保険業法 第35条(払戻請求権)
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退社員は、定款又は保険約款の定めるところにより、その権利に属する金額の払戻しを請求することができる。ただし、その者に代わって社員となる者がある場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
払戻請求権とは何ですか?
定義払戻請求権とは、保険業法第35条に定められた規定で、「退社員は、定款又は保険約款の定めるところにより、その権利に属する金額の払戻しを請求することができる。ただし、その者に代わって社員となる者がある場合は、この限りで…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第35条(払戻請求権)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第35条の条文原文は「退社員は、定款又は保険約款の定めるところにより、その権利に属する金額の払戻しを請求することができる。ただし、その者に代わって社員となる者がある場合は、この限りで…」で始まります。
- 保険業法第35条は第三款 社員の権利義務に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第35条の前の条は保険業法第34条です。
- 保険業法第35条の次の条は保険業法第36条です。
- 保険業法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法35条は、相互会社の退社員が定款又は保険約款の定めにより、その権利に属する金額の払戻しを請求できると定める。代わって社員となる者がある場合は請求できない。
Q · 相互会社の保険を解約したら、会社の資産の取り分ももらえるんですか?
もらえません。払戻しは定款と約款の定める金額だけです
保険業法35条は、退社員が「定款又は保険約款の定めるところにより、その権利に属する金額」の払戻しを請求できると定めます。条文が保障しているのは請求できる枠だけで、金額の算定は定款と保険約款に委ねられており、実務上は解約返戻金と未払いの積立配当金がその中身になります。会社の内部留保に対する持分払戻しではない点が、持分会社について定める会社法611条との決定的な違いです。また契約者変更などで代わって社員となる者がいる場合は、ただし書により払戻請求権自体が発生しません。
解説
日本生命、明治安田生命、住友生命、富国生命。これらに保険をかけている人は、法律上は「顧客」ではなく「社員」である。相互会社の保険契約者は、その会社の構成員として総代会を通じて経営に関わり、剰余金の分配を受ける立場に立つ。ところが解約して社員でなくなった瞬間、あなたが請求できるのは「その権利に属する金額」だけで、その中身を決めるのは法律ではなく定款と保険約款である。実務上は解約返戻金と未払いの積立配当金がその正体になる。会社が何十年も積み上げた内部留保の取り分を、退社を理由に請求することはできない。持分会社の社員が会社財産に応じた持分の払戻しを請求できる会社法611条とは、設計思想がまるで違う。さらにただし書がある。あなたに代わって社員となる者がいる場合、つまり契約者の名義を子や配偶者に変更した場合、払戻請求権はそもそも発生しない。現金化は起きず、価値はそのまま新しい契約者へ移る。
法的な位置づけ
保険業法35条は、相互会社の退社員の払戻請求権を定める規定である。退社員は定款又は保険約款の定めに従い、その権利に属する金額の払戻しを請求できるが、会社純資産に対する持分の払戻しを請求する権利ではない。代わって社員となる者がある場合には、ただし書により払戻請求権は発生しない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.約款の解約返戻金表と積立配当金残高を先に開く 解約の電話をかける前に、保険証券と約款を出し、解約返戻金の算定条項と経過年数に対応する金額、積立配当金の残高を自分で確認する。窓口の口頭説明より先に数字の基準を持っておく
- 2.会社の定款で退社員の払戻し条項を読む 相互会社は定款を公表している。35条が委ねている「定款の定め」が実際にどう書かれているかを確認し、約款との関係を把握する
- 3.基準日をまたぐかを確認してから請求日を決める 契約者配当の割当基準日や、組織変更が公表されている場合はその基準日をまたぐかどうかを会社の公表資料で確認する。解約日は事務手続の日付ではなく経済的な選択になる
- 4.解約か契約者変更かを、ただし書を踏まえて選ぶ 名義を子や配偶者に移すなら契約者変更を選ぶ。35条ただし書により払戻請求権は発生せず、保障も積立ても途切れない。解約して現金化すると保障は消え、再加入時は当時の年齢と健康状態で保険料が計算し直される
- 5.支払明細を行ごとに照合する 入金額の総額だけを見ない。解約返戻金、積立配当金、前納保険料の未経過分、契約者貸付や未払保険料の控除が、それぞれ別行で計上されているかを明細で照合する
- 6.納得できなければ苦情窓口から裁定審査会へ 算定根拠の説明に納得できない場合、まず会社の苦情窓口に算定根拠となる条項と計算過程の開示を求め、解決しなければ生命保険協会の裁定審査会に申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1退社員の払戻しとは何ですか?
相互会社を退社した社員が、定款又は保険約款の定めに従って受け取る金額のことです。保険業法35条が根拠で、実務上は解約返戻金と未払いの積立配当金が中身になります。
Q2相互会社の社員はいつ退社になりますか?
