民事訴訟法 第140条(口頭弁論を経ない訴えの却下)
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訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。
この条文の基本情報
口頭弁論を経ない訴えの却下とは何ですか?
定義口頭弁論を経ない訴えの却下とは、民事訴訟法第140条に定められた規定で、「訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第140条(口頭弁論を経ない訴えの却下)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第140条の条文原文は「訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第140条は第一章 訴えに置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第140条の前の条は民事訴訟法第139条です。
- 民事訴訟法第140条の次の条は民事訴訟法第141条です。
- 民事訴訟法第140条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第140条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第140条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/140
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法140条は、訴えが不適法で不備を補正できないとき、裁判所が口頭弁論を経ずに判決で訴えを却下できると定める。却下は本案の判断ではない。
Q · 一度も法廷に呼ばれないまま「訴えを却下する」と届いたら、もう負けたということ?
いいえ。本案で負けたのではなく入口で門前払いされただけ
民事訴訟法140条により、訴えが不適法で不備を補正できないとき、裁判所は口頭弁論を経ずに判決で訴えを却下できます。これは請求の中身(本案)の判断ではなく、当事者適格・訴えの利益といった訴訟要件を欠くという入口の判断です。本案の既判力は生じないため、不備が補正できる性質なら整えて訴え直す余地が残ります。判決主文が「訴えを却下する」か「請求を棄却する」かをまず見分けることが、諦めるか再起するかの分かれ目です。
解説
あなたが自分で訴状を書いて裁判所に提出したとする。数週間後、封筒を開けると「訴えを却下する」の一文。一度も法廷に呼ばれず、相手の顔も見ていない。何が起きたのか。民事訴訟法140条がその答えだ。裁判には、本題に入る前にクリアすべき入口の条件、訴訟要件がある。当事者にそもそも訴える資格があるか、訴える利益が現に存在するか、といった条件である。これを欠き、しかもその不備が直しようのないものであるとき、裁判所はわざわざ法廷を開かず、書面だけであなたの訴えを終わらせることができる。ここで知っておくべき決定的な点は、却下は「中身で負けた」のではないということだ。あなたの言い分が正しいか間違っているかは、まだ一切判断されていない。土俵に上がる前に押し戻されただけ。だから不備が直せる性質なら、整えて訴え直す道が残る。却下と棄却を取り違えて諦めるかどうかが、ここで分かれる。
法的な位置づけ
民事訴訟法140条は、口頭弁論を経ない訴え却下を定める規定であり、訴えが不適法でその不備を補正することができないときに、裁判所が口頭弁論を開かず判決で訴えを却下できる旨を規定する。必要的口頭弁論の原則(87条)の例外として、訴訟経済の観点から無益な審理を回避する趣旨に基づく。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.却下判決の主文をまず見分ける 判決が届いたら、主文が「訴えを却下する」か「請求を棄却する」かを真っ先に確認する。却下なら中身では負けておらず本案の既判力は生じていない。ここを取り違えて諦めないことが最大の分岐点
- 2.欠けた訴訟要件を特定する 判決理由を読み、どの訴訟要件(当事者能力・当事者適格・訴えの利益・管轄など)を欠くと判断されたかを特定する。その不備が補正できる性質か、構造的に補正不能かを切り分ける
- 3.控訴か再提訴かを期間内に決める 補正可能なら不備を整えて訴え直す、補正不能なら却下の当否を控訴で争う。いずれにせよ判決送達から2週間以内に控訴するか出し直すかを決める。迷う時間はない
- 4.被告側は提訴前点検で却下を引き出す 訴えられた側は、本案の反論を組み立てる前に訴訟要件の欠缺を点検する。原告に当事者適格があるか、訴えの利益が現にあるかを答弁書冒頭で本案前の抗弁として主張し、口頭弁論を経ない早期却下を求める
よくある質問 AI による整理
Q1訴え却下とは何ですか?
訴訟要件を欠く不適法な訴えを、中身を審理せず門前払いする判決です。民事訴訟法140条は、不備を補正できない場合に口頭弁論を経ずに却下できると定めます。
Q2却下と棄却の違いは何ですか?
