民事訴訟法 第18条(簡易裁判所の裁量移送)
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簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる。
この条文の基本情報
簡易裁判所の裁量移送とは何ですか?
定義簡易裁判所の裁量移送とは、民事訴訟法第18条に定められた規定で、「簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送すること…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第18条(簡易裁判所の裁量移送)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第18条の条文原文は「簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送すること…」で始まります。
- 民事訴訟法第18条は第二節 管轄に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第18条の前の条は民事訴訟法第17条です。
- 民事訴訟法第18条の次の条は民事訴訟法第19条です。
- 民事訴訟法第18条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第18条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第18条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/18
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法18条は、簡裁の管轄事件でも相当と認めるときは、申立て又は職権で訴訟の全部又は一部を地方裁判所へ移送できると定める。
Q · 簡裁で訴えられたとき、自分から地裁に移してくれと頼めるの?
頼めます。申立てで地裁への移送を求められます
民事訴訟法18条により、簡易裁判所の管轄に属する訴訟であっても、裁判所が相当と認めれば、申立て又は職権で訴訟の全部又は一部を所在地の地方裁判所へ移送できます。原告・被告のどちらからでも申立て可能で、争点の複雑さや専門性が判断材料になります。移送後も従前の手続は引き継がれ(民訴22条)、ゼロからのやり直しにはなりません。移送決定・却下決定には即時抗告で争えます(民訴21条)。
解説
60万円の貸金を簡易裁判所で訴えられた。相手は弁護士、こちらは本人。争点が消滅時効の更新や債権譲渡の対抗要件といった法律論になってきて、簡裁のスピード重視の手続では自分の主張を十分に展開できない。そう感じたとき、あなたが切れるカードがある。民事訴訟法18条は、訴訟が簡裁の管轄内であっても、相当と認められれば、申立てにより、または裁判所の職権で、事件の全部または一部を地方裁判所へ移送できると定める。簡裁は本来140万円以下の事件を簡易迅速に処理する場だが、内容が複雑であれば、より本格的な審理ができる地裁に移す道が開かれている。重要なのは、これが当事者の「申立て」でも動かせるという点だ。多くの人は、訴えられた裁判所で戦うしかないと思い込んでいる。だが、戦う土俵そのものを変えてくれと求める権利が、あなたの手の中にある。
法的な位置づけ
民事訴訟法18条は簡易裁判所の裁量移送を定める規定であり、訴訟が簡裁の事物管轄に属する場合でも、相当と認めるときは申立て又は職権により、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所へ移送できる旨を規定する。金額の形式と事件の複雑さという実質を分離して扱う仕組みである。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.争点が簡易手続になじむか見極める 簡裁で訴えられた、または提訴を検討している段階で、争点の数・法律論の難度・証拠調べの分量を点検し、簡易迅速な手続で十分に争えるかを冷静に判断する
- 2.移送申立書を作成する 事件が簡易手続になじまない具体的理由(消滅時効の更新・債権譲渡の対抗要件など専門的争点、相殺の抗弁や反対債権の複数性)を明記した申立書を作成する。抽象的な『複雑だ』ではなく事項を列挙する
- 3.早い期日までに簡裁へ提出する 争点整理が本格化する前の序盤に提出する。審理が進んだ後では『今さら移送する実益がない』と退けられやすいため、タイミングが勝負になる
- 4.移送決定後は引き継がれた手続で続行する 移送が認められれば従前の手続は地裁に引き継がれる(民訴22条)ため、やり直しにはならない。次回期日から地裁に出向き、本格的審理に備える
- 5.却下されたら即時抗告を検討する 移送却下決定に不服があれば、決定告知から原則1週間の不変期間内(民訴332条)に即時抗告(民訴21条)を申し立てる。期間を逃すと決定が確定する
よくある質問 AI による整理
Q1簡易裁判所の裁量移送とは何ですか?