保険契約が解約・失効・満期などで終了した時点で社員資格を失います。以後は総代会の議決権も剰余金分配も及ばず、35条の払戻しの話に切り替わります。
Q3保険業法35条のただし書はどんな場合に働きますか?
契約者変更などで、退社する者に代わって社員となる者がある場合です。この場合は払戻請求権が発生せず、解約もされないため保障と積立てがそのまま継続します。
Q4払戻額はどこに書いてありますか?
会社の定款と、契約している保険約款です。約款の解約返戻金表で経過年数ごとの金額が定められており、積立配当金の残高は別建てで計算されます。
Q5相互会社と株式会社の保険はどちらが得ですか?
一概には言えません。相互会社は契約者が社員として剰余金分配を受けますが、退社時に純資産の持分は請求できません。保障内容と返戻率で比較するのが実際的です。
Q6相互会社が株式会社になったら契約者はどうなりますか?
組織変更の基準日に社員だった契約者に株式又は金銭が割り当てられます。基準日前に解約して退社していれば、残るのは35条による約款どおりの払戻しのみです。
Q7積立配当金は解約返戻金と別にもらえますか?
別建てで支払われるのが通例です。社員だった期間に割り当てられた契約者配当のうち未受領分であり、解約返戻金とは計算根拠が異なります。明細で行が分かれているか確認してください。
Q8払戻しの請求はいつまでにすべきですか?
35条に固有の時効はありません。債権として民法166条の一般消滅時効が問題になり、請求の性質によっては保険法95条の3年時効が適用される余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1日本生命の保険に入ってるんですが、私って本当に「社員」なんですか?
そのとおりです。相互会社の保険契約者は、法律上その会社の社員です(保険業法2条)。総代会を通じて経営に関わり、剰余金の分配を受ける立場にあります。解約すれば社員でなくなり、35条の払戻しの話に切り替わります。実務のポイント:総代は会社が用意した候補者名簿から選ばれるのが通例だが、社員が自ら応募できる仕組みを持つ会社もある。定款と総代会の運営ルールを読めば、自分の一票がどこまで届くかが分かる
Q2解約したら、会社が貯め込んでる内部留保の分け前ってもらえないんですか?
もらえません。35条の払戻しは「その権利に属する金額」であり、その中身は定款と保険約款が決めます。持分会社の社員が会社財産に応じた持分の払戻しを請求できる会社法611条とは、構造がまったく別です。実務のポイント:蓄積された価値が現実に社員へ動くのは組織変更のときで、株式会社化の基準日に社員だった人だけが株式や金銭の割当てを受ける。解約のタイミングがそこをまたぐかどうかが分かれ目になる
Q3契約者を子どもの名義に変えたら、返戻金は一度私に戻ってくるんですよね?
戻りません。35条ただし書により、その者に代わって社員となる者がある場合は払戻請求権が発生しないからです。解約されないので保障も積立ても継続し、価値はそのまま新しい契約者へ引き継がれます。実務のポイント:契約者変更は保険会社から税務署へ調書が提出される対象になる場合があり、後年の保険金や返戻金の課税で「保険料を実際に負担したのは誰か」が問われる。変更時点で負担者の記録を残しておくと後で説明できる(最新の改正状況をご確認ください)
Q4解約返戻金の入金額が、昔もらったパンフレットの表より少ない気がします
約款の返戻金は経過年月と払込状況で細かく分かれ、契約者貸付や未払保険料があれば差し引かれます。逆に積立配当金や前納保険料の未経過分は別行で加算されるのが通例です。実務のポイント:告知義務違反などで会社側から解除された場合は、約款の解約返戻金ではなく保険法63条の保険料積立金の払戻しが問題になり、金額の根拠条文自体が変わる。どちらのルートで計算されたのかを最初に確認すると、争点が一つに絞れる
間違えやすい点 AI による整理
- 「相互会社の社員なんだから、解約したら会社の資産の取り分がもらえるはず」という問いの立て方自体がずれている。35条が保障しているのは「払戻しを請求できる」という枠だけで、金額の算定方法は定款と保険約款に丸ごと委ねられている。問うべきは「この会社の純資産はいくらか」ではなく「自分の約款の返戻金表は、経過何年目で何円と書いてあるか」である
- 社員だから総代会を通じて経営に関われる、という点までは知っている人が多い。知られていないのは、その社員資格が解約と同時に消え、以後の剰余金分配からも組織変更時の割当てからも完全に外れるという、時間的な切れ目の重さである。基準日をまたぐかどうかで受け取る内容が変わりうる以上、解約日は事務手続の日付ではなく、経済的な選択そのものになる
