保険業法 第29条(基金の割当て)
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- 発起人は、申込者の中から基金を拠出すべき者を定め、かつ、その者に割り当てる拠出すべき基金の額を定めなければならない。この場合において、発起人は、当該申込者が拠出すべき基金の額を、前条第二項第二号の額よりも減少することができる。
- 2.発起人は、前項の規定による定めをした後遅滞なく、申込者に対し、当該申込者が拠出すべき基金の額を通知しなければならない。
この条文の基本情報
基金の割当てとは何ですか?
定義基金の割当てとは、保険業法第29条に定められた規定で、「発起人は、申込者の中から基金を拠出すべき者を定め、かつ、その者に割り当てる拠出すべき基金の額を定めなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第29条(基金の割当て)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第29条の条文原文は「発起人は、申込者の中から基金を拠出すべき者を定め、かつ、その者に割り当てる拠出すべき基金の額を定めなければならない。」で始まります。
- 保険業法第29条は第二款 設立に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第29条の前の条は保険業法第28条です。
- 保険業法第29条の次の条は保険業法第30条です。
- 保険業法第29条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第29条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第29条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/29
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法29条は、相互会社の発起人が申込者の中から基金拠出者と割当額を定め、遅滞なく通知すべきことを規定する。割当額の減少はできるが、増額はできない。
Q · 基金に申し込んだ額は、そのまま自分の拠出額になるんですか?
なりません。発起人の割当てと通知で確定します
保険業法29条1項により、相互会社の発起人は申込者の中から基金を拠出すべき者を定め、各人に割り当てる拠出額を決定します。この際、申込者が拠出すべき額を募集事項の額(同法28条2項2号)より減少させることはできますが、増額はできません。そして同条2項により、発起人は割当ての定めをした後、遅滞なく各申込者に拠出すべき基金の額を通知する義務を負います。したがって申込みは拠出の申出にとどまり、拠出額が法的に確定するのは通知が届いた時点です。
解説
相互会社を作るとき、金を出したい人が名乗り出れば自動的に基金の拠出者になれる、と思うだろうか。保険業法29条はその常識を裏返す。基金の申込みをした者の中から「誰を拠出者にするか」を決める権限は、発起人の側にある。しかも1項後段が効いている。発起人は、申込者が拠出すべき基金の額を、募集事項として定めた28条2項2号の額より減らすことができる。減らすことはできるが、増やすことはできない。1億円出すつもりで申し込んだあなたが、割当てで3,000万円に絞られる可能性は法文上あるが、勝手に2億円に膨らまされることはない。そして2項が発起人に通知義務を課す。あなたが「いくら払う立場になったのか」は、この通知が届いて初めて確定する。申込みは片道の意思表示にすぎず、拠出者としての地位は、発起人の割当てとその通知で完成する。
法的な位置づけ
保険業法29条は、相互会社の設立に際する基金の割当てを定める規定であり、発起人が申込者の中から基金拠出者を選定し、各人に割り当てる拠出額を決定する権限と、その内容を遅滞なく通知する義務を規定する。割当額は募集事項として定めた額を下回ることはできるが、上回ることはできない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.申込み前に割当ての基準を書面で確認する 基金の申込書を出す前に、発起人に対し割当ての基準(申込順、拠出者の属性、経営との関係性など)を書面で示すよう求める。29条1項で権限が発起人にある以上、申込み後の交渉ではほぼ動かせない
- 2.申込書に拠出希望額と条件を明記して提出する 募集事項に示された額を上限として拠出希望額を記載する。減額割当てを受け入れられる下限がある場合は、その旨を申込書または添付書面に残しておく
- 3.29条2項の通知書を受領日付とともに保管する 発起人から届いた通知書に記載された額が、法的に確定したあなたの拠出額である。封筒・受領日・通知日を一体で保管し、申込額との差額も記録する
- 4.通知額と申込額の差を照合してから払い込む 払い込むべきは通知された額であって申込額ではない。取り違えると過払い(不当利得返還の問題)か払込不足による失権のどちらかに落ちる。照合後に保険業法30条の払込手続へ進む
よくある質問 AI による整理
Q1基金の割当てとは何ですか?
相互会社の発起人が、基金の申込者の中から実際に拠出させる者を選び、各人の拠出額を決定する行為です。保険業法29条1項が根拠で、申込みとは別の独立した手続です。
Q2発起人は申込額より多く割り当てられますか?
