滅が生じたときの変更・消滅の登記手続の根拠になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1個人でやってる店なんですが、店長を支配人として登記するメリットって何かあるんですか?
契約のたびに事業主本人が出ていく必要がなくなる点が最大の実益です。支配人は営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為ができ(商法21条1項)、43条の登記でその権限が公示されるため、相手方は権限確認の作業を省けます。実務のポイント:支配人は登記所に印鑑を提出でき、支配人名義の印鑑証明書を取得できる。事業主が入院や長期不在で動けない期間も営業を止めない、という理由で登記する個人商人が実在する(最新の取扱いをご確認ください)
Q2支配人を辞めさせたら、いつまでに登記すればいいんですか?
個人商人には会社法915条のような二週間の明文期限はありません。ただし商法22条が代理権消滅の登記を義務付け、登記するまでは商法9条1項により消滅を善意の第三者に対抗できません。実務のポイント:司法書士が真っ先に確認するのは解任日ではなく登記完了日です。争いになったとき効くのは「いつ辞めさせたか」ではなく「いつ登記されたか」で、解任合意書より登記の受付日のほうが強い証拠になる
Q3登記した支配人に「契約は300万円まで」と社内で決めておけば安心ですよね?
安心できません。支配人の代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗できず(商法21条3項)、上限を超えた契約も相手が事情を知らなければ有効に成立します。43条1項の登記事項にも代理権の範囲は入っていません。実務のポイント:実務では金額で縛る代わりに、43条1項3号を使って代理させる営業と商号そのものを限定します。金額ではなく営業の単位で区切る、それがこの制度の中で唯一対外的に機能する絞り方です
間違えやすい点 AI による整理
- 「うちは会社じゃないから商業登記は関係ない」という前提そのものが誤っている。43条1項の冒頭は「商人(会社を除く。)」であり、この条文は会社ではない個人商人のためだけに書かれている。会社の支配人は44条、個人商人の支配人は43条。登記所には支配人登記簿という帳簿が現に存在する
- 支配人の権限に社内で制限をかけられること自体は、多くの事業主が知っている。だがその制限が善意の第三者に対抗できないという事実の深刻さは、たいてい過小評価されている(商法21条3項)。「500万円以上は本人決裁」と内規に書いても、支配人が3,000万円の契約を結び、相手がその内規を知らなければ契約は有効に成立する。内規は懲戒の理由にはなるが、対外的な防波堤にはならない
- 登記していないのだから支配人ではない、とあなたは考える。法律の側から見ると話が逆で、「支店長」「店長」「営業所長」のような営業の主任者らしい名称を与えた時点で、登記の有無と関係なく表見支配人(商法24条)としての責任を負いうる。登記を避けることは責任を避けることではない。この落差が、名刺の肩書を軽く考えた事業主を潰す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる商人 | 43条:会社を除く商人(個人商人)の支配人 | 44条:会社の支配人 28条:個人商人の商号そのものの登記 |
| 登記事項の中身 | 支配人・商人の氏名及び住所、代理すべき営業及び商号、支配人を置いた営業所の四つ | 会社の登記簿に支配人の氏名・住所と営業所等を記録 商号、営業の種類、営業所、商号使用者の氏名及び住所等 |
| 記録される帳簿 | 支配人登記簿(商業登記法6条が定める帳簿の一つ) | 当該会社の会社登記簿 商号登記簿 |
| 変更・消滅の手続根拠 | 2項が29条を準用 | 会社の登記手続の一般規定による 29条が直接適用される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は経理人の権限を民法で定め、商業登記制度と組み合わせて公示する。包括的代理権を前提とする点は日本の支配人と同じ発想に立つ
韓国は日本商法を経由してドイツ法の構造を継受しており、支配人の包括的代理権と制限の対抗不能という枠組みが日本とほぼ同型である
Prokura は商業登記簿への登記により公示され、代理権の内部的制限は第三者に対抗できない。日本の支配人制度の直接的な母法にあたる
米国は支配人を登記する制度を持たず、actual authority と apparent authority の判断で個別に処理する。登記簿を見れば権限が確定するという取引上の便宜は存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 解任した店長の登記を消し忘れたまま二か月が過ぎたら、何が起きるか? 元店長が仕入先と結んだ継続取引契約について、あなたは「もう支配人ではない」と言って支払いを断れない。商法9条1項の消極的公示力は、登記を怠った側を一切守らない。相手が解任を知らなかった限り、契約はあなたの店の契約として生きる
- 取引先の担当者として、あなたが相手方の登記事項証明書を取ったとする。支配人の登記があれば、その人物の署名一つで契約は成立する。決裁権限を疑わなくてよい、それが登記の価値だ
- 複数の屋号で飲食店と物販を回している個人事業主のあなたが、飲食側だけを人に任せたい。43条1項3号を使えば、代理させる営業とその商号を登記で特定できる。逆にここを詰めずに申請すると、任せたつもりのない物販側にまで権限が及ぶと読まれる余地が残る。開店まであと三週間、内装より先に申請書のこの一行を確認する必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:登記された支配人と契約したのに、後から商人本人が権限を否認してきた場合。まず契約日時点の登記事項証明書を取得し、その日に支配人の登記が生きていた事実を固定する。商法9条1項により、消滅の登記がされていない以上、商人は善意の第三者に代理権の消滅を対抗できない。次に、あなたが消滅を知っていたと主張されないよう、交渉経緯のメール、受け取った名刺、当日のやりとりを保全する。内部的な権限制限も、知らなかった以上あなたには及ばない(商法21条3項)
訴えられた側:元支配人が結んだ契約の履行を求められた側なら、争点は二つに絞られる。第一に、代理権消滅の登記が契約日より前に完了していたか。完了していれば原則としてあなたが有利に立つ。第二に、登記が間に合っていない場合は、相手が消滅を現実に知っていたことを立証するしかない。解任通知の送付記録、取引先への一斉連絡、社判と名刺の回収記録を集める。放置期間が長いほど不利が積み上がるので、今日中に申請を出して出血を止める
時効(請求できる期限):会社の支配人と異なり、個人商人の支配人登記には会社法915条のような「二週間以内」という明文の期限が置かれていない。ただし商法22条が選任と代理権消滅の登記を義務付けており、登記するまでは商法9条1項によりその事実を善意の第三者に対抗できない。効いてくるのは過料よりも、対抗力を欠いた状態が一日ごとに積み上がる不利益のほうだ。起算点は解任、営業の廃止など代理権が消滅した事実が生じた時(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:支配人制度は、包括的かつ不可制限的な代理権を登記で公示することにより、取引相手の権限調査コストを消滅させる制度と解されている。43条1項が登記事項を四つに限定したのは、権限の内容を個別に公示させないことで登記簿の画一性と取引の迅速性を確保する趣旨とされる。
実務上の理解:個人商人が対外的に支配人の権限を絞る手段は、43条1項3号による代理すべき営業と商号の特定に限られる。金額や期間による制限は登記できず、内部規程にとどまるため、営業の単位で切り分ける設計が実務上の標準的な対応とされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和38年(1963年) 新設:商業登記法が制定され、それまで商法や非訟事件手続法に置かれていた商業登記の手続規定が独立した法律として整備された。個人商人の支配人の登記事項も本法に収められた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める