民事訴訟法 第274条(反訴の提起に基づく移送)
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- 被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。この場合においては、第二十二条の規定を準用する。
- 2.前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
この条文の基本情報
反訴の提起に基づく移送とは何ですか?
定義反訴の提起に基づく移送とは、民事訴訟法第274条に定められた規定で、「被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第274条(反訴の提起に基づく移送)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第274条の条文原文は「被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。」で始まります。
- 民事訴訟法第274条は第八章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第274条の前の条は民事訴訟法第273条です。
- 民事訴訟法第274条の次の条は民事訴訟法第275条です。
- 民事訴訟法第274条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第274条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第274条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/274
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法274条は、被告が簡裁に地裁管轄の反訴を提起した場合、相手方の申立てがあれば簡裁は本訴・反訴を地裁へ移送しなければならず、その決定に不服は申し立てられないと定める。
Q · 簡裁で訴えたのに、被告が高額の反訴を出してきたら裁判はどうなるの?
申立てがあれば簡裁は必ず地裁へ移送する
民事訴訟法274条により、被告が簡易裁判所に地方裁判所の管轄に属する請求を反訴として提起した場合、相手方の申立てがあれば、簡易裁判所は決定で本訴も反訴もまとめて地方裁判所へ移送しなければなりません。これは「しなければならない」必要的移送であり、裁判官に拒否する裁量はありません。さらにこの移送決定に対しては不服を申し立てることができません(同条2項)。簡裁の簡略な手続のまま巨額の反訴を受けるか、審理体制の整った地裁へ土俵を移すかの選択権は、反訴された側が握っています。
解説
あなたが120万円の貸金を簡易裁判所に訴えたとする。簡裁は140万円までの少額事件を扱う、いわば法廷の入門コースだ。ところが被告が「お前のせいで800万円の損害が出た」と反訴してきた。本来なら地方裁判所でしか扱えない規模だ。このとき、あなたには相手の不意打ちを跳ね返す一つのボタンがある。民事訴訟法274条に基づき移送を申し立てれば、簡易裁判所は本訴も反訴もまとめて地方裁判所へ送らなければならない。「しなければならない」、つまり裁判官に断る裁量はない。しかもその決定に相手は不服を申し立てられない(2項)。簡裁の簡略な手続で巨額の反訴に押し込まれるか、それとも審理体制の整った地裁に土俵を移すか、その選択権はあなたが握っている。
法的な位置づけ
民事訴訟法274条は反訴による移送を定める規定であり、簡易裁判所に係属する事件において被告が地方裁判所の管轄に属する請求を反訴として提起した場合、相手方の申立てを要件として、簡易裁判所が本訴及び反訴を地方裁判所へ移送すべき必要的移送を規律する。裁量移送(18条)とは異なり裁判所に拒否する裁量はなく、移送決定に対する不服申立ても認められない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.反訴の請求額と管轄を確認 被告の反訴の請求額が140万円を超え、地方裁判所の管轄に属するかを確認する。140万円以下なら274条の移送要件は満たさない(裁判所法33条)
- 2.移送の申立書を簡易裁判所へ提出 要件を満たすなら、速やかに係属中の簡易裁判所へ移送の申立書を提出する。本案の審理が実質的に進む前が望ましい
- 3.移送決定を待つ(不服申立て不可を前提に準備) 要件を満たす申立てがあれば、簡裁は本訴・反訴を地裁へ移送しなければならない。決定には不服を申し立てられない(2項)ため、決定が出る前提で次の手続を準備する
- 4.代理人体制を地裁仕様へ切り替え 認定司法書士に依頼していた場合、地裁では原則代理できないため、弁護士への引継ぎを進める。合議体での本格審理に向け主張立証を厚くする
よくある質問 AI による整理
Q1反訴による移送とは何ですか?
簡易裁判所で被告が地方裁判所の管轄に属する反訴を提起したとき、相手方の申立てにより本訴・反訴をまとめて地裁へ移す制度です。民事訴訟法274条が根拠です。
Q2簡裁で反訴されたら必ず地裁に移りますか?
自動では移りません。相手方が移送を申し立てた場合に限り、簡裁は必ず移送しなければなりません。申立てがなければ簡裁のまま審理されます。
Q3移送の申立ては誰ができますか?
反訴の相手方、すなわち本訴の原告(反訴の被告)が申し立てられます。地裁管轄の反訴を出された側が、審理の場を地裁へ移すために行使します。
Q4移送の申立てに期限はありますか?
条文上の明確な期間の定めはありませんが、実務上は反訴提起後、本案の審理が実質的に進む前に申し立てるのが鉄則です。進行後は認められにくくなる場合があります。
Q5必要的移送と裁量移送の違いは?
274条は要件を満たせば裁判所が必ず移送する必要的移送です。18条の裁量移送は裁判所の判断に委ねられる点が異なり、274条の方が確実に地裁へ動かせます。
Q6移送されると司法書士の代理はどうなりますか?
簡裁では認定司法書士が代理できますが、地裁送りになると原則として代理できなくなり、弁護士への引継ぎが必要になります。早めの準備が重要です。
Q7反訴額がいくらを超えると移送できますか?
反訴が地方裁判所の管轄に属すること、すなわち訴額が140万円を超えることが目安です。裁判所法33条が簡裁の事物管轄を140万円以下と定めています。
Q8移送決定に不服を申し立てられますか?