簡裁の管轄事件でも、相当と認めるときは申立て又は職権で地裁へ移送できる制度です。民事訴訟法18条が根拠で、事件の複雑さに応じて本格的審理に乗せられます。
Q2簡裁から地裁への移送はどう申し立てますか?
移送申立書を簡裁に提出します。事件が簡易手続になじまない理由(争点の数、法律論の難度、証拠調べの分量)を具体的に記載するのが実務のコツです。
Q3移送の申立てはいつまでに出すべきですか?
法定期限はありませんが、審理が進行した後は『相当と認める』ことが難しくなります。実務上は争点整理が本格化する前の早期申立てが要です。
Q4移送が認められると裁判はやり直しになりますか?
なりません。移送前の手続は引き継がれ効力を保ちます(民訴22条)。提出済みの書面や行った主張が無駄になることはありません。
Q5移送の決定に不服があるときはどうしますか?
移送決定・却下決定のいずれにも即時抗告で争えます(民訴21条)。即時抗告は決定告知から原則1週間の不変期間内に行う必要があります。
Q6職権移送と申立移送はどう違いますか?
申立移送は当事者の請求で開始し、職権移送は当事者の申立てがなくても裁判所が自ら判断して移送します。18条は両方を認めています。
Q7140万円以下でも地裁で裁判できますか?
事物管轄の入口は簡裁ですが、18条により事件の実質に応じて地裁へ移送できます。金額の形式と複雑さの実質は別々に扱われます。
Q8簡裁スタートと地裁スタートで控訴上告は変わりますか?
変わります。簡裁は控訴が地裁・上告が高裁ですが、地裁に移ると控訴が高裁・上告が最高裁になります。上級審の戦い方が変わります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1簡裁で訴えられたんですが、こっちから地裁に移してくれって本当に言えるんですか?
言えます。民訴18条は『申立てにより』移送できると定めており、原告・被告のどちらからでも申立て可能です。裁判所が『相当と認める』ことが条件で、事件の複雑さや専門性が判断材料になります。実務のポイント:移送が通るかは申立ての時期で大きく変わる。審理が進んでから出すと『今さら移す実益がない』と退けられやすい。本格的な争点整理が始まる前の早い段階で、なぜ簡易手続では足りないかを具体的に書いて出すのが実務のコツ
Q2地裁に移ったら、また一から裁判をやり直すことになって損しませんか?
やり直しにはなりません。移送前にした手続は移送後も効力を保ち、引き継がれます(民訴22条、移送の裁判の拘束力)。提出済みの書面や行った主張が無駄になることはありません。実務のポイント:移送で実際に変わるのは審理の充実度と、控訴・上告のルートです。簡裁スタートだと控訴は地裁・上告は高裁ですが、地裁に移れば控訴は高裁・上告は最高裁になる。上級審まで見据えるなら、この違いは小さくない
間違えやすい点 AI による整理
- 「移送は裁判所が勝手に決めるもので、当事者は口出しできない」と思われがちだが、18条は明確に『申立てにより』移送できると書いている。当事者は受け身ではなく、自分から地裁への移送を求める権利を持つ。問題は、その権利の存在自体を知らない人が大半だという点だ
- 「簡裁から地裁に移ると、審理がやり直しで時間も費用も倍かかる」と誤解されている。実際には移送後も従前の手続は引き継がれ、ゼロからのやり直しにはならない(民訴22条、移送の裁判の拘束力)。失うのは想像より小さく、得られる審理の充実は想像より大きいことが多い
- 「140万円以下なら簡裁でしか裁けない」と思い込んでいる人が多いが、これは事物管轄の入口の話に過ぎない。18条は、その入口を通った後でも、事件の実質に応じて地裁に移す出口を用意している。金額という形式と、複雑さという実質を、別々に扱う仕組みになっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 移送の性質 | 民訴18条:簡裁の裁量移送(相当と認めるとき地裁へ) | 民訴16条:管轄違いの必要的移送 民訴17条:遅滞を避ける等のための裁量移送 |
| 発動要件 | 簡裁管轄内 + 相当と認めるとき + 申立て又は職権 | そもそも管轄違いのとき(義務的) 著しい遅滞回避・当事者間の衡平のため |