できません。29条1項後段が認めるのは「減少することができる」のみです。申込者の意思表示の範囲を超えて拠出義務を膨らませることは許されません。
Q3基金の割当ての通知はいつ届きますか?
29条2項は「前項の規定による定めをした後遅滞なく」と定めます。確定日数の規定はありませんが、割当決定から不合理に遅れれば手続の瑕疵を問われる余地があります。
Q4基金の総額はどこに定められていますか?
相互会社の設立時の基金の総額は定款に記載されます(保険業法23条)。募集の際の個別の拠出額は28条2項2号の募集事項として定められます。
Q5割当てが不公平だと感じたら何を争えますか?
減額割当て自体は29条1項後段で適法です。争点になるのは割当基準の恣意性と、発起人の善管注意義務・忠実義務違反に絞られます。
Q6保険業法28条と29条はどう違いますか?
28条は募集事項の決定と申込みの手続、29条は申込みを受けた後の割当てと通知の手続です。28条が入力側、29条が変換と出力側にあたります。
Q7基金の払込みはいつ行いますか?
割当てと通知(29条)を経た後、保険業法30条の払込手続に進みます。払い込むべきは通知された額であり、申し込んだ額ではありません。
Q8割当ての通知が届かないまま手続が進んだらどうなりますか?
29条2項の通知は「遅滞なく」が要件であり、通知がなければ拠出額が確定せず、その後の払込手続も足場を失います。設立の瑕疵を主張する材料になり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1申し込んだのに割当てがゼロだった場合、文句は言えないんですか?
29条1項は発起人が「申込者の中から基金を拠出すべき者を定め」ると規定しており、申込者全員に割り当てる義務はありません。ゼロ割当ても条文上は想定内です。実務のポイント:相互会社の基金拠出者は、実務上、設立を主導する金融機関や関係企業があらかじめ内定していることがほとんどです。公募の形をとっていても、割当ての骨格は申込み受付前に固まっている。だから交渉すべきタイミングは申込書を出す前であって、通知が届いた後ではない
Q2通知が来る前に、勝手にお金を振り込んでしまったらどうなりますか?
拠出すべき額は2項の通知によって確定するので、通知前の払込みは債務の履行として位置づけられません。過払いになれば不当利得として返還請求(民法703条、704条)の問題になります。実務のポイント:設立手続の書類は日付の整合性が命です。通知日より前の入金記録があると、後の監督当局への設立認可申請(保険業法3条)の資料で説明を求められることがある。順序を飛ばした善意が、手続全体の遅延を招く
Q3基金って結局、株式と何が違うんですか?
基金は相互会社に返還義務のある拠出であり、償却されれば基金償却積立金として会社に残ります(保険業法56条、57条)。株式のような持分ではないため、剰余金分配請求権も議決権も伴いません。相互会社の意思決定は保険契約者である社員が担います。実務のポイント:基金拠出者は議決権を持たないと言われるものの、実務では基金の償却・再募集のたびに発起人や経営陣との関係が更新される。形式的な権利より、継続的な資金供給者としての交渉力が実質を決めている
間違えやすい点 AI による整理
- 「申し込んだ額がそのまま自分の拠出額になる」という前提そのものが誤っている。正しい問いは「申込みは拠出額を確定させる行為か」であり、答えは否。29条1項が発起人に割当権を置いた時点で、申込みは拠出の申出にとどまり、額の確定は割当てと通知によって初めて起こる
- 減額できるなら増額もできるだろう、と考えるのは条文の非対称性を見落としている。1項後段が明示するのは「減少することができる」のみ。申込者の意思表示の範囲を超えて義務を膨らませることは、私法の基本原則からも許されない。減額の一方向性は、発起人の裁量に付された明確な天井である
- 申込者の視点では「割当ては形式的な事務手続」に見えるが、法律の視点では発起人の裁量権行使であり、その行使には善管注意義務(プロとして当然払うべき注意のレベル)と忠実義務の枠がかかる。この落差を知らない申込者は、不当な割当てを受けても「そういうものか」と引き下がってしまう
- 基金の拠出者は株主のような持分権者だと誤解されやすい。相互会社の基金は返還義務のある拠出であって、剰余金分配や議決権の基礎ではない。社員(保険契約者)の地位とも別物であり、割当てを受けたからといって会社の支配権が手に入るわけではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続上の位置 | 29条:申込みを受けた後の割当てと通知 | 28条:募集事項の決定と申込みの受付 30条:割当て後の基金の払込み |
| 行為の主体 | 発起人(拠出者の選定と割当額の決定) | 発起人(募集事項の決定)と申込者(申込み) 割当てを受けた拠出者(払込みの履行) |