却下は訴訟要件を欠く入口での門前払いで本案の既判力が生じません。棄却は中身を審理して請求に理由なしと判断するもので既判力が生じ、原則やり直せません。
Q3口頭弁論を経ないで却下されるのはどんな場合ですか?
訴えが不適法で、しかもその不備が補正できないときに限られます(民訴140条)。補正できる不備なら裁判長の補正命令(137条)で救済される余地があります。
Q4訴訟要件にはどんなものがありますか?
当事者能力、当事者適格、訴えの利益、管轄、訴訟係属の不存在などです。これらを欠くと本案審理に入らず訴えが却下される可能性があります。
Q5訴えを却下されたら控訴できますか?
できます。訴え却下判決に不服なら、判決書の送達から2週間以内に控訴する必要があります(民訴285条)。期間経過で却下が確定します。
Q6当事者適格がないと言われたら訴え直せますか?
不備が補正できる性質なら、適格を備えて再提訴できます。却下は本案の既判力を生じないためです。補正不能な性質なら却下の当否そのものを控訴で争います。
Q7補正できる不備とできない不備はどう違いますか?
氏名の誤記や形式的不備は補正可能で補正命令の対象です。被告が法的に存在しない、訴えの利益が構造的にないなどは補正不能で140条の却下対象になります。
Q8管轄違いの場合も訴えは却下されますか?
いいえ。管轄違いは却下ではなく移送で処理されます(民訴16条)。140条で却下されるのは補正不能な不適法に限られ、管轄違いはこれに含まれません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訴えを却下されたら、もう二度とその件で裁判はできないんですか?
いいえ。却下は訴訟要件を欠くという入口の判断で、請求の中身(本案)には既判力が及びません(民訴114条参照)。不備が補正できる性質なら、それを直して再び提訴できます。実務のポイント:実務では却下と棄却を取り違えて諦める人が多い。棄却は中身で負けて既判力が付くので原則やり直せないが、却下はそもそも審理に入っていない。判決主文が「訴えを却下する」か「請求を棄却する」か、まずそこを確認する
Q2なぜ裁判所は、私の話を一度も聞かずに訴えを終わらせられるんですか?
民事裁判は原則として口頭弁論を開かねばなりません(必要的口頭弁論、民訴87条)。140条はその例外で、不備が補正できず審理しても結論が変わらない場合に限り、口頭弁論を経ない却下を認めます。実務のポイント:ただし条文は「却下できる」と書くだけで義務ではない。裁判所が念のため口頭弁論を開く裁量もある。本人訴訟で却下されたとき、弁論を開いてもらえなかったこと自体は違法ではないので、控訴では「不備は補正可能だった」という主張に絞るのが定石
間違えやすい点 AI による整理
- 「訴えを却下された=裁判で負けた」と思い込んで諦める人が多いが、却下は本案(請求の中身)の判断ではなく、入口で門前払いされただけ。本案の既判力は生じないので、不備を直せば訴え直せる場合がある。判決主文が「訴えを却下する」か「請求を棄却する」か、まずそこを見分ける
- 口頭弁論を経ないで却下「できる」ことは知っていても、それが必要的口頭弁論(民訴87条)という大原則の例外だと意識する人は少ない。裁判は原則として法廷で口頭弁論を開かねばならない。140条はその例外であり、しかも「不備を補正できないとき」に限られる。例外の射程を見誤ると、本来は補正で救えた手続を取り逃がす
- 「なぜ私の話を聞かずに却下できるのか」と憤る人がいるが、問いの立て方そのものが逆を向いている。140条が見ているのは言い分の中身ではなく、この訴えを審理してよいかという入口の資格。中身を聞くまでもなく入口で失格、という構造を理解しないまま控訴しても、控訴審で同じ却下を繰り返すだけだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 不備への対応 | 140条:補正できない不適法な訴えを口頭弁論なしで却下 | 137条:補正できる不備は裁判長が補正を命じて救済 16条:管轄違いは却下せず管轄裁判所へ移送 |
| 口頭弁論の要否 | 140条:口頭弁論を経ないで却下できる(87条の例外) | 137条:補正命令の段階で審理に入らず是正を促す 16条:移送決定により別裁判所で審理継続 |
