保険業法 第100条の3(特定関係者との間の取引等)
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- 保険会社は、その特定関係者(当該保険会社の子会社、当該保険会社の保険主要株主、当該保険会社を子会社とする保険持株会社、当該保険持株会社の子会社(当該保険会社を除く。)その他の当該保険会社と政令で定める特殊の関係のある者をいう。以下この条において同じ。)又はその特定関係者の顧客との間で、次に掲げる取引又は行為をしてはならない。ただし、当該取引若しくは行為をすることにつき内閣府令で定めるやむを得ない理由がある場合において内閣総理大臣の承認を受けたとき、又は当該保険会社を子会社とする保険持株会社(他の保険会社又は保険持株会社の子会社でないものに限る。)の子会社(当該保険会社以外の保険会社に限る。)との間で当該取引若しくは行為を行う場合において当該保険会社の経営の健全性を損なうおそれがないことその他の内閣府令で定める要件を満たすものとして内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
- 一当該特定関係者との間で行う取引で、当該保険会社の取引の通常の条件と著しく異なる条件で行う資産の売買その他の取引
- 二当該特定関係者との間又は当該特定関係者の顧客との間で行う取引又は行為のうち前号に掲げるものに準ずる取引又は行為で、当該保険会社の業務の健全かつ適切な運営に支障を及ぼすおそれのあるものとして内閣府令で定める取引又は行為
この条文の基本情報
特定関係者との間の取引等とは何ですか?
定義特定関係者との間の取引等とは、保険業法第100条の3に定められた規定で、「保険会社は、その特定関係者(当該保険会社の子会社、当該保険会社の保険主要株主、当該保険会社を子会社とする保険持株会社、当該保険持株会社の子会社(当該保険会社を除…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第100条の3(特定関係者との間の取引等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第100条の3の条文原文は「保険会社は、その特定関係者(当該保険会社の子会社、当該保険会社の保険主要株主、当該保険会社を子会社とする保険持株会社、当該保険持株会社の子会社(当該保険会社を除…」で始まります。
- 保険業法第100条の3は第三章 業務に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第100条の3の前の条は保険業法第100条の2の2です。
- 保険業法第100条の3の次の条は保険業法第100条の4です。
- 保険業法第100条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第100条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第100条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/100_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法100条の4は、保険会社が特定関係者やその顧客との間で、取引の通常の条件と著しく異なる条件による取引を行うことを禁じる。例外は内閣総理大臣の承認を受けた場合のみである。
Q · グループ会社との取引は、社内の決裁さえ通っていれば問題ないのですか?
条件が通常と著しく異なるなら、内閣総理大臣の承認がなければ違法です
保険業法100条の4は、保険会社と特定関係者(子会社・保険主要株主・保険持株会社およびその子会社等)またはその顧客との間で、取引の通常の条件と著しく異なる条件による資産売買その他の取引を禁じています。取引の相手が身内であること自体は違法ではなく、問われるのは条件の乖離です。例外は内閣総理大臣の承認を受けた場合のみで、取締役会決議や社内稟議は代替になりません。保険持株会社傘下の保険会社同士の取引には、経営の健全性を損なうおそれがないこと等を要件とする別枠の承認ルートがあります。
解説
保険会社が集めた保険料は、契約者が事故や病気に遭ったときのための蓄えである。ところが保険会社にはグループがある。親会社、子会社、大株主、同じ持株会社の下にいる兄弟会社。もしその身内が資金繰りに詰まったとき、保険会社が「相場より著しく有利な条件」で身内の不良資産を買い取ったらどうなるか。契約者の蓄えが、身内の穴埋めに流れる。本条はその抜け道を正面から塞いでいる。「特定関係者」との著しく異なる条件の取引、そして特定関係者の顧客との間の準ずる行為まで禁じる。ここで見落とされがちなのは、規制対象が「身内との取引」だけではないという点である。身内の顧客との取引も入る。つまり、系列銀行が融資している取引先に保険会社が便宜を図る、という迂回ルートも射程内だ。例外は内閣総理大臣の承認のみ。取締役会の全会一致でも社内稟議でも、承認がなければ違法である。
法的な位置づけ
保険業法100条の4は、保険会社と特定関係者との間の取引を規律するアームズレングス規制である。特定関係者とは、子会社、保険主要株主、当該保険会社を子会社とする保険持株会社およびその子会社等をいい、その特定関係者の顧客との取引も規制対象に含まれる。禁止されるのは取引の通常の条件と著しく異なる条件による取引であり、内閣総理大臣の承認が唯一の例外である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手方が特定関係者またはその顧客か判定する 起案段階で、取引相手が子会社、保険主要株主、自社を子会社とする保険持株会社、その持株会社の子会社、政令で定める特殊の関係のある者のいずれかに当たるかを資本関係図で確認する。加えて、相手が特定関係者の顧客に当たらないかまで一段掘る
- 2.取引条件の合理性を客観資料で裏付ける 同時期の市場価格、非関連先との類似取引条件、第三者評価書を並べ、当該取引の条件が自社の通常の条件の範囲内にあることを取引実行前の日付で記録に残す。事後に組み立てた説明は検査で最も弱い
- 3.条件が乖離する場合は実行前に承認申請を検討する 条件が通常と著しく異なる可能性がある場合、内閣府令で定めるやむを得ない理由に該当するかを整理し、内閣総理大臣の承認申請を検討する。保険持株会社傘下の保険会社同士の取引なら、健全性要件による別枠ルートも併せて検討する
- 4.2号の準ずる行為に当たらないかを別途点検する 条件面で1号に当たらなくても、業務の健全かつ適切な運営に支障を及ぼすおそれがある行為として2号に該当しないかを点検する。特に特定関係者の顧客への便宜供与、系列商品の優先紹介は迂回スキームと見られやすい
- 5.取引記録を検査対応可能な形で保管する 判定根拠、条件の比較資料、承認の有無、実行後のモニタリング結果を一件ファイルにまとめ、過去分を横断検索できる状態にする。検査予告から遡って作れる資料ではないため、取引時点での完結が前提になる
よくある質問 AI による整理
Q1アームズレングス規制とは何ですか?