| 金額が動く余地 | 募集事項の額より減少可、増額は不可 | 募集事項として拠出額を定める段階 通知された額での払込み、増減の余地なし |
| 怠った場合の影響 | 通知を欠けば拠出額が確定せず、設立手続の瑕疵の材料となる | 募集事項の記載不備は申込みの前提を欠く 払込不足は失権、過払いは不当利得の問題 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では相互会社そのものではなく保險合作社が対応する器で、股金とは別に基金を籌集する構造を持つ。基金の払戻しに公積金の積立てを条件とする点は、日本の基金償却積立金(保険業法56条・57条)と同じ発想に立つ
韓国保険業法は日本法を強く参照した構造を持ち、相互会社の設立に際して基金を募集・納入させる規律を置く。発起人主導の手続という骨格は日本と共通する
日本の相互会社制度の母型。株主資本を持たない保険者に設立時の資本的基礎を与える Gründungsstock の考え方が、日本の基金に対応する
米国では州ごとに mutual insurer の設立要件が定められ、初期剰余金やガランティファンドの拠出が求められる。連邦統一法はなく、州法の要件の差が大きい点が日本と対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 地域の医療関係者で相互会社形式の保険会社を立ち上げる話に乗り、基金5,000万円の申込書を出した。数週間後に届いた通知には1,500万円と書かれている。「話が違う」と抗議したいところだが、29条1項後段が発起人に減額割当ての権限を明示的に与えている。減らされたこと自体は違法ではない。争えるとすれば、割当ての基準が特定の申込者を不当に排除する目的だった場合に限られる
- 発起人の側に立ったあなたが、申込総額が募集額を大きく超えた状況で割当てを設計している。誰にいくら割り当てるかは自由度が高いが、恣意的な配分は後に基金拠出者との紛争、さらには発起人としての損害賠償責任(保険業法53条の2以下、会社法の発起人責任に相当する規律)に跳ね返る。割当ての基準を書面で残しておくかどうかが、数年後の分かれ目になる
- 通知が届かないまま設立手続が進んでいると気付いたら、どうなるのか。2項の通知は「遅滞なく」が要件であり、通知を怠れば拠出義務の履行期の起算も、その後の払込手続も足場を失う。設立の瑕疵を主張する材料になりうる
- 設立総会の日程が公告され、基金の払込期日まであと10日。通知書に書かれた金額と、あなたが申込書に書いた金額が食い違ったままだ。払い込むべきは通知された額であって、申し込んだ額ではない。この一点を取り違えると、過払いか、あるいは払込不足による失権かのどちらかに落ちる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書に記載された額と申込額の差、通知の到達日を記録する2. 割当ての基準を書面で開示するよう発起人に請求し、他の申込者との配分の均衡を確認する3. 減額自体は29条1項後段で適法なので、争うなら「基準の恣意性」と「発起人の善管注意義務違反」に論点を絞る4. 払い込むべきは通知された額であって申込額ではない、この点を取り違えて過払いしないこと
訴えられた側:1. 発起人として割当てを行う場合、配分の基準(申込順、拠出者の属性、経営との関係性など)を事前に文書化し、議事録に残す2. 減額はできるが増額はできないという条文の非対称性を守る3. 1項の定めをした後「遅滞なく」全申込者へ通知する、この遅滞が設立手続の瑕疵主張の入口になる4. 割当てから外した申込者にも、その旨を伝える運用にしておくと後の紛争リスクが下がる
時効(請求できる期限):2項の通知は「割当ての定めをした後遅滞なく」が要件であり、確定日数の定めはない。割当ての効力や発起人の責任を争う場面については本条に特定の時効はなく、一般消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される
学説
通説:保険業法29条1項の割当ては、会社法204条の募集株式の割当てと同じく割当自由の原則に立ち、申込者全員への割当義務はないと解される。ただし裁量は無制限ではなく、発起人の善管注意義務・忠実義務と、減額のみを認める条文上の一方向性によって枠づけられる。
通説:基金は相互会社に対する返還義務のある拠出であり、剰余金分配請求権も議決権も伴わない。したがって割当てを受けたことは会社の支配権の取得を意味せず、社員(保険契約者)の地位とは別の層に位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正(平成7年法律第105号)により、相互会社の設立手続が体系的に整備され、基金の募集事項(28条)・割当てと通知(29条)・払込み(30条)という現行の三段構成が置かれた。
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