| 当事者への効果 | 140条:本案の既判力なし、補正可能なら再提訴の余地 | 137条:補正に応じれば訴訟係属を維持できる 16条:訴え自体は維持され管轄裁判所で続行 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は訴訟要件を欠く不適法な訴えを『裁定』で却下する。補正可能なものは補正を命じ、補正不能なものは却下する点で日本140条と発想が共通する。
韓国も訴訟要件を欠く訴えを訴訟判決により却下する。本案判決と区別され既判力の範囲が異なる点で日本と類似する。
米国は管轄欠如や請求の適法性を motion to dismiss で争い、本案審理前に却下しうる。書面審理中心で口頭弁論を経ない処理が可能な点が機能的に対応する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが身に覚えのない訴えを起こされた。訴状を精読すると、原告にはあなたを訴える資格(当事者適格)がない。本案で長々と反論を組み立てる前に、答弁書で訴訟要件の欠缺を突けば、口頭弁論を経ない却下を引き出せる。中身の審理に入る前に、裁判そのものを畳ませる手がある
- もし、自分で訴状を書いて出したのに、呼出状が一度も届かないまま却下判決が郵送されてきたら? それは補正できない不備があったということだ。控訴して争うか、不備を直して出し直すか、判決送達から二週間以内に決めなければ却下が確定する
- すでに完済した借金。念のため「債務は存在しない」と確認を求めて提訴。訴えの利益なしで却下される
- 会社を相手に訴えを起こしたが、その会社は解散して清算も結了していた。法的にもう存在しない相手には当事者能力がなく、訴える先がそもそも消えている。訴状を出す前に、相手が今も法的に生きているか確認していれば防げた門前払いだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 却下判決を受け取ったら、主文が「訴えを却下する」か「請求を棄却する」かをまず確認。却下なら中身では負けていない2. 判決理由のどの訴訟要件を欠くと判断されたかを特定(当事者能力・当事者適格・訴えの利益・管轄など) 3. その不備が補正できる性質か見極める。補正可能なら整えて訴え直す、補正不能なら却下の当否そのものを争う4. いずれにせよ送達から二週間以内に控訴するか出し直すかを決める。迷う時間がない
訴えられた側:1. 訴状が届いたら、本案の反論より先に訴訟要件の欠缺を点検。原告に当事者適格があるか、訴えの利益が現にあるか2. 欠缺を見つけたら、答弁書で本案前の抗弁として明確に主張し、口頭弁論を経ない却下を求める3. 補正できない不備であれば早期却下の可能性が高い。中身の立証準備に労力を割く前にこの一手を検討4. ただし管轄違いは却下でなく移送(民訴16条)になる点に注意、却下を狙えるのは補正不能な不適法に限る
時効(請求できる期限):訴え却下判決に不服なら、判決書の送達を受けた日から2週間以内に控訴しなければならない(民訴285条)。この期間を過ぎると却下が確定する。なお却下は本案の既判力を生じないため、補正できる性質の不備であれば、別途これを整えて訴え直す余地が残る
学説
通説:訴訟要件は本案審理に先立つ職権調査事項であり、これを欠き補正不能な訴えは無益な審理を避けるため口頭弁論を経ずに却下できる。140条は必要的口頭弁論(87条)の例外であると同時に、補正可能な不備は補正命令(137条)で救う二段構えの後段に位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法を全面改正した現行法の制定により、口頭弁論を経ない訴え却下の規定が現行140条として整理された。補正できない不適法な訴えを早期に終結させる訴訟経済の趣旨が明確化された
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により現行法が制定され、口頭弁論を経ない訴え却下の規定が現行140条として整理された。補正できない不適法な訴えを早期に終結させる訴訟経済の趣旨が明確化された。
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