金融機関がグループ内の関係者と、第三者間で成立するのと同等の条件でのみ取引すべきとする規制です。保険業法では100条の4がこれにあたり、条件の乖離を禁止の基準としています。
Q2保険業法100条の4に違反するとどうなりますか?
業務改善命令や業務停止命令等の行政処分の対象となります。実務上の打撃は処分の公表で、信用が商品そのものである保険会社にとって新規契約の獲得コストが跳ね上がります。
Q3銀行にも同じ規制がありますか?
あります。銀行法13条の2が特定関係者との間のアームズレングス規制を定めており、保険業法100条の4と並行する同種の規制です。金融コングロマリット全体を面で塞ぐ設計になっています。
Q4違反が見つかったら自主的に是正すれば済みますか?
済みません。承認は取引前に受けるものであり、事後の是正で違反自体が消えるわけではありません。ただし自主的な是正と再発防止策の提示は、処分の程度を左右する要素になります。
Q5保険持株会社傘下の保険会社同士の取引はできますか?
本条ただし書に別枠の承認ルートがあります。経営の健全性を損なうおそれがないことその他内閣府令で定める要件を満たすとして、内閣総理大臣の承認を受けた場合に限り可能です。
Q6グループ内の業務委託も規制対象ですか?
対象になり得ます。1号は「資産の売買その他の取引」と広く定めており、委託料が通常の条件と著しく異なれば該当します。2号はこれに準ずる行為まで射程に入れています。
Q7保険代理店がグループ会社の場合も100条の4の対象ですか?
その代理店が特定関係者に該当すれば対象です。手数料水準が非関連の代理店と著しく異なる場合、条件の乖離として1号の検討対象になります。関係性ではなく条件で判断されます。
Q8アームズレングス規制の違反事例は公表されますか?
行政処分は金融庁により公表されるのが原則です。処分内容と違反事実が社名入りで残るため、事業上のダメージは制裁そのものより公表の影響が大きいとされます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1グループ会社と取引するだけでアウトなんですか?
違います。本条1号が禁じているのは「当該保険会社の取引の通常の条件と著しく異なる条件」での取引であり、通常条件での取引は問題ありません。業界裏話:実務で争点になるのは条件の合理性を誰が立証するかです。取引時点で第三者評価や市場価格の記録を残している会社と、事後に説明を組み立てる会社では、検査での結論が全く違います
Q2特定関係者ってどこまでの範囲ですか?
条文上は子会社、保険主要株主、当該保険会社を子会社とする保険持株会社、その持株会社の子会社、そして政令で定める特殊の関係のある者です。範囲の外縁は保険業法施行令で定められています。業界裏話:多くの担当者が見落とすのは、条文が「特定関係者の顧客」との取引まで対象にしている点です。身内を一段挟めば逃げられるという発想を、条文が先回りして封じています
Q3承認って本当に取れるものなんですか、形式的に無理では?