| 移送先 | 所在地を管轄する地方裁判所(審級アップ) | 管轄権を有する裁判所 他の管轄裁判所 |
| 不服申立て | 移送決定・却下決定に即時抗告(民訴21条) | 即時抗告(民訴21条) 即時抗告(民訴21条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は管轄違いを理由とする移送が中心で、審級アップの裁量移送という日本18条独自の構造とは力点が異なる
韓国も裁判所間の事件移送(이송)制度を持ち、管轄・審理の便宜に基づく移送を認める点で日本と近い
ドイツは管轄違いの場合の申立てによる移送(Verweisung)が基本で、日本の移送制度の母法にあたる
米国は便宜(convenience)に基づく venue の変更が中心で、簡裁・地裁という審級構造を前提とする日本18条とは制度設計が大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、少額の売掛金請求で簡裁に訴えられたが、相手が複雑な相殺の抗弁と複数の反対債権を持ち出してきたら、どうなる? 争点が膨らみ、簡裁の簡易手続では裁ききれない。あなたは18条で地裁への移送を申し立て、腰を据えた審理に持ち込める
- あなたが原告として簡裁に少額訴訟を提起したが、被告が専門的な技術論や難解な契約解釈で全面的に争ってきた。判決が出ても、控訴は地裁、上告は高裁という簡裁ルートになる。最初から18条で地裁に移しておけば、控訴は高裁、上告は最高裁という三審のルートに乗り、上級審での争い方が変わる
- 簡裁の審理が始まって数回、裁判官自身が「この事件は地裁で扱うべき複雑さだ」と判断した。あなたの申立てがなくても、職権で地裁へ移送できる。ある朝、移送決定の通知が届き、次回からは地裁に出向くことになる、という展開も現実に起こる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 原告として簡裁に提訴した、または提訴を検討している段階で、争点が複雑化しそうなら早期に18条移送を視野に入れる2. 移送を求める場合は、事件が簡易手続になじまない理由(争点の数、法律論の難度、証拠調べの分量)を具体的に書いた申立書を提出3. 移送が認められれば従前の手続は引き継がれる(民訴22条)ので、やり直しの心配は小さい4. 移送決定・却下決定のいずれにも即時抗告で争える(民訴21条)ことを念頭に置く
訴えられた側:1. 簡裁で訴えられたら、まず争点が簡易手続で十分に争えるかを冷静に見極める2. 複雑で本格的な審理が必要と判断したら、できるだけ早い期日までに18条による地裁への移送を申し立てる3. 申立てが遅れると『審理が進んだ後の移送は相当でない』と却下されやすいので、序盤が勝負4. 移送が認められれば控訴・上告のルートも地裁基準に変わる点を、上級審まで見据えて戦略に組み込む
時効(請求できる期限):18条移送の申立てに特定の法定期限はないが、訴訟が相当程度進行した後は『相当と認める』ことが難しくなるため、実務上は早期、遅くとも争点整理が本格化する前の申立てが要。移送決定または却下決定に対しては即時抗告(民訴21条)で争えるが、こちらは決定告知から原則1週間の不変期間(民訴332条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:18条の『相当と認めるとき』は、事件の争点の複雑性・専門性、証拠調べの分量、当事者の審理充実の利益などを総合考慮して判断される。簡易迅速の要請と充実した審理を受ける利益との調整規定と位置づけられる
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法の移送規定を再編し、簡易裁判所の裁量移送を現行18条として整理。簡裁管轄内の事件でも相当と認めるときは申立て又は職権で地裁へ移送できる枠組みを明文化した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。旧法の移送規定を再編し、簡易裁判所の裁量移送を現行18条として整理。簡裁管轄内でも相当と認めるときは申立て又は職権で地裁へ移送できる枠組みを明文化
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