申し立てられません。民事訴訟法274条2項が移送決定への不服申立てを明文で禁じています。決定が出れば抗告も異議も出せず、その場で確定します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1簡裁の方が早いと聞きました。反訴で地裁に移ると、そんなに不利になるんですか?
不利かどうかは争点次第です。地裁は合議体で丁寧に審理する反面、期間も費用も増えます。ただ140万円を超える反訴のような複雑な争点は、簡裁の簡略な手続よりも地裁で十分に審理される方が結果的に有利なことが多い(民訴274条)。実務のポイント:簡裁の裁判官は高額・複雑事件の本格審理に慣れていないことがあり、争点が多いほど地裁移送のメリットが効く。「早い=得」とは限らない
Q2移送を申し立てたのに、裁判所が断ることはないんですか?
274条1項は「移送しなければならない」と定め、要件を満たす申立てがあれば裁判所に断る裁量はありません。これは18条の裁量移送とは別の必要的移送です。しかも決定には不服を申し立てられません(同条2項)。実務のポイント:相手方の申立てという要件さえ満たせば、裁判官の心証や訴訟の進み具合を気にせず確実に地裁へ動かせる。だからこそ反訴された側の強力なカードになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「反訴されたら、こちらも簡裁でそのまま戦うしかない」と思いがちだが、相手方には移送を申し立てる権利があり、その申立てがあれば裁判所は必ず地裁へ送らなければならない。受け身に見えて、実は審理の場の選択権を握っているのは反訴された側だ
- 移送制度があること自体は知っていても、その移送決定に一切不服を申し立てられない(2項)ことの重さを見落としている人が多い。一度地裁送りが決まれば、相手は抗告も異議も出せない。この一手は、打った瞬間に確定する
- 「簡裁の方が早くて安いから、できれば簡裁のまま戦いたい」という問いの立て方そのものがずれている場合がある。140万円を超える反訴を簡裁の簡略な手続で受けることは、複雑な争点が十分に審理されないリスクと裏表だ。問うべきは「安いか」ではなく「この争点に見合う審理体制か」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 移送の性質 | 274条:相手方の申立てによる必要的移送(拒否裁量なし) | 18条:簡裁の裁量移送(裁判所の判断) 16条:管轄違いの移送(管轄がない場合の原則) |
| 発動の引き金 | 地裁管轄の反訴 + 相手方の申立て | 相当と認めるときの職権 受訴裁判所に管轄権がないこと |
| 不服申立て | できない(2項で明文禁止) | 原則として即時抗告が可能 原則として即時抗告が可能 |
| 移送の対象 | 本訴及び反訴を一括で地裁へ | 事件全部または一部 管轄裁判所へ事件を移送 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾も簡易訴訟手続中に反訴等で簡易手続の範囲を超える場合、通常訴訟手続へ転換する仕組みを持つ。手続のグレードを争点規模に合わせる発想は日本と共通する。
ドイツでは区裁判所(Amtsgericht)で地裁(Landgericht)管轄に属する反訴が提起された場合、申立てにより事件を地裁へ移送する。申立てを要件とする点で日本274条と構造が近い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、簡裁で売掛金90万円を請求したあなたに、被告が500万円の損害賠償を反訴してきたらどうなる? 簡裁の裁判官は、巨額で複雑な反訴争点を本格的に審理する体制を持たないことが多い。あなたが274条の移送を申し立てれば、本訴も反訴もまとめて地裁へ移り、腰を据えて争える。申立て一つで土俵そのものが変わる
- あなたが被告として高額の反訴を出した側だとする。原告が移送を申し立てれば、あなたが狙った簡裁での早期決着は崩れ、地裁での長期戦に引きずり込まれる。しかも移送決定には不服を申し立てられない(2項)。反訴を出す前に、その金額が相手に移送ボタンを握らせる結果になると計算しておくべきだ
- 簡裁で認定司法書士に代理を頼んでいた。反訴で地裁送りになった。その瞬間、司法書士は法廷に立てなくなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被告の反訴の請求額を確認、140万円を超え地裁の管轄に属するなら移送申立ての要件を満たす2. 速やかに簡易裁判所へ移送の申立書を提出、本案の審理が深まる前が望ましい3. 移送が認められれば本訴・反訴とも地裁へ移る、代理人が認定司法書士なら弁護士への引継ぎを準備する4. 移送決定に相手は不服を言えない(2項)ので、決定が出れば地裁での審理計画にすぐ移行する
訴えられた側:1. 反訴額を140万円超に設定すると、相手に地裁移送の申立権を与えると認識する2. 簡裁での早期決着を重視するなら反訴の範囲・金額を再検討、あえて簡裁の枠内に収める戦略もある3. 地裁送りを受け入れる場合は、合議体での本格審理に備えて主張立証を厚くする4. これは職権の裁量移送(民訴18条)とは別枠で、相手方の申立てによる必要的移送である点を踏まえる
時効(請求できる期限):条文上の明確な期間の定めはないが、移送申立ては反訴提起後、本案の審理が実質的に進行する前に行うのが実務上の鉄則。審理が進むと訴訟経済の観点から移送の必要性が薄れ、運用上認められにくくなる場合がある(運用は事案により異なるため最新の取扱いをご確認ください)
学説
通説:274条の移送は相手方の申立てを要件とする必要的移送であり、18条の裁量移送と区別される。簡裁の簡略な手続で地裁管轄の高額・複雑な反訴を審理することの不適切さを回避し、審理体制の適正を確保する趣旨と解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により現行274条として整備。簡易裁判所における反訴に基づく必要的移送と、移送決定に対する不服申立ての禁止が規定された。
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