取れます。ただし内閣府令で定めるやむを得ない理由が必要で、保険持株会社傘下の保険会社同士の取引については、経営の健全性を損なうおそれがないことなどの要件による別枠の承認ルートがあります。業界裏話:承認が取れるかどうかより重要なのは申請のタイミングです。条文構造上、承認は取引前に受けるものであり、実行後に申請しても例外は成立しません
間違えやすい点 AI による整理
- 「グループ内取引の禁止」と読まれがちだが、本条が禁じているのは取引そのものではなく「通常の条件と著しく異なる条件」の取引である。正常な条件での資産売買、業務委託、資金貸借は日常的に行われている。問われるのは関係性ではなく条件の乖離であり、だからこそ取引時点で条件の合理性を裏付ける記録を残していたかが全てを決める
- アームズレングス規制の存在自体は業界の誰もが知っている。だが多くの担当者が甘く見ているのは、規制対象が「特定関係者の顧客」まで広がっている点である。身内との直接取引を避ければ済むと考えて、一段迂回させたスキームを組む。その迂回こそが2号の名指しする対象で、意図的に迂回した形跡は検査で最も心証を悪くする
- 「違反しても是正すれば済む」という前提そのものが誤っている。本条違反は業務改善命令、業務停止命令の対象となり、悪質な場合は保険業法上の罰則の射程に入る。さらに実務的な打撃は行政処分の公表である。保険会社にとって信用は商品そのものであり、公表された時点で新規契約の獲得コストが跳ね上がる
- 現場から見れば「グループ内の協力」だが、法律から見れば「契約者資産のグループへの流出」である。この視点の落差が現場担当者を潰す。善意で長年の商慣行に従っていた人が、検査で初めて自分の署名した稟議書が違反の証拠として並べられるのを見ることになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 100条の4:特定関係者およびその顧客との取引の条件 | 100条:保険会社が営むことのできる業務の範囲そのもの 100条の2:業務運営全般の健全適切性を確保する体制 |
| 違反の判断基準 | 取引の通常の条件との著しい乖離、または健全適切な運営への支障のおそれ | 法定業務の範囲を超えているか(形式判断) 必要な措置を講じているか(体制の有無と実効性) |
| 例外・免脱の可否 | 内閣総理大臣の承認のみ。社内決裁では代替不可 | 法令上認められた業務以外は不可 例外という概念になじまず、体制不備は直ちに指摘対象 |
| サンクションの経路 | 132条の業務改善命令、133条の業務停止・免許取消し | 132条・133条(同じ監督処分の経路) 132条の業務改善命令が中心 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は金融持株会社グループの関係者取引について、条件の公正性に加え取締役会の加重決議という機関面の統制を重ねる点で、承認権限を行政に集中させる日本と設計が異なる
韓国は大株主との信用供与・資産譲渡について限度規制と理事会決議・公示を組み合わせる。行政承認一本の日本より事前開示の比重が大きい
EU は重要なグループ内取引について監督当局への報告を軸に据える。日本のような事前承認制ではなく、報告と監督上の介入による事後統制が基本
米国は affiliate transactions が fair and reasonable であることを求め、一定規模以上は州保険庁への事前届出を要する。州ごとの採択にばらつきがある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが保険会社の資産運用部門にいて、同じ持株会社傘下の銀行から「不動産ファンドの持分を引き取ってほしい、相場より少し高いが長い付き合いだから」と持ちかけられる。この一件が本条1号の「通常の条件と著しく異なる条件で行う資産の売買」に真正面から当たる。稟議を通しても、内閣総理大臣の承認がなければ違法である
- 系列証券会社の大口顧客が資金調達に苦しんでいる。証券会社の担当者から「うちの大事な取引先だから、保険会社側で社債を引き受けてもらえないか」と相談が来る。相手は身内ではなく身内の顧客だが、本条の射程内である。2号の「特定関係者の顧客との間で行う取引」が、この迂回を予め封じている
- もし、保険持株会社の下に保険会社が二社あり、片方が新商品開発の資金を必要としたら、兄弟会社間の資金移動はできるのか。本条ただし書は、グループ内の保険会社同士については別枠の承認ルートを用意している。健全性を損なうおそれがないことなど内閣府令の要件を満たせば承認されうる。ただし「できる」ではなく「承認を得れば」である
- 金融庁検査の予告があと10日。過去3年分のグループ内取引一覧の提出を求められた。条件の合理性を説明できない取引が一件でもあれば、業務改善命令の引き金になる。取引時に第三者評価を取っていたか、比較可能な市場価格の記録があるか、今から遡って作れるものではない
- 保険会社の一般社員として、上司から「グループ会社の商品を優先的に販売先へ紹介しろ」と指示される。これが本条の禁止行為に該当するかは、条件の著しい差と業務の健全性への支障で判断される。指示に従った結果、後の検査で問題が出たとき、記録に残るのは現場のあなたの名前である
取るべき行動
被害を受けた側:契約者や株主の立場で保険会社のグループ内取引に疑問を持った場合、まず有価証券報告書と保険業法に基づく業務報告書で関連当事者取引の開示内容を確認する。次に金融庁の行政処分事例と当該社の内部統制報告書を突き合わせる。具体的な疑義があれば金融庁の情報提供窓口へ事実関係を整理して申告する。個別の救済制度ではないため、契約上の不利益が生じている場合は別途保険契約者保護の枠組みや民事上の請求を検討する
訴えられた側:検査や照会を受けた保険会社側では、まず該当取引が1号の「著しく異なる条件」に当たるかを客観的資料で検証する。第三者評価書、同時期の市場価格、非関連先との類似取引条件を並べ、条件が通常の範囲内であることを示すのが第一の防御線である。条件に乖離がある場合は、内閣府令上のやむを得ない理由に該当する事情と、承認申請の有無を確認する。承認を得ていない場合は、自主的な是正と再発防止策の提示が処分の程度を左右する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。行政処分には出訴期間の制限があり、処分があったことを知った日から6か月、処分の日から1年以内に取消訴訟を提起する必要がある(行政事件訴訟法14条)。審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)。民事上の損害賠償請求権は一般の消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)による
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