- 「名義変更しておくのも、いったん解約して現金を渡すのも、結局は同じこと」と思われがちだが、法的にはまったく別物である。ただし書が適用される契約者変更では払戻請求権が発生せず、解約もされないため保障も返戻金の積立ても途切れない。逆に解約して現金で渡すと保障は消え、再加入するときの保険料は当時の年齢と健康状態で計算し直される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 請求できる金額の性質 | 保険業法35条:定款・保険約款が定める「その権利に属する金額」 | 会社法611条:持分会社社員の、会社財産に応じた持分の払戻し 保険法63条:解除等の場合の保険料積立金の払戻し |
| 金額を決めるルール | 定款と保険約款(会社側の私的ルール・保険数理) | 退社時の会社財産の状況(法定の評価ルール) 保険法および約款上の積立金計算 |
| 発生しない場合 | 代わって社員となる者がある場合(ただし書) | 定款で別段の定めがある場合など 約款所定の免責・不払事由に該当する場合 |
| 典型的な発動場面 | 相互会社の保険契約の解約・失効による退社 | 合名会社・合資会社・合同会社の社員の退社 告知義務違反等による保険者からの解除 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では相互組織による保険引受けの比重が小さく、実務は株式会社形態が中心。退社社員の返還請求という論点は日本ほど顕在化していない
韓国も相互保険を認めるが実例は限定的で、社員関係の規律は商法の保険編を準用する構成をとる
ドイツは相互保険社団の社員関係を保険監督法で詳細に規律し、退社時の取扱いも定款(Satzung)に委ねる構造をとる点で日本法と発想が近い
米国では株式会社化(demutualization)の際に基準日時点のポリシーホルダーへ株式等を配分する枠組みが州法と監督当局の認可で整備されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが入っている相互会社が株式会社になると発表したら? 2010年4月に第一生命が株式会社へ組織変更したとき、基準日に社員だった契約者には株式または金銭が割り当てられた。その直前に解約して退社していた人に残るのは、35条による約款どおりの払戻しだけである。解約日が基準日の前か後かという一点で、手にする物の種類が変わった
- 離婚協議のタイムリミットまであと2週間。財産分与の対象として、学資保険の解約返戻金相当額をどう処理するかで揉めている。解約して払戻しを受け現金を分けるのか、契約者を相手方に変更するのか。ただし書のルートを選べば払戻請求権は発生せず、保障も積立ても切れないまま権利だけが移る。どちらを選ぶかで、子どもの保障が消えるかどうかが決まる
- 親が長年払ってきた終身保険の契約者を、あなたの名義に変更した。その瞬間、親には払戻請求権が発生しない。ただし書が働き、価値は解約されないままあなたの手に渡っている
- 保険会社の窓口担当としてあなたが解約手続を受ける側に立つ。契約者は「自分は社員なんだから、会社が貯め込んだ分の取り分をよこせ」と主張する。根拠として持ち出されるのはまさに35条だが、払戻しの中身を決めるのは定款と保険約款であり、純資産の持分ではない。この構造を最初の5分で説明できるかどうかで、その後の苦情処理が30分で終わるか3か月続くかが変わる
- 解約返戻金の支払明細に「積立配当金」という行が入っている。社員だった期間に割り当てられた契約者配当のうち、まだ受け取っていない分である。35条の払戻しは返戻金だけを指すのではない。明細のどの行が何に対応しているか分からないまま、口座の入金額だけ見て手続を終えていないか
取るべき行動
被害を受けた側:1. 解約前に保険証券と約款を出し、解約返戻金の算定条項と積立配当金の残高を確認する2. 会社が公表している定款で、退社員の払戻しに関する条項を読む3. 請求書を出す前に、契約者配当の割当基準日や組織変更の基準日をまたぐかを確認する4. 明細を受け取ったら、返戻金・積立配当金・前納保険料の未経過分がそれぞれ別行で計上されているか照合する5. 説明に納得できなければ、まず会社の苦情窓口、次に生命保険協会の裁定審査会へ
訴えられた側:保険会社側であれば、35条の払戻しは定款と保険約款の定めに従うものであり、純資産の持分払戻しではないという構造を最初に提示する。契約者変更の事案では、ただし書により払戻請求権が発生しないことを変更申込みの受理時点で書面に残しておく。争いになった場合、算定根拠となる約款条項と計算過程を時系列で開示できる状態を保つことが防御の中心になる
時効(請求できる期限):35条に固有の時効規定はない。払戻請求権は債権であり、一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年)が適用される。ただし保険給付請求権や保険料返還請求権については保険法95条が3年の時効を定めており、どちらの性質の請求として構成するかで期間が変わる(最新の改正状況をご確認